LINEヤフーの歴史
1996年〜ソフトバンク・米Yahoo!合弁のヤフー設立とYahoo!オークション
- ヤフーを設立[4]
- 検索サービスYahoo! Japanのサービス開始[5]
- 本社を東京都中央区日本橋箱崎町に移転[5]
- 「Yahoo!天気情報」「Yahoo!ニュース」を開始[6]
- 「Yahoo!ファイナンス」を開始[6]
- 「Yahoo!スコアボード」(現スポーツナビ)を開始[6]
- 株式を店頭登録[5]
- 「Yahoo!ゲーム」等の登録サービスを開始[5]
- 本社を東京都港区北青山に移転[5]
- Yahoo!オークション参入[5]
- ピーアイエム(電脳隊)を吸収合併[5]
筆者所見
ヤフーの初期の強さは、利用者から料金を取らず、閲覧の量を商品に変えた収益の設計にあった。1996年7月からはページビューを広告掲載料の基準とし、月間ページビューを保証した[1]。利用者の増加がそのまま広告の在庫の増加になる以上、無料化は費用ではなく投資だった。1999年9月のYahoo!オークションも手数料無料で始め、2000年12月には出品数が他社の30〜70倍に達した[2][3]。無料で集めた出品は詐欺の温床となり、課金と本人確認の導入を招いた。
- [1]ヤフー お知らせ 1996年9月12日「ヤフージャパン100万ページビュー達成」
- [2]ヤフー 第1回株主通信(2000年4月1日〜9月30日)
- [3]日経ビジネス 2000年12月18日号「e革命の勝ち組サイト ヤフー!オークションが断然リード」
2001年〜Yahoo! BBの商用開始と検索エンジンのGoogle採用
- 「Yahoo!オークション」で本人確認と補償制度を有料化[9]
- Yahoo!BB参入[5]
- 「Yahoo!オークション」で出品システム利用料の課金を開始[5]
- ネットラストの株式を取得し子会社化[5]
- 「検索連動型広告」を開始[6]
- 国内初の個人間クレジット決済「Yahoo!ペイメント」を開始[5]
- 本社を東京都港区六本木に移転[5]
- 有料会員制サービス「Yahoo!プレミアム」を開始[5]
- 東京証券取引所第1部に株式上場[5]
- 保険関連サービスへの展開へワイズ・インシュアランスを設立[5]
- リクルートとの合弁でインディバルを設立[10]
- 「Yahoo!知恵袋」を開始[6]
- 東京都主税局と全国初の「インターネット公売」を実施[5]
- ソフトバンクと携帯電話事業で業務提携に合意[11]
- 「Yahoo! JAPAN研究所」を設立[5]
- オーバーチュアの株式を取得し子会社化[12]
- ソフトバンクIDCソリューションズを子会社化[13]
- 3期連続で売上成長が低迷
- GyaOの株式を取得[5]
- 検索エンジンをGoogleに変更[5]
- X社(旧Twitter社)と戦略提携[6]
筆者所見
Yahoo!BBは、事業拡大である以上に、親会社ソフトバンクの資金繰りを支える役割を担った。2002年3月期の連結売上高のうちBB事業が42.2%を占め、広告の比率は94%から39.0%へ低下した[7]。増資も社債発行も閉ざされたソフトバンクにとって、営業キャッシュフローを見込めるのはヤフーBBだけだった[8]。広告会社が、回線の申込受付と販促を担う会社へ変わったと言える。この経験は、のちに回線よりサービスで強みを生かす判断の伏線になった。
- [7]ヤフー 第4回株主通信(2001年4月1日〜2002年3月31日)
- [8]日経ビジネス 2002年2月11日号「巨額負債圧縮の切り札か ヤフーBBがつまずけば、事業売却=解体しかない」
2012年〜宮坂学の爆速経営とアスクルの買収
- 宮坂学氏が社長就任
- アスクルとコマース関連事業で業務・資本提携を締結[5]
- YJキャピタル(現Z Venture Capital)を設立[5]
- バリューコマースを子会社化し「LOHACO」を開始[5]
- eコマース革命で出店料無料化[16]
- eコマース事業で新戦略を開始[5]
- ジャパンネット銀行の銀行主要株主認可を取得[5]
- ワイモバイルとスマートフォンで各種サービスの提供を開始[5]
