デンソーの歴史

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沿革

1949年にトヨタ自動車工業の刈谷北工場を切り出して発足した日本電装が起源。

1953年に独ロバート・ボシュと提携して技術を吸収し、1961年に自動車部品メーカーとして初のデミング賞を受けた。ボッシュと競う部品大手で、売上収益7兆5,399億円のほぼ半分をトヨタグループ向けが占める。

1933年1949年1951年1996年2017年2025年2026年豊田自動織機 自動車部1933年電装部門を設置日本電装1949年企業再建整備で発足トヨタ自動車工業1949年刈谷北工場を切り出し株式上場1951年上場デンソー1996年商号変更富士通テン2017年買収スパークプラグ事業2025年日本特殊陶業へ譲渡決断
デンソー
歴代社長と長期業績(敬称略)
2026年3月期
連結
売上収益
75,400億円
売上高純利益率
5.9%
出所:有価証券報告書
林虎雄岩月白井平野戸田田中石丸岡部深谷加藤有馬林新之助
売上高34億円売上高341億円売上高2,774億円売上高9,647億円売上高14,426億円売上高31,883億円売上収益45,245億円売上収益75,400億円純利益率8.4%純利益率4.6%純利益率4.8%純利益率3%純利益率3.5%純利益率5.3%純利益率5.4%純利益率5.9%1951/31956/31961/31966/31971/31976/31981/31986/31991/31996/32001/32006/32011/32016/32021/32026/3
  1. 日本電装を設立[2]
  2. 企業再建案を発表。473名の解雇
  3. 朝鮮特需により業績好転
  4. 名古屋証券取引所に株式を上場[2]
  5. 東京・大阪の各証券取引所に株式を上場[2]
  6. ボッシュとの資本業務提携[3]
  7. 独ロバートボッシュと電装品の技術導入契約を締結[2]
  8. 電気洗濯機から撤退
  9. 愛知電装を吸収合併[2]
  10. 本社工場を増設(北工場竣工)
  11. デミング賞を受賞[2]
  12. 刈谷市に池田工場を建設[2]
  13. 池田工場を新設(刈谷市)
  14. 安城工場を新設(安城製作所)[4]
  15. 安城市に安城製作所を建設[2]
  16. IC研究室を開設[2]
  17. 西尾市に西尾製作所を建設[2]
  18. 西尾製作所を新設(エアコン増産)
  19. 日本自動車部品総合研究所(現SOKEN)を設立[2]
  20. 初の海外子会社を設立[2]
  21. 子会社を設立[2]
  22. 欧州子会社を設立[2]
  23. 高棚製作所を新設(安城市)[2]
  24. 冷暖房機器(カーエアコン)の売上が急拡大
  25. エレクトロニクス本部を発足
売上高当期純利益率
  • 売上高
  • 当期純利益率
デンソー1981年12月期売上高5,791億円売上高当期純利益率4.3%
歴史詳細を読むトヨタからの分離独立とボッシュ提携による技術基盤の獲得

筆者所見

日本電装が1980年代に握る電子の優位は、1970年に社内の疑問を押し切って始めたICの内製に起点がある。1968年に電子事業部を設け、1970年にICの社内生産に着手したときには、社内にも疑問の声があった[1]。高温と振動という自動車特有の条件で機能するICを、他社に先駆けて開発した[1]。部品の会社が半導体の製造まで抱えるのは、当時の常識では過大な投資だった。その蓄積が、のちに親会社トヨタが警戒するほどの交渉力に転じる。

  1. [1]日経ビジネス 1991年8月26日号「日本電装 親会社トヨタも競争相手 電子技術の優位保つ開発力」
  1. 売上高1兆円計画
  2. 三重県大安町に大安製作所を建設[2]
  3. 太陽の家と合弁でデンソー太陽を設立[2]
  4. ニッポンデンソー・アメリカを設立[2]
  5. 豊橋製作所を新設[2]
  6. 愛知県幸田町に幸田製作所を建設[2]
  7. 愛知県阿久比町に阿久比製作所を建設[2]
  8. 愛知県日進町に基礎研究所を建設[2]
  9. 北米向け売上高を拡大
  10. 北米メキシコの生産拠点を拡充
  11. 北九州市に北九州製作所を建設[2]
  12. 2期連続減益
  13. 中期経営計画を途中で破棄、3カ年の緊急経営計画に切替[5]
  14. 事業本部制を廃止する組織改革を実施[5]
売上高当期純利益率
  • 売上高
  • 当期純利益率
デンソー1995年3月期売上高3,393億円売上高当期純利益率2.2%
歴史詳細を読む電子部品の優位と親会社トヨタの内製化・超円高への対応

筆者所見

技術でボッシュに並んだ後も、日本電装は欧州でボッシュと正面から競わない道を選んだ。欧州への輸出は、ボッシュと競争関係にないエアコンを中心とした[1]。1992年からはエアコンを英国での現地生産に切り替え、フィアットグループとの合弁で年産40万台を目指した[1]。日本車の欧州現地生産が増加する局面で、需要の伸びを取り込めば相手の領分を侵さずに済むという計算があった。競合を避ける自制は、親会社トヨタ以外の大口の需要先を広げにくくする代償も伴った。

