ソフトバンクグループ の歴史

更新:

創業

1981年

創業者

孫正義

創業地

福岡県福岡市

直近売上高(2026/3)

77,986億円

長期業績と転換点(1997/3〜2026/3)
売上高(億円純利益率(%)
Q なぜ1981年創業のソフトウェア卸売の段階で、自前の資金力を超える規模を外から動かす発想が根づいたのか
A パソコン用ソフトの卸売は薄利で、全国の流通網も専門雑誌も展示会も先に資金を投じなければ立ち上がらず、24歳の手元資金だけでは到底届かなかった。そこで孫正義氏は、自前の現金ではなく外部の信用と市場の資金を引き寄せる側に回った。1981年9月に福岡市で日本ソフトバンクを設立すると、シャープや日本電気と独占販売契約を結び、メーカーの商品力と小売の販路を仲立ちして全国卸売網を築いた。1994年7月の店頭登録で得た資金力も本業の拡大ではなく外への投資へ振り向け、規模を外から動かす手法を競争の型に変えた
Q なぜ2006年に約1兆7,500億円を投じてボーダフォン日本事業を買収し、携帯キャリアへ転身したのか
A 投資先の株価に業績が左右される会社のままでは、自前で稼ぐ収益基盤が薄い。そこで孫正義氏は、毎月の通信料が積み上がる携帯事業を抱えて安定したキャッシュフローを取りにいった。問題は買収総額が約1兆7,500億円と本体の規模を超える点であり、これを自己資金で賄えば財務が一気に傷む。そのため買収対象の日本法人の資産を担保とするノンリコースローンを軸にLBOを組み、ソフトバンク本体のバランスシートへの影響を抑えて2006年4月に携帯電話事業へ参入した。自己資金の枠を外して投資規模を広げる発想を、通信でも貫いた決断である。
Q なぜ2025年に、投資先の株式を持つ会社からAIの実体を自前で抱える会社へ転換したのか
A 人工超知能(ASI)の実現には膨大な計算資源と、それを動かす半導体・電力が要り、有望企業の株式を持つだけではこの土台を握れない。そこでソフトバンクグループは、計算基盤と半導体を自前で抱える側へ移った。2025年1月にオープンAI・オラクルと総額5,000億ドル・電力10ギガワット規模のAIインフラ計画「スターゲート」を立ち上げ、同年4月にはオープンAIへ最大400億ドル(うちSBG実効分は最大300億ドル)の出資を引き受けた。半導体でも米アンペアを約65億ドルで買収しグラフコアも取り込み、アーム・アンペア・グラフコアの3社で約8,400人の設計者を束ねてGPU・MPU領域へ能力を広げた

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1981年〜 ソフトウェア流通からインターネット投資への転身

ソフトバンクグループの業績推移

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 1981年 日本ソフトバンクの創業とパソコンソフト卸売事業の立ち上げ 特許売却で得た資金を元手に、孫正義氏はソフト流通の空白と財界の信用をどう結び合わせたか
  2. 1982年 月刊「Oh! PC」・月刊「Oh! MZ」を創刊
  3. 1983年 大森康彦氏が社長に就任
  4. 1986年 孫正義氏が社長に復帰
  5. 1996年 米ヤフーとの合弁によるヤフー株式会社の設立 社員数名のベンチャーへの2億円——孫正義氏はなぜ情報網で見つけた無名の検索会社に賭け、それをグループ最大級の含み資産に変えたのか
  6. 1997年 相次ぐ買収と「拡大路線」への懸念 売上を超える借金を抱えて買い続ける——市場が財務体力を疑うなか、孫正義氏はなぜ「買収はやり続ける」と言い切ったのか
  7. 2000年 ネットバブル崩壊下の資産圧縮と日債銀買収 時価総額20兆円のピークから一転——孫正義氏はなぜ株を売って負債を圧縮しながら、批判のなかで破綻銀行を買ったのか

ソフト流通の空白を埋めた創業と出版事業への参入

1981年9月、24歳の孫正義[1]は東京都千代田区四番町に日本ソフトバンクを設立[2]し、パーソナルコンピューター用パッケージソフトの流通業を始めた。創業の地は福岡市[3]である。当時はパソコンの普及でソフトの種類が増える一方、メーカーから小売店へ商品を届ける卸機能を担う事業者がほとんど存在せず、利用者は複数のマイコンショップを探し回らねば[4]目当てのソフトに辿り着けなかった。孫氏は書店で本を買うようにソフトを届ける中間流通[5]として事業を設計し、資本が小さく成長性が高いという条件で数業種に絞り、社員を雇って市場と技術を1年半調べたうえで[6]創業に踏み切った。翌1982年5月には月刊「Oh! PC」と月刊「Oh! MZ」を創刊[7]し、出版事業へ参入している。

  • ソフトバンク 略歴:孫正義(公式)
    • [1]創業者 孫正義・設立時24歳
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
    • [2]1981年9月 日本ソフトバンク設立(東京都千代田区四番町)・パッケージソフト流通業を開始
    • [7]1982年5月 月刊「Oh! PC」「Oh! MZ」創刊・出版事業に参入
  • ソフトバンク(ソフトバンクG)の歴史
    • [3]創業の地 福岡市
  • 近代中小企業(1983年6月)
    • [4]ソフト卸売機能の不在(利用者は複数のマイコンショップを探し回る状態)
    • [5]書店で本を買うようにソフトを届ける卸売としての事業設計
  • 日経ビジネス(1987年1月19日)
    • [6]資本が小さく成長性が高い等の条件で数業種を選び市場と技術を1年半調査

創業資金は、米国留学中に開発した自動翻訳機の特許で得た1億円[8]であった。ソフトは担保にならないため創業時の流通業へ融資する銀行はなく、シャープの佐々木正氏らの個人保証でようやく実行に至っている[9]。経営経験の不足を補うため、1983年には日本警備保障出身の大森康彦氏を社長に迎え、孫氏は会長へ退いた[10]。売上高は2期の23億円から3期45億円、4期75億円[11]と伸び、5期にあたる1985年12月期には115億円へ達している[12]。設立翌年に創刊した「Oh! PC」も成功し、出版が卸売と並ぶ事業の柱に育った[13]。孫氏は1986年に社長へ復帰[14]している。

  • 日経ビジネス(1987年1月19日)
    • [8]電訳機の特許で得た1億円を元手に創業
    • [10]1983年 日本警備保障出身の大森康彦を社長に迎え孫正義は会長へ
    • [13]設立翌年創刊の「Oh! PC」が成功し出版が卸売と並ぶ柱に
    • [14]1986年 孫正義が社長へ復帰
  • 日経ビジネス(1995年2月13日)
    • [9]ソフトは担保にならず融資が付かず、シャープの佐々木正らの個人保証で融資が実行された
  • 知識 2(3)(51)
    • [11]創業期売上高 2期23億円・3期45億円・4期75億円
    • [12]5期(1985年12月期)売上高115億円
  • ソフトバンク 略歴:孫正義(公式)
    • [1]創業者 孫正義・設立時24歳
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
    • [2]1981年9月 日本ソフトバンク設立(東京都千代田区四番町)・パッケージソフト流通業を開始
    • [7]1982年5月 月刊「Oh! PC」「Oh! MZ」創刊・出版事業に参入
  • ソフトバンク(ソフトバンクG)の歴史
    • [3]創業の地 福岡市
  • 近代中小企業(1983年6月)
    • [4]ソフト卸売機能の不在(利用者は複数のマイコンショップを探し回る状態)
    • [5]書店で本を買うようにソフトを届ける卸売としての事業設計
  • 日経ビジネス(1987年1月19日)
    • [6]資本が小さく成長性が高い等の条件で数業種を選び市場と技術を1年半調査
    • [8]電訳機の特許で得た1億円を元手に創業
    • [10]1983年 日本警備保障出身の大森康彦を社長に迎え孫正義は会長へ
    • [13]設立翌年創刊の「Oh! PC」が成功し出版が卸売と並ぶ柱に
    • [14]1986年 孫正義が社長へ復帰
  • 日経ビジネス(1995年2月13日)
    • [9]ソフトは担保にならず融資が付かず、シャープの佐々木正らの個人保証で融資が実行された
  • 知識 2(3)(51)
    • [11]創業期売上高 2期23億円・3期45億円・4期75億円
    • [12]5期(1985年12月期)売上高115億円

株式公開と買収による情報網の獲得

1990年7月に商号をソフトバンクへ改め[15]、1994年7月には株式を日本証券業協会へ登録[16]して株式公開に至った。公開で得た資金調達力を梃子に、同年12月から米国の展示会事業コムデックスと、シリコンバレーのIT出版社ジフ・デービスの買収[17]へ動いている。買収資金は社債でまかない、1995年2月の第1回無担保普通社債100億円[18]を皮切りに、1996年11月までに12本・合計2,200億円を発行した[19]。相次ぐ大型買収を借入で重ねた結果、有利子負債は売上高を超える規模へ膨らんでいる[20]。1998年1月には東京証券取引所市場第一部へ上場した[21]

