2003年
金融業向けの求人サイトを売却

Indeedの共同創業者の一人であるPaul Forsterは、もともとアメリカの金融機関に勤務しておりMBAの学位を取得したビジネスパーソンであった。この経験から、金融機関で働く人材向けのインターネット求人サービスが存在しないことに着目し、MBAで知り合ったRony Kahanと共同で2000年代前半に金融業界向けの求人サイトを運営して起業家に転身した。

だが、金融機関向けの求人サービスは軌道に乗らず、2004年に英国系の求人サイト「FinancialCareers」に売却して、ビジネスをクローズした。

証言
Paul Forster(Indeed共同創業者)

So we didn't, actually, we bootstrapped it. Our timing was quite bad, in the sense that we hit the top of the dotcom bubble just at the time when ... we trying to raise funding right at the time when VCs had realized the writing was on the wall and this was going to come to a sticky end. Which was good and bad. It was, obviously ... at the time, it was pretty tough to build a business with no outside funding.

But on the positive side we developed this, kind of, very scrappy DNA of doing a lot with a little and bootstrapping the business. And I think that served us in good stead thereafter, having built a business during that very, very difficult time during 2000, 2001, 2002, when the bubble burst.

2004

Indeedを創業して求人検索ビジネスを開始

2004年にPaul FosterとRony Kahanは、当時普及しつつあった検索エンジンの技術に着目し、ネットにおける求人情報を自動的に収集することによって、業種を問わない求人検索エンジンのサービスを運営することを思いつく。そして、ニューヨークタイムズなどの出資により、2004年にIndeedを共同創業して「We help people get jobs」という目標を掲げた。

Indeedが採用した技術は、Googleの検索技術と同様のものであった。以下、推測になるが、Indeedは定期的に求人サイトを巡回するプログラム(pythonによるスクレイピング等)を作成し、最新の求人情報をIndeedのデータベースに蓄積。求職者がIndeedで検索を行った際に、求人情報のDBから合致したレコードを返却するというものであり、検索基盤にはElastic Searchなどを活用する。

これらの技術によって、求職者は、勤務地・役職・会社名・年収といった様々な条件によって求人情報の検索条件を絞ることができるようになったため、当時としては画期的な求人サービスとして注目を浴びたものと思われる。

また、クリック課金型のビジネスモデルを採用し、休職者を探している企業から「検索で上位表示する対価としてクリックあたりの料金を請求する」ことで、Indeedは収益を確保したものと推察される。

2007年
黒字化を達成。Time Magazineのアワードにも選出される

2007年にIndeedは黒字化に成功し、Time Magazineが選出する世界的なウェブサイト(PC World)のベスト50にノミネートされた。

Indeedは多言語対応を推し進めることによって、2012年時点には世界50カ国以上(26言語)に対応し、15億件の求人を掲載するグローバル求人検索エンジンへと成長した。

Indeedは創業から早い時期に黒字化に目処をつけたとことで、資金調達は創業時に調達した500万ドルだけで追加増資を行わずに企業経営を継続しており、基本的に自己資金によって業容を拡大させたものと思われる。2012年には従業員550名を抱える規模に達した。

2012

リクルートに1000億円で買収されることを選択

Indeedは株式上場を目指していたが、モルガン・スタンレーの仲介によって企業を売却する選択肢も提示された。この時、Indeedの売却先として名前が上がったのが、日本企業のリクルートであった。

リクルートHDにおける狙いは、グローバルにおける人材系企業でトップに躍り出るための戦略目標を掲げており、この実現のためにテクノロジーを開発していたIndeedに着目した。

最終的にIndeedは株式の100%をリクルートHDに売却することを決め、リクルートは約1000億円でIndeedの買収を決断した。この結果、創業者と2005年に投資した株主は莫大なキャッシュを手にし、出資者の1つであるニューヨークタイムズは100億円の売却益を確保したという。

なお、共同創業者であるPaul Fosterは、リクルートへの売却によってCEOを退任した。その後は、アドバイザーとしてIndeedの経営に関与するとともに、自らは個人資産を活用した投資家に転身している。一方、Rony Kahanは2012年にIndeedのCEOに就任し、2018年にはリクルートHDの取締役に就任するなど、現在も経営の第一線を担っている。

証言
峰岸真澄(リクルートHD代表取締役社長兼CEO)

リクルートには今三つのSBU(Strategic Business Unit、戦略事業単位)があり、人材派遣事業、メディア&ソリューション事業、それにグローバルなインターネットの事業が加わって成長していることが大きなポイントになっています。

14年に上場したとき、Indeedの売り上げは400億円程度。ですが去年は3000億円になりましたから、ポテンシャルは大きいわけです。HRテクノロジーSBUの主要企業として成長のドライバーは、Indeedのプラットフォームがベースになっていく。

2018年
IndeedがリクルートHDの収益を牽引

2010年代を通じて検索求人サービスは成長をとげ、Indeedの収益(売上)は、2014年度の時点で約400億円から、2018年度時点で約3000億円を記録した。この結果、リクルートにとってIndeedが収益増加の源泉となり、紙媒体を中心としたリクルートの他のビジネスの低迷をカバーした。

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