  1. [1]日経ビジネス 1991年8月26日号「日本電装 親会社トヨタも競争相手 電子技術の優位保つ開発力」
安定成長期

1996年〜デンソーへの改称と「部品ビッグ3」入りの方針

  1. 社名をデンソーに変更[2]
  2. 豪州にデンソー・インターナショナル・オーストラリアを設立[2]
  3. 善明製作所を新設[2]
  4. シンガポールに東南アジア統括会社を設立[2]
  5. 伊マニェティ・マレッリの回転機器事業部門を買収[2]
  6. トヨタ系列下で自立模索[6]
  7. 伊マニェティ・マレッリの空調機器事業部門を買収[2]
  8. サウジアラビアにデンソー・アブドゥル・ラティフ・ジャミールを設立[2]
  9. チェコにデンソー・マニュファクチュアリング・チェコを設立[2]
  10. 国内全14事業所でゼロエミッションを達成[2]
  11. 電装投資有限公司を設立[2]
  12. デンソースピリットを制定
  13. 南アフリカのスミス・マニュファクチュアリングに資本参加[2]
  14. デンソー・インターナショナル・アジアを設立[2]
  15. ロシアにデンソー・セールス・ロシアを設立[2]
売上高当期純利益率
  • 売上高
  • 売上原価
  • 販管費
  • 営業利益
  • 当期純利益率
デンソー2009年3月期売上高31,426億円売上高当期純利益率-2.7%

筆者所見

1999年に部品ビッグ3入りを掲げたデンソーにとって、規模の拡大は親会社から離れるためではなく、親会社に選ばれ続けるための条件だった。1999年4月と2001年3月に、イタリアのマニェティ・マレッリから回転機器と空調機器の事業部門を買収した[2]。かつてボッシュの膝元を避けた会社が、欧州で規模の獲得を目指す方針へ転じたことを意味する。系列の外で示した実力が、親会社との交渉の材料にもなるという循環は、ここから始まった。

  1. [2]有価証券報告書(2025年6月11日)
安定成長期

2010年〜デンソーグループ2030年長期方針と富士通テンの買収

  1. 大阪証券取引所を上場廃止[2]
  2. アラブ首長国連邦に中東・北アフリカの販売会社を設立[2]
  3. カンボジアにデンソー・カンボジアを設立[2]
  4. 「デンソー健康宣言」を発表[8]
  5. デジタルイノベーション室を新設[8]
  6. デンソーグループ2030年長期方針・2025年長期構想を策定[4]
  7. 富士通テンを買収[2]
  8. アスモを吸収合併[2]
  9. 愛三工業とパワートレイン領域の事業譲渡で基本合意[7]
売上高営業利益率
  • 売上高
  • 売上原価
  • 販管費
  • その他費用
  • 営業利益
  • 営業利益率
デンソー2019年3月期売上高53,627億円売上高営業利益率5.9%

筆者所見

2010年代後半のデンソーは、内燃機関に近い部品をグループの専業会社へ譲り、自らは別の領域に資源を寄せる配置換えに入った。2017年11月に富士通テンを買収し、2019年5月には愛三工業とパワートレイン領域の事業譲渡で基本合意した[2][7]。買う領域と譲る領域を2年のうちに同時に決めたことになり、部品の品目ではなく技術の領域で事業を選ぶ方針への転換が読み取れる。同じ発想は、2020年代のスパークプラグ事業の譲渡へ引き継がれる。

  1. [2]有価証券報告書(2025年6月11日)
  2. [7]有価証券報告書 第99期(2022年6月21日)
転換期

2020年〜スパークプラグ事業の日本特殊陶業への譲渡とロームへの買収提案

  1. 燃料ポンプ大規模リコール
  2. トヨタ自動車から広瀬製作所を譲受[2]
  3. 安城製作所内に電動開発センターを開設[9]
  4. 東京証券取引所プライム市場へ移行[2]
  5. フューエルポンプモジュール事業を愛三工業へ譲渡[10]
  6. トヨタグループ向けが売上収益の49%[4]
  7. オランダの施設園芸事業者セルトングループを買収[2]
  8. ルネサス株式の一部売却で売却益を計上[11]
  9. ルネサス株式の一部売却で売却益を計上[11]
  10. 日本特殊陶業へスパークプラグ譲渡[4]
  11. ローム株式取得提案の撤回
  12. 保有の豊田自動織機株を全て売却[11]
売上高営業利益率
  • 売上高
  • 売上原価
  • 販管費
  • その他費用
  • 営業利益
  • 営業利益率
デンソー2026年3月期売上高75,400億円売上高営業利益率7.3%

筆者所見

2020年代のデンソーは、内燃機関の事業を外へ出しながら、電子の生産を内側へ集める非対称な再編を選んだ。2020年4月にトヨタから広瀬製作所を譲受した[2]。2025年9月にはスパークプラグ・排気ガスセンサー事業の譲渡の契約を日本特殊陶業と締結した[4]。かつて親会社が電子部品の原価を把握するために設けた工場を引き取り、電子の生産はデンソーに集約された。ロームへの株式取得の提案は撤回に終わり、資本による垂直統合には限界が見えた。

  1. [2]有価証券報告書(2025年6月11日)
  2. [4]有価証券報告書
出典・参考11件
出典・参考
  • [1]日経ビジネス 1991年8月26日号「日本電装 親会社トヨタも競争相手 電子技術の優位保つ開発力」
  • [2]有価証券報告書(2025年6月11日)
  • [3]ダイヤモンド「ドイツの会社と提携で社格をあげた日本電装」(ダイヤモンド社)(1956年10月9日)
  • [4]有価証券報告書
  • [5]日経ビジネス「日本電装、拡販路線へ大転換」(1995年3月27日)
  • [6]日経ビジネス 1999年7月19日号「トヨタによる最大20%の出資、デルファイが打診」
  • [7]有価証券報告書 第99期(2022年6月21日)
  • [8]会社IR「統合報告書 2018」(2018年)
  • [9]有価証券報告書 第97期(2020年6月19日)
  • [10]有価証券報告書 第100期(2023年6月20日)
  • [11]臨時報告書

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