コニカとミノルタが経営統合・コニカミノルタHDを発足
コニカとミノルタが経営統合を発表
2003年1月7日にコニカ(岩居社長)およびミノルタ(太田社長)は経営統合を発表。コニカは写真現像のための機材、ミノルタはフィルムカメラの事業を展開し、両社共に情報機器(プリンター)の事業を展開していた。2000年代を通じたデジタルカメラの普及を受けて、コニカとミノルタは単独での存続を諦め、情報機器に注力するために経営統合を選択した。
経営統合の比率は、ミノルタ1株に対して、コニカ0.621株に設定された。
経営統合に至る布石は、2000年からスタートしたプリンターの開発における提携関係であった。すでに、2000年4月からコニカおよびミノルタは「重合法トナー」の開発において提携し、共同開発をスタートしていた。ところが、両社の技術者において連携が思うように進まず、開発費用も増大したことから、開発を効率化するために経営統合に至った。
プリンター・複写機におけるグローバル展開の推進
情報機器の領域では、ミノルタが低価格なプリンターおよび複写機に強みがあり、コニカは高速デジタル複写機の技術に定評があった。いずれも国内ではなく、欧米などの海外でシェアを確保していた。このため、コニカミノルタHDにおいて注力事業とした情報機器において開発効率を高めるために、両社の経営統合を決定した。
特にミノルタは、1999年に米QMS社を買収することで画像処理技術を習得し、自社ブランドによる「カラーレーザープリンター」を開発。量販店ルートで低価格販売を志向することシェアを拡大した。2002年の時点でミノルタは、欧州でシェア14%、米国でシェア33%を確保しており、情報機器のグローバル展開を推進していた。
カメラ・写真機材からの撤退
2003年の経営統合の発表段階では、カメラ事業(旧ミノルタのカメラ)およびフォト事業(旧コニカの写真現像機等)について、撤退の明言は行わなかった。このため、2006年に撤退を公表するまで、フォトイメージング事業として「カメラ事業およびフォト事業」を継続した。
コニカの岩居社長とは、お互いが社長になる前からカラー複写機の供給の話をしたり、仕事のうえでいろいろとお付き合いがあった。経営統合の話を考え始めたのは、2000年4月に重合法トナーの開発生産で提携した前後から。2社の重複をなくし、関連技術の開発スピードを上げるつもりだったが、やってみると技術者たちが10も15も分科会を並べては互いの技術の違いばかり言いたてて、岩居さんも私もあまりに議論に時間がかかるのでいらいらしていた。
この頃から1社でできる開発には時間や資金に限界があると感じていた。メリットがあるなら会社の名前や歴史にこだわらないで議論しようと岩居さんに呼びかけた。両社の事業統合の進み具合は分野によってまちまちだが、少々荒っぽくても早くやらなければと思って2003年に時期を設定した。
HPへのOEM供給を開始
2003年8月にHP(ヒューレット・パッカード)社と、複写機のOEM供給の契約を締結。2003年10月からHPブランドで複写機をOEM供給することで、グローバルで販売量の確保を意図した。
American Litho Inc.を買収
カメラ事業およびフォト事業から撤退
かつての主力事業から撤退
経営統合から約3年を経た2006年1月にコニカミノルタHDは、カメラ事業およびフォト事業からの撤退を発表した。カメラ事業は旧ミノルタの祖業に相当し、フォト事業(写真現像機・フィルム生産など)は旧コニカのかつての主力事業であった。
いずれもデジタルカメラの普及によって業績が低迷し、全社営業利益率10%を目指す上で事業貢献が難しく、最終的に事業撤退に至った。
事業撤退時点(2006年3月期)におけるフォトイメージング事業は、売上高1871億円・営業利益▲71億円であり、赤字が持続していた。
カメラ事業から撤退(旧ミノルタ)
2006年3月にコニカミノルタHDはカメラ事業を終了し、旧ミノルタのカメラ事業(約130年間にわたって事業展開)から撤退した。カメラ事業の資産については、一眼レフ(αシリーズなど)についてはソニーへ売却され、コンパクトデジタルカメラ・フィルムカメラについては事業終了に至った。
フォト事業から撤退(旧コニカ)
コニカの主力事業であったフォト事業についても撤退を決定。証明写真については大日本印刷に譲渡され、国内ラボ工場・ネットプリントはキタムラに譲渡された。ミニラボについては事業終了を決定した。
設備減損などで約1054億円の損失・最終赤字に転落
事業譲渡などにより、コニカミノルタHDは合計2243名の人員削減を実施。このうち、特別転身支援制度(希望退職者の募集)によって、550名が退職した。
事業撤退により、2006年3月期に事業終了費用として1054億円を損失として計上。内訳は、生産設備の減損286億円、販売拠点の整理費用等597億円、人員合理化による費用171億円であった。この結果、2006年3月期にコニカミノルタHDは最終赤字543億円に転落した。
米Danka Office Imaging Companyを買収
松崎正年氏が社長就任
情報機器の国内販社を統合
コニカミノルタ株式会社に商号変更
統合作業の完了に伴い、持株会社から事業会社へ移行。2013年4月に商号をコニカミノルタHDからコニカミノルタに変更した。
過去最高益を達成
MOBOTIX AGを買収
ドイツに本社を多くMOBOTIX AGを215億円で買収。同社が手掛ける分散処理によるIPカメラ・画像データ解析の技術取得が目的
米Ambry Geneticsを買収
米国で遺伝子診断事業を展開するAmbry Genetics社を買収。コニカミノルタと産業革新機構(INCJ)による共同買収を実施し、コニカミノルタによる買収価格は907億円で株式60%を取得した。
コニカミノルタとしては、情報機器(複写機)に次ぐ新規事業を軌道に乗せるため、ヘルスケアの領域(プレシジョン・メディシン)への投資を決定。すでにコニカミノルタはタンパク質の検出技術「HSTT」を独自に開発しており、買収した米Ambry社の遺伝子技術と統合した上で、Ambry社が持つ「がん専門医」のチャネルを活用して、販売拡大を意図した。
Invicro, LLCを買収
米国で創薬支援事業を展開するInvrico, LLCを311億円で買収。バイオマーカーの探索技術の取得が目的。
4期連続の最終赤字転落
ヘルスケア等で減損計上
ヘルスケア事業(2017年に買収したAmbry社)を中心に減損計上を決定。2023年3月期に減損損失1166億円を計上し、最終赤字1031億円に転落した。
減損に至った理由は、コロナ禍による来院数の減少で遺伝子検査の需要が想定よりも下振れしたことや、遺伝子検査における競争環境の激化であった。