日本トムソン(ニードルベアリングの製造会社)の創業者であり発明家の寺町博は、会社の資金を流用した小豆相場の失敗が明るみになり、日本トムソンの社長を辞任。メディアからは「商品相場で社長転落」と報道されたという。そして、東邦精工(現THK)を設立し、再起を図る。
寺町博はベアリングの技術者だったこともあり、新製品の開発に専念。垂直方向の位置決めを正確に行うためのガイドの開発に成功し、販売を開始した。直動システムは、NC旋盤、工作機械、研削盤、半導体製造装置、塗装ロボットなど、精密な位置決めが必要な製造装置に組み込まれ、THKの主力製品に育った。
THKはNCやロボット、半導体製造装置の普及とともに順調に業容を拡大し、1981年3月期に売上高113億円、経常利益21億円を達成。1983年には直動システムで国内シェア90%を確保したという。