  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
    • [15]1990年7月 商号を「ソフトバンク株式会社」へ変更
    • [16]1994年7月 株式を日本証券業協会に登録(株式公開)
    • [21]1998年1月 東京証券取引所市場第一部へ上場
  • 日経ビジネス(1996年8月26日)
    • [17]1994年12月 米コムデックス(展示会)とジフ・デービス(IT出版)の買収
    • [20]相次ぐ買収を社債による借入で重ねた結果、有利子負債が売上高を超える規模へ
  • ソフトバンクFactBook(1998)
    • [18]1995年2月27日 第1回無担保普通社債100億円(利率3.70%)
    • [19]1995年2月〜1996年11月に無担保普通社債12本・合計2,200億円を発行

1996年1月11日、ソフトバンクは米ヤフーとの合弁で資本金2億円のヤフー株式会社を設立[22]した。出資比率はソフトバンクが60%にあたる1億2,000万円[23]、Yahoo Corporationが40%にあたる8,000万円で、代表取締役社長には孫正義氏自身が就いている[24]。事業内容は日本国内における日本語対応の情報検索サービスの提供とミラー・サイトの運営[25]で、ブランドと技術を米ヤフーから借り、資本と経営をソフトバンクが握る変則的な合弁であった。同年4月には米ヤフー本体へ約100億円を追加出資し、創業者を上回る筆頭株主となった。当時の米ヤフーは社員5〜6名、月商数千万円のベンチャーにすぎない。

  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
    • [22]1996年1月 ヤフー株式会社(現LINEヤフー)設立
  • ソフトバンク「米国ヤフー社との合弁会社設立に関する件」(1996年1月11日)
    • [23]出資比率 ソフトバンク60%(1.2億円)・Yahoo Corporation 40%(0.8億円)
    • [24]ヤフー株式会社の代表取締役社長に孫正義が就任
    • [25]事業内容は日本語対応の情報検索サービス提供とミラー・サイト運営

連続買収に対しては財務体力の消耗を懸念する声が市場から上がり、1996年8月には相次ぐ買収に体力がもつのかという疑問[26]が投げかけられた。孫正義氏は「心配ない」と応じ、買収は「高い買物ではない」、「浮利は追っていない」と反論している[27]。1997年秋には買収した企業の業績悪化が表面化し、孫流の拡大路線に暗雲が差した[28]。孫氏個人の会社を用いた買収スキームにも批判が集まったが、孫氏は「影の部分にも自分の責任はある」と述べつつ、買収は続けると明言した[29]。同年11月の時点でも財務の工夫で当面を乗り切った状態で、買収先の業績悪化により予断を許さなかった[30]

  • 日経ビジネス(1996年8月26日)
    • [26]1996年8月 相次ぐ買収への財務不安が指摘された
    • [27]孫正義の反論「心配ない」「高い買物ではない」「浮利は追っていない」
  • 日経ビジネス(1997年10月13日)
    • [28]1997年秋 買収企業の業績悪化で拡大路線に暗雲
    • [29]孫個人の会社を用いた買収スキームへの批判と「影の部分にも自分の責任はある」・買収継続の明言
  • 日経ビジネス(1997年11月17日)
    • [30]1997年11月 財務の工夫で当面を乗り切るも買収企業の業績悪化で予断を許さず
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
    • [15]1990年7月 商号を「ソフトバンク株式会社」へ変更
    • [16]1994年7月 株式を日本証券業協会に登録(株式公開)
    • [21]1998年1月 東京証券取引所市場第一部へ上場
    • [22]1996年1月 ヤフー株式会社(現LINEヤフー)設立
  • 日経ビジネス(1996年8月26日)
    • [17]1994年12月 米コムデックス(展示会)とジフ・デービス(IT出版)の買収
    • [20]相次ぐ買収を社債による借入で重ねた結果、有利子負債が売上高を超える規模へ
    • [26]1996年8月 相次ぐ買収への財務不安が指摘された
    • [27]孫正義の反論「心配ない」「高い買物ではない」「浮利は追っていない」
  • ソフトバンクFactBook(1998)
    • [18]1995年2月27日 第1回無担保普通社債100億円(利率3.70%)
    • [19]1995年2月〜1996年11月に無担保普通社債12本・合計2,200億円を発行
  • ソフトバンク「米国ヤフー社との合弁会社設立に関する件」(1996年1月11日)
    • [23]出資比率 ソフトバンク60%(1.2億円)・Yahoo Corporation 40%(0.8億円)
    • [24]ヤフー株式会社の代表取締役社長に孫正義が就任
    • [25]事業内容は日本語対応の情報検索サービス提供とミラー・サイト運営
  • 日経ビジネス(1997年10月13日)
    • [28]1997年秋 買収企業の業績悪化で拡大路線に暗雲
    • [29]孫個人の会社を用いた買収スキームへの批判と「影の部分にも自分の責任はある」・買収継続の明言
  • 日経ビジネス(1997年11月17日)
    • [30]1997年11月 財務の工夫で当面を乗り切るも買収企業の業績悪化で予断を許さず

インターネットバブルの膨張と、崩壊下の資産圧縮

1999年10月、ソフトバンクは純粋持株会社へ移行し[31]、事業会社の株式を保有して統括する形へ組織を改めた。2000年2月にはAlibaba.com Corporationへ出資して関連会社とし[32]、のちにグループ最大級の含み資産となる持分を得ている。インターネットバブルのピークでは、米ヤフー株価の高騰によりソフトバンクの時価総額は一時20兆円へ達した。株式の評価額の大半はヤフー関連の含み益に支えられ[33]、事業から生まれる利益との落差が大きかった。1994年の株式公開から6年足らずで、ソフトウェアの卸売業者は世界有数の時価総額を持つ投資会社へ姿を変えている[34]

  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
    • [31]1999年10月 純粋持株会社へ移行
    • [32]2000年2月 Alibaba.com Corporation(現アリババ)に出資し関連会社化
    • [34]ソフトウェア卸売から出発した企業が世界有数の時価総額を持つ投資会社へ変貌
  • 日経ビジネス(2000年3月6日)
    • [33]時価総額の大半が米ヤフー関連の含み益に支えられていた

2000年春からの株価下落で、投資先の多くが経営危機に陥った[35]。ソフトバンクは値上がりした投資先株式を選別して売却し、その利益で有利子負債を圧縮しながら1990年代に買い集めた資産を整理している[36]。並行して、破綻・国有化され公的資金で処理されていた日本債券信用銀行の買収に踏み切った[37]。投資会社を中心とするグループが銀行を保有する形には、系列企業へ融資を集中させる機関銀行化への懸念が当初から指摘されている[38]。2000年9月には日債銀の本間社長が自殺し、買収後のソフトバンクへ逆風が吹いた[39]

  • 日経ビジネス(2000年3月6日)
    • [35]2000年春からのネットバブル崩壊で投資先の多くが経営危機に陥った
    • [37]2000年 破綻・国有化された日本債券信用銀行を買収
    • [38]投資会社中心のグループによる銀行保有に「機関銀行化」の懸念が当初から指摘された
  • 日経ビジネス(2000年10月2日)
    • [36]投資先株式を選別売却し有利子負債の圧縮と1990年代の買収資産の整理を並行
    • [39]2000年 日債銀の本間社長が自殺し買収後のソフトバンクに逆風
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
    • [31]1999年10月 純粋持株会社へ移行
    • [32]2000年2月 Alibaba.com Corporation(現アリババ)に出資し関連会社化
    • [34]ソフトウェア卸売から出発した企業が世界有数の時価総額を持つ投資会社へ変貌
  • 日経ビジネス(2000年3月6日)
    • [33]時価総額の大半が米ヤフー関連の含み益に支えられていた
    • [35]2000年春からのネットバブル崩壊で投資先の多くが経営危機に陥った
    • [37]2000年 破綻・国有化された日本債券信用銀行を買収
    • [38]投資会社中心のグループによる銀行保有に「機関銀行化」の懸念が当初から指摘された
  • 日経ビジネス(2000年10月2日)
    • [36]投資先株式を選別売却し有利子負債の圧縮と1990年代の買収資産の整理を並行
    • [39]2000年 日債銀の本間社長が自殺し買収後のソフトバンクに逆風