- ワイジェイカード(現PayPayカード)を子会社化[5]
- 「Yahoo! JAPANカード」の提供を開始[5]
- アスクルの連結子会社化
筆者所見
宮坂学氏の社長就任後のヤフーが選んだのは、広告会社から物を売る場の運営者へ軸足を移す道だった。2013年10月のeコマース革命で、ストア出店料と売上ロイヤルティを完全無料化した[14]。2015年3月末のストア数は28万IDを超えたが、コンシューマ事業の営業利益は8.0%減少した[15]。手数料を捨てて店舗数を取る判断は、短期の利益を流通の規模と引き換える賭けだった。物流を持たない弱点は、アスクルの連結子会社化で外部から補完された。
- [14]ヤフー お知らせ 2013年10月7日「eコマース事業における新戦略について」
- [15]ヤフー 有価証券報告書 第20期(2015年3月期)【業績等の概要】
2016年〜川邊健太郎の社長就任とPayPayの合弁設立
- 一休を買収[20]
- 一休の株式を取得し子会社化[5]
- 本社を東京都千代田区紀尾井町に移転[5]
- ソフトバンク会員に「Yahoo!プレミアム」を提供開始[5]
- ジャパンネット銀行に取締役の過半数を派遣し子会社化[5]
- PayPayを合弁設立。決済に注力[21]
- delyの株式を取得し子会社化[5]
- キャッシュレス決済サービス「PayPay」を提供開始[5]
筆者所見
2018年のヤフーの最大の変化は、米Yahoo!系の大株主が退き、ソフトバンクとの距離が一気に縮まった点にある。ALTが保有株34.73%の売却意向を公表し、ソフトバンクが公開買付けで一部を引き受け、ヤフーも自己株式を取得して独立性の維持を図った[17]。独立性の確保と協業の深化が、同じ取引に並んでいた。同年10月開始のPayPayには、両社が200億円ずつ出資した[18][19]。決済で親会社と足並みをそろえた選択が、のちのLINEとの統合へ道を開いた。
- [17]ヤフー お知らせ 2018年7月10日「ソフトバンク株式会社による当社普通株式に対する公開買付けに関する意見表明並びに自己株式の取得…」
- [18]LINEヤフー 有価証券報告書 第30期(2025年3月期)【沿革】
- [19]ヤフー 2018年度第3四半期決算説明会 質疑応答要旨(2019年2月4日)
2019年〜ZOZO買収とLINEとの経営統合
- 筆頭株主がソフトバンクに異動[5]
- LINEとの経営統合[20]
- Zホールディングスに商号変更して持株会社体制に移行[5]
- ZOZO買収で親子上場[5]
- LINEとの経営統合に関する最終合意書を締結[5]
- LINE・ソフトバンク・NAVERと業務提携の基本合意書を締結[5]
- LINEが証券取引所から上場廃止[21]
- 筆頭株主がAHDに異動[5]
- ZHDとLINEの経営統合が完了[5]
- 出前館の株式を追加取得(取得後41.99%)
- Oath社とヤフージャパンのブランド買取の最終契約を締結[5]
- クレジットカード「PayPayカード」を提供開始[5]
- 業績不振による経営体制の変更
- 東京証券取引所プライム市場に移行[5]
- PayPayを子会社化[5]
筆者所見
LINEとの経営統合は、国内首位を争うためではなく、米中の巨大IT企業と向き合う規模を得るための統合だった。2019年11月時点の月間利用者はヤフー6,743万人、LINE8,200万人で、単純合算の売上収益は約1.2兆円だった[22]。それでも投資余力は限られ、AIを中心に注力領域を絞った[23]。同じ年のZOZOの買収も、ファッションで取扱高の規模を補う布石だった。規模を優先した統合は、国境をまたぐデータ管理という別の課題を負った。
- [22]Zホールディングス アナリスト・機関投資家向け説明資料「Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合について」(2019年11月18日)
- [23]Zホールディングス LINE(株)との経営統合に関するセルサイドアナリスト・機関投資家向け説明会 質疑応答要旨(2019年11月18日開催)
2023年〜LINEヤフーの発足と情報漏えいを受けたNAVERとの切り離し
- 無