アドバンテストの歴史

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沿革

1954年に武田郁夫氏が愛知県豊橋市に設立したタケダ理研工業が起源。

1972年に国産初のLSIテストシステムT320を製品化し、2011年にはVerigyを買収してSoCテスタを取り込んだ。半導体試験装置で世界最大の供給者であり、売上の92%をアジアが占める。

1954年1976年1983年1985年2011年2017年2026年タケダ理研工業1954年豊橋で設立経営再建1976年富士通が救済決断富士通1976年救済支援株式上場1983年上場アドバンテスト1985年商号変更Verigy2011年完全子会社化決断富士通2017年全株式を売却決断
アドバンテスト
歴代社長と長期業績(敬称略)
2026年3月期
連結
売上高
11,286億円
売上高純利益率
33.3%
出所:有価証券報告書
丸山松野黒江吉田津久井
売上高665億円売上高1,463億円売上高2,539億円売上収益1,621億円売上高11,286億円純利益率10.7%純利益率13.6%純利益率16.3%純利益率4.1%純利益率33.3%1977/31981/31986/31991/31996/32001/32006/32011/32016/32021/32026/3
  1. タケダ理研工業を設立[2]
  2. 豊橋でタケダ理研工業を創業技術・R&D起点の攻勢
  3. エレクトロニック・カウンタ「TR-124B」がヒット[3]
  4. 本社移転[4]
  5. 本部機構ならびに工場を東京都練馬区旭町に新築移転[2]
  6. 日本初のデジタル電圧計「デジタル・マルチメーター」を発売[3]
  7. ミニコンピュータによる計測器の開発に投資[5]
  8. 行田工場を埼玉県行田市に開設[6]
  9. ICテスタSPAT-1を新製品発表展示会に出展[7]
  10. 国産初のICテスタ「T320」を発売[8]
  11. 本店を東京都練馬区に移転[2]
  12. 不況対策で新規採用者28名を半年間自宅待機[9]
  13. コンピュータ計測事業で失敗・最終赤字に転落赤字転落
  14. 武田郁夫氏が社長を退任し会長へ(社内クーデター)[10]
売上高
  • 売上高
アドバンテスト売上高—
歴史詳細を読むタケダ理研工業の設立とコンピュータ計測事業の失敗

筆者所見

タケダ理研の経営危機は、参入先の選び方を誤ったことより、先行投資を一度に広げすぎたことに原因がある。昭和40年代中盤からコンピュータ計測システムなどへ事業を拡大し、電子計測器以外は採算の取れない状態が続いた[1]。1972年には機械振興協会の補助を受け、国産初のLSIテストシステムを完成させた[1]。赤字を生んだ新規事業群の中に、後の再建を担う製品が含まれていた。投資に優先順位を付けなかった代償は、創業者である武田郁夫氏自身の退任で払われた。

  1. [1]証券 35(3)(408)(1983年3月)「新規上場会社紹介 タケダ理研工業株式会社」
  1. 富士通の救済出資救済型M&A・支援受け入れ
  2. デジタル計測器300機種のうち100機種の生産打ち切り[9]
  3. LSI向け検査装置「100MHzテストシステム」を開発[8]
  4. 40MHzメモリ・テスト・システムT-3331を発売[9]
  5. Advantest America, Inc.を米国に設立[2]
  6. 東京証券取引所第2部に上場・再建完了上場[2]
  7. Advantest Europe GmbHをドイツに設立[2]
  8. 本社事務所を東京都新宿区の新宿NSビルに開設[2]
  9. 群馬工場を新設[2]
  10. 半導体テスタ市場世界シェア第1位を獲得[3]
  11. 東京証券取引所市場第一部に株式上場[2]
  12. 商号をアドバンテストに変更商号変更[5]
  13. 群馬第2工場を群馬県邑楽郡邑楽町に開設[6]
  14. シンガポールにAdvantest (Singapore)を設立[2]
  15. 大利根R&Dセンタ(現埼玉R&Dセンタ)を開設[2]
  16. ICテスト・システムの米国における現地生産を開始[13]
売上高当期純利益率
  • 売上高
  • 当期純利益率
アドバンテスト1988年3月期売上高541億円売上高当期純利益率5.6%
歴史詳細を読む富士通の救済出資によるICテスタへの集中

