3Dインベストメント・パートナーズの大量保有|東北新社の株主対応

更新:

株主要求と会社対応18件
株主3Dインベストメント・パートナーズ3D Investment Partners
最高保有比率17.65%基準日 2024/03/19大量保有報告書(S100T5B3)の保有割合。報告の中で最も高い時点
投資先東北新社証券コード 2329
ステータス終結

当コンテンツは試験作成中です。上場企業におけるガバナンス深化のために、専門家の方々からご意見を賜れますと幸いです。要望や誤りがありましたら、(PCのみ)からお寄せください。

株主要求と会社対応

3Dは東北新社に過剰資本の還元を求めたのち、自ら株式を取得する非公開化の提案へ進んだ。企業価値向上策で配当性向100%以上、自己株式取得と特別配当で総額450〜550億円、独立社外取締役によるMOM決議か特別委員会の設置を求めた。思い切った経営の意思決定を行えるリーダーがいないことを課題に挙げ、1株600〜650円の公開買付けを提案した。3Dは双方が義務を負う守秘の契約を求めて譲らず、協議は打ち切られ、3Dはその経緯を公表した。

東北新社は大規模な還元を退け、3Dの提案より前に公表した中期経営計画の枠で資本を事業と還元に振り分けた。大規模な株主還元は構造改革や事業投資の余力を損なうと説明し、スター・チャンネルの譲渡、保有株式の約50%縮減、遊休不動産の全件売却を進め、現預金の増加を受けて資金配分の枠を810億円以上へ広げた。非公開化の提案は特別委員会で検討し、守秘義務誓約書を条件にDDを受け入れると回答したが、3Dがその変更を求め続けたため交渉を打ち切った。

株主側要求(3Dインベストメント・パートナーズ)会社側対応(東北新社)議案可決議案否決面談
株主と会社の施策
2024年2025年2026年1月4月7月10月1月4月7月10月1月4月7月10月
資本政策
配当方針
中期経営計画年間配当年間配当
資本効率
中期経営計画遊休不動産不動産売却
特別配当
書簡提案
自社株買い
書簡提案
事業戦略
経営戦略
中期経営計画書簡提案グラニフ買収
買収提案
特別委員会の設置公開書簡
ガバナンス
取締役会構成
書簡提案指名・報酬委員会
3Dインベストメント・パートナーズの保有比率
15.6%17.6%17.4%
株主総会
定時定時定時
要求と経緯要求7件・出来事18件

株主との対話:株主から会社に対する要求と経緯

項目日付主体対話区分やり取りの要旨株主公表会社公表
配当方針2024/02/09意思決定確定中期経営計画—
2024/02/28書簡提案要求配当性向100%以上—
2024/04/17意思決定確定対応方針の公表—
2024/05/17意思決定確定年間配当1株78円—
2025/05/16意思決定確定年間配当1株26.52円—
資本効率2024/02/09意思決定確定中期経営計画—
2024/02/28書簡提案要求ROE8%、次いで10%—
2024/04/17意思決定確定対応方針の公表—
2024/05/31意思決定確定保有株式の縮減簿価約74億円—
2024/06/27意思決定確定遊休不動産簿価約75億円—
2025/02/14意思決定確定不動産売却譲渡益81.56億円—
特別配当2024/02/28書簡提案要求自己株式取得と合わせた特別配当—
2024/04/17意思決定確定対応方針の公表—
自社株買い2024/02/28書簡提案要求特別配当と合わせた自己株式取得—
2024/04/17意思決定確定対応方針の公表—
経営戦略2024/02/09意思決定確定中期経営計画—
2024/02/28書簡提案要求広告・スターチャンネル・映像制作—
2024/04/17意思決定確定対応方針の公表—
2024/04/19意思決定確定スターチャンネル売却—
2024/06/21書簡提案要求広告企画の強化と配信向け制作—
2026/03/27意思決定確定グラニフ買収—
買収提案2024/07/23書簡提案要求公開買付けによる非公開化—
2024/07/24意思決定確定特別委員会の設置—
2024/08/22意思決定確定DDの条件付き受入れ—
2024/09/24意思決定確定協議・交渉の打切り—
2024/10/04公開書簡守秘義務誓約書の比較表の公表—
取締役会構成2024/02/28書簡提案要求社外取締役のMOMか特別委員会—
2024/04/17意思決定確定対応方針の公表—
2025/02意思決定確定指名・報酬委員会—
2025/06/27意思決定確定独立社外取締役6名—

株主側の主張:3Dインベストメント・パートナーズ

2024年2月28日 資料

東北新社のROEは過去15年間にわたって低位で推移してきました(図1)

