東海カーボンの直近の動向と展望

/

東海カーボンの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。

セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。

直近の動向と展望

電極市況の急落と構造改革

電極市況は2018年のピーク後、急速に反転した。中国勢の電極生産能力拡大、鉄鋼業界の電炉シフト鈍化、欧州エネルギー価格高騰、米国金利高止まりによる需要減速が重なり、2019年以降は高収益水準を維持できなくなった。FY19営業利益543億円、FY20は7.8億円までの急減、FY21は246億円、FY22は406億円、FY23は387億円と大きく振れた後、FY24は営業利益194億円(前期比▲50%)、親会社株主当期純利益▲565億円へ転落した。

FY24の純損失は特別損失769億円が主因である。黒鉛電極事業の構造改革に伴う減損損失と事業撤退関連費用が計上された。2025年6月には国内滋賀工場の黒鉛電極生産中止と、ドイツのTOKAI ERFTCARBON GmbHの全出資持分をドイツのLenbach Equity Opportunities III. GmbH & Co. KGへ譲渡することを決定。2017年のSGL買収と2019年のCOBEX買収で築いた欧州電極拠点の一部を手放す構造改革であり、買収による3極体制の前提が見直される局面に入った。

参考文献
  • 有価証券報告書
  • 東海カーボン公式トップメッセージ

カーボンブラックへの重心移動

2024年12月、米国のKBR/MWI株式を取得し連結子会社化。2026年1月1日にTokai Carbon GS Inc.として米国3社(TCU・KBR・MWI)を統合し、Tokai Carbon US Holdings Inc.傘下に再編する方針である。2025年9月には、ブリヂストン及び旭カーボンが所有するBRIDGESTONE CARBON BLACK (THAILAND)を連結子会社のTHAI TOKAI CARBON PRODUCT社と共同で取得し、Thai Tokai Carbon Product Rojanaに改称した。欧州電極からの部分撤退と並行して、カーボンブラック事業の米国・東南アジア拠点を強化する動きが明確である。

FY25(2025年12月期)は売上高3,230億円(前期比▲271億円)、営業利益259億円(+65億円)、親会社株主当期純利益201億円と、特別損失の正常化によって純損益は黒字回復した。ただし売上高は前期を下回り、電極市況の底は確認されていない。長坂一社長は「カーボンを素材の核として、グローバルに独自の価値を提供する専業メーカーとしての地位をさらに高めていく」(東海カーボン公式トップメッセージ 2025)とし、4事業体制を維持しつつ重心をカーボンブラックとファインカーボンに寄せるポートフォリオ再構築を進めている。1918年に電極国産化を目的として創業した会社にとって、電極事業の規模縮小は創業の原点との距離を測り直す作業でもある。

参考文献
  • 有価証券報告書
  • 東海カーボン公式トップメッセージ

参考文献・出所

有価証券報告書
日本会社史総覧 1995/11/1
東海カーボン公式トップメッセージ