2001年〜 ADSLと携帯キャリア買収による通信事業体への変貌

ソフトバンクグループの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2001年 ADSL参入とYahoo!BBの危機 売上の2倍を超す赤字を抱えて——孫正義氏はなぜ「つまずけば解体」と言われながらブロードバンドへの先行投資を続けたのか
  2. 2004年 日本テレコムの買収と固定・携帯通信への布石 NTT一強の固定通信市場へ約3,400億円で参入——孫正義氏はなぜADSLの次に「法人と携帯」の足場を日本テレコムに求めたのか
  3. 2005年 福岡ダイエーホークスの買収と球団保有 「誰も本気にしない」と言われた買収宣言——孫正義氏はなぜ利益の出ない球団に、Yahoo!BBのブランドづくりを託したのか
  4. 2006年 ボーダフォンの日本法人を子会社化
  5. 2010年 「ソフトバンク新30年ビジョン」を発表
  6. 2013年 米スプリント買収による北米携帯市場への進出 国内3位のキャリアが、巨大な米国市場に約1.8兆円を賭けられるか
  7. 2016年 英ARM買収——IoT・AI時代を見据えた過去最大3.3兆円のM&A 通信・投資会社がなぜ半導体設計の要に3.3兆円を投じたのか

ブロードバンドへの先行投資と固定通信への進出

2001年9月、ソフトバンク傘下のビー・ビー・テクノロジーがヤフーのブランドを用いて「Yahoo! BB」の商用サービスを始め[40]、ブロードバンド事業へ参入した。当時のインターネット接続はISDNが主流で、通信速度が遅く利用料金も高かった[41]。ADSLは既存の電話回線をそのまま使って高速・低価格を実現する技術として台頭[42]している。ソフトバンクは街頭でのモデム無料配布、いわゆるパラソル部隊やテレビCMの集中放映、加入者への金券配布[43]で利用者を一気に囲い込んだ。赤字の拡大を承知のうえで、加入者が一定数を超えれば損益分岐点を突破するという先行投資[44]に出ている。

  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
    • [40]2001年9月 ビー・ビー・テクノロジーが「Yahoo! BB」の商用サービスを開始
    • [41]当時の接続はISDNが主流で速度が遅く料金も高かった
    • [42]ADSLは既存の電話回線で高速・低価格を実現する技術として台頭
    • [43]街頭でのモデム無料配布(パラソル部隊)・テレビCM集中放映・加入者への金券配布
    • [44]赤字拡大を承知で加入者が一定数を超えれば損益分岐点を突破するという先行投資

参入初年度の2002年3月期は、ブロードバンド・インフラ事業の売上高73億円に対し営業損失179億円[45]を計上した。翌2003年3月期は売上高399億円に対し営業損失962億円へ赤字が膨らみ、資本的支出も769億円[46]に達している。孫正義氏は当時、「月次ベースで言えば、2002年度のどこかで黒字転換しはじめる。プロモーション費用をどれだけかけるかによりますが、百数十万ユーザーを獲得すれば、損益分岐点を突破できるはずです」と述べていた。実際の黒字転換は5年目の2006年3月期で、売上高2,672億円・営業利益206億円[48]を計上している。 [47]

  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(ブロードバンド・インフラ事業)
    • [45]FY2001 ブロードバンド・インフラ事業 売上高73億円・営業損失179億円
    • [46]FY2002 売上高399億円・営業損失962億円・資本的支出769億円
    • [48]FY2005(2006年3月期)に黒字転換 売上高2,672億円・営業利益206億円
  • 日経ビジネス(2002年2月11日)
    • [47]孫正義は百数十万ユーザーで損益分岐点を突破できると見込み2002年度の黒字転換を展望

2004年7月、ソフトバンクは固定通信事業者の日本テレコムを子会社化した[49]。日本テレコムは2001年に英ボーダフォンが筆頭株主となった[50]のち携帯部門を切り離され、NTTが優位を保つ固定通信市場で苦戦していた[51]。買収で法人向けの顧客基盤と光ファイバー網を取り込み、直後には割安な固定電話を打ち出してNTTと通話料で正面から競っている[52]。2005年1月には福岡ダイエーホークスを子会社化した[53]。産業再生機構のもとで再建を進めるダイエーは、人気の高さに比して利益の出ない球団の売却を迫られていた[54]。当初は本命視されなかった[55]が、孫正義氏は少年時代を福岡で過ごした縁を掲げ[56]、球団の興行権を丸ごと買い取る形で交渉をまとめている[57]

  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
    • [49]2004年7月 日本テレコムを子会社化(固定通信・光ファイバー事業へ参入)
    • [53]2005年1月 福岡ダイエーホークスを子会社化
  • 日経ビジネス(2001年3月5日)
    • [50]2001年 英ボーダフォンが日本テレコムの筆頭株主となった
  • 日経ビジネス(2004年3月29日)
    • [51]携帯部門を切り離された日本テレコムはNTT優位の固定通信市場で苦戦していた
  • 日経ビジネス(2004年9月6日)
    • [52]買収直後に割安固定電話を打ち出しNTTと通話料で対決
    • [54]高人気ながら利益が出ずダイエー再建に伴い球団売却を迫られていた
  • 日経ビジネス(2004年11月1日)
    • [55]ソフトバンクの買収表明は当初本命視されず(本命はサントリー・NTTドコモとされた)
    • [56]孫正義は少年時代を福岡で過ごし野球に親しんだ縁を語った
  • 日経ビジネス(2004年11月29日)
    • [57]球団の興行権を丸ごと買い取る形で交渉
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
    • [40]2001年9月 ビー・ビー・テクノロジーが「Yahoo! BB」の商用サービスを開始
    • [41]当時の接続はISDNが主流で速度が遅く料金も高かった
    • [42]ADSLは既存の電話回線で高速・低価格を実現する技術として台頭
    • [43]街頭でのモデム無料配布(パラソル部隊)・テレビCM集中放映・加入者への金券配布
    • [44]赤字拡大を承知で加入者が一定数を超えれば損益分岐点を突破するという先行投資
    • [49]2004年7月 日本テレコムを子会社化(固定通信・光ファイバー事業へ参入)
    • [53]2005年1月 福岡ダイエーホークスを子会社化
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(ブロードバンド・インフラ事業)
    • [45]FY2001 ブロードバンド・インフラ事業 売上高73億円・営業損失179億円
    • [46]FY2002 売上高399億円・営業損失962億円・資本的支出769億円
    • [48]FY2005(2006年3月期)に黒字転換 売上高2,672億円・営業利益206億円
  • 日経ビジネス(2002年2月11日)
    • [47]孫正義は百数十万ユーザーで損益分岐点を突破できると見込み2002年度の黒字転換を展望
  • 日経ビジネス(2001年3月5日)
    • [50]2001年 英ボーダフォンが日本テレコムの筆頭株主となった
  • 日経ビジネス(2004年3月29日)
    • [51]携帯部門を切り離された日本テレコムはNTT優位の固定通信市場で苦戦していた
  • 日経ビジネス(2004年9月6日)
    • [52]買収直後に割安固定電話を打ち出しNTTと通話料で対決
    • [54]高人気ながら利益が出ずダイエー再建に伴い球団売却を迫られていた
  • 日経ビジネス(2004年11月1日)
    • [55]ソフトバンクの買収表明は当初本命視されず(本命はサントリー・NTTドコモとされた)
    • [56]孫正義は少年時代を福岡で過ごし野球に親しんだ縁を語った
  • 日経ビジネス(2004年11月29日)
    • [57]球団の興行権を丸ごと買い取る形で交渉

携帯キャリアへの参入と、北米市場への拡大

2006年4月、ソフトバンクは英ボーダフォンの日本法人を子会社化し、携帯電話事業へ新規参入した[58]。買収総額は約1兆7,500億円[59]で、資金の大半はLBO(レバレッジド・バイアウト)で調達している。買収対象である日本法人の資産を担保とするノンリコースローン[60]を組成することで、ソフトバンク本体の貸借対照表への影響を抑えながら多額の投資を実行する手法であった。孫正義氏は携帯電話市場への参入意思を繰り返し公言しており、時間や方法を問わず必ず参入すると宣言していた[61]。日本テレコムの買収で得た通信事業の運営経験が、この参入の足場となっている[62]

  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
    • [58]2006年4月 ボーダフォン(日本法人)を子会社化し携帯電話事業へ参入
  • 日経クロステック(2006年3月17日)
    • [59]買収総額 約1兆7,500億円・資金の大半をLBOで調達
    • [60]買収対象の資産を担保とするノンリコースローンで本体B/Sへの影響を限定
  • 日経ビジネス(2004年7月26日)
    • [61]孫正義は時間や方法を問わず必ず携帯電話事業へ参入すると公言していた
    • [62]日本テレコム買収で得た通信事業の運営経験が携帯参入の足場となった

