良品計画の直近の業績・経営課題と展望

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良品計画の直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望

2025/8売上高7,846億円YoY+18.6%
2025/8売上総利益4,030億円YoY+19.8%
2025/8販売費及び一般管理費3,291億円YoY+17.4%
2025/8営業利益738億円YoY+31.5%
2025/8経常利益723億円YoY+29.6%
2025/8親会社株主に帰属する当期純利益508億円YoY+22.3%
2025/8自己資本比率59%YoY+1.5pt
2025/8有利子負債合計67億円前年比▲8,708億円
2025/8現金同等物期末残高1,354億円YoY+7.8%
経営トップ清水智代表取締役社長
2025/8従業員数13,912前年比+1,841人
2025/8平均給与670万円前年比+27万円
歴史的背景1980年に西友PB「しるしのない良い品」として登場した無印良品は、1989年6月に良品計画として独立し、1991年英国リバティ社提携と1990年代以降の海外直営展開で売場を広げた。堂前宣夫社長は2021年9月就任後、600坪前後の中型店で食品・日用品・衣料を一体に揃える生活圏密着モデルへ品揃えを切り替えた。
経営課題欧米事業はFY14以降赤字が常態化し、国内・東アジアの利益で補填する構造が続く。中国本土の消費停滞も長引く。都心旗艦店時代に積み上げたブランド単価と、生活必需品路線で要る価格訴求の両立、2030年3兆円目標と「規模でトップを目指さない」発言の整合をどう取るかが、清水智社長の論点である。
経営方針堂前宣夫社長の後任として、2024年9月に清水智氏が社長に就任した。中期経営計画は出店加速と食品カテゴリー拡充の二本柱で、食品は粗利率の低い領域ながら中型店の来店頻度を支える商品群に位置づけた。堂前会長が描いた中型店モデルの実行を清水社長に託した形である。
主な投資のれんは2024年8月期時点で2億円まで償却が進み、M&Aを伴わない自前出店の延長線上にある。ローソン全店を売場に組み込む生活圏密着モデルと、600坪前後の中型店出店が中期経営計画の柱である。

西友PB起源の商品哲学を中型店で売り直す局面

1980年に西友PB「しるしのない良い品」として登場した無印良品は、1989年6月に西友が良品計画を設立して切り出され、1991年英国リバティ社提携を起点にロンドンに出店した。1998年12月東証二部・2000年8月東証一部到達後の品揃え拡張で在庫が膨らみ、ユニクロ・青山商事の価格破壊を受けて2001年に独立後初の業績調整に陥った。松井忠三元社長は衣料品をヨウジヤマモトへ全面委託し、海外を直営方式に切り替えて、2018年2月期売上3,788億円・純利益301億円の最高益を取り戻した。ただし欧米事業はFY14以降赤字が常態化し、コロナ禍の2020年8月期に純損失169億円・有利子負債768億円まで沈んだ。

2021年9月、ファーストリテイリング副社長とローソン副社長を歴任した堂前宣夫氏が社長に就任した。堂前社長は規模競争を引き継がず、600坪前後の中型店で食品・日用品・衣料を一体に揃える生活圏密着モデルへ品揃えを切り替えた。2030年売上3兆円という長期目標は維持しつつ、「規模でトップは目指さない」と明言した点が、松﨑曉前社長の海外3地域体制路線からの方向転換である。堂前社長は2024年9月に会長へ退き、清水智氏が社長に就任した。中期経営計画は出店加速と食品カテゴリー拡充の二本柱で、食品は粗利率の低い領域ながら中型店の来店頻度を支える商品群に組み込んだ。

2022年4月、良品計画は2020年6月から約2年実験販売した商品をローソン全店で本格展開する方針へ切り替え、生活圏密着モデルの第1弾とした。2022年前後から都心旗艦店一辺倒の出店方針を改め、地方の食品スーパー併設や中規模商業施設への中型店出店を広げた。2022年8月期売上4,961億円から2025年8月期7,846億円・営業利益738億円・当期純利益508億円へ3期連続で最高益を更新し、コロナ禍で768億円まで膨らんだ有利子負債は454億円まで圧縮された。のれんは2024年8月期時点で2億円まで償却が進み、財務面はM&Aを伴わない自前出店の延長線上にある。

清水社長が引き継いだのは、都心旗艦店時代に積み上げたブランド単価と、生活必需品路線で要る価格訴求という二つの軸を中型店で同時に成立させる課題である。「規模でトップは目指さない」という堂前会長の宣言と、残り5年で約3.8倍が要る2030年3兆円目標は本来両立しにくく、両立をどう設計するかが論点である。欧米事業の赤字構造はコロナ前から続き、中国本土の消費停滞も長引くため、国内と東アジア中心の利益構造を維持したまま中型店モデルを海外へ広げられるかが清水体制の論点となる。良品計画はいま、PB起源の商品哲学を中型店という売場で再構築する経営フェーズに入った。

良品計画の業績推移直近10ヵ年・有価証券報告書をもとに作成(XBRLよりデータ取得)