筆者所見

アドバンテストの海外展開は、市場の開拓である以上に、円高への備えとして始まった。1987年10月、同業他社に先駆けて米国イリノイ州でICテスト・システムの現地生産を開始した[11]。米国・欧州・アジアの18か所の販売拠点は、いずれも保守の拠点を兼ねた[12]。生産と保守を顧客の近くに置く判断は、為替の変動を和らげ、米国勢の地元で顧客との接点を増やした。富士通の救済出資から約10年で、救済された会社は国境を越える装置メーカーに変わった。

  1. [11]アドバンテスト40年のあゆみ 先端技術を先端で支える(1994年)5章 グローバル企業への挑戦
  2. [12]ヤノ・レポート(1988年12月7日)「海外展開で先行するアドバンテスト」
安定成長期

1990年〜台湾進出と半導体検査装置の世界シェア約40%

  1. Advantest Taiwan Inc.を台湾に設立[2]
  2. アジア市場の重視を宣言
  3. 1GHzのVLSIテスト・システム「T6691」を発表[3]
  4. 高速メモリテストシステム「T5581」を発売[3]
  5. 半導体検査装置で世界シェア約40%
  6. 群馬R&Dセンターを新設[2]
  7. 日経平均を構成する225銘柄に採用[3]
売上高当期純利益率
  • 売上高
  • 当期純利益率
アドバンテスト2000年3月期売上高1,671億円売上高当期純利益率13.3%

筆者所見

1990年代の成長は、半導体の量産がアジアへ広がる流れに先行して、販売拠点とメモリ用テスタを置いたことに支えられた。1990年3月に台湾へ現地法人を設立し、1995年に高速メモリテストシステム「T5581」を市場に投入した[2][3]。量産工場の近くに販売と保守の窓口を持つ体制は、メモリ各社の設備増強のたびに更新需要を受け止める足場になった。製品群がメモリに偏ったことは、2000年代にSoC用の市場で出遅れる下地にもなった。

  1. [2]有価証券報告書(2025年6月25日)
  2. [3]アドバンテスト 公式サイト「沿革」(2026年10月)
成熟期

2001年〜NYSE上場と市況悪化による赤字転落

  1. 群馬R&Dセンタ2号館が完成[2]
  2. ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場上場[2]
  3. 北九州R&Dセンターを新設[2]
  4. SoC向けテスト・システム「T2000」を発売[3]
  5. 日本エンジニアリングを経営統合[3]
  6. 本社事務所を東京都千代田区の新丸の内センタービルディングに移転[2]
  7. 仙台工場A館をアドバンテスト研究所敷地内に開設[6]
  8. Credence Systemsを買収買収[3]
  9. 市況悪化により赤字転落赤字転落[14]
  10. アドバンテストマニュファクチャリング・カスタマサポートを吸収合併[2]
売上高当期純利益率
  • 売上高
  • 売上原価
  • 販管費
  • 営業利益
  • 当期純利益率
アドバンテスト2010年3月期売上高532億円売上高当期純利益率-21.6%

筆者所見

2000年代のアドバンテストに問われたのは、メモリ用テスタで得た首位を、SoC用の市場へ広げられるかだった。2001年9月にニューヨーク証券取引所へ上場し、2003年にはSoC向けテスト・システム「T2000」を発売した[2][3]。米国の取引所に籍を置いたことで、海外の投資家と顧客に向けて事業を開示する体制が整った。それでもSoC用ではテラダインを追う立場が続き、自前の製品で差を詰めきれなかったことが、2011年のVerigyの買収へつながった。

  1. [2]有価証券報告書(2025年6月25日)
  2. [3]アドバンテスト 公式サイト「沿革」(2026年10月)
低迷期

2011年〜Verigyの完全子会社化と3期連続の赤字

  1. Verigy買収クロスボーダーM&A(日本→海外)[2]
  2. 総額250億円の国内無担保社債を発行[15]
  3. 米国W2BI.COMを買収買収[3]
  4. 3期連続の赤字転落赤字転落[14]
  5. 日本エンジニアリングを吸収合併[16]
売上高営業利益率
  • 売上高
  • 売上原価
  • 販管費
  • 営業利益
  • 営業利益率
アドバンテスト2016年3月期売上高1,621億円売上高営業利益率7.8%