2011年末からは携帯基地局の整備と増強に2,500億円を投じ、競合他社との通信品質の差を詰めた。2012年3月期の営業利益はボーダフォン買収時のおよそ10倍にあたる6,752億円[63]へ達し、純有利子負債は2006年6月末の約2.5兆円から2012年6月末には8,000億円まで縮んでいる[64]。買収時に組んだ多額の借入を携帯事業の生む現金で返す道筋がつき、次の大型買収へ向かう財務の余力が生まれた[65]。2015年4月にはソフトバンクモバイル・ソフトバンクBB・ソフトバンクテレコム・ワイモバイルの4社が合併し[66]、同年7月に持株会社の商号をソフトバンクグループへ改めている[67]

  • 週刊東洋経済 2012年10月27日号「核心リポート ソフトバンク 孫正義 世界一への野望」
    • [63]2012年3月期の営業利益6,752億円(ボーダフォン買収時の約10倍)
    • [64]純有利子負債 2006年6月末 約2.5兆円 → 2012年6月末 8,000億円
    • [65]借入の返済が進み次の大型買収に向かう財務の余力が生まれた
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
    • [66]2015年4月 ソフトバンクモバイル・ソフトバンクBB・ソフトバンクテレコム・ワイモバイルの4社が合併
    • [67]2015年7月 商号を「ソフトバンクグループ株式会社」へ変更

次の成長を海外に求めたソフトバンクは、当初アジアを軸に検討したが、中国は携帯大手が国有企業で買収できず、インドは1契約あたりの月額収入が2ドル前後と低いため候補から外れ[68]、収入水準が日本に近い米国を選んだ。2012年10月15日、スプリント株の70%を201億ドルで取得する内容で買収を発表[69]している。2013年4月に米ディッシュ・ネットワークが対抗提案を出したため買収総額を216億ドルへ引き上げ、6月25日の臨時株主総会で承認を得た[70]。同年7月11日、総額約216億ドルでスプリント株の約78%を取得して子会社化を完了[71]し、契約数約9,700万件・売上高で世界3位の携帯電話会社となっている[72]

  • 週刊東洋経済 2012年11月24日号「ソフトバンクの世界作戦 Question1 スプリント買収はどう決まった?」
    • [68]中国は携帯大手が国有企業で買収できずインドは1契約月額2ドル前後と低く米国を選択
  • 週刊東洋経済 2012年10月27日号「核心リポート ソフトバンク 孫正義 世界一への野望」
    • [69]2012年10月15日 スプリント株70%を201億ドルで取得する内容で買収を発表
  • 週刊東洋経済 2013年7月6日号「買収額上積みで勝利 ソフトバンクの執念」
    • [70]2013年4月のディッシュ対抗提案を受け買収総額を216億ドルへ引き上げ6月25日の臨時株主総会で承認
    • [72]スプリント子会社化で契約数約9,700万件・売上高で世界3位の携帯電話会社に
  • ソフトバンク「スプリント買収(子会社化)の完了に関するお知らせ」(2013年7月11日)
    • [71]2013年7月11日 総額約216億ドルでスプリント株約78%を取得し子会社化を完了
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
    • [58]2006年4月 ボーダフォン(日本法人)を子会社化し携帯電話事業へ参入
    • [66]2015年4月 ソフトバンクモバイル・ソフトバンクBB・ソフトバンクテレコム・ワイモバイルの4社が合併
    • [67]2015年7月 商号を「ソフトバンクグループ株式会社」へ変更
  • 日経クロステック(2006年3月17日)
    • [59]買収総額 約1兆7,500億円・資金の大半をLBOで調達
    • [60]買収対象の資産を担保とするノンリコースローンで本体B/Sへの影響を限定
  • 日経ビジネス(2004年7月26日)
    • [61]孫正義は時間や方法を問わず必ず携帯電話事業へ参入すると公言していた
    • [62]日本テレコム買収で得た通信事業の運営経験が携帯参入の足場となった
  • 週刊東洋経済 2012年10月27日号「核心リポート ソフトバンク 孫正義 世界一への野望」
    • [63]2012年3月期の営業利益6,752億円(ボーダフォン買収時の約10倍)
    • [64]純有利子負債 2006年6月末 約2.5兆円 → 2012年6月末 8,000億円
    • [65]借入の返済が進み次の大型買収に向かう財務の余力が生まれた
    • [69]2012年10月15日 スプリント株70%を201億ドルで取得する内容で買収を発表
  • 週刊東洋経済 2012年11月24日号「ソフトバンクの世界作戦 Question1 スプリント買収はどう決まった?」
    • [68]中国は携帯大手が国有企業で買収できずインドは1契約月額2ドル前後と低く米国を選択
  • 週刊東洋経済 2013年7月6日号「買収額上積みで勝利 ソフトバンクの執念」
    • [70]2013年4月のディッシュ対抗提案を受け買収総額を216億ドルへ引き上げ6月25日の臨時株主総会で承認
    • [72]スプリント子会社化で契約数約9,700万件・売上高で世界3位の携帯電話会社に
  • ソフトバンク「スプリント買収(子会社化)の完了に関するお知らせ」(2013年7月11日)
    • [71]2013年7月11日 総額約216億ドルでスプリント株約78%を取得し子会社化を完了

半導体設計への進出とアーム買収という転換

2016年9月、ソフトバンクグループは英国の半導体設計会社アームを子会社化した[73]。買付価格は1株1,700ペンスで、2016年7月15日の終値に43%のプレミアム[74]を乗せた水準である。買収総額は約240億ポンド、日本円で約3.3兆円[75]に上り、JTによる英ガラハー買収を抜いて日本企業として過去最大となった[76]。アームは半導体を製造せず設計図を各社にライセンスするファブレス企業で、世界で売られるスマートフォンの95%にその設計をもとにした半導体が搭載されていた[77]。2015年12月期の営業利益率は51.6%で、首位インテルの25%を上回っている[78]。資金は同年6月のアリババ株・ガンホー株の売却などで得た1兆円弱[79]で手当てした。

  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
    • [73]2016年9月 英国の半導体設計会社アームを子会社化
  • ソフトバンクグループ プレスリリース(2016年7月18日)「SoftBank to acquire ARM Holdings plc」
    • [74]買付価格1株1,700ペンス・2016年7月15日終値に43%のプレミアム
    • [75]買収総額 約240億ポンド(約3.3兆円)
  • 週刊東洋経済 2016年7月30日号「半導体設計会社に変身 孫正義、3兆円の賭け」
    • [76]買収総額3.3兆円はJTの英ガラハー買収を抜き日本企業として過去最大
  • 週刊東洋経済 2016年9月17日号「IoT時代に君臨する 陰の支配者ARM」
    • [77]アームはファブレスで世界のスマートフォンの95%にその設計の半導体が搭載
    • [78]アームの2015年12月期の営業利益率51.6%(首位インテルは25%)
  • 週刊東洋経済 2016年6月25日号「ついにアリババ株売却 孫正義社長の腹の内」
    • [79]2016年6月のアリババ株・ガンホー株売却等で合計1兆円弱の現金を確保

孫正義氏は買収の狙いを、あらゆる機器に半導体が組み込まれる時代の設計を握ることに置き、20年以内にアームが年間およそ1兆個のチップを出荷し、地球上のデータを吸い寄せる[80]と語っている。「ソフトバンクはモバイルの会社だと思われているが、ここ10年のことにすぎない」[81]とも述べ、本業を入れ替えて次の転換を牽引したいという考えを示した。買収額3.3兆円については「たかが3兆円」と評価している[82]。もっともアーム事業の損益は買収後しばらく安定せず、2020年3月期は売上高2,062億円に対し営業損失428億円[83]を計上した。

