1946年に岡本虎二郎氏が東京・三軒茶屋にて「岡本商店」を創業。分割払い家具などを販売する月賦店の運営を開始した。1951年には株式会社として「緑屋」を設立し、東京圏において月賦方式の大型店舗を多数展開した。
1963年までに首都圏を中心に26店舗を展開し、紳士服や婦人服など様々な商品の分割払いに対応。業績好調を受けてて1963年7月に株式上場を果たした。上場により2.4億円を資本調達し、店舗増設の資金に充当。
東京周辺および仙台市に23店舗を有する月賦百貨店で、年間売上高は業界第1位。(略)販売方法別では現金売上13%、月賦売上87%で、現金売上は月賦価格の5%引き、月賦売上は全て10回払いである。
丸井の急成長により緑屋の首位が陥落。店舗の大型化志向した丸井の前に、小型店舗が中心の緑屋は苦戦へ
「ホームビルの緑屋」を愛称に、月賦ブームに乗って急成長を遂げてきた緑屋が、この10年守り抜いてきた月賦百貨店第1位の座を、2年前の1970年1月期に丸井に奪われてしまった。
月賦業界では新宿などの駅前一等地に大型店舗を新設した丸井が優勢となった一方、小規模店舗が主体で出店政策に難があった緑屋は苦戦。緑屋出身の経営幹部は、創業家を含めて総辞職する形で、1976年に西武グループと提携。経営再建をスタートした。
西武グループとしては、緑屋が持つ店舗および金融機能を取り込み、自社の百貨店などの小売業の展開との相乗効果を目論んだ。
月販2位の緑屋が、西武百貨店と資本提携。西武系列入りしたのは昨年3月。今年に入って中期経営計画の発表。さらにドラスチックな店舗閉鎖など目の覚めるような合理化の推進。その目標は「丸井に対抗できる体制」という。そして、丸紅、岡本一族の持ち株を西武流通グループに移した。そして、株主総会後の取締役会で副社長以下6人の役員の降格人事を決めた。
不採算店舗の閉鎖の遅れや、350名の余剰人員の受け入れ先のみ決定、売却できる不動産の枯渇などにより、1978年1月期に最終赤字に転落。
古くなりつつあった「月賦」というイメージから脱却するため、「緑屋」から「西武クレジット」に商号変更
西武百貨店やパルコなど、西武系の小売店舗に「セゾンカウンター」を設置し、クレジットカードとして「セゾンカード」の発行を開始。1992年までの10年間で会員数1000万名を確保し、巨大クレジット会社に成長する原動力となった。
カード会員1000万人。この数字を突破したカード会社は、これまで日本信販、丸井、JCB、住友クレジットの4社に限られていた。そして、1992年10月、クレディセゾンがこの仲間に加わった。クレディセゾン がカードの発行を開始したのは1982年8月。以来、10年という節目でのスピード達成となった。セゾンカードが消費者に受け入れられた要因は、いくつか考えられる。まず物販に直結したカードである点。(略)グループ力は会員獲得においていかんなく発揮される。セゾンカウンターの設置もその一つ。
クレジットカードのブランドを社名に採用。クレカ会社として認知へ
1つには、当社の事業の核であるセゾンカードの知名度、イメージが非常に高まってきたことがあげられる。そのイメージの高さを基盤とし、当社が21世紀に向けた展開が可能となるよう、カードのネーミングと社名を連動させることにした。
競合のクレカ会社が年会費700円〜1200円台を徴収するのに対して、セゾンカードは年会費無料によってカード発行枚数を確保。なお、セゾンは利用限度額を30万円に限る(競合は50万円)ことで、年会費無料を訴求しており、利用額の面では競合に劣る形を許容した。
なお、クレディセゾンの営業収益の半分はキャッシングであり、実態としては消費者金融業であった。
順位 | 企業名 | 会員数 | 取扱高 |
1位 | JCB | 2753万人 | 3.5兆円 |
2位 | 日本信販 | 2633万人 | 1.3兆円 |
3位 | VISAジャパン | 1997万人 | 2.5兆円 |
4位 | UCグループ | 1239万人 | 1.9兆円 |
5位 | クレディセゾン | 1050万人 | 1.0兆円 |
6位 | DCグループ | 1036万人 | 1.1兆円 |
7位 | オリコ | 899万人 | 3.0兆円 |
