オカムラの直近の業績・経営課題と展望

オカムラの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望

2025/3売上高3,145億円YoY+5.4%
2025/3売上総利益1,055億円YoY+5.8%
2025/3販売費及び一般管理費816億円YoY+7.7%
2025/3営業利益239億円YoY▲0.4%
2025/3経常利益265億円YoY+0.9%
2025/3親会社株主に帰属する当期純利益220億円YoY+8.7%
2025/3自己資本比率64%YoY+2.9pt
2025/3有利子負債合計240億円前年比+13,327億円
2025/3現金同等物期末残高254億円YoY▲33.5%
経営トップ中村雅行代表取締役社長執行役員
2025/3従業員数5,687前年比+196人
2025/3平均給与813万円前年比+75万円
歴史的背景1945年10月、戦後復興期の航空機技術者による「協同の工業・岡村製作所」として創業、1961年10月東証2部上場、1970年6月東証一部指定。1972年3月の御殿場工場(冷凍冷蔵ショーケース事業参入)と2005〜2009年の3件の国内買収(シーダー・富士精工本社・セック)で4事業ポートフォリオ(オフィス環境・商環境・物流システム・パワートレーン)を構築した。2018年4月に商号を株式会社オカムラへ変更し、ものづくりの枠を超えたトータルソリューション企業への変革を打ち出した。
経営課題人口減少・デジタル化・グローバル化という環境変化のなかで、3事業ポートフォリオの収益基盤をどこまで多角化・高収益化できるかが構造的論点。コロナ禍以降のオフィス需要変動、ハイブリッドワーク定着による「人が集う場」の再定義、人手不足対応の省力化什器や環境負荷対応の省エネ製品といった社会課題起点の需要創出の継続的実行が必要。中村雅行社長の長期在任(2012年6月就任から14年目)に対する後継者選定が中期的な経営課題として残る。
経営方針中村雅行社長(FY11〜現任)は中期経営計画2025(FY23〜FY25)で「需要創出型企業」への変革を加速し、人手不足や環境負荷といった社会課題を起点に、省力化什器・省エネ製品の開発、デジタルとリアルを融合した新しい空間づくりを推進する方針を掲げる。経営者として「時代に合わせて変えるべきものを変えなければ会社は立ち行かない」と「従業員の働く喜びを引き出し報いる」の二つを大事にしていると明示し、創業の精神「協同の工業」・実力第一主義のDNAを継承する方針を維持する。
主な投資2018年4月の「株式会社オカムラ」への商号変更、2020年7月のオカムラ物流・シーダー吸収合併による組織再編、2021年10月のシンガポールDB&B Holdings Pte. Ltd子会社化、2022年4月のプライム市場移行、2024年7月のDB&B完全子会社化が直近の主な事業構造変化。商号変更以降の事業ポートフォリオ再編と海外子会社の完全子会社化を継続的に進めている。

「需要創出型企業」変革と4期連続最高売上更新

2018年4月の「株式会社オカムラ」への商号変更から7年経過し、中村雅行社長(FY11〜現任)体制での「ものづくりの枠を超えたトータルソリューション企業」変革は、コロナ禍以降の需要構造変化と組み合わせる形で「需要創出型企業」変革へと深化した。連結売上高はFY21(2022年3月期)2,611億円・FY22(2023年3月期)2,770億円から、FY23(2024年3月期)2,982億円・FY24(2025年3月期)3,145億円へ4期連続最高売上更新を実現した。連結営業利益も同期間にFY21 159億円→FY22 173億円→FY23 240億円→FY24 239億円と1.5倍規模へ拡大、ROEはFY24で12.3%を達成、配当性向40.4%・4期連続増配・15期連続減配なしという株主還元実績を実現した。

セグメント別ではFY24時点でオフィス環境事業(売上高1,673億円・営業利益173億円・営業利益率10.3%)が全体の53.2%、商環境事業(売上高1,183億円・営業利益47億円・営業利益率4.0%)が37.6%、物流システム事業(売上高225億円・営業利益16億円)が7.2%、パワートレーン事業(その他含む)が2.0%という構成。オフィス環境事業の高い営業利益率(10.3%)と、商環境事業の改善余地、物流システム事業の安定収益、パワートレーン事業のニッチ性が、4事業ポートフォリオの収益構造を形成している。

コロナ禍後の「人が集う場」再定義とABW浸透

中村雅行社長は、コロナ禍で急速に広がったテレワーク需要に即応し、オンライン会議や集中作業のための個室型ワークブース「テレキューブ by オカムラ」をオフィス・駅・公共施設へ一気に普及させた。コロナ後の出社回帰に伴い、仕事の内容に合わせて時間や場所を選んで働くABW(Activity Based Working)が働き方の新たな主流となるなか、オカムラはオフィス・店舗を「人が集う場」と捉え、ハイブリッドワーク時代の価値創造の場として再定義する戦略を打ち出した。FY25(2026年3月期)以降の経営方針は、人手不足や環境負荷といった社会課題を起点にした省力化什器・省エネ製品の開発、デジタルとリアルを融合した新しい空間づくりへの挑戦を継続する内容となっている。

統合報告書2025で中村社長は「変化を先取りした市場創出」をオカムラの事業姿勢として明示し、「市場を創るということは、種をまくことに似ている。まだ誰もその存在に気付かない土の中に、未来の可能性を宿した種をまく」と表現している。テレキューブ普及は、社会環境の変化に即応して瞬く間に芽吹いた種の象徴例として位置づけ、人手不足対応の省力化什器も同様の「種まき」の発想で進める方針を示している。