  • 週刊東洋経済 2016年9月17日号「熱烈ラブコール 孫社長がARMにほれた理由」
    • [80]孫正義は20年以内にアームが年間約1兆個のチップを出荷し地球上のデータを吸い寄せると述べた
  • 週刊東洋経済 2016年7月30日号「半導体設計会社に変身 孫正義、3兆円の賭け」
    • [81]孫正義「ソフトバンクはモバイルの会社だと思われているが、ここ10年のことにすぎない」
  • PRESIDENT Online(2023年9月25日)「7年前に「たかが3兆円」と自信満々だった…英アームの「9兆円上場」を見抜いたソフトバンク孫正義の神通力」
    • [82]孫正義は買収額3.3兆円を「たかが3兆円」と述べた
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(アーム事業)
    • [83]アーム事業 2020年3月期 売上高2,062億円・営業損失428億円
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
    • [73]2016年9月 英国の半導体設計会社アームを子会社化
  • ソフトバンクグループ プレスリリース(2016年7月18日)「SoftBank to acquire ARM Holdings plc」
    • [74]買付価格1株1,700ペンス・2016年7月15日終値に43%のプレミアム
    • [75]買収総額 約240億ポンド(約3.3兆円)
  • 週刊東洋経済 2016年7月30日号「半導体設計会社に変身 孫正義、3兆円の賭け」
    • [76]買収総額3.3兆円はJTの英ガラハー買収を抜き日本企業として過去最大
    • [81]孫正義「ソフトバンクはモバイルの会社だと思われているが、ここ10年のことにすぎない」
  • 週刊東洋経済 2016年9月17日号「IoT時代に君臨する 陰の支配者ARM」
    • [77]アームはファブレスで世界のスマートフォンの95%にその設計の半導体が搭載
    • [78]アームの2015年12月期の営業利益率51.6%(首位インテルは25%)
  • 週刊東洋経済 2016年6月25日号「ついにアリババ株売却 孫正義社長の腹の内」
    • [79]2016年6月のアリババ株・ガンホー株売却等で合計1兆円弱の現金を確保
  • 週刊東洋経済 2016年9月17日号「熱烈ラブコール 孫社長がARMにほれた理由」
    • [80]孫正義は20年以内にアームが年間約1兆個のチップを出荷し地球上のデータを吸い寄せると述べた
  • PRESIDENT Online(2023年9月25日)「7年前に「たかが3兆円」と自信満々だった…英アームの「9兆円上場」を見抜いたソフトバンク孫正義の神通力」
    • [82]孫正義は買収額3.3兆円を「たかが3兆円」と述べた
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(アーム事業)
    • [83]アーム事業 2020年3月期 売上高2,062億円・営業損失428億円

2017年〜 ビジョン・ファンドと投資持株会社への本格的転換

ソフトバンクグループの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2017年 ソフトバンク・ビジョン・ファンドの組成 自己資金の3倍の外部資金をてこに——孫正義氏はなぜ事業会社から世界最大級の投資家へと自らを作り替えたのか
  2. 2018年 ソフトバンクが東京証券取引所市場第一部に上場
  3. 2019年 ソフトバンク・ビジョン・ファンド2が活動を開始
  4. 2020年 エリオットの株主還元要求と、4.5兆円資産売却・2.5兆円自社株買い 保有株の価値と時価のかい離を、孫正義氏はアクティビストの催促のなかでどう埋めようとしたか
  5. 2020年 米エヌビディアへのアーム売却——最大400億ドルの契約と、規制が壊した世紀のディール 財務防衛のために虎の子を手放すか、AI時代の中核として抱え続けるか——孫正義氏が選んだ売却は、なぜ2022年2月に破談へと至ったのか
  6. 2025年 OpenAIへの巨額出資とAIインフラ「スターゲート」 情報革命の本命を人工知能に賭ける——孫正義氏はなぜOpenAIへ累計646億ドルを投じ、米国のAIインフラに5000億ドルを構想したのか
  7. 2025年 米半導体設計Ampere Computingの65億ドル買収 設計図の提供者から、チップの作り手へ——孫正義氏はなぜサーバーCPUの新興企業に約1兆円を投じたのか

10兆円ファンドの組成と、業績が株価に連動する構造

2017年5月、主にテクノロジー企業へ投資するソフトバンク・ビジョン・ファンド1が活動を開始した[84]。同月20日の初回クロージングでは930億ドル超、日本円で約10兆4,000億円[85]を集めている。運用総額は最終的に986億ドルとなり、内訳はソフトバンクグループが331億ドル、サウジアラビアの公共投資基金(PIF)を中心とする外部投資家が655億ドル[86]で、外部資金が約3分の2を占めた。ソフトバンクグループは出資分のうち約82億ドルをアーム株の現物で拠出[87]している。従来のベンチャーキャピタルが数千億円規模を運用するなか、ウーバーやバイトダンス、ウィーワークなどへ1社あたり数十億ドルを投じる[88]桁の異なるファンドであった。

  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
    • [84]2017年5月 ソフトバンク・ビジョン・ファンド1が活動を開始
  • ソフトバンクグループ「ソフトバンク・ビジョン・ファンド、初回クロージングを完了」(2017年5月20日)
    • [85]2017年5月20日 初回クロージングで930億ドル超(約10兆4千億円)を集めた
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(主なファンドの概要)
    • [86]SVF1 運用総額986億ドル・SBG 331億ドル・外部投資家655億ドル(PIF中心)
    • [88]SVF1の主な投資先はUber・ByteDance・WeWork等で1社あたり数十億ドルを出資
  • 週刊東洋経済 2017年6月3日号「投資会社ソフトバンク 10兆円ファンドの勝算」
    • [87]SBGは出資分のうち約82億ドルをアーム株の現物で拠出

2019年10月にはソフトバンク・ビジョン・ファンド2が活動を開始した[89]。ただしSVF2には外部資金が集まらず、運用総額598億ドルのうちソフトバンクグループの出資が572億ドル、外部投資家は26億ドル[90]にとどまっている。SVF1でおよそ3分の1だったソフトバンクグループの出資比率は、SVF2では96%へ上がった[91]。外部の資金を預かって運用する形から自己資金で投資する形へ戻り、投資先の価値変動がほぼそのままグループの損益へ反映される構造となる[92]。SVF1の累計投資額は2024年3月期時点で1,020億ドル・累計損益は167億ドルの利益、SVF2は524億ドルの投資に対し193億ドルの損失[93]であった。

  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
    • [89]2019年10月 ソフトバンク・ビジョン・ファンド2が活動を開始
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(主なファンドの概要)
    • [90]SVF2 運用総額598億ドル・SBG 572億ドル・外部投資家26億ドル
    • [91]SBGの出資比率はSVF1の約33%からSVF2の約96%へ上昇
    • [92]外部資金を預かる運用から自己資金投資へ戻り投資先の価値変動がグループ損益へ直結
    • [93]FY2023時点 SVF1 累計投資額1,020億ドル・累計損益167億ドル/SVF2 累計投資額524億ドル・累計損益▲193億ドル

ファンド事業の比重が高まるにつれ連結の純損益は投資先の株価に連れて振れ、2021年3月期は親会社の所有者に帰属する純利益4兆9,880億円[94]を計上した一方、2022年3月期は1兆7,080億円の純損失、2023年3月期は9,701億円の純損失[95]へ転じている。共有オフィスを展開するウィーワークの経営危機とIPO中止による損失計上は、この構造を象徴した。2024年3月期も2,276億円の純損失を計上したのち、2025年3月期は1兆1,533億円の純利益へ戻り[96]、四半期ごとに数千億円単位で損益が動いている。

  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(連結・IFRS)
    • [94]FY2020(2021年3月期)親会社所有者帰属純利益 4兆9,880億円
    • [95]FY2021(2022年3月期)純損失 1兆7,080億円/FY2022(2023年3月期)純損失 9,701億円
    • [96]FY2023(2024年3月期)純損失 2,276億円/FY2024(2025年3月期)純利益 1兆1,533億円
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
    • [84]2017年5月 ソフトバンク・ビジョン・ファンド1が活動を開始
    • [89]2019年10月 ソフトバンク・ビジョン・ファンド2が活動を開始
  • ソフトバンクグループ「ソフトバンク・ビジョン・ファンド、初回クロージングを完了」(2017年5月20日)
    • [85]2017年5月20日 初回クロージングで930億ドル超(約10兆4千億円)を集めた
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(主なファンドの概要)
    • [86]SVF1 運用総額986億ドル・SBG 331億ドル・外部投資家655億ドル(PIF中心)
    • [88]SVF1の主な投資先はUber・ByteDance・WeWork等で1社あたり数十億ドルを出資
    • [90]SVF2 運用総額598億ドル・SBG 572億ドル・外部投資家26億ドル
    • [91]SBGの出資比率はSVF1の約33%からSVF2の約96%へ上昇
    • [92]外部資金を預かる運用から自己資金投資へ戻り投資先の価値変動がグループ損益へ直結
    • [93]FY2023時点 SVF1 累計投資額1,020億ドル・累計損益167億ドル/SVF2 累計投資額524億ドル・累計損益▲193億ドル
  • 週刊東洋経済 2017年6月3日号「投資会社ソフトバンク 10兆円ファンドの勝算」
    • [87]SBGは出資分のうち約82億ドルをアーム株の現物で拠出
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(連結・IFRS)
    • [94]FY2020(2021年3月期)親会社所有者帰属純利益 4兆9,880億円
    • [95]FY2021(2022年3月期)純損失 1兆7,080億円/FY2022(2023年3月期)純損失 9,701億円
    • [96]FY2023(2024年3月期)純損失 2,276億円/FY2024(2025年3月期)純利益 1兆1,533億円

