2017年11月に加藤勇志郎氏は、製造業における「下請け構造」を改善するためにキャディ株式会社(CADDi)を東京都千代田区にて設立した。加藤氏マッキンゼーでコンサルタントの業務に従事する中で、製造業の商流(設計→調達→製造→販売)において、特に調達における無駄を発見し、その市場規模の大きさ(調達の市場規模は120兆円と言われる)にポテンシャルを見いだした。
CADDiの創業と同時に、技術責任者として小橋昭文氏(当時27歳)が参画した。小橋昭文氏はスタンフォード大学で電子工学を学んだのちに、ロッキード社(軍用機製造)やアップルなど、米国東海岸における製造業・テック企業でキャリアを歩んでいたが、将来は企業を考えていたという。2014年ごろに小橋氏と加藤氏は共通の知人を介してシリコンバレーで出会っていた。そして、加藤氏からCADDiの製造業に関わるビジネスモデルを聞いて、小橋氏は共同創業を決意したという。
これらの経緯から、CADDiは、加藤氏と小橋氏の2名が共同創業した会社とされる。ただし、資本政策に関しては非開示(未上場企業)であるため不明である。
加藤氏と小橋氏に加えて、2017年末までにマッキンゼー出身の幸松大喜氏がCADDiに参画し、3名で事業を開始した。
加藤氏は「事業戦略、財務、経理、顧客開拓」を担当し、小橋氏は「技術開発、労務、総務」、幸松氏は「パートナー企業の開拓」を担当した。CADDiのビジネスは、受発注(発注者:主に大企業、受注者:主に中小企業)の双方の顧客開拓が必要であることから、創業当初から営業に注力した布陣を取ったと推察される。
企業に至った背景には、前職のマッキンゼーで製造業メーカーの調達部門における「原価コストの改善」と「構造改革」に従事した経験が紐づいています。設計図を元にサプライヤーから部品を買い付ける調達では、いくつかの町工場に相見積もりを取り、価格交渉を経て、もっとも安い工場に発注するのが一般的なフローです。私がここで目にしたのは、非効率かつ顧客中心の「多重下請け構造」の実態でした。
板金加工における見積もりの自動化から着手(板金は金型とは違い複雑性は低い)。機械学習を活用して数千枚の図面を元にアルゴリズムを構築。形状解析→工程分解→原価計算→ロジスティクスに至るシステムを実装したと推定
出資者は、DCM Ventures(原健一郎氏)、WiL(久保田雅也氏)、グローバル・ブレイン(百合本安彦氏)、グロービス・キャピタル・パートナーズ(湯浅エムレ秀和氏)、個人投資家など。
2018年10月リリース予定の「3DCADデータ自動見積」のデモを展示。顧客との商談を意図。なお、キャディは「駆け引き」をする企業とは取引をしないポリシーをもって、製造業の顧客開拓に挑んでいる
フロントエンドエンジニアの募集。週2〜3日で、時給3000〜5000円。技術はHTML/CSSとwordpress。業務委託で募集(正社員の確保が難しいための措置と推定)
サービス提供開始から1年で、累計利用顧客2000社、提携加工会社70社を確保。12月時点の社員数12名。ただし板金加工は閉鎖的業界であり、創業時から2〜3年は取引先の開拓に苦労したという
For the first 2-3 years they didn’t trust us, and in fact, some small companies didn’t trust us purely because our company name is written in katakana. I think it was a case of them not trusting foreign companies. I mentioned to those companies about golf caddies, and told the owners how when playing golf they trust their caddies, so why not trust our company; CADDi? It was super difficult to get any trust because it is such a closed industry. Most of the manufacturing and materials are made in Japan, which is a good thing, but it creates a high barrier to entry.
CADDiは発注者に対する「納品」に責任を負うプラットフォームとして運営した。このため、不良品のリスクを自らが背負うビジネスであった。創業期は3LDKのマンションで部品の穴を手で削る手直しに直面するなど、品質維持が課題に
現場の全体像や調達側の課題は把握できている自負があったので、大手のお客様から受注をいただき、図面が読めなくても「できます!」と言って、町工場さんに製作してもらいました。しかし、納期の前日にできあがった部品をチェックしたところ、すべて品質不良だったんです。
創業から約1年で10億円の調達に成功したスタートアップとしてNewsPicksで特集記事が掲載。知名度を拡大し、これ以降もメディア露出を継続。顧客獲得や採用のための認知拡大を目論む
数百億円ではなく、10兆円・100兆円の事業を作る方針を明文化(この金額の定義は記載されていないが、流通総額と推察)
最近「キャディは出来上がった会社ですよね」と言われることがあります。嘘やん、と思うのですが…。なので、兆規模プラットフォームに向けた10課題を公開することにしました。責任者を全課題で募集してます!
グロービス・キャピタル・パートナーズ(湯浅エムレ秀和氏)とWiL(久保田雅也氏)をリード投資家として、80.3億円を第三者割当増資により調達。評価額は非開示。資金用途は人材採用、ソフトウェアの開発、新規事業の開発の3点。特にグローバル化に期待
CADDiのコア事業である受発注プラットフォームは、類をみない水準で圧倒的に成長し続けており、この度シリーズBコリードとして大きく追加出資させていただきました。今後も、巨大市場と向き合いながら急成長し続けるのみならず、コア事業の周辺領域まで積極的に取り組んでいき、日本が誇る次なるグローバル企業を目指して邁進していくことを期待しています。
三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行により融資枠を設定
80億円に加えて、メガ3行からもこのステージにしては異常な25億円の融資枠をいただいています。ありがとうございます。一番私が嬉しかったのは、ずっとキャディ担当でこの調達もリードした20台の若きバンカーが、部長代理に昇進したことです。最年少、素晴らしい。
初の海外進出。ベトナムにおけるエンジニアとサプライヤーの確保が狙い。1年で40〜50名の採用計画。責任者は武居大介氏(@daisuke_take1)と推定
ベトナムは海外進出初の拠点、「供給体制強化」のためと言えます。まずは日本向けの調達を想定しています(略)東南アジアでなぜベトナムなのか?一言で言うとバランスです。特に製造業とテクノロジーのバランスが良いと感じています
図面管理とデータ化のニーズに応えるためにSaaSとして開発。開発期間は約1年。リリースのスピードを優先し、技術的要件は最小に抑えた。ただし顧客企業の図面という「知財」を扱うため、セキュリティーに投資
Plethora(2013年創業・2021年倒産)が保有する特許を取得。内容は「Auto DFM = 自動加工可否判定」「Auto Quote = 自動見積り」「Auto CAM = 自動加工プロクラム作成」の3点。部品のコスト計算のノウハウの吸収が目的と推察される
Designers know what they are designing, however, they don’t know how difficult parts are to make or how costly they will be. That is why we give feedback to them in terms of cost and ability to manufacture. The patent we acquired will be helpful in strengthening this capability.