東北新社が展開するコア事業は、大きな資本投下を必要としないことから、本質的には事業効率(=ROIC)が高いです(図1)

そのため東北新社のROEが低いことは、事業とは無関係の資産に資本を配分している過剰資本の状態にあるというのが原因だと考えられます

また、営業利益率が低位で推移していることも、ROEを低めている原因です(図2)

(中略)

東北新社がROE10%の早期達成を実現するためには、収益性及び成長性の向上だけで無く、①配当性向の100%への引き上げ、②総額450~550億円の自己株式取得・特別配当、が必要となります

2024年10月4日 資料

企業買収行動指針においては「買収提案を検討・評価するために必要な情報を買収者が対象会社に提供する際に、秘密保持契約の締結が必要になることがある」とされている。

非公開化提案の再提出など、3DからTFCに対する情報提供も想定されている。

企業買収指針においては「相互の信頼関係の醸成」が重要視されている。かかる信頼関係は、3DにおいてTFCに対し、躊躇することなく必要な情報を提供できる環境があってのことと考えているため、双方向の義務としてほしい。

会社側の主張:東北新社

2024年4月17日 適時開示

「株主還元による自己資本の適正化」については、当社もその重要性を認識しており、自己資本部分の余剰部分については株主還元を強化する方針です。一方で、当社は、本日現在、東京証券取引所への上場の継続を前提とした事業改善に取り組んでいるところであり、3D社が主張する、2027年3月期までにROE(自己資本利益率)10%を達成するための大規模な株主還元策を実施すると、既存事業の構造改革のために必要な投資や新しい事業投資余力を損なうことになり、当社の中長期的な企業価値の低下につながりかねないと考えております。当社としては、中長期的な企業価値の継続的な向上を目指しており、当社が公表した中期経営計画に従った株主還元を実施する方針です。

2024年9月24日 適時開示

当社取締役会は、3D社に対して、経済産業省が2023年8月31日に公表した「企業買収における行動指針-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-」において、デュー・ディリジェンスは、「通常、企業内部の非公開情報を提供して行うものであることから、競合他社への情報流出や目的外利用のリスクなども考慮した上で、検討・交渉を進める意義があると考える場合に実施することとなる」とされているところ、①当社においては、当社の営業秘密やノウハウが漏洩し、又は目的外利用された場合には、大手広告代理店等の顧客や、発注先である協力会社の信用を失い、取引が停止されるリスクがあるほか、新規案件や進行中の案件も大きく影響を受け、収益に多大な悪影響が生じ、短期的な影響のみならず、将来における事業継続性も担保できなくなるリスクがあり、ひいては企業価値及び株主全体の利益に多大な悪影響を生じるおそれが十分にあること、②本提案は現時点では当社取締役会が応じる方針を決定すべき内容のものであるとは考えられず、そのため、本DDの受入れの要請に応じた上で本提案に関して検討・交渉を進める必要性は必ずしも高くないと判断していることから、本諮問意見書において、3D社との間で同社に厳格な秘密保持義務や違反時の補償義務等を課す内容の守秘義務契約を締結するなど、3D社による当社内部の非公開情報の情報流出や目的外使用の具体的なおそれがないと合理的に判断することができる厳格な措置を講じることが、本DDの要請を受け入れる条件とされており、それゆえ、当社が提案する守秘義務誓約書の内容に対する実質的な変更は受け入れられないことを、繰り返し、再三再四に亘り、詳細に説明いたしました。

しかしながら、3D社は、当社の説明にもかかわらず、守秘義務誓約書の内容について実質的な変更を要請する立場を変えなかったため、当社は、3D社が当社の指定する内容の守秘義務誓約書を実質的な変更なく当社に差し入れることはないと判断し、これ以上時間・労力等のコストを費やして3D社との協議・交渉を続けることは、当社の企業価値及び株主共同利益の毀損につながるおそれがあることから、本特別委員会の特別委員を含む取締役全員の総意に基づき、本日付で、3D社に対して、3D社との協議・交渉を打ち切る旨を回答いたしましたので、ここにお知らせいたします。

東北新社の取締役(2023年6月可決・当時)

氏名役職区分その後の総会:選任賛成比率
24/625/6
小坂恵一代表取締役社長社内78.0%76.3%
二宮清隆取締役社内78.0%77.2%
沖山貴良取締役社内78.0%77.3%
江草康二取締役社内78.1%77.3%
家氏太造取締役社内98.5%98.3%
谷定典取締役(監査等委員)社内——
中野智司取締役社内98.5%98.4%
山口哲史取締役社内78.1%77.3%
小野直路取締役(監査等委員)社外——
関一由取締役(監査等委員)社外——
伊藤和明取締役(監査等委員)社外——
鈴木咲江子取締役社外78.2%77.2%
岩倉正和取締役社外78.2%77.2%
上村はじめ取締役社外78.2%77.3%

