大成建設の直近の動向と展望

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大成建設の直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。

セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。

直近の動向と展望

ピーエスコンストラクション取得と業界再編路線

2023年12月、大成建設は公開買付けによってピーエス三菱(2024年7月にピーエス・コンストラクションへ改称)を連結子会社化した。PC(プレストレストコンクリート)構造物の分野に強みを持つ同社の取得は、土木技術と受注力の強化を目的とするもので、2020年に相川善郎社長が就任して以来掲げてきた「業界再編主導」路線の初弾となった。ほぼ同じ2023年末に、中堅ゼネコンの佐藤秀も子会社化しており、独立系のゼネコンをグループに取り込む再編方針が社内外に示された。以降の連続したM&Aの基調は、このピーエス三菱取得と佐藤秀子会社化の2案件で固まり、スーパーゼネコンが主導する業界再編の先鞭となった。

2024年6月には平和不動産との資本業務提携を実施し、発生した負ののれんの一括償却が期の純利益に寄与した。2024年度からの3か年中期経営計画では総額3,500億円の投資枠を設定し、M&Aを成長戦略の主軸と位置づけた。相川社長は決算説明会の場で「業界再編を目指す水平統合にとどまらず、担い手確保・省人化を図る垂直統合、新たな価値提供を目指すバリューチェーン統合へと対象を拡大する」(決算説明会資料)と説明し、M&Aの対象を多層的に広げる意図を示した。海外事業の面では2024年にベトナム・ハノイで「TAISEI SQUARE HANOI」を開業し、日系企業として初の単独ビル開発事業を現地で完結させた。すなわち成長戦略の幅は国内の再編にとどまらない。

参考文献
  • 有価証券報告書
  • 決算説明会 FY24
  • 決算説明会 FY24-2Q
  • 日本経済新聞 2025/8/8

建築採算の回復と東洋建設TOBの完了

FY24(2025/3期)の連結売上高は2兆1,542億円(前期比22%増)に拡大し、連結営業利益は1,202億円まで回復した。ピーエスコンストラクション等の期首からの連結取込みが増収に寄与し、前期に損失を計上した建築セグメントは、工事損失引当金の反動で数字が改善した。建築セグメント利益は113億円と依然として低水準にとどまったが、前期の▲561億円からは大幅に回復した決算である。土木セグメントは売上高6,306億円・セグメント利益876億円と過去最大を記録し、グループ全体の利益を牽引した。すなわちこの期は、建築と土木の収益バランスが、従来の建築優位から土木優位へと明確に切り替わった決算だった。

中期経営計画では建築事業の竣工時利益率10%以上を目標に掲げ、発注者とのスライド交渉の強化と受注時点での採算管理の徹底を組織全体で進めている。決算説明会の場では「2026年度に10%に乗せたい」(決算説明会資料)との見通しが経営陣から示された。2025年8月には東洋建設に対するTOBを発表し、同年9月に成立した。総額約1,600億円に及ぶこの買収はスーパーゼネコン主導の案件として過去最大で、大成建設と東洋建設の連結売上高の単純合計は約2兆3,200億円(2025/3期ベース)に達する。海洋土木の分野で強みを持つ東洋建設の取込みで、今後本格化する洋上風力発電の基盤整備など成長分野の受注基盤を広げ、建築採算の回復とM&A主導の業界再編を同時に進める方針を示した。

参考文献
  • 有価証券報告書
  • 決算説明会 FY24
  • 決算説明会 FY24-2Q
  • 日本経済新聞 2025/8/8

参考文献・出所

有価証券報告書
決算説明会 FY24
証券調査(140) 1982/5
証券調査(205) 1987/10
経済展望 1964/6/15
事業の世界 1971/9
決算説明会 FY24-2Q
日本経済新聞 2025/8/8
日本経済新聞