コロナ禍の資産圧縮と、2兆5,000億円の自社株買い

2020年2月、米エリオット・マネジメントがソフトバンクグループ株を取得し、最大200億ドル、日本円で約2兆2,000億円の自社株買いと社外取締役の増員を求めている[97]ことが明らかになった。当時の同社は保有するアリババ株などの価値に対して株式の時価が下回る状態にあり、2020年5月18日時点の株価4,621円に対し、保有株式の価値から算出した1株あたりの株主価値は約1万300円[98]と試算されている。エリオットはこの年に保有を約30億ドル相当まで積み増し、のちに自社株買いが進むと持分をほぼ全て手放した[99]

  • 日本経済新聞(2020年2月7日)「ソフトバンクGに2.2兆円自社株買い要求 エリオット」
    • [97]2020年2月 エリオットがSBG株を取得し最大200億ドル(約2.2兆円)の自社株買いと社外取締役増員を要求
  • 日本経済新聞(2020年6月4日)「赤字のソフトバンクG、なぜ2.5兆円の自社株買い?」
    • [98]2020年5月18日時点 株価4,621円に対し保有株式ベースの1株あたり株主価値は約1万300円
  • 日本経済新聞(2024年6月5日)「米エリオット、ソフトバンクG株を取得 自社株買い要求」
    • [99]エリオットは2020年に保有を約30億ドル相当まで積み増し、その後ほぼ全て手放した

2020年3月19日、ソフトバンクグループの株価は1日で17%強下落し、1カ月でほぼ半値となった[100]。同月23日、同社は最大4兆5,000億円(410億ドル)の保有資産を売却・資金化し、最大2兆円の自社株買いと有利子負債の圧縮に充てる[101]と発表している。3月13日に公表した5,000億円分と合わせ、自社株買いは計2兆5,000億円規模となり、発行済み株式の45%を取得・消却する規模[102]に相当した。資産売却は4四半期で実施する計画[103]である。発表後の株価は制限値幅の上限まで買われ、前週末比500円高の3,187円まで上昇した[104]。2020年12月時点では2兆5,000億円のうち1兆5,000億円を実施済み[105]としている。

  • 週刊東洋経済 2020年4月4日号「【総力特集 コロナ危機】ソフトバンクグループ 株価急落で破格の資産売却」
    • [100]2020年3月19日 株価が1日で17%強下落し1カ月でほぼ半値に
  • ソフトバンクグループ プレスリリース(2020年3月23日)「SoftBank Announces JPY 4.5 trillion (USD 41 billion) Program to Repurchase Shares and Reduce Debt」
    • [101]2020年3月23日 最大4.5兆円(410億ドル)の資産売却・資金化と最大2兆円の自社株買い・負債圧縮を発表
    • [102]2つの自社株買いは合計2.5兆円規模で発行済み株式の45%を取得・消却する規模
    • [103]資産売却は今後4四半期で実施する計画
  • Bloomberg(2020年4月26日)「ソフトバンクG株に晴れ間、2.5兆円の自社株買い支えー恐怖感薄れる」
    • [104]2020年3月23日の発表後、株価はストップ高となり前週末比500円高の3,187円まで上昇
  • 日本経済新聞(2020年12月11日)「ソフトバンクG、自社株買い1.5兆円」
    • [105]2020年12月時点で2.5兆円のうち1.5兆円の自社株買いを実施済み

2020年3月期は、ビジョン・ファンドの評価損などにより売上高5兆2,389億円に対し、親会社の所有者に帰属する純損失9,615億円[106]を計上し、当時としては過去最大の赤字となった。純損失を出しながら大規模な自社株買いに踏み切る形となり、資金は保有するアリババ株などの売却で賄った[107]。アリババ株の売却は段階的に進み、2022年8月にはソフトバンクグループのアリババに対する議決権保有割合が20%を下回ったため、アリババは関連会社から除外されている[108]。2000年2月の出資から22年を経て、グループ最大の含み資産は連結の外へ出た[109]

  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2020年3月期・連結)
    • [106]FY2019(2020年3月期)売上高5兆2,389億円・親会社所有者帰属純損失9,615億円(当時過去最大)
  • 日本経済新聞(2020年6月4日)「赤字のソフトバンクG、なぜ2.5兆円の自社株買い?」
    • [107]純損失計上下での自社株買いの資金は保有するアリババ株などの売却で賄った
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
    • [108]2022年 アリババへの議決権保有割合が20%を下回り関連会社から除外
    • [109]2000年2月の出資から22年でアリババが連結の外へ
  • 日本経済新聞(2020年2月7日)「ソフトバンクGに2.2兆円自社株買い要求 エリオット」
    • [97]2020年2月 エリオットがSBG株を取得し最大200億ドル(約2.2兆円)の自社株買いと社外取締役増員を要求
  • 日本経済新聞(2020年6月4日)「赤字のソフトバンクG、なぜ2.5兆円の自社株買い?」
    • [98]2020年5月18日時点 株価4,621円に対し保有株式ベースの1株あたり株主価値は約1万300円
    • [107]純損失計上下での自社株買いの資金は保有するアリババ株などの売却で賄った
  • 日本経済新聞(2024年6月5日)「米エリオット、ソフトバンクG株を取得 自社株買い要求」
    • [99]エリオットは2020年に保有を約30億ドル相当まで積み増し、その後ほぼ全て手放した
  • 週刊東洋経済 2020年4月4日号「【総力特集 コロナ危機】ソフトバンクグループ 株価急落で破格の資産売却」
    • [100]2020年3月19日 株価が1日で17%強下落し1カ月でほぼ半値に
  • ソフトバンクグループ プレスリリース(2020年3月23日)「SoftBank Announces JPY 4.5 trillion (USD 41 billion) Program to Repurchase Shares and Reduce Debt」
    • [101]2020年3月23日 最大4.5兆円(410億ドル)の資産売却・資金化と最大2兆円の自社株買い・負債圧縮を発表
    • [102]2つの自社株買いは合計2.5兆円規模で発行済み株式の45%を取得・消却する規模
    • [103]資産売却は今後4四半期で実施する計画
  • Bloomberg(2020年4月26日)「ソフトバンクG株に晴れ間、2.5兆円の自社株買い支えー恐怖感薄れる」
    • [104]2020年3月23日の発表後、株価はストップ高となり前週末比500円高の3,187円まで上昇
  • 日本経済新聞(2020年12月11日)「ソフトバンクG、自社株買い1.5兆円」
    • [105]2020年12月時点で2.5兆円のうち1.5兆円の自社株買いを実施済み
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2020年3月期・連結)
    • [106]FY2019(2020年3月期)売上高5兆2,389億円・親会社所有者帰属純損失9,615億円(当時過去最大)
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
    • [108]2022年 アリババへの議決権保有割合が20%を下回り関連会社から除外
    • [109]2000年2月の出資から22年でアリババが連結の外へ

アーム売却の頓挫と、AIインフラへの集中投資

2020年9月14日、ソフトバンクグループはアームの全株式を米エヌビディアへ最大400億ドルで売却する契約を発表した[110]。対価は現金と同社株式の組み合わせで、完了後はエヌビディア発行済み株式の約6.7〜8.1%を保有する見込み[111]であった。もっともアームの顧客にはクアルコムやアップルなどエヌビディアの競合が並び、中立性への疑問が当初から示されている[112]。2021年12月、米連邦取引委員会は反トラスト法に基づいて買収差し止めを求めて提訴し、訴状でアームを「半導体業界のスイス」と呼んだ[113]。2022年2月8日、両社は規制上の課題を理由に契約解消で合意し、手付金12億5,000万ドルは返金義務がなく[114]利益として認識した。

  • ソフトバンクグループ プレスリリース 2020年9月14日「当社子会社Arm Limited 全株式の売却に関するお知らせ」
    • [110]2020年9月14日 アーム全株式を米エヌビディアへ最大400億ドルで売却する契約を発表
    • [111]完了後はSBGとSVFで合計しエヌビディア発行済み株式の約6.7〜8.1%を保有する見込み
  • 週刊東洋経済 2020年10月24日号「【特集 半導体狂騒曲】ソフトバンクグループからアーム買収 エヌビディアが狙う覇権」
    • [112]アームの顧客にクアルコム・アップル等エヌビディアの競合が並び中立性への疑問が当初から出ていた
  • 日本経済新聞(2021年12月3日)「FTC、英アームの買収阻止へ 米エヌビディアなど提訴」
    • [113]2021年12月 米FTCが反トラスト法に基づき買収差し止めを求めて提訴し訴状でアームを「半導体業界のスイス」と呼んだ
  • ソフトバンクグループ プレスリリース 2022年2月8日「(開示事項の中止)当社子会社Arm Limited全株式の売却契約の解消及びArm Limitedの株式上場の準備に関するお知らせ」
    • [114]2022年2月8日 規制上の課題を理由に契約解消で合意・手付金12.5億ドルは返金義務なく利益認識

