1931
3月

安立電気株式会社を2社合併で設立

背景
安中電機の創業経緯
安中電機は1900年(明治33年)に安中常次郎によって創業された会社である。事業内容は、海軍向けの無線通信機器を製造であり、研究開発型の...
背景
共立電機の創業経緯
共立電機の創業経緯は複雑である。1881年(明治14年)に創業された石杉社(せきさんしゃ)が母体であり、1913年に阿部電線製作所を合併...
合併
安中電機と共立電機の2社が合併
1931年に「安中電機・共立電機」の2社の合併により「安立電気(アンリツ)」が発足した。両者の頭文字をとって安立電気の商号が採用された。...
投資
通信機器の研究開発に投資
1931年の安立電気の設立後も、無線通信機器を中心に業容を拡大した。1934年には無線方向探知機、1936年には多重搬送電話装置を開発す...
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1881年
石杉社が創立
1900年
安中電機が創立
1913年
共立電機が創立(石杉社と阿部電線が合併)
1924年
安中電機がラジオ受信機の製造開始
1928年
船舶用無線電信装置の製造を開始
1931年
3月
安立電気が発足(安中電機と共立電機が合併)
1934年
無線方向探知機を開発
1936年
多重搬送電話装置を開発
1939年
国産初の自動公衆電話機を開発
1939年
交流バイアス式磁気録音機を開発
1950

第二会社を設立して経営再建

終戦による軍需喪失。600名のリストラ

1945年の終戦によりアンリツは軍需を喪失。終戦直後はラジオ製造などの民需転換を志向するが社員全員(1948年時点で約2300名)を雇用することが難しく、1948年に600名の希望退職者を募集した。加えて翌年には追加で400名の指名解雇を実施し、労働組合との深刻な対立に直面した。アンリツの財務状況も厳しく、業界内では「安立は倒産する」(1995/12実業往来)という噂が流れたという。

特に問題だったのが、過激な労働組合による妨害活動であり、正常な企業運営を妨げていた。

第二会社を設立。200名のみを再雇用へ

アンリツの経営陣は労働問題を解決するために、1949年4月に全従業員の解雇及び工場の閉鎖を決定。この翌日に技術者を中心に200名を再雇用した。これにより実質的に残り1000名を解雇し、最盛期に2300名いた人員は約1/10に縮小された。

また、1950年に企業再建整備計画に基づく第二会社として「安立電気」を設立した。再雇用では技術者を中心に据えることで研究開発を重視しつつ、過激な思想を持つ社員を排除することで正常な企業運営に立ち戻った。

決算
アンリツの業績
1951年3月期(単体)
売上高
2.29
億円
税引後利益
0.53
億円
1953年
電電公社向けに公衆電話の量産を開始
1939年
国産初の自動公衆電話機を開発
1953年
4号自動式公衆電話の試作に成功
1956年
5号ボックス用公衆電話を量産開始
1959年
新工場の新設を計画
1961年
4月
厚木事業所を新設。公衆電話の量産体制を強化
1960年
計測機を伸ばす方針を宣言

1960年時点のアンリツの売上高は50%が電電公社向けの製品であり、政府の電話インフラの整備計画に依存していた。そこで、アンリツは1960年に5ヵ年の経営計画を策定し、民需製品の拡大を目標に据えた。具体的にはテレビやラジオの製造工程で使用する各種計測機への参入を目指した

証言
田尾本政一(安立電気・当時社長)

テレビ・ラジオなどの組立では、熟練技術者が勘に頼って製作するのが多かったが、これらは測定器を数多く使用することで熟練技術者は不要になっていく。だから計数器も万能型より単能型を数多く各種の測定器を用途に応じたものを多量に作っていく方針だ

決算
アンリツの業績
1961年3月期(単体)
売上高
19
億円
1961年10月
東京証券取引所第2部に株式上場
1968年8月
東京証券取引所第1部に株式上場
1974年
M501Aレーザ外形測定器を開発

光ファイバーの製造で必要な測定器を開発。以後、光を軸とした通信計測機器の開発を継続。1980年代には「光のアンリツ」という業界内の評判を確立した

決算
アンリツの業績
1975年3月期(単体)
売上高
217
億円
当期純利益
4.4
億円
1978年5月
広尾の旧本社工場を閉鎖。賃貸収入を確保?