筆者見解(歴史的文脈から見た視点)

創業家が過半を握る会社に積み上がった資本の使い道
2026/11執筆予定
東北新社ROE2026/3期8.2%
ROE
東北新社ネットキャッシュ2026/3期507億円
ネットキャッシュ現預金有利子負債
東北新社投資有価証券2026/3期201億円
投資有価証券
東北新社年間配当(分割を遡って調整した値)2026/3期27.1円
期末配当中間配当
要求区分の一覧19種類

3Dインベストメント・パートナーズの要求区分:公開資料からの推定

東北新社に対し、3Dインベストメント・パートナーズがどの要求区分(投資ファンドが要求する項目を独自に一般化したもの)を、どの手段で伝えたかを、公開資料で確かめられる範囲で○を付けて示す。

種別要求区分定義株主提案招集請求書簡提案面談提案
資本政策特別配当通常の配当に上乗せした、一度きりの配当○
配当方針1株配当の引き上げ、配当性向・DOEの目標の変更○
自社株買い自己株式の取得と、取得した株式の消却○
資本効率ROE・資本コストの目標、余剰資本の水準と使い道の方針。個別の還元策は特別配当・配当方針・自社株買い○
政策保有株取引先などと持ち合う政策保有株式の売却・縮減
保有資産現預金・不動産など事業に使っていない資産の売却・活用。政策保有株式は除く
事業戦略上場子会社上場子会社の完全子会社化・売却・持分の扱い
非中核事業本業から外れた事業・子会社・資産の売却。上場子会社は除く
経営戦略経営戦略・中期経営計画・事業ポートフォリオの見直し○
M&A・提携会社が進める買収・統合・資本提携への反対、条件の見直し
非公開化株式の非公開化・MBOの実施、その条件の見直し
買収提案株主自らが買い手となる株式の買付けの提案と、取締役会への賛同の要請。会社が進める買収はM&A・提携、非公開化の実施は非公開化○
ガバナンス取締役解任特定の取締役の解任、再任への反対
取締役選任株主が推す候補を含む取締役の選任
取締役会構成独立社外取締役の比率、議長と社長の分離など取締役会の構成○
定款変更株主総会で決められる事項を増やすなどの定款の変更
役員報酬役員報酬の水準・仕組み・業績との連動の見直し
買収防衛策買収防衛策の廃止、導入への反対
非公開非公開面談面談など公表されない場で伝えた要求。中身は非公開
参考文献23件

参考文献

日付公表種類要旨
2024/02/28株主公表資料企業価値向上策の公表
2024/04/17会社公表適時開示3Dの提案資料への対応方針の公表
2024/04/19会社公表プレスリリーススター・チャンネルの全株式の譲渡
2024/05/17会社公表適時開示2025年3月期からの5カ年の中期経営計画
2024/05/17会社公表適時開示期末配当の19円から78円への増配
2024/05/31会社公表適時開示保有株式の約50%縮減の方針
2024/06/04会社公表臨時報告書スター・チャンネルの全株式の譲渡
2024/06/21株主公表資料「ReBORN 東北新社」事業編(更新版)の公表
2024/06/27会社公表適時開示遊休不動産の全件売却の方針
2024/07/24会社公表適時開示独立社外取締役5名による特別委員会の設置
2024/07/25会社公表適時開示1株600〜650円での非公開化の提案
2024/08/22会社公表適時開示守秘義務誓約書を条件とするDD受入れの回答
2024/08/27会社公表適時開示1株600〜650円での非公開化の提案
2024/09/24会社公表適時開示3Dとの協議・交渉の打切り
2024/10/04株主公表資料守秘義務誓約書の協議の経緯の公表
2024/10/04株主公表資料守秘義務誓約書の協議の経緯の公表
2024/11/08会社公表適時開示保有株式の約50%縮減の方針
2025/02/13会社公表ガバナンス報告書任意の指名・報酬委員会の設置
2025/02/14会社公表臨時報告書麻布ビルなど遊休不動産5件の譲渡
2025/05/16会社公表適時開示年間配当26.52円(DOE4.3%)
2025/06/13会社公表適時開示取締役の18名への増員(独立社外6名)
2025/07/01会社公表臨時報告書取締役の18名への増員(独立社外6名)
2026/03/27会社公表臨時報告書グラニフの全株式の取得(子会社化)

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