1954年12月
佐藤研一郎氏が東洋電具製作所を個人創業

ピアニストになることを諦めた佐藤研一郎氏(ローム創業者・当時23歳)は、特技であった電子部品工作で起業を決意。地元の京都市内にて、小型抵抗器の製造を行うために「東洋電具製作所(現ローム)」を個人創業した

証言
佐藤研一郎氏(ローム創業者)

私はコンサートピアニストになりたかったのですが、ピアノはオーケストラの中に入れない。協奏曲で共演はできるが、オーケストラの団員にはなれない。協調性のない楽器です。その代わり、個性を持っていないと役に立たない楽器。自分には性に合っていたが、一流になれないと思ったから諦めた

1993/3/8日経ビジネス
1958年9月
株式会社東洋電具製作所を設立

株式会社に改組。抵抗器業界の競合会社は「KOA」「北陸電気工業」など

1959年9月
西大路工場(京都市右京区西院溝崎町21)を新設

現在の本社所在地に工場を新設

1961年9月
京都市右京区西院溝崎町21に本社移転
1966年8月
岡山県にワコー電器株式会社を設立

京都市内の本社工場が手狭になったことを受けて、岡山県笠岡に生産子会社を設立。ロームは付加価値の高い前工程を本社工場で、単純作業の多い後工程を生産子会社で行う体制を構築

1967年
ICへの参入を決定

ICの普及を受けて、佐藤研一郎氏は抵抗器の需要がなくなることを危惧。巨額投資が必要となるICに参入することを宣言。当時のロームの売上高は40億円前後であり、京都の中小企業に過ぎなかった

証言
佐藤研一郎氏(ローム創業者)

記者の問:1967年には抵抗器の未来を見限って半導体に参入するなど、現在のロームの礎を築くことができたのは、社長の先見性に負うところが大きい。人との接触がお好きでないとすれば、どこから情報を得ているんですか。

佐藤研一郎氏:僕は雑誌とか本とか活字を読むのは大好きでしたから。ICが出現して抵抗器を駆逐する、という記事を読んで、これは大変な時代になると直感的に思いました。やがて廃れるとわかっているものに、しがみついているのはおかしい。安定した生活が続いて欲しいという願望と、変化が目前まで近づいている、という現実とは違うんですよね。多少苦しくても、乗り越えて行かなきゃならない。

佐藤研一郎氏:ところが大部分の人は、「そんなこと言ったって、実際に起こるのはもっと先だろう」なんて考えちゃう。僕は非常に素直に「あ、これは本当にICの時代が来るかもしれない。しかもそんなに遠くないぞ」と受け止めただけです。

1996/6/3日経ビジネス
1969年
ローム・アポロ株式会社を設立

国内の生産子会社として福岡県に設立

1970年8月
北米にROHM CORPORATIONを設立

ICの生産のために、シリコンバレーに拠点を設置

1972年
ROHM Korea Corporationを設立

韓国に進出。後工程における現地生産を開始

1973年
オイルショップにより販売不振へ
1974年
サーマルプリントヘッドの発売
1974年
ROHM Electronics (H.K.) Co., Ltdを設立

香港に進出。低付加価値な製品の現地生産を開始

1975年12月
不渡り回避のため銀行へ日参

オイルショックによる不況でロームは過剰在庫の問題に直面。倒産の危機に陥り、不渡りを回避するために佐藤研一郎氏が銀行に日参するなど、経営が危機的な状況へ

証言
佐藤研一郎氏(ローム創業者)

営業部門の人たちの死に物狂いの販売努力、そして毎日毎日新幹線で集金した金を抱えて本社へ走り込んできた東京営業所の人たち、不渡りを回避するために不安と疲労の極限に達しながら、誰一人不満ひとついうことなく、朝から夜中まで資金繰りに奔走してくれた経理の人たち。私は今でも昨日のように生々しく脳裏に焼き付いて離れない

1993/3/8日経ビジネス
1979年8月
商号をローム株式会社に変更

ICの需要が徐々に上向くにつれて、ロームの業績も回復。海外展開を見据えて「東洋電具製作所」から「ローム」に商号を変更

決算
ロームの業績
1980年3月期(単体)
売上高
203
億円
1981年
ローム福岡株式会社を設立
1982年6月
半導体研究センターを新設

技術開発への投資を開始。ただし、半導体は数世代前のカスタム品に特化し、大企業との競合を回避

証言
佐藤研一郎氏(ローム創業者)

