1921年に竹内鉱業から分離独立し石川県小松町に設立された小松製作所が起源。
1947年完成のD50から国産ブルドーザーを育て、1998年に稼働管理システムKomtraxを開発した。建設機械・車両の日本以外の売上高比率が91%に達する、世界の鉱山と工事現場を相手にする建機大手である。
創業から敗戦後までの小松製作所は、官の発注に事業の命運を委ねた会社だった。農林省の要請で始めたトラクターは、1947年の発注の白紙撤回によって、総生産額の6割以上を一度に失う「第二の敗戦」に転じた[1]。単一の発注者に依存する収益構造の脆さが、ここで露呈したと言える。陸軍の命令で試作したブルドーザーの設計が手元に残り、民需の建設機械へ軸足を移す出発点になった。
小松製作所を建設機械の専業へ押し上げた契機は、キャタピラーの日本上陸という外圧だった。1962年に同社が新三菱重工業との合弁を発表したとき、自社のブルドーザーはオーバーホールまで3000時間が限度で、相手の5000時間に及ばなかった[1]。マルA対策は、合弁の認可が遅れた1年を品質の改善に充て、弱点を全社の最優先課題とした判断である。砲弾特需の縮小を見越したブルドーザーへの転換が量産の基盤を整え、そこに輸出に耐える品質が加わった。
油圧ショベルと海外生産の20年で小松製作所が遂げたのは、ブルドーザー単品の会社から総合建機メーカーへの移行だった。1968年に油圧ショベルの製造へ参入し、1975年にはコマツブラジルで初の海外現地生産機を完成させた[3]。油圧ショベルへの参入は自主開発の遅れを提携で補い、ブルドーザーで築いた直販網を差別化要因とした後発参入である。建設機械の需要が国ごとの公共投資に左右される以上、生産地の分散は品目の拡充と同じ重みを持つ投資だった。
1990年代のコマツは、建設機械の景気変動への対策を本業の外に求め、その代償を次の経営陣が払うことになった。1993年には脱建機を掲げ、シリコンウエハーへの積極投資を決めた[5]。非建機分野への多角化は、専業メーカーが先行する市場への後発参入であり、半導体の市況変動という別の景気循環を新たに負う選択でもあった。1998年に開発したKomtraxが後に本業の競争力へ転じたことを考えれば、成長の種はむしろ建設機械の内側にあった。
坂根正弘氏の改革の要諦は、何を伸ばすかより先に、何をやめるかを決めた順序にある。コマツ電子金属の株式の過半を2006年にSUMCOへ、農林機器事業を2007年にハスクバーナ・ジャパンへ譲渡した[2]。第一次経営構造改革は、1990年代の多角化を清算し、経営資源を建設機械の差別化へ集め直す作業だった。2008年に世界で初めて市場導入した無人ダンプトラック運行システムは、この集中が鉱山機械という次の成長領域へ通じたことを示す。
直近の10年でコマツは、建設機械に加えて、鉱山の採掘工程を広く担う機械を主力に据えた。2017年4月にジョイグローバルを買収し、超大型の露天掘り向けと坑内掘り向けの鉱山機械を品揃えに加えた[2]。ジョイ・グローバルの買収は、公共投資に左右される建設需要の波に対し、資源開発という別の需要の源泉を厚くする選択だった。鋳鋼から建設機械へと用途を移してきた同社にとって、鉱山機械の拡大は手元の技術を隣接する需要へ広げる手法の延長線上にある。
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