コマツの直近の業績・経営課題と展望

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コマツの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望

2025/3売上高41,044億円YoY+6.2%
2025/3売上総利益13,224億円YoY+9.3%
2025/3販売費及び一般管理費6,589億円YoY+9%
2025/3営業利益6,048億円YoY+5.1%
2025/3親会社株主に帰属する当期純利益4,396億円YoY+11.7%
2025/3自己資本比率55%YoY+1.1pt
2025/3有利子負債合計11,506億円前年比▲48,773億円
2025/3現金同等物期末残高3,856億円YoY▲4.4%
経営トップ今吉琢也代表取締役社長
2025/3従業員数66,697前年比+959人
2025/3平均給与859万円前年比+28万円
歴史的背景1921年に竹内鉱業の機械部門が独立し石川県小松市で出発、戦後米軍向け砲弾で売上72%を稼ぐ構造から1956年に建機メーカーへ3年で業態転換した。1985年のドレッサー・コマツ合弁から本格化したグローバル化を経て、現在は建機・鉱山機械世界2位として歩む
経営課題FY24に自己株式取得1,000億円を実施しながらフリーキャッシュフローが3,000億円以上残り、株主還元の余地が指摘される。中計ROE10%目標、PBR1.5倍・PER13倍の足元水準に経営陣は不満を表明しており、成長投資・株主還元・財務健全性の最適バランスが次期中計の決定事項となる
経営方針建設機械の2ラインモデル戦略は、戦略市場で軽負荷モデルをより安価に提供する取り組みとして広がり、インドネシアで売れた軽負荷機種を国・地域特性に応じ柔軟に横展開する。社外取締役の齋木尚子氏は、セカンドブランドや部品事業への2ライン・3ライン導入の必要性を提起した
主な投資2023年に米アメリカン・バッテリー・ソリューションズ社を買収、商用車向けリチウムイオン蓄電池のバッテリーパック開発企業を傘下に置いた。短期収益にはマイナスだが、建機電動化への布石として今吉社長が継承。米国からの輸出が輸入を上回り米国内で8,000人超の雇用を創出する

電動化対応と2ラインモデルが定める次期中計の資本配分

1968年に米ビサイラス・エリー社との技術提携で約10年遅れの油圧ショベル参入を果たした小松製作所は、650拠点の直販網でブルドーザー既存顧客への拡販を進め1976年に国内シェア首位を取り、1987年にシェア32%へ拡張した。1998年のKomtraxはIoT普及前に建機のデジタル化を実現し、稼働データを業界の景気先行指標に位置づける事業モデルを生んだ。2017年のジョイグローバル買収で鉱山機械をフルライン化、2022年3月期は連結売上高2兆8,023億円・純利益2,372億円。FY24は自己株式取得1,000億円を実施しながらフリーキャッシュフロー3,000億円超が期末に残り、PBR1.5倍・PER13倍の水準に経営陣はIRで不満を明言した。

2024年6月に小川啓之社長から今吉琢也社長へ交代し、今吉社長は電動化・自動化・カーボンニュートラル対応の準備と次期中期経営計画の策定を担う。現中計のROE10%目標に対しFY24はPBR1.5倍・PER13倍水準にとどまり、経営陣は同水準への不満を資本市場との対話で繰り返し表明している。同年度には自己株式取得1,000億円を実施しながら期末FCFが3,000億円超で残り、成長投資・株主還元・財務健全性の最適バランスをどう描き直すかが次期中計の論点として取締役会の議論にかかっている。

2023年に買収したアメリカン・バッテリー・ソリューションズ社は商用車向けリチウムイオン蓄電池のバッテリーパック開発企業で、現在は商用車向け供給が中心である。短期収益にはマイナスでも建機電動化を見据えた長期布石として今吉社長が継承した。建設機械の2ラインモデル戦略は戦略市場で軽負荷モデルを安価に提供する形で広がり、インドネシアで売れた軽負荷機種を国・地域特性に応じ柔軟に横展開する設計を採る。社外取締役の齋木尚子氏は、セカンドブランドや部品事業への2ライン・3ライン導入の必要性を公の場で提起し、同社は次期中計でカニバリゼーション管理と収益力・マーケットシェアの両立を論点に据えた。

コマツの次期中計は、1956年の砲弾依存72%から建機への業態転換、1968年の油圧ショベル参入を650拠点の直販網で覆した後発逆転、2017年のジョイグローバル買収による鉱山機械フルライン化という過去3度の判断とは性格が異なる。米国輸出が輸入を上回り米国内で8,000人超の雇用を創出するグローバル構造は、トランプ政権の関税引上げ・移民政策・減税の並走で米国生産・米国輸出の前提条件が再評価対象になる。FCF3,000億円超を抱えPBR1.5倍超の水準に届かない構図のもと、ABS買収による電動化布石と2ラインモデル戦略は、外部環境の構造変化を内部資産に転換してきたコマツの経営判断が、地政学と電動化という同時代の与件に対しても効くかを検証するフェーズに入っている。

コマツの業績推移直近10ヵ年・有価証券報告書をもとに作成(XBRLよりデータ取得)