バブル崩壊で経営が行き詰まった西武グループの解体に伴い、クレディセゾンの資本政策も転換。緑屋時代から富士銀行がメインバンクであった関係から、みずほ銀行が株式を取得。これが、みずほ銀行系列のUCカードとの統合の布石となり、基幹システム構築PJにおける炎上の遠因となった。
クレジットカード事業について、クレディセゾンとUCカードの基盤を統合する準備として、子会社キュービタスをみずほ銀行との出資により設立。同社にクレジットカードの基盤を集約することを目論んだ。
2008年からは基幹システムの初期構築を開始して2012年春の稼働を目指した。投資予定額は300億円だったが、実際にはPJが炎上したことで2018年稼働・総投資額2200億円に及んだ。ハードウェアのベンダーとしては、日本IBMを選定。構築作業は子会社のセゾン情報システムで遂行する座組みであった。
SAISON・UC統合の最終ステップとなるのはクレジット事業の完全統合ですが、そのためには両ブランドの基幹情報システムの統合が欠かせません。当社はこれまで、システム統合の手法として「業務プロセス毎の共同化」を進めてまいりましたが、2008年12月にはキュービタスおよびオリエントコーポレーションと共同で新たなクレジット基幹システムの開発に着手しました。共通基幹部分の初期構築に約300億円を投じる今回のシステムでは、ハードウエア・ベンダーに日本IBMを選び、現在同社と要件確定やシステム開発を進めているところです。完成後は3社が順次システム移行を行ってまいりますが、当社の移行は2012年春を予定しています。なお、このシステムがリリース・稼動することでキュービタスの業務効率は飛躍的に向上できるものと考えています。
リーマンショックの不況により、不動産事業を手掛けていたアトリウム社について企業存続が困難になった。これを受けて、2009年3月期にクレディセゾンは「関連会社整理損失」として904億円を計上し、アトリウム社の財務問題に対峙した。
業法改正への対応や、設計漏れが明らかとなり、基幹システムの稼働遅延が決定
現地でプリペイドカード事業を展開するMatchMove社と合弁会社を設立。クレディセゾンが51%を出資
現地で割賦事業(二輪車・家電・スマホなど)を展開するHD社と合弁会社を設立。クレディセゾンが40%を出資
基幹システムの稼働遅延が訴訟問題に発展。和解に至ったものの、クレディセゾンは構築を引き受けた子会社のセゾン情報システムに賠償金を請求。FY2016に受取和解金35億円を特別利益として計上した。
一方、セゾン情報システムは、損害賠償引当金繰入額として66億円を損失として計上。加えて、同社では50名の希望退職者を募集。この結果、基幹システムはプロジェクトの炎上によって、子会社の人員削減をもたらす悲劇となった。
賃貸における入居審査時において、連帯保証人が不要なサービスの提供を開始。セゾンカードまたは口座振替による家賃の支払いを行うことが条件であり、セゾンカードの場合は永久不滅ポイントを付与
総額2200億円を投じた基幹システム「HELIOS」が稼働
コロナ禍においてセゾンは店舗向けの決済が主体のため、営業収益ベースで減収へ
直近20年にわたりカードの新規発行枚数が低迷。2023年時点でカード会員の60%が50代以上の年齢層であり、若年層の取り込みに苦戦
2013年に5月にスルガ銀行との業務資本提携の締結を決定。クレディセゾンとしては銀行業に本格参入しつつ、スルガ銀行が得意とする不動産領域の金融サービス(住宅ローン、不動産ファイナンス)を強化することを目論んだ。
業務提携によるクレディセゾンの狙いは下記5点であった。
1.スルガ銀行によるセゾン支店の設立
2.クレディセゾンによる銀行代理業の取得
3.セゾンプラチナ・ビジネスカードの共同事業化
4.住宅ローンにおける連携
5.不動産ファイナンス事業の共同展開
資本提携の面では、相互に株式を持ち合う形での資本提携となった。クレディセゾンは第三者割当増資を実施し、スルガ銀行が4.44%の株式を155億円で取得。一方、スルガ銀行も第三者割当増資を実施し、クレディセゾンが15.12%の株式を171億円を取得した。
スルガ銀行は不正問題により株価が低迷しており、クレディセゾンによる救済的な提携という側面もある。