富士電機の直近の動向と展望

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富士電機の直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。

セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。

直近の動向と展望

SiC生産能力2.5倍とデータセンター北米進出

2025年5月の事業戦略説明会で、富士電機はSiCの2025年度売上高を前年4Q比で4倍以上、生産能力を年度末に2.5倍へ引き上げる計画を示した。SiC比率は2026年度に電装分野の15〜20%程度まで上昇、2027年度以降はさらに高まる見通しで、第4世代のチップと小型高電力密度パッケージで性能差別化を図る方針である。一方で2026年度中期経営計画に対しては下振れ見通しで、電気自動車の伸長鈍化を理由に設備投資は需要連動型に調整する方針を同時に示した。成長領域への積極投資と需要鈍化への柔軟な対応を同じ説明会で両立させる建て付けで、パワー半導体集中戦略の継続と、市場の不確実性への身構えが並立する構図となっている。

エネルギー事業ではデータセンター向けで「高圧盤、遮断機、変圧器、UPS、低圧盤を揃えられることが必要であり、当社は全て自社製品で対応できることが強み」(事業戦略説明会 FY25)と自社一貫供給体制を打ち出し、「まるごと提案」を進める。2025年度は北米規格対応製品を開発・製品化し、2026年度から北米データセンター市場への本格展開に入る予定で、2026年1月末時点で「早ければ今期末から案件を受注する予定」(決算説明会 FY25-3Q)と進捗を報告した。再エネ向けモジュールの世界シェアは20%超と同社は認識する。総合電機時代に残した重電機器の製品群が、生成AI需要で拡大するデータセンター向けで再び価値を持ち始めている。

参考文献
  • 事業戦略説明会 FY25
  • 決算説明会 FY25-3Q

過去最高益の延長線上にあるリスク

2025年度第3四半期決算で、同社は通期業績予想の上振れ余地として為替現状維持で売上高100億円強・営業利益10数億円、経費削減でさらに10数億円を示した。ただし原材料価格高騰(銅・銀)による減益影響は通期で50数億円、3Q累計で約40億円となり、価格転嫁のタイムラグが残る。エネルギー事業の営業利益率は上期11.5%から3Q14.7%に改善し通期目標14%を維持、富士電機単体の受注残は前年同月末比約30%増と強い。過去最高益を連続更新する局面でも、素材価格の変動と価格転嫁の遅れという短期要因が利益率を揺さぶる構造は残り、好調な受注残が短期で利益へ直結するわけではない点が経営上の注視点となる。

半導体事業では2025年度SiC売上高が前年比2倍弱で電装分野の約10%、2026年度は20%超の見通しだが、「来期は銅・銀などの素材価格高騰影響が見込まれる。目標値は精査中だが、今期4Qの営業利益率は継続しないだろう」(決算説明会 FY25-3Q)とされる。さらに「足元で顕在化しつつある日中関係のビジネス影響が懸念される」(同)と、中国政府の補助金政策次第で再エネ向け需要が左右される構造と日中関係リスクが並列で意識される状況にある。2025年度設備投資は約400億円弱(SiC 8インチ・6インチ向け中心)で、SiC 6インチはほぼ投資完了となった。成長投資の主軸は8インチ化と北米市場開拓に移っており、リスク管理と拡大投資の両立が次の課題となっている。

参考文献
  • 事業戦略説明会 FY25
  • 決算説明会 FY25-3Q

参考文献・出所

有価証券報告書
富士電機社史1923-56 1957
新日本経済 1952/06
日経産業新聞 1987/12/23
日経ビジネス 1988/7/18
日経ビジネス 1985/01/07
日経ビジネス 1997/10/27
日経XTECH 2024/12/2
事業戦略説明会 FY25
決算説明会 FY25-3Q