項目単位FY162017/2連結 / JGAAPFY172018/2連結 / JGAAPFY182019/2連結 / JGAAPFY192020/2連結 / JGAAPFY202020/8連結 / JGAAPFY212021/8連結 / JGAAPFY222022/8連結 / JGAAPFY232023/8連結 / JGAAPFY242024/8連結 / JGAAPFY252025/8連結 / JGAAP
損益計算書 (PL)
売上高YoY億円3,326+8.3%3,788+13.9%4,088+7.9%4,378+7.1%1,789−59.1%4,537+153.6%4,962+9.4%5,814+17.2%6,617+13.8%7,846+18.6%
国内事業億円2,1572,3482,4632,6981,2242,9703,0813,4283,8894,701
東アジア事業億円8971,0981,2231,2474541,2561,3921,7161,9462,222
東南アジア・オセアニア事業億円135220315391501
欧米事業億円17621224528666176268355390421
売上原価億円1,6741,8771,9832,2119572,3142,6183,0993,2533,817
売上総利益億円1,6521,9112,1052,1678322,2102,3442,7163,3644,030
販管費億円1,2761,4651,6661,8128281,7992,0162,3842,8033,291
営業利益YoY億円383+11.1%453+18.3%447−1.2%364−18.7%9−97.6%424+4,768%328−22.8%331+1.1%561+69.4%738+31.5%
国内事業億円22028625119040285153245397521
東アジア事業億円16516919823060230222304355428
東南アジア・オセアニア事業億円825294656
欧米事業億円-9-9-12-10-53-21-995569
経常利益YoY億円386+18.0%460+19.2%459−0.3%364−20.7%6−98.5%454+7,958%372−18.0%362−2.8%558+54.3%723+29.6%
当期純利益YoY億円258+18.9%301+16.6%338+12.4%233−31.3%-169−172.8%339+300.4%246−27.6%221−10.2%416+88.5%508+22.3%
貸借対照表 (BS)
自己資本比率%71.471.574.066.852.754.160.758.257.659.0
有利子負債比率%1.40.90.51.722.22.49.05.73.01.2
キャッシュフロー (CF)
営業CF億円197470237245-18614234565585734
投資CF億円-99-143-55-314-42-135-167-221-277-409
財務CF億円-144-218-95-115637-152-586-112-234-221
従業員
連結従業員数6,9928,1289,1379,6159,0468,8829,17510,07412,07113,912
単体従業員数1,8082,0352,2342,2852,4462,3432,5272,8743,4364,039
平均年収(単体)万円540574557577556566593620643670

IR資料直近5ヵ年

アニュアルレポート / 統合報告書

年度経営の振り返り報告資料
FY25清水新CEO就任直後初の統合報告書(2024年8月期)。前中期経営計画(2022年8月期〜2024年8月期)が順調でなかったことを踏まえ、2021年第二創業以降の路線を継承しつつ事業構造改革(不採算店舗閉鎖)を継続。「個店経営」を軸に「地域への土着化」「コミュニティセンターとしての店舗」戦略を強化、生活圏出店継続と海外東アジア事業安定化を打ち出す。

統合報告書

https://kitaishihon.s3.isk01.sakurastorage.jp/IrLibrary/7453_integrated_2024_p73m.pdf
FY24中期経営計画(2022年8月期〜2024年8月期)2年目の進捗。19のESGプロジェクトを各部門に再編、基幹システム刷新を中長期視点で推進。商品力強化・出店加速を継続するも業績目標は達成率88%・59%と大幅未達と認識、企業理念を踏まえた中長期業容拡大を強調。

統合報告書

https://kitaishihon.s3.isk01.sakurastorage.jp/IrLibrary/7453_integrated_2023_murn.pdf
FY23中期経営計画(2022年8月期〜2024年8月期)初年度の進捗。出店加速に伴う人と組織への投資が課題、商品マーケティング強化を打ち出す。風土改革を中計の起点に据え、自律性の高い組織への転換と各地域提携・フードドライブ等のサステナビリティ施策を整理。

統合報告書

https://kitaishihon.s3.isk01.sakurastorage.jp/IrLibrary/7453_integrated_2022_snoa.pdf
FY22中期経営計画(2022〜2024年8月期)の発表回。第二創業期として「感じ良い暮らしと社会」の実現を打ち出し、その町で最も役に立つ店舗・スタッフ集団となる地域戦略と、日本年間純増100店舗・中国出店加速を提示。株式分割の実施と株主ミーティング新設も打ち出す。

統合報告書

https://kitaishihon.s3.isk01.sakurastorage.jp/IrLibrary/7453_integrated_2021_8yv9.pdf

参考文献・出所

有価証券報告書
日経流通新聞 1989/10/14
東洋経済オンライン 2021/11/12
日経産業新聞 1990/04/13
日経新聞 1998/02/21
日経MJ 2001/10/09
日経ビジネス 2003/07/21
日経新聞 2002/10/03
日経MJ 2003/10/23
日経新聞 2011/07/05
日経新聞 2013/06/22
日経新聞 2016/04/13
Business Insider Japan 2021/7/26
ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 2024/11
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