ショーボンドホールディングスの直近の業績・経営課題と展望
ショーボンドホールディングスの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望
国内道路で稼ぐ完成形ビジネスを道路外と海外へどう拡張するか
1958年に上田昭が創業した昭和工業は、エポキシ樹脂を土木に応用するという発想で「コンクリートを直す」事業を切り開き、1995年の阪神・淡路大震災で耐震補修工法の有効性を市場に証明した。2012年の笹子トンネル天井板崩落事故が国内インフラ老朽化対策を国策の中心へ押し上げ、国土強靭化計画と高速道路リニューアルプロジェクト(2015〜30年・5.6兆円規模)の恩恵で2014年6月期から11期連続の増収増益が続いた。だが2025年6月期の工事受注高は前期比20.2%減の739億円となり、インフレで1件あたりの工事費が拡大して予算を圧迫したため高速道路会社の発注は2024年から減少局面に入った。
2018年9月にHD社長へ昇格した岸本達也は元・熊谷組(1986〜2001年勤務)の橋梁設計出身で、2024年8月に「中期経営計画2027」(2025〜2027年6月期)を策定した。基本方針として高難度工事の受注競争力強化、海外事業のビジネスモデル再構築、DXによる生産性向上と働き方改革、資本コスト・株価を意識した経営、非財務資本の活用による企業価値向上の5項目を掲げる。配当性向を50%→60%、総還元性向を80%→90%へ引き上げ、自己株式取得50億円を実施した結果、2025年6月期の総還元性向は93%、ROE14.5%、自己資本比率81.4%となった。
海外メンテナンスは2019年4月に三井物産と合弁SB&Mを設立して以降、2020年タイCPAC社との合弁CPAC SB&M Lifetime Solutionをバンコクに、2023年7月には米Structural Technologies, LLCに出資して米国拠点を加えた。2024年7月にはショーボンド建設内に海外事業部を新設し、製品販売だけだった旧モデルから施工指導・技術提供を組み合わせた直接展開型へ転換した。2025年6月期にCPAC SB&Mが創業以来初の黒字化を達成し、2025年9月のバンコク耐震補強セミナーには高層ビルオーナー等220名超が参加した。国内では首都高と共同開発した低弾性SFRC「LSF」の試験施工が2025年6月期に完了し、本格展開を待つ段階。
完成形に達した国内道路の補修ビジネスについて、岸本社長は橋梁・トンネル中心の道路インフラを「中心の幹」と位置付ける一方、鉄道・上下水道・港湾・民間建築といった道路以外の周辺領域と3点海外展開を「枝の伸ばし方」として次の10年の経営課題に置いた。2025年6月期の総還元性向93%・自己資本比率81.4%は、稼ぐ仕組みが完成して資本が積み上がる局面に入ったことを示し、配当・自己株式取得の段階的引き上げは資本市場との対話を経営課題として引き受けた現れである。問われるのは、国内道路で稼ぐ収益力を維持しながら、補修ノウハウの輸出と道路外領域の開拓で次の成長エンジンを立ち上げられるかという1点に集約される。
ショーボンドホールディングスの業績推移直近10ヵ年・有価証券報告書をもとに作成(XBRLよりデータ取得)
| 項目 | 単位 | FY152016/6 | FY162017/6 | FY172018/6 | FY182019/6 | FY192020/6 | FY202021/6 | FY212022/6 | FY222023/6 | FY232024/6 | FY242025/6 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 損益計算書 (PL) | |||||||||||
| 売上高YoY | 億円 | 523+0.4% | 533+1.8% | 597+12.1% | 608+1.9% | 676+11.1% | 801+18.5% | 812+1.4% | 839+3.4% | 854+1.8% | 907+6.2% |
| └国内建設 | 億円 | 502 | 509 | 570 | 576 | 645 | 771 | 778 | 803 | 813 | 868 |
| 売上原価 | 億円 | 396 | 395 | 449 | 447 | 503 | 593 | 586 | 605 | 601 | 642 |
