苗代亮達氏(当時28歳)が石川県内で起業。苗代氏は大学在学中に腎臓病(摘出手術を実施)にかかり、長期入院をした。このため、通常の仕事が困難であり、起業して1人で働くことを選択したという。
法人としては1979年に設立された「有限会社アイテム商業建築研究所」を継承して発足した。
祖業はバリアフリー専門の工務店で、施工単価が4〜5万円の小規模工事を請け負った。施工単価20万円以下の案件を手がける企業が少なかったことや、高齢化の追い風を受けて、従業員数10名程度の規模に発展した
25歳まで腎臓病の影響で社会に出ることはできませんでした。病気のことで周りに迷惑をかけたくなかったので、起業して、1人で細々と働くことにしました。どんな分野で起業するかを考えたとき、病気や障害を持つ高齢の方に、自分の長い入院経験が役に立つのではないかと思い、介護を選びました。また、日本には2000年4月に介護保険ができ、介護認定を受けた方のご自宅に手すり設置などのバリアフリー工事を行うと、国が9割負担してくれるようになりました。しかし、工事の上限金額は20万円と少額なので、小さい規模の工事しかできないとの問題もありました。「手すりをつけるくらいなら自分でもできる」と思い、バリアフリー専門の工務店を創業しました。
苗代社長は介護施設の運営を通じてパーキンソン病患者の病状が悪化することに課題意識を持ち、石川県内に専門施設の新設を決定。2018年からパーキンソン病患者に特化した専門施設「PDハウス」の本格展開を開始。特殊な施設と多大な人件費が必要なため、以後、設備投資額を増大させた。
人と同じことをしては成功しない。だから、人がやっていないことが何かを常に考えていました。その時に施設の利用者様の中にパーキンソン病の方が30名ほどいたのですが、どの方も施設に入ると病状が悪化することに疑問を抱きました。そこでパーキンソン病に特化した施設を思い付き、地元で建ててみたら、とても大きな反響がありました。自分が闘病した病気が、腎臓の専門医と出会い回復したことから専門医の重要性を強く意識していました。脳神経内科の専門医が訪問診療してくれるパーキンソン病に特化した施設が国内外になく、世界的に認められる可能性があるなと思い、専門のドクターと一緒にサービスを考え、論文も書いていただきました。
福岡県内に進出。PDハウスの展開で売上増加へ
知名度向上により従業員採用を強化するため、株式上場を実施
PDハウスの全国展開のために積極投資を実施。ただし、資金調達は借入金が中心であり自己資本比率は27.9%(FY2022)に低下。
全国展開によるグロースの一方、財務体質の改善が課題に
2000年に介護保険ができた頃は、高齢化も進み、施設を作れば集客しなくても人が入ってくる状況でした。しかし、最近になり、競争が厳しくなって、倒産する会社まで出てくるようになりました。以前のような状況からこれまでやってきた企業は、差別化の仕方や採用方法が分からず、業界全体としてビジネス面で出遅れているのが業界の現状です。当社の施設運営の方針としては国内で一般の介護施設に入っているパーキンソン病の方は約4万人もいるので、他の病気に特化した施設は今まだ考えてないですね。