記者の問:半導体の中でも超微細加工の必要な先端メモリーには参入せず、半歩遅れたプロセスで半歩進んだカスタムICを作り上げて大手と伍してきた。これも自然体の結果ですか。

佐藤研一郎氏:いちばん速く先端を走ると、やっぱり叩かれますし、先端を走っているグループからは、蹴飛ばされます。高井技術力を持った強い部品メーカーは、いっぱいあるわけですから。「うちは皆さんが皆さんが皆さんが落っことしていったものを頂いて、謙虚にいきましょう」ということです。これは生活の知恵かもしれませんし、僕の性格じゃないかと思いますね。

佐藤研一郎氏:もちろん局地戦だけなら勝てる可能性もないわけじゃない。しかし、正面からぶつかっては、まだまだ力不足なんじゃないでしょうか。自分たちの限られたマンパワー、限られた技術、限られた営業力を過信もしないし、過小評価もしない。届いもしないぶどうに跳びついた、イソップ物語の狐のような真似だけはしたくありません。

1996/6/3日経ビジネス
決算
ロームの業績
1983年3月期(単体)
売上高
328
億円
当期純利益
16
億円
1983年11月
大阪証券取引所第2部に株式上場
1984年
ローム甘木株式会社を設立

福岡県朝倉市に生産子会社を設立。2009年会社解散

決算
ロームの業績
1985年3月期(単体)
売上高
872
億円
当期純利益
52
億円
1986年4月
LSI開発センターを新設

投資額200億円(売上高の20%に相当)

決算
ロームの業績
1987年3月期(単体)
売上高
930
億円
当期純利益
15
億円
1987年
ROHM Integrated Systems (Thailand) Co., Ltd.を設立

タイに製造現地子会社を設立

決算
ロームの業績
1988年3月期(単体)
売上高
1038
億円
当期純利益
25
億円
1989年
ROHM Electronics Philippines, Inc.を設立

フィリピンに製造現地子会社を設立

決算
ロームの業績
1990年3月期(単体)
売上高
1421
億円
当期純利益
32
億円
1989年
ROHM-Wako Electronics (Malaysia) Sdn. Bhdを設立

マレーシアに製造現地子会社を設立

決算
ロームの業績
1990年3月期(単体)
売上高
1421
億円
当期純利益
32
億円
1989年1月
東京証券取引所第1部に株式上場
1990年
利益率改善のために品目削減と値上げを実行

部品メーカーとしてロームは単独で値上げを決断。カスタム品が中心だったこともあり、顧客との取引中止は最小限に抑えた。この結果、ロームは利益率を改善

証言
佐藤研一郎氏(ローム創業者)

リストラを決意したのは、90年9月中間決算の時でした。上期の売上高は814億9900万円で当初の予想どおりだったんですが、売上高営業利益率が2%台にまで落ち込んでいました。これはおかしいということで調べさせたら、重大な社内規則違反があったんです。売り上げは伸びているのに営業利益が下がっているのは、値下げをしていたからです。(略)営業が勝手に値下げをして売っていたのですね。

そこで、その年の9月と10月の2度にわたり、「経営効率の改善を目指して」と題する通達のようなものを、社員に向けて出しました。当社が、投資を回収するのに時間がかかる商売に巨額の設備投資をしている実態を示し、使用総資本営業利益率(営業利益を総資産で割ったもの)を改善するように求めたんです。具体的には商品点数の絞り込み、採算の取れない小口注文の受注を断れと命じました。

1993/11/22日経ビジネス
決算
ロームの業績
1991年3月期(単体)
売上高
1657
億円
当期純利益
44
億円
1997年
ヤマハの天竜工場を100億円で買収

ローム浜松を設立。ローム95%・ヤマハ5%を出資

決算
ロームの業績
1998年3月期(単体)
売上高
2728
億円
当期純利益
307
億円
2002年4月
オプティカルデバイス研究センターを新設
2003年1月
LSI計測技術センターを新設
2003年10月
ロームつくばを設立