| 売上総利益 | 億円 | 127 | 138 | 148 | 161 | 173 | 208 | 226 | 235 | 253 | 265 |
| 販管費 | 億円 | 34 | 36 | 40 | 44 | 44 | 51 | 53 | 53 | 57 | 57 |
| 営業利益YoY | 億円 | 93+1.7% | 102+9.2% | 108+6.1% | 117+8.8% | 129+10.3% | 157+21.7% | 173+9.8% | 181+5.0% | 197+8.5% | 208+5.7% |
| └国内建設 | 億円 | 86 | 94 | 99 | 108 | 121 | 151 | 165 | 172 | 188 | 198 |
| 貸借対照表 (BS) | |||||||||||
| 自己資本比率 | % | 82.4 | 82.2 | 81.4 | 82.5 | 81.4 | 82.8 | 80.2 | 80.2 | 79.2 | 81.4 |
| キャッシュフロー (CF) | |||||||||||
| 営業CF | 億円 | 44 | 75 | 17 | 46 | 45 | 27 | 78 | 38 | 194 | 95 |
| 投資CF | 億円 | -24 | -38 | -21 | -56 | 168 | -26 | 53 | 17 | 25 | 5 |
| 財務CF | 億円 | -22 | -26 | -31 | -33 | -42 | -45 | -92 | -99 | -92 | -127 |
| 従業員 | |||||||||||
| 連結従業員数 | 人 | 759 | 788 | 819 | 855 | 881 | 916 | 951 | 985 | 1,019 | 1,051 |
| 単体従業員数 | 人 | 5 | 5 | 8 | 9 | 10 | 10 | 9 | 12 | 26 | 22 |
| 平均年収(単体) | 万円 | — | — | — | 1,364 | 1,376 | 1,563 | 1,605 | 1,526 | 1,267 | 1,212 |
IR資料直近5ヵ年
アニュアルレポート / 統合報告書
| FY | 報告資料の種別 | 見所 | リンク調査時点のURLのため、現在は有効ではない可能性があります |
|---|---|---|---|
| FY26 | 統合報告書 | 中期経営計画2027の2年目。配当性向を50→60%・総還元性向を80→90%へ引き上げ、自己株式50億円取得を実施。2025年6月期は総還元性向93%・ROE14.5%・11期連続増収増益・16期連続増配を達成。タイCPAC SB&Mが創業以来初の黒字化、東西カンパニー制を2025年10月に見直し全社最適な人員配置体制へ転換。 | https://www.sho-bondhd.jp/pdf/ir-integratedreport-2025-A4.pdf |
| FY25 | 統合報告書 | 「中期経営計画2024」(2022〜2024年6月期)を振り返り、2025年6月期を初年度とする「中期経営計画2027」を策定。総還元性向の目標を75→80%へ引き上げ。海外周辺領域の拡張に向けて50〜100億円規模の出資・提携を模索する方針を明示。 | https://www.sho-bondhd.jp/pdf/ir-integratedreport-2024-A4.pdf |
| FY24 | 統合報告書 | 米Structural Technologies, LLCとの出資・ライセンス契約締結(2023年7月)を発表。中期経営計画(2022〜2024年6月期)の最終年度に向けた施策進捗と総還元性向79.1%実績を報告。インド・エルサルバドルでの工法試験施工も進める。 | https://www.sho-bondhd.jp/pdf/ir-integratedreport-2023-A4.pdf |
| FY23 | 統合報告書 | 同社初の統合報告書として発行。「中期経営計画(2022年6月期〜2024年6月期)」を掲げ、総還元性向75%を目標として明示。三井物産との合弁SB&M(2019年設立)を起点とした海外メンテナンス事業の進展も総括。 | https://www.sho-bondhd.jp/pdf/ir-integratedreport-2022-A4.pdf |