NTNの直近の動向と展望

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NTNの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。

セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。

直近の動向と展望

純損失238億円と構造改革の前倒し計上

2025年3月期、NTNは連結売上8,256億円(前期比▲107億円)、営業利益230億円(前期比▲52億円)、親会社株主に帰属する当期純損失▲238億円を計上した。最終赤字は2019年3月期以来で、構造改革費用を中心とする特別損失▲191億円と米州・欧州の業績低迷に伴う税効果影響が響いた(決算説明会 FY24)。構造改革費用は当初計画150億円に対して実績189億円となり、一部拠点の前倒しと円安による為替影響で計画を上振れた。Finalの初年度から赤字を引き受けた格好で、過大投資の一掃という鵜飼社長の宣言は数字でも裏付けが始まった。市場は赤字計上そのものより、構造改革の進捗と計画との差を注視する局面に入っている。

宝達志水製作所の風力発電装置向け超大型軸受生産機能を桑名製作所に集約する、欧州・中国・米州のCVJ拠点を再編する、といった個別の構造改革案件が並行して動いている。株主還元についてもFY25期初時点では米国通商政策の影響を算定困難として配当予定を未定とする異例の対応を取り、FY25 1Hで中間5.5円・期末5.5円・年間11円の配当を具体化した(決算説明会 FY25-2Q)。Finalの名を掲げた中計は、構造改革費用の先行計上と赤字決算を引き受けてでも「負の遺産」を切り離す路線を貫いている。2000年代の欧州買収と2010年代の自動車依存が残した重荷を、創業地・桑名の生産集約と海外拠点の再編で処理する流れが決算に現れた。

参考文献
  • 有価証券報告書
  • 決算説明会 FY24
  • 決算説明会 FY25-2Q
  • 東洋経済オンライン 2024

米国関税対応と2030年の成長戦略

2025年度1Hは売上高4,023億円・営業利益129億円・中間純利益31億円と減収増益で着地し、FY25通期予想は売上高8,050億円・営業利益260億円に上方修正された(決算説明会 FY25-2Q)。最大の懸念材料だった米国関税については、各自動車メーカーとの交渉により今期中に影響の9割程度を回収できる見込みが示されている。CVJアクスル事業は調達改革と構造改革効果が順調に出ている一方、軸受他事業はアフターマーケット向け需要の回復遅れで売上・営業利益を下方修正した。商品軸への組織再編後、2事業のコントラストが決算数字に現れ始めた形で、CVJで稼ぎ軸受で削るという従来と逆の収益構造が一時的に表面化している。

成長戦略としては、インド北部バワール工場に約20億円を投じてCVJ内部部品の現地調達化とR&D体制構築を進め、2030年度にはCVJ売上高をFY24比倍増とする目標を掲げた。航空機向けではフランス工場で2030年までに約50億円を投じて生産能力を4割増強する。鵜飼社長は2024年の取材で「適切な『稼ぐ力』を身につけることが必要」(鵜飼英一 東洋経済オンライン 2024/09/19)と述べ、現在のROE 4.4%を8%に引き上げる方針を示した。構造改革と成長投資の二正面作戦で次期中計につなげる局面にある。Finalの3年目FY26がNTNの再生の到達点となるかどうかが、市場の注視する論点である。自動車依存の軸受から航空機・風力発電・インド市場への分散を進めるこの成長戦略は、100年続いた欧州追随の4番手構造を組み替える試みでもある。

参考文献
  • 有価証券報告書
  • 決算説明会 FY24
  • 決算説明会 FY25-2Q
  • 東洋経済オンライン 2024

参考文献・出所

有価証券報告書
決算説明会 FY23
東洋経済オンライン 2024
日刊工業新聞 2015
日刊工業新聞 2019
日本経済新聞 2021/2/6
決算説明会 FY24
決算説明会 FY25-2Q
東洋経済オンライン