日本ガイシの直近の動向と展望

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日本ガイシの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。

セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。

直近の動向と展望

NAS電池事業の23年での撤退

2025年3月期、同社は売上高6195億円(前期比+7%)・営業利益812億円(同+22%)・純利益549億円(同+35%)で、売上高は過去最高を更新した。為替円安効果(+163億円)、半導体装置用製品の回復、ハードディスクドライブ用圧電素子のデータセンター投資に伴う需要増が寄与した。しかしNAS電池事業は、独HH2E社向け大型プロジェクトの後半ロット受注が白紙となり(HH2Eは2024年11月にドイツの再建手続きを申請)、2025年3月にNAS小牧工場の一部生産停止と棚卸資産の評価減に踏み切った。2025年11月の第2四半期決算で同社はついにNAS電池の製造・販売活動終了を決議し、117億円の特別損失を計上、年間では約180億円の特別損失を計上する予定となった。

2002年事業化から23年、世界初の実用化を誇った長時間蓄電技術が事業として畳まれた。潜在的な需要期待は依然大きいとして、BASF社およびその他企業の参画者を募って供給体制の再構築を協議中と位置づけたが、日本ガイシ単独の事業としては撤退となる。2025年度NGKグループビジョン業績目標(売上6000億円・営業利益900億円)に対して売上は達成見込み、営業利益はインフレ・関税影響・不採算事業改善不足で未達見込みという自己評価が同時に公表された。

参考文献
  • 決算説明会 FY2025
  • 決算説明会 FY2026-2Q

独BORSIG買収とNGKコーポレーションへの改称

2025年2月、同社はドイツDeutsche KNM GmbHの全株式を270百万ユーロで取得する契約を締結した。DKNMはBORSIG GmbH社のホールディング会社で、実質的な買収対象は1837年創業の熱交換器・膜システム等の機械装置メーカーBORSIGである。従業員約500人、2023年12月期売上233百万ユーロ。戦前は蒸気機関車製造分野で欧州最大だった企業を、サブナノセラミック膜の社会実装に必要なエンジニアリング力とグローバル顧客ネットワークの獲得のために取り込む判断だった。日本ガイシのセラミック膜と、BORSIGの装置エンジニアリング・顧客基盤を組み合わせて、カーボンニュートラル関連市場でのガス分離システム事業を育てる構想である。

2026年3月期第2四半期までの実績は売上高3262億円(前年同期比+9%)・営業利益487億円(同+23%)・経常利益467億円(同+22%)で、いずれも上半期の過去最高を更新した。通期見通しは売上6500億円・営業利益850億円・経常利益820億円・純利益550億円に上方修正され、デジタルソサエティ事業の設備投資は将来3年間で1300億円以上を計画している。AI半導体向け需要が売上を押し上げる一方で、NAS電池撤退の特別損失は政策保有株式の縮減による売却益で相殺する財務運営に入っている。そして2026年4月、同社は社名を「日本ガイシ」から「NGKコーポレーション」に変更する予定である。絶縁子製品が売上1割以下、売上7割以上・従業員6割以上が海外という現状に合わせ、創業時の「碍子」という名前を106年かけて外すことになる。

参考文献
  • 決算説明会 FY2025
  • 決算説明会 FY2026-2Q

参考文献・出所

有価証券報告書
日本会社史総覧 1995/11/1
決算説明会 FY2025
決算説明会 FY2026-2Q
決算説明会 FY2024