米軍向け施設の新設につき、東京の一等地である広尾の本社工場を閉鎖。本社機能と製造機能を厚木に移転した。なお、現在に至るまで、アンリツは継続的な賃貸収入を確保しており(FY2021時点で年間20億円)、当該地を賃貸している可能性もある。

決算
アンリツの業績
1979年3月期(単体)
売上高
304
億円
当期純利益
11
億円
1979年
ATT向けマイクロ波計測器を納入

米国の通信大手ATTにマイクロ波の計測器の納入に成功し、海外展開を本格化。20億円規模の受注(FY1979に売上3億円、FY1980に売上7億円、FY1981に売上10億円の見込み)

決算
アンリツの業績
1980年3月期(単体)
売上高
342
億円
当期純利益
14
億円
1979年11月
NTT向けボックス型公衆電話機で市場独占

高度経済成長の波に乗り、電電公社(NTT)向けのボックス用公衆電話機(黄色電話)において日本国内で「独占メーカー」(1981年2月号「Space」)と形容された。ただし、FY1979におけるアンリツの公衆電話機の売上高は全社売上高の20%(約60億円)であり、公衆電話依存の体質からは脱却していた

決算
アンリツの業績
1980年3月期(単体)
売上高
342
億円
当期純利益
14
億円
1985年10月
商号をアンリツ株式会社に変更

NTTの民営化を受けて社名を変更。電電公社依存体質からの脱却を急ぐ

1985年3月
東北アンリツを設立

福島県郡山市に製造子会社を新設。人件費の抑制を目論む

1990年2月
米Wiltron Company を買収
1995年
サイドマスタの製品展開を開始

無線インフラ建設・保守ハンドベルト機器を展開

決算
アンリツの業績
1996年3月期(-)
売上高
998
億円
当期純利益
30
億円
2000年
スペクトラムマスタの製品展開を開始

無線LAN関連製品。主な顧客は通信事業者

決算
アンリツの業績
2001年3月期(連結)
売上高
1590
億円
当期純利益
96
億円
2002年12月
583名のリストラを実施。退職金の特別損失56億円を計上

業績悪化を受けて、アンリツは「特別転進支援制度」の実施を公表。583名の従業員が同制度を活用してリストラされた。加えて、117名がグループ会社に転籍となった。ただし、アンリツは特別損失56億円を計上して特別退職金を捻出しており、金銭的な補償に配慮している。

決算
アンリツの業績
2003年3月期(連結)
売上高
785
億円
当期純利益
-327
億円
2003年3月
最終赤字327億円に転落

ネットバブルの崩壊により通信関連機器の需要が低迷

決算
アンリツの業績
2003年3月期(連結)
売上高
785
億円
当期純利益
-327
億円
2003年6月
中期経営計画を公表

アンリツは経営再建を兼ねた中期経営計画を発表。携帯電話の通信インフラが普及すると判断して「W-CDMA計測市場でNo.1の地位をグローバルに展開」という方針を掲げた。数値目標としては、FY2005に「売上高1000億円以上・営業利益100億円以上・売上高営業利益率10%以上」の達成を掲げた

