日本電気硝子の直近の動向と展望
日本電気硝子の直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。
セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。
直近の動向と展望
黒字転換と構造改革の結実したFY25の成果
FY24(二〇二四年十二月期)は売上高二千九百九十二億円(前期比プラス六・九パーセント)、営業利益六十一億円(前期のマイナス百四億円から黒字転換)、親会社株主純利益百二十一億円と、構造改革の効果がはっきりと業績に反映された初年度となった格好である。特別利益には藤沢事業場跡地・韓国拠点資産等を含む固定資産売却益二百五十四億円と投資有価証券売却益六十二億円が含まれる一方で、特別損失ではディスプレイ日本・複合材マレーシア拠点に対する減損損失百十二億円を計上している。配当は一株百二十円から百三十円に増額された。藤沢事業場は二〇一五年の事業再編で閉鎖された跡地であり、環境対策を終えた上での売却の運びとなっている。
FY25(二〇二五年十二月期)は売上高三千百十四億円(プラス四・一パーセント)、営業利益三百四十一億円(プラス四百五十七・六パーセント)、営業利益率十一・〇パーセント、親会社株主純利益二百九十六億円、配当一株あたり百五十円と、EGP2028の初年度として大幅な増益を達成する格好となった。増益要因はディスプレイ事業等の販売価格の改定、電子デバイス事業の売上拡大(半導体向けとデータセンター向け)、生産性改善、減価償却費の減少、そして物流費・原燃料費の低下などである。ディスプレイ価格の底打ちと半導体関連の需要回復が、構造改革によって絞り込まれたコストベースに乗る形で利益を大きく押し上げた格好となっている。二〇二二年六月就任の九代岸本暁社長体制下での成果である。
- 決算説明会 FY24
- 決算説明会 FY24-2Q
- 決算説明会 FY25
- 決算説明会 FY25-2Q
英国撤退と三拠点体制への複合材事業の再絞り込み
二〇二五年六月、二〇一七年にPPGから買収した英国子会社「エレクトリック・グラス・ファイバ・UK」の事業活動の停止が決定され、六月末には生産を停止した。中国メーカーとの厳しい競争環境が継続するなかで、欧州拠点における収益改善の見通しが立たなかったことが主な理由である。複合材事業は日本(高付加価値製品)・マレーシア(自動車部品向け)・米国(住宅関連向け)の三拠点体制へと集約されることとなった格好である。二〇一七年の欧州・米国への大きな拡大から八年、複合材事業は海外M&Aで広げた範囲を一度大きく縮める段階に入っており、ポートフォリオ再編の道筋が明確に見えてくる重要な局面と位置づけられる時期に到達している。
FY26(二〇二六年十二月期)は売上高三千二百億円(プラス二・八パーセント)、営業利益三百三十億円(マイナス三・三パーセント)と、一時的な減益を見込む慎重な内容となっている。米中の関税政策や中東情勢の先行き不透明感をも織り込んだ計画となっており、米国の関税措置が同社グループの業績に直接与える影響は僅少としつつ、世界景気の下振れを通じた間接的影響は織り込んでいないと経営陣は決算説明会で明確に説明を加えている。EGP2028の二〇二八年目標(売上四千億円・営業利益五百億円)までの残り二年間で、ディスプレイの価格安定・半導体関連の本格的拡大・複合材の赤字解消という三つの重い経営課題を同時に進めていく、極めて重要な段階にある。
- 決算説明会 FY24
- 決算説明会 FY24-2Q
- 決算説明会 FY25
- 決算説明会 FY25-2Q
半導体関連と超薄板ガラスの実装フェーズへの移行
電子デバイス事業はFY25の期間を通じて四半期売上高四百億円台前半の水準で推移し、年間売上高は推定で一千七百億円規模のうちの約二割(およそ三百五十億円)を占める水準まで着実に拡大してきているところである。半導体用サポートガラスは年間売上百億円規模にまで成長してきており、プローブカード用基板についてもFY24 4Qから量産出荷を開始し、メモリ向けで二〇二四年内には量産にも入っている状況となっている。二〇二六年十二月期以降はGCコア(ガラスセラミックスコア基板)の事業化、パネルタイプの半導体用サポートガラス、そしてM&Aを含めた高付加価値事業の拡大などが、EGP2028の達成を大きく左右する成長ドライバーとして極めて重要な段階にある。
超薄板ガラス「Dinorex UTG」はMotorola razrシリーズ・Xiaomi MIX Flip 2と採用機種が着実に増えており、フォルダブルスマホ市場の拡大と連動して販売を順調に伸ばしている。人工衛星ソーラーパネル用の超薄板カバーガラスやペロブスカイト太陽電池向けの超薄板ガラスなど、オーバーフロー技術を非ディスプレイ用途にも展開する動きが進んでいるところである。CRTの次にTFT基板ガラスを置いた一九八七年の判断、液晶基板の次に半導体用サポートガラスと超薄板ガラスを置く二〇一六年以降の判断は、主力事業の世代交代を十数年先取りして仕込む同社の独特な型を踏襲している。ただし今回の転換はディスプレイ市況下落と複合材のM&A後処理を同時並行で進めながらの移行となる点が過去とは異なる。
- 決算説明会 FY24
- 決算説明会 FY24-2Q
- 決算説明会 FY25
- 決算説明会 FY25-2Q