項目単位FY152016/3連結 / USGAAPFY162017/3連結 / USGAAPFY172018/3連結 / USGAAPFY182019/3連結 / USGAAPFY192020/3連結 / USGAAPFY202021/3連結 / USGAAPFY212022/3連結 / USGAAPFY222023/3連結 / USGAAPFY232024/3連結 / USGAAPFY242025/3連結 / USGAAP
損益計算書 (PL)
売上高YoY億円18,550−6.3%18,030−2.8%25,011+38.7%27,252+9.0%24,449−10.3%21,895−10.4%28,023+28.0%35,435+26.4%38,651+9.1%41,044+6.2%
リテールファイナンス億円467496574630584578678678962
建設機械・車両億円17,61415,66322,67324,66722,06019,61225,58932,86732,86737,875
産業機械他億円1,8991,8412,0121,7591,6991,8571,8891,8892,207
売上原価億円13,15812,86417,65818,85217,49016,08520,22725,04426,54927,820
売上総利益億円5,3925,1667,3538,4016,9585,8117,79610,39012,10213,224
販管費億円3,3713,4004,3234,4074,4084,0874,6405,4556,0456,589
営業利益YoY億円2,049−13.2%1,665−18.7%2,918+75.3%3,775+29.4%2,231−40.9%1,628−27.0%3,246+99.4%4,764+46.8%5,757+20.8%6,048+5.1%
リテールファイナンス億円45130175127106172273273294
建設機械・車両億円2,2731,6172,7603,6532,2731,4382,7584,4364,4365,989
産業機械他億円125145186137163226226226274
当期純利益YoY億円1,374−10.8%1,134−17.5%1,964+73.2%2,565+30.6%1,538−40.0%1,062−30.9%2,249+111.7%3,264+45.1%3,934+20.5%4,396+11.7%
貸借対照表 (BS)
自己資本比率%58.059.449.449.948.550.551.452.153.855.0
有利子負債比率%17.515.424.025.627.724.021.821.621.319.9
キャッシュフロー (CF)
営業CF億円3,1962,5611,4842,0252,9523,5413,0102,0654,3485,172
投資CF億円-1,486-1,333-3,777-1,872-1,909-1,631-1,436-1,695-2,044-2,107
財務CF億円-1,731-1,0772,439-37-35-1,997-939-666-1,220-3,214
従業員
連結従業員数47,01747,20459,63261,90862,82361,56462,77464,34365,73866,697
単体従業員数10,44910,37110,46511,53711,69211,79511,92712,20812,28512,344
平均年収(単体)万円711716739761747719747781831859

IR資料直近5ヵ年

決算説明会資料

年度経営の振り返り報告資料
FY25今吉琢也体制初の通期決算。2023年買収のABS(American Battery Solutions)社の電動化布石、2ラインモデル戦略の戦略市場展開を整理。中計ROE10%目標と自己株式取得1,000億円実施、PBR1.5倍・PER13倍水準への対応を提示。

決算説明会

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FY24小川啓之CEO最終通期決算。中計の進捗整理、今吉への社長交代と次期中期経営計画策定の方向性を発表。

決算説明会

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FY23中期経営計画「DANTOTSU Value(2022〜2024年度)」初年度の進捗。豪マインサイトテクノロジーズ・独GHH社・スウェーデンBracke社買収など坑内掘り鉱山機械の周辺領域M&Aを連続実行、坑内掘り石炭・中国建機事業の構造改革を推進。連結配当性向40%以上方針継続、1株配当139円。

決算説明会

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FY22新中期経営計画「DANTOTSU Value(2022〜2024年度)」発表回。前中計(2019〜2021年度)の振り返りと2030年カーボンニュートラル目標を提示、CO2排出50%減・再生可能エネルギー使用率50%目標を打ち出す。連結配当性向40%以上方針、1株配当96円。

決算説明会

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FY21

決算説明会

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アニュアルレポート / 統合報告書

年度経営の振り返り報告資料
FY26今吉体制下の次期中期経営計画策定期。電動化・自動化・カーボンニュートラル対応の長期構造変化への準備、トランプ政権下の地政学リスク(米国輸出超過・8,000人超雇用創出)への対応を整理。

統合報告書

https://kitaishihon.s3.isk01.sakurastorage.jp/IrLibrary/6301_integrated_2025_685r.pdf
FY25今吉体制初の統合報告書。ABS買収後の電動化準備、2ラインモデル戦略の地域横展開、PBR・PER改善への対応方針を整理。

統合報告書

https://kitaishihon.s3.isk01.sakurastorage.jp/IrLibrary/6301_integrated_2024_bbfc.pdf
FY24小川CEO最終統合報告書。中計の進捗、ABS(2023年買収)の長期布石、今吉への社長交代を発表。

統合報告書

https://kitaishihon.s3.isk01.sakurastorage.jp/IrLibrary/6301_integrated_2023_fvf2.pdf
FY23新中期経営計画「DANTOTSU Value-Together, to The Next(2022〜2024年度)」発表回の統合報告書。資本コスト・ROEを重視した経営、2030年カーボンニュートラル目標、坑内掘り石炭事業の不採算事業売却を整理。

統合報告書

https://kitaishihon.s3.isk01.sakurastorage.jp/IrLibrary/6301_integrated_2022_0s5s.pdf
FY22中期経営計画「DANTOTSU Value-FORWARD Together(2019〜2021年度)」最終年度の統合報告書。坑内掘りソフトロック事業の不採算事業売却、生産拠点の生産性向上・省エネルギー、2030年CO2排出削減目標の進捗を整理。

統合報告書

https://kitaishihon.s3.isk01.sakurastorage.jp/IrLibrary/6301_integrated_2021_7lhv.pdf

参考文献・出所

有価証券報告書 沿革
コマツ50年史
河合良成回顧録
有価証券報告書
日経産業新聞
コマツ100年史
決算説明資料
Bloomberg
日経新聞朝刊
コマツ 社外取締役対話 2023/12
コマツ 社外取締役対話 2024/12
コマツ 統合報告書 2024
コマツ 社外取締役対話
コマツ 統合報告書