決算
アンリツの業績
2004年3月期(連結)
売上高
783
億円
当期純利益
11
億円
2003年6月
本社を厚木市(厚木事業所内)に移転

旧本社の資産売却を受けて、事前に本社を厚木事業所に移転

決算
アンリツの業績
2004年3月期(連結)
売上高
783
億円
当期純利益
11
億円
2003年7月
東京都港区南麻布(5-72-1)の旧本社土地を売却

財務体質の悪化を受けて資産売却を決定。日比谷線広尾駅前のアンリツ本社ビル(東京都港区南麻布5-72-1)の資産売却を実施。譲渡価格は51.4億円。売却先は株式会社モリモト(分譲マンションの企画販売)

決算
アンリツの業績
2004年3月期(連結)
売上高
783
億円
当期純利益
11
億円
2003年9月
転換社債の発行で150億円を調達

財務体質の改善を急ぐため、転換社債の発行を決定。主幹事は大和証券で、欧州における海外募集。資金用途は、設備投資に約70億円(主にW-CDMA関連)、有利子負債の返済に約50億円、運転資金に約30億円の予定

決算
アンリツの業績
2004年3月期(連結)
売上高
783
億円
当期純利益
11
億円
2003年10月
デバイス事業を会社分割

業績不振の原因となった光デバイスの事業責任を明確化するために、アンリツデバイスを100%子会社として設立。母体となった光デバイス事業は、FY2003の売上高9.59億円に対して、営業赤字▲24.62億円という厳しい決算であった。

決算
アンリツの業績
2004年3月期(連結)
売上高
783
億円
当期純利益
11
億円
2003年
セルマスタの製品展開を開始

GSM、CDMA2000向け

決算
アンリツの業績
2004年3月期(連結)
売上高
783
億円
当期純利益
11
億円
2005年
UMTSマスタの製品展開を開始

W-CDMA向け。主な顧客は通信事業者

決算
アンリツの業績
2006年3月期(連結)
売上高
912
億円
当期純利益
5.6
億円
2005年8月
NetTest A/Sを買収

デンマークに拠点を置くNetTest社を買収し、モニタリング事業に参入。顧客に対して計測サービスを提供する企業で、ワイヤレスネットワークモニタリングで世界シェアno.2。インドにおけるソフトウェア開発に特色。顧客として欧米・東欧・ロシアの通信事業者を抱える。ただしネットバブル崩壊により損失体質であり、買収と同時にリストラを実施

決算
アンリツの業績
2006年3月期(連結)
売上高
912
億円
当期純利益
5.6
億円
2005年6月
戸田博道氏が代表取締役社長に就任

計測事業統轄本部・本部長であった戸田博道氏が社長に就任。米ウィルトロンの買収直後に同社に出向した経験あり。通信計測を伸ばす方向性を継続。前社長の塩見氏は代表取締役会長に就任

決算
アンリツの業績
2006年3月期(連結)
売上高
912
億円
当期純利益
5.6
億円
2006年4月
英国に販売統括会社を新設

統轄の範囲は欧州に加えて、中近東・アフリカ

決算
アンリツの業績
2007年3月期(連結)
売上高
994
億円
当期純利益
14
億円
2009年3月
2期連続の最終赤字に転落
2009年4月
郡山事業所を新設
2013年5月
郡山第二事業所を新設
2015年3月
厚木事業所にグローバル本社棟を新設
2020年4月
子会社3社を吸収合併

アンリツネットワーク、アンリツエンジニアリング、アンリツプロアソシエの3社を吸収

決算
アンリツの業績
2021年3月期(連結IFRS)
売上収益
1059
億円
当期利益
161
億円
2021年3月
過去最高益を達成(売上収益_当期利益率15.2%)

売上収益1059億円・当期利益161億円

決算
アンリツの業績
2021年3月期(連結IFRS)
売上収益
1059
億円
当期利益
161
億円
2022年4月
NEC子会社の高砂製作所を買収

高砂製作所(従業員217名・2020年6月時点)の買収を決定。電源・電子負荷装置・通信機器を取り扱う企業。特に電源に関する試験機器の将来性を期待し、ESGという時代の流れも踏まえて、アンリツは企業買収に踏み切った

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