80周年と長期在任経営者の後継者選定

2025年10月、オカムラは創立80周年を迎える節目を控える。中村雅行社長(1951年生)は2012年6月の代表取締役社長就任から14年目を迎え、長期在任型の経営トップによる連続意思決定が同社の戦略連続性を支える一方、後継者選定が中期的な経営課題として残る構造となっている。社内取締役には河野直木(1966年生・専務オフィス環境事業本部長兼開発創造本部長)、荒川和巳(1965年生・常務生産本部長)、福田栄(1965年生・執行役員コーポレート経理本部長)といったオカムラ生え抜きの本部長系候補がいる。

社外取締役には三菱地所(伊藤裕慶・不動産開発)・三菱商事(塚本光太郎・鉄鋼金属)・三井住友海上(浅野広視・丹保人重)・三菱UFJ銀行(狩野麻里)・サッポロHD(上條努・経営戦略元社長)・IHI(水本伸子)・三井物産(菊地美佐子)と多領域から8名前後を集めた独立性重視の配置となっており、後継者指名委員会機能を通じた計画的承継のガバナンス基盤は整っている。中期経営計画2025(FY23〜FY25)の完遂後、創立80周年を契機とした次期中計(FY26〜)の策定・実行段階で、長期在任経営者から次世代へのバトン渡しがどのように進むかが、同社のガバナンス上の構造的論点となる。

オカムラの業績推移直近10ヵ年・有価証券報告書をもとに作成(XBRLよりデータ取得)

項目単位FY152016/3連結 / JGAAPFY162017/3連結 / JGAAPFY172018/3連結 / JGAAPFY182019/3連結 / JGAAPFY192020/3連結 / JGAAPFY202021/3連結 / JGAAPFY212022/3連結 / JGAAPFY222023/3連結 / JGAAPFY232024/3連結 / JGAAPFY242025/3連結 / JGAAP
損益計算書 (PL)
売上高YoY億円2,408+9.4%2,368−1.7%2,418+2.1%2,479+2.6%2,532+2.1%2,445−3.4%2,612+6.8%2,770+6.1%2,983+7.7%3,145+5.4%
オフィス環境事業億円1,2501,2441,2851,3451,3711,3081,4061,5581,6171,674
商環境事業億円9929629609549529431,0271,0181,1171,183
物流システム事業億円128161148124136184226
売上原価億円1,6731,6281,6601,6901,7141,6431,7761,8801,9852,090
売上総利益億円7357407587898178018368909981,055
販管費億円605622627665684659676716757816
営業利益YoY億円130+47.8%118−8.8%131+11.2%124−5.5%134+7.8%142+5.9%160+12.7%174+8.8%240+38.4%239−0.4%
オフィス環境事業億円92899810397101138159177174
商環境事業億円3530258183027275248
物流システム事業億円111813-6-12916
経常利益YoY億円136+31.3%128−6.1%140+9.7%137−2.3%147+7.6%154+4.5%175+13.7%189+8.2%262+38.6%265+0.9%
当期純利益YoY億円91+41.2%83−8.5%108+30.4%102−5.4%99−3.7%120+21.5%150+25.2%159+6.1%203+27.5%220+8.7%
貸借対照表 (BS)
自己資本比率%50.252.653.756.756.856.558.159.661.164.0
有利子負債比率%5.65.74.97.44.14.14.43.93.88.3
キャッシュフロー (CF)
営業CF億円139114121951452695313521410
投資CF億円-69-92-77-54-57-8-23-67-122-143
財務CF億円-21-42-39-39-44-131-86-95-82-2
従業員
連結従業員数4,7104,7854,9034,9875,1455,2045,4065,4925,4915,687
単体従業員数2,9273,2163,3263,4723,5713,8343,8043,8443,9404,158
平均年収(単体)万円689678699702718738813

IR資料直近5ヵ年

決算説明会資料

FY報告資料の種別リンク調査時点のURLのため、現在は有効ではない可能性があります
FY25決算説明会資料(2025年3月期通期)

アニュアルレポート / 統合報告書

FY報告資料の種別見所リンク調査時点のURLのため、現在は有効ではない可能性があります
FY26オカムラグループ 統合報告書20252025年10月で創立80周年。FY24は連結売上高3,145億円・営業利益239億円・ROE12.3%・配当性向40.4%、5年成長率CAGR売上6.5%・営業利益14.0%、4期連続増配・15期連続減配なし。事業構成はオフィス環境53.2%・商環境37.6%・物流システム7.2%・パワートレーン他。中村社長は「需要創出型企業」への変革加速を宣言し、人手不足・環境負荷を起点とした省力化什器・省エネ製品・デジタル×リアル空間づくりを掲げる。テレキューブ普及やABW浸透を「変化を先取りした市場創出」の象徴と位置付ける。
FY25オカムラグループ 統合報告書2024中期経営計画2025の初年度を予想を上回る成果で終え「需要創出型企業」への変革を進展させた。中村社長は経営者として「時代に合わせて変えるべきものを変えなければ会社は立ち行かない」と「従業員の働く喜びを引き出し報いる」を二大方針として明示。2018年の「製作所」を外した商号変更(株式会社オカムラ)はトータルソリューション企業への変革宣言だったと振り返る。コロナ禍以降のオフィス環境・商環境・物流の激変期に、オカムラウェイの原点(協同の工業・チームワーク・実力第一主義)への回帰で対応した。3つの強み「顧客との信頼関係・顧客課題解決力・確かなものづくり」を「人を想う」で結ぶ価値創造ストーリー。
FY24オカムラグループ 統合報告書2023中期経営計画2025の開始を機に、サステナビリティレポートから分離した初の統合報告書を発行。

参考文献・出所

オカムラ有価証券報告書
オカムラグループ 統合報告書
オカムラグループ 統合報告書2024・2025
オカムラグループ 統合報告書2025