アームは2023年9月に米ナスダックへ単独上場[115]した。初日の終値は売り出し価格を25%上回る63.59ドルで、時価総額は652億ドル[116]、日本円で約9兆6,000億円に達している。2016年の買収額3.3兆円のおよそ3倍にあたり、ソフトバンクグループは約90%の株式を保有し続けた[117]。2024年8月時点でアームの時価総額は約25兆円へ伸びた[118]。アーム事業の売上高も2022年3月期の3,000億円から2023年3月期3,817億円[119]、2024年3月期には4,640億円へ拡大し、従業員数も6,928名へ増えている[120]

  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
    • [115]2023年9月 アームが米Nasdaq Global Select Marketに上場
  • 日本経済新聞(2023年9月15日)「ソフトバンクG傘下「Arm」が米上場、初日終値25%高 時価総額9兆円強」
    • [116]上場初日の終値63.59ドル(売り出し価格比25%高)・時価総額652億ドル(約9兆6,100億円)
  • 東洋経済オンライン(2024年8月6日)「ソフトバンクGのアームを襲う「無料ライバル」 約3兆円を投じて買収し時価総額は25兆円だが…」
    • [117]SBGはアーム株式の約90%を保有し続けた
    • [118]2024年8月時点でアームの時価総額は約25兆円
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(アーム事業)
    • [119]アーム事業 売上高 2022年3月期3,000億円・2023年3月期3,817億円
    • [120]アーム事業 2024年3月期 売上高4,640億円・従業員6,928名

2025年1月、ソフトバンクグループは米国のAI研究開発企業OpenAIとその関係会社のためにAIインフラを構築する「Stargate Project」を発表した[121]。今後4年間で5,000億ドルを投資する計画[122]で、うち1,000億ドルは直ちに投じる[123]。初期出資者はソフトバンクグループ・OpenAI・Oracle・MGXの4者[124]で、ソフトバンクグループが財務を、OpenAIが運営を担った[125]。同年3月にはOpenAIへ最大400億ドルの追加出資を行うことで合意[126]し、同月20日にはサーバー向けCPUを設計する米Ampere Computingを総額65億ドルで買収すると発表[127]している。孫正義氏は「ASI(人工超知能)の未来には、前例のないコンピューティングパワーが必要です」[128]と述べた。

  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
    • [121]2025年1月 OpenAI等のためAIインフラを構築する「Stargate Project」を発表
    • [126]2025年 OpenAIへ最大400億米ドルの追加出資を行うことで合意
  • ソフトバンクグループ プレスリリース(2025年1月22日)「Stargate Projectについて」
    • [122]Stargateは今後4年間で5,000億ドルを投資する計画
    • [123]5,000億ドルのうち1,000億ドルは直ちに投資を開始する予定
    • [124]Stargateの初期出資者はSBG・OpenAI・Oracle・MGXの4者
    • [125]SBGが財務管理を、OpenAIが運営を担う
  • ソフトバンクグループ ニュースリリース 2025年3月20日「ソフトバンクグループによるAmpere Computing買収について」
    • [127]2025年3月20日 米Ampere Computingを総額65億ドルの現金取引で買収すると発表
    • [128]孫正義「ASI(人工超知能)の未来には、前例のないコンピューティングパワーが必要です」
  • ソフトバンクグループ プレスリリース 2020年9月14日「当社子会社Arm Limited 全株式の売却に関するお知らせ」
    • [110]2020年9月14日 アーム全株式を米エヌビディアへ最大400億ドルで売却する契約を発表
    • [111]完了後はSBGとSVFで合計しエヌビディア発行済み株式の約6.7〜8.1%を保有する見込み
  • 週刊東洋経済 2020年10月24日号「【特集 半導体狂騒曲】ソフトバンクグループからアーム買収 エヌビディアが狙う覇権」
    • [112]アームの顧客にクアルコム・アップル等エヌビディアの競合が並び中立性への疑問が当初から出ていた
  • 日本経済新聞(2021年12月3日)「FTC、英アームの買収阻止へ 米エヌビディアなど提訴」
    • [113]2021年12月 米FTCが反トラスト法に基づき買収差し止めを求めて提訴し訴状でアームを「半導体業界のスイス」と呼んだ
  • ソフトバンクグループ プレスリリース 2022年2月8日「(開示事項の中止)当社子会社Arm Limited全株式の売却契約の解消及びArm Limitedの株式上場の準備に関するお知らせ」
    • [114]2022年2月8日 規制上の課題を理由に契約解消で合意・手付金12.5億ドルは返金義務なく利益認識
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
    • [115]2023年9月 アームが米Nasdaq Global Select Marketに上場
    • [121]2025年1月 OpenAI等のためAIインフラを構築する「Stargate Project」を発表
    • [126]2025年 OpenAIへ最大400億米ドルの追加出資を行うことで合意
  • 日本経済新聞(2023年9月15日)「ソフトバンクG傘下「Arm」が米上場、初日終値25%高 時価総額9兆円強」
    • [116]上場初日の終値63.59ドル(売り出し価格比25%高)・時価総額652億ドル(約9兆6,100億円)
  • 東洋経済オンライン(2024年8月6日)「ソフトバンクGのアームを襲う「無料ライバル」 約3兆円を投じて買収し時価総額は25兆円だが…」
    • [117]SBGはアーム株式の約90%を保有し続けた
    • [118]2024年8月時点でアームの時価総額は約25兆円
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(アーム事業)
    • [119]アーム事業 売上高 2022年3月期3,000億円・2023年3月期3,817億円
    • [120]アーム事業 2024年3月期 売上高4,640億円・従業員6,928名
  • ソフトバンクグループ プレスリリース(2025年1月22日)「Stargate Projectについて」
    • [122]Stargateは今後4年間で5,000億ドルを投資する計画
    • [123]5,000億ドルのうち1,000億ドルは直ちに投資を開始する予定
    • [124]Stargateの初期出資者はSBG・OpenAI・Oracle・MGXの4者
    • [125]SBGが財務管理を、OpenAIが運営を担う
  • ソフトバンクグループ ニュースリリース 2025年3月20日「ソフトバンクグループによるAmpere Computing買収について」
    • [127]2025年3月20日 米Ampere Computingを総額65億ドルの現金取引で買収すると発表
    • [128]孫正義「ASI(人工超知能)の未来には、前例のないコンピューティングパワーが必要です」