筆者所見

Verigy買収は、SoC用テスタの遅れを自前の開発ではなく買収で一度に埋める決断だった。2011年7月に同社の普通株式の全株を取得し、完全子会社とした[2]。翌2012年5月には総額250億円の国内無担保社債を発行した[15]。メモリとSoCの両方の製品群を手中にしたことで、一方の市況だけに業績が左右される状態からは離れた。統合の成否は、富士通の資本から離れた後の2010年代後半まで持ち越された。

  1. [2]有価証券報告書(2025年6月25日)
  2. [15]有価証券報告書 第71期(2013年6月27日)
急成長期

2017年〜富士通の全株式売却と中期経営計画MTP3

  1. 富士通との資本関係解消資本提携・政策保有[17]
  2. グランドデザインおよび中長期経営方針を発表[3]
  3. 本社を移転[4]
  4. 米国Astronicsのシステムレベルテスト事業を譲受[3]
  5. 米国Essaiを買収買収[3]
  6. 米国PDF Solutionsと業務提携[3]
  7. 「V93000 EXA Scale」を発表[3]
  8. プローブ・カード事業を譲渡[18]
  9. 第2期中期経営計画(MTP2)を発表[3]
  10. 米国R&D Altanovaを買収買収[3]
  11. 「ESG行動計画」を策定[3]
  12. イタリアCREAを買収買収[3]
  13. 東京証券取引所プライム市場に移行[2]
  14. 台湾Shin Puuを買収買収[3]
  15. 市況好転により過去最高益を達成
  16. Douglas Lefever氏がGroup CEOに就任[3]
  17. 中期計画「MTP3」始動大型設備投資
  18. 2031年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を発行[19]
売上高営業利益率
  • 売上高
  • 売上原価
  • 販管費
  • その他費用
  • 営業利益
  • 営業利益率
アドバンテスト2026年3月期売上高11,286億円売上高営業利益率44.2%

筆者所見

富士通との資本関係の解消の後のアドバンテストは、テスタ単体の装置メーカーから、検査の工程全体を引き受ける企業へ事業の範囲を拡大した。2019年に米国Astronicsのシステムレベルテスト事業を譲り受け、2020年には米国Essaiを買収した[3]。半導体の検査が完成品に近い段階へ延びるのに合わせ、周辺の技術を買収で社内に加えたことになる。MTP3は、その品揃えを土台に、生成AI向けの検査需要を先行投資で取り込む計画である。

  1. [3]アドバンテスト 公式サイト「沿革」(2026年10月)
出典・参考19件
出典・参考
  • [1]証券 35(3)(408)(1983年3月)「新規上場会社紹介 タケダ理研工業株式会社」
  • [2]有価証券報告書(2025年6月25日)
  • [3]アドバンテスト 公式サイト「沿革」(2026年10月)
  • [4]有価証券報告書
  • [5]アドバンテスト 有価証券報告書 第83期(2025年3月期)【沿革】(2025年3月)
  • [6]有価証券報告書 第70期(2012年6月27日)
  • [7]アドバンテスト40年のあゆみ 先端技術を先端で支える2章 システム計測への展開(1994年)
  • [8]日経ビジネス「武田郁夫氏(タケダ理研元社長)兵を語る 技術を過信、経営怠った」(1983年5月30日)
  • [9]アドバンテスト40年のあゆみ 先端技術を先端で支える3章 新しい体制で、新たなスタート(1994年)
  • [10]日経ビジネス(1983年5月30日)
  • [11]アドバンテスト40年のあゆみ 先端技術を先端で支える(1994年)5章 グローバル企業への挑戦
  • [12]ヤノ・レポート(1988年12月7日)「海外展開で先行するアドバンテスト」
  • [13]アドバンテスト40年のあゆみ 先端技術を先端で支える5章 グローバル企業への挑戦(1994年)
  • [14]アドバンテスト「2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」(2026年4月27日)
  • [15]有価証券報告書 第71期(2013年6月27日)
  • [16]会社IR「第72期 報告書」(2024年)
  • [17]富士通「ファナック株式及びアドバンテスト株式売却に関するお知らせ(東京証券取引所におけるToSTNeT-2による売却)」(2005年2月22日)
  • [18]有価証券報告書 第80期(2022年6月22日)
  • [19]臨時報告書

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