コンサルタントとして著名であった倉重英樹氏(PwC日本法人元会長・1990年代のPwC日本法人の成長の立役者)は、RHJインターナショナル(49%)と三菱商事(51%)の合弁会社として設立されたシグマクシスの代表取締役CEOに就任した。
設立に伴って三菱商事は25億円を合弁会社に出資した。三菱商事を顧客としつつも、コンサルティング会社として全方位の顧客を抱えることを見据えた。2013年の上場以前の主な顧客は、売掛金ベースで「三菱商事」「イオンクレジットサービス」「日本IBM」「シュッピン」「日本航空」の5社。
倉重CEOの狙いは、インターネットの普及によるITの重要性の増加と、それに伴うSIerの質的変化にあった。企業経営においてITと経営を融合させる時代が到来することを予見し、システム構築をSIerに丸投げするのではなく、ITコンサルとSIerと事業会社が三位一体となってITを経営に導入する時代が到来することを予想した。
倉重CEOが想定した競合はアクセンチュアとIBMの2社(ただし日本IBMは顧客でもあった。取引内容は非開示)。IT系コンサルティング会社としては後発となった。なお、日本IBMはITソリューションで自社製品を多く抱えることから、提案で忖度が働くという不利な状況にあったため、実質的な競合は独立系のアクセンチュアであったと推察される。
売上計画は、コンサルティングによる人月稼働を前提とし、社員1人あたり2000万円の売り上げ(人月160〜170万円)を想定。設立1年目に従業員数900名(2009/3)、設立5年目に従業員数2000名(2013/3)の採用を目指した。
なお、この計画は未達に終わっている。
いま企業が求めているのは、ITの活用ではなく、経営とITの一体化。その問題解決に向けて最後までしっかりとお供させていただくコンサルティング会社を設立した
金融機関向けの不正検知サービス(オンライン取引のリアルタイム検知)を強化。2011年時点で「金融犯罪対策チーム」を発足して20名で対応。
有価証券報告書において、販売高の10%以上を占める相手先としてイオンクレジットサービスを開示。クレジットカードの不正検知など、システム周りの開発のコンサルティング業務を請け負っていたと推定される
IIJ(インターネットイニシアティブ)とTISがシグマクシスに資本参加した。この時、シグマクシスは増資を行っていないため、大株主による株式の異動が発生したと思われる。2012年にRHJ Internationalが日本事業から撤退したタイミングであり、大株主が移動したと推察される。
旧T-Modelインベストメントを買収。商号を株式会社SXAに変更し、M&A関連業務(アドバイザリー、DD、PMIを一気通貫)に新規参入した。
ホテル業界に特化したクラウド業務システム構築のため、Plan Do Seeのシステム子会社における49%の株式を取得
2014年から2017年にかけて、シグマクシスは日本航空向けの基幹システムの刷新「SAKURAプロジェクト」にコンサルティング会社として参画(常駐支援)した。旅客系基幹システムの全面刷新プロジェクト(総費用800億円)であった。
3年間の構築期間を経て2017年11月に稼働。基幹システム稼動後もシグマクシスはJALから定期的な受注(内容非開示)を受けており、2010年代を通じて最大の取引先となった。
FY2015 日本航空向け販売高 10.84億円
FY2016 日本航空向け販売高 13.89億円
FY2017 日本航空向け販売高 13.72億円
FY2018 日本航空向け販売高 14.29億円
FY2019 日本航空向け販売高 17.20億円
ローソンのIT子会社「株式会社ローソンデジタルイノベーション」の設立にあたって、同社に34%出資(残り66%はローソンが出資)。ローソンにおける次世代システムの構築支援を行うことを公表した。
その後、2020年にシグマクシスは同社の株式をローソンに譲渡(FY2020売却益1.4億円)し合弁会社から撤退した。
ITシステムの受託開発会社であるモンスターラボに出資。同社は発展途上国に開発拠点を展開して、日本企業向けにSIerとしてサービスを提供。創業者はPwC出身の鮄川宏樹氏である。
その後、モンスターラボは2023年3月に東証マザーズへの上場を公表。上場直前のモンスターラボの株式保有比率は0.64%(2023/5/9時点の時価総額は約370億円)であり、含み益を確保したと推察される。
伊藤忠傘下のIT企業(伊藤忠テクノソリューションズ、ベルシステム24)との連携を深めるために業務資本提携を締結。