ソフトバンクグループの沿革1981〜2025年における主な出来事を抜粋

年月社長・CEO出来事重要度
孫正義日本ソフトバンクの創業とパソコンソフト卸売事業の立ち上げ特許売却で得た資金を元手に、孫正義氏はソフト流通の空白と財界の信用をどう結び合わせたか 詳細を読む★★★
孫正義月刊「Oh! PC」・月刊「Oh! MZ」を創刊★★
大森康彦大森康彦氏が社長に就任★★
大森康彦売上高115億円を計上
孫正義孫正義氏が社長に復帰★★
孫正義ソフトバンクに商号変更★★
孫正義日本証券業協会に株式を店頭登録★★
孫正義第1回無担保普通社債を発行
孫正義米ヤフーとの合弁によるヤフー株式会社の設立社員数名のベンチャーへの2億円——孫正義氏はなぜ情報網で見つけた無名の検索会社に賭け、それをグループ最大級の含み資産に変えたのか 詳細を読む★★
孫正義キングストンテクノロジーを買収
孫正義相次ぐ買収と「拡大路線」への懸念売上を超える借金を抱えて買い続ける——市場が財務体力を疑うなか、孫正義氏はなぜ「買収はやり続ける」と言い切ったのか 詳細を読む★★
孫正義東京証券取引所市場第一部に上場
孫正義純粋持株会社に移行★★
孫正義ネットバブル崩壊下の資産圧縮と日債銀買収時価総額20兆円のピークから一転——孫正義氏はなぜ株を売って負債を圧縮しながら、批判のなかで破綻銀行を買ったのか 詳細を読む★★
孫正義Alibaba.com Corporationに出資し関連会社化★★
孫正義日本債券信用銀行を買収★★
孫正義ADSL参入とYahoo!BBの危機売上の2倍を超す赤字を抱えて——孫正義氏はなぜ「つまずけば解体」と言われながらブロードバンドへの先行投資を続けたのか 詳細を読む★★★
孫正義ブロードバンド事業で営業損失179億円を計上
孫正義ブロードバンド事業の営業損失が962億円に拡大
孫正義日本テレコムの買収と固定・携帯通信への布石NTT一強の固定通信市場へ約3,400億円で参入——孫正義氏はなぜADSLの次に「法人と携帯」の足場を日本テレコムに求めたのか 詳細を読む★★
孫正義福岡ダイエーホークスの買収と球団保有「誰も本気にしない」と言われた買収宣言——孫正義氏はなぜ利益の出ない球団に、Yahoo!BBのブランドづくりを託したのか 詳細を読む★★
孫正義ブロードバンド事業が黒字転換
孫正義ボーダフォンの日本法人を子会社化★★★
孫正義「ソフトバンク新30年ビジョン」を発表★★
孫正義携帯基地局の整備・増強に2500億円を投資
孫正義営業利益6752億円を計上
孫正義スプリント株の70%取得を発表★★
孫正義スプリントの買収総額を216億ドルへ引き上げ
孫正義米スプリント買収による北米携帯市場への進出国内3位のキャリアが、巨大な米国市場に約1.8兆円を賭けられるか 詳細を読む★★★
孫正義アリババがニューヨーク証券取引所に上場
孫正義国内通信4社が合併
孫正義ソフトバンクグループに商号変更★★
孫正義アリババ株の一部を売却★★
孫正義アームの買収を発表★★
孫正義英ARM買収——IoT・AI時代を見据えた過去最大3.3兆円のM&A通信・投資会社がなぜ半導体設計の要に3.3兆円を投じたのか 詳細を読む★★★
孫正義ソフトバンク・ビジョン・ファンドの組成自己資金の3倍の外部資金をてこに——孫正義氏はなぜ事業会社から世界最大級の投資家へと自らを作り替えたのか 詳細を読む★★★
孫正義ソフトバンクが東京証券取引所市場第一部に上場★★
孫正義ソフトバンク・ビジョン・ファンド2が活動を開始★★
孫正義エリオット・マネジメントが自社株買いを要求★★
孫正義株価が1日で17%強下落
孫正義エリオットの株主還元要求と、4.5兆円資産売却・2.5兆円自社株買い保有株の価値と時価のかい離を、孫正義氏はアクティビストの催促のなかでどう埋めようとしたか 詳細を読む★★
孫正義親会社の所有者に帰属する純損失9615億円を計上★★
孫正義スプリントが子会社から除外★★
孫正義米エヌビディアへのアーム売却——最大400億ドルの契約と、規制が壊した世紀のディール財務防衛のために虎の子を手放すか、AI時代の中核として抱え続けるか——孫正義氏が選んだ売却は、なぜ2022年2月に破談へと至ったのか 詳細を読む★★
孫正義自社株買い1.5兆円を実施
孫正義本社を移転
孫正義親会社の所有者に帰属する純利益4兆9880億円を計上★★
孫正義米連邦取引委員会がアーム買収の差し止めを求めて提訴★★
孫正義アームの売却契約の解消で合意★★
孫正義親会社の所有者に帰属する純損失1兆7080億円を計上★★
孫正義プライム市場に移行
孫正義アリババが関連会社から除外★★
孫正義親会社の所有者に帰属する純損失9701億円を計上
孫正義アームがナスダックに上場★★
孫正義親会社の所有者に帰属する純損失2276億円を計上
孫正義エリオット・マネジメントが再び自社株買いを要求
孫正義アームの時価総額が約25兆円に到達
孫正義OpenAIへの巨額出資とAIインフラ「スターゲート」情報革命の本命を人工知能に賭ける——孫正義氏はなぜOpenAIへ累計646億ドルを投じ、米国のAIインフラに5000億ドルを構想したのか 詳細を読む★★
孫正義米半導体設計Ampere Computingの65億ドル買収設計図の提供者から、チップの作り手へ——孫正義氏はなぜサーバーCPUの新興企業に約1兆円を投じたのか 詳細を読む★★
孫正義親会社の所有者に帰属する純利益1兆1533億円を計上
出典・参考
  • ソフトバンク 略歴:孫正義(公式)
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
  • ソフトバンク(ソフトバンクG)の歴史
  • 近代中小企業(1983年6月)
  • 日経ビジネス(1987年1月19日)
  • 日経ビジネス(1995年2月13日)
  • 知識 2(3)(51)
  • 日経ビジネス(1996年8月26日)
  • ソフトバンクFactBook(1998)
  • ソフトバンク「米国ヤフー社との合弁会社設立に関する件」(1996年1月11日)
  • 日経ビジネス(1997年10月13日)
  • 日経ビジネス(1997年11月17日)
  • 日経ビジネス(2000年3月6日)
  • 日経ビジネス(2000年10月2日)
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(ブロードバンド・インフラ事業)
  • 日経ビジネス(2002年2月11日)
  • 日経ビジネス(2001年3月5日)
  • 日経ビジネス(2004年3月29日)
  • 日経ビジネス(2004年9月6日)
  • 日経ビジネス(2004年11月1日)
  • 日経ビジネス(2004年11月29日)
  • 日経クロステック(2006年3月17日)
  • 日経ビジネス(2004年7月26日)
  • 週刊東洋経済 2012年10月27日号「核心リポート ソフトバンク 孫正義 世界一への野望」
  • 週刊東洋経済 2012年11月24日号「ソフトバンクの世界作戦 Question1 スプリント買収はどう決まった?」
  • 週刊東洋経済 2013年7月6日号「買収額上積みで勝利 ソフトバンクの執念」
  • ソフトバンク「スプリント買収(子会社化)の完了に関するお知らせ」(2013年7月11日)
  • ソフトバンクグループ プレスリリース(2016年7月18日)「SoftBank to acquire ARM Holdings plc」
  • 週刊東洋経済 2016年7月30日号「半導体設計会社に変身 孫正義、3兆円の賭け」
  • 週刊東洋経済 2016年9月17日号「IoT時代に君臨する 陰の支配者ARM」
  • 週刊東洋経済 2016年6月25日号「ついにアリババ株売却 孫正義社長の腹の内」
  • 週刊東洋経済 2016年9月17日号「熱烈ラブコール 孫社長がARMにほれた理由」
  • PRESIDENT Online(2023年9月25日)「7年前に「たかが3兆円」と自信満々だった…英アームの「9兆円上場」を見抜いたソフトバンク孫正義の神通力」
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(アーム事業)
  • ソフトバンクグループ「ソフトバンク・ビジョン・ファンド、初回クロージングを完了」(2017年5月20日)
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(主なファンドの概要)
  • 週刊東洋経済 2017年6月3日号「投資会社ソフトバンク 10兆円ファンドの勝算」
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(連結・IFRS)
  • 日本経済新聞(2020年2月7日)「ソフトバンクGに2.2兆円自社株買い要求 エリオット」
  • 日本経済新聞(2020年6月4日)「赤字のソフトバンクG、なぜ2.5兆円の自社株買い?」
  • 日本経済新聞(2024年6月5日)「米エリオット、ソフトバンクG株を取得 自社株買い要求」
  • 週刊東洋経済 2020年4月4日号「【総力特集 コロナ危機】ソフトバンクグループ 株価急落で破格の資産売却」
  • ソフトバンクグループ プレスリリース(2020年3月23日)「SoftBank Announces JPY 4.5 trillion (USD 41 billion) Program to Repurchase Shares and Reduce Debt」
  • Bloomberg(2020年4月26日)「ソフトバンクG株に晴れ間、2.5兆円の自社株買い支えー恐怖感薄れる」
  • 日本経済新聞(2020年12月11日)「ソフトバンクG、自社株買い1.5兆円」
  • ソフトバンクグループ 有価証券報告書(2020年3月期・連結)
  • ソフトバンクグループ プレスリリース 2020年9月14日「当社子会社Arm Limited 全株式の売却に関するお知らせ」
  • 週刊東洋経済 2020年10月24日号「【特集 半導体狂騒曲】ソフトバンクグループからアーム買収 エヌビディアが狙う覇権」
  • 日本経済新聞(2021年12月3日)「FTC、英アームの買収阻止へ 米エヌビディアなど提訴」
  • ソフトバンクグループ プレスリリース 2022年2月8日「(開示事項の中止)当社子会社Arm Limited全株式の売却契約の解消及びArm Limitedの株式上場の準備に関するお知らせ」
  • 日本経済新聞(2023年9月15日)「ソフトバンクG傘下「Arm」が米上場、初日終値25%高 時価総額9兆円強」
  • 東洋経済オンライン(2024年8月6日)「ソフトバンクGのアームを襲う「無料ライバル」 約3兆円を投じて買収し時価総額は25兆円だが…」
  • ソフトバンクグループ プレスリリース(2025年1月22日)「Stargate Projectについて」
  • ソフトバンクグループ ニュースリリース 2025年3月20日「ソフトバンクグループによるAmpere Computing買収について」

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