LSI Logic Corporationから工場を買収(稼働は1995年より)。PCおよびテレビ向けのダイオードの生産拠点として活用

決算
ロームの業績
2004年3月期(連結)
売上高
3556
億円
当期純利益
637
億円
2007年3月
ローム浜松に約400億円投資(2カ年)

FY2005からFY2006にかけて、ローム浜松に約400億円を投資

決算
ロームの業績
2007年3月期(連結)
売上高
3950
億円
当期純利益
474
億円
2008年3月
タイの生産子会社への投資を本格化

FY2007に80億円を投資。以後、毎年約60億円〜130億円の投資を10年以上にわたって継続。東南アジアではタイとフィリピンの2拠点に集中投資し、韓国・中国(大連・天津)への投資は抑制

決算
ロームの業績
2008年3月期(連結)
売上高
3734
億円
当期純利益
319
億円
2008年10月
沖電気工業の半導体事業部門を857億円で買収

ロームとして巨額買収を決定。株式の95%を取得。ただし、直後にリーマンショックが発生し、半導体事業の拠点だった八王子工場の閉鎖を決定するなど、苦しい展開に

決算
ロームの業績
2009年3月期(連結)
売上高
3171
億円
当期純利益
98
億円
2009年2月
ローム甘木株式会社を解散。正社員100名を解雇

生産子会社ローム甘木(福岡県)を解散。正社員は解雇。10%の従業員は福岡市内のロームアポロで受け入れへ

決算
ロームの業績
2009年3月期(連結)
売上高
3171
億円
当期純利益
98
億円
2009年7月
ドイツ・サイクリスタル社を買収
2009年4月
大株主のブランデスが150億円の自己株式取得を要求

米系投資ファンド・ブランデス・インベストメント・パートナーズ・エル・ピーがロームに対して資産圧縮を要求。ロームは要求を途絶。株主総会で自己株取得の賛成比率28%で否決へ

決算
ロームの業績
2010年3月期(連結)
売上高
3356
億円
当期純利益
71
億円
2010年3月
創業者の佐藤研一郎氏が社長退任。澤村諭氏が社長就任

佐藤研一郎氏は代表権のない「名誉会長」に就任

決算
ロームの業績
2010年3月期(連結)
売上高
3356
億円
当期純利益
71
億円
2011年11月
減損損失86億円を計上。沖電気の買収関連など
2012年2月
タイ洪水の影響により100億円の減損損失を計上
2013年3月
ロームつくばを解散
2013年5月
減損損失533億円を計上。希望退職者219名を募集

希望退職者の募集以外に、国内子会社・海外子会社を含めて人員減へ

決算
ロームの業績
2014年3月期(連結)
売上高
3310
億円
当期純利益
320
億円
2013年12月
八王子の工場跡地を140億円で売却

ラピスセミコンダクタ(旧沖電気)の工場跡地。売却先は大和ハウス。東京都八王子市東浅川町550番1および549番6

決算
ロームの業績
2014年3月期(連結)
売上高
3310
億円
当期純利益
320
億円
2015年4月
ルネサスのRSMC滋賀工場を買収
2015年12月
RIST(タイ)にて後工程の工場増設
2016年2月
ローム滋賀にて前工程の工場増設
2016年8月
RWEM(マレーシア)にて後工程の工場増設
2018年4月
藤原忠信氏が代表取締役社長に就任
2018年6月
GaNシステムズ社と協業を開始
2019年12月
パナソニックから半導体デバイス事業を一部譲受
2020年1月
創業者の佐藤研一郎氏が逝去

保有株式を公益財団法人ロームミュージックファンデーションに寄付。ロームミュージックファンデーションによるロームの保有株式比率は7.66%から10.33%に増加

決算
ロームの業績
2020年3月期(連結)
売上高
3628
億円
当期純利益
256
億円
2022年3月
社外取締役にPeter kenevan氏が就任

PayPal日本事業統括責任者を兼務

決算
ロームの業績
2022年3月期(連結)
売上高
4521
億円
当期純利益
668
億円
2022年11月
業績予想を上方修正

自動車関連向けの好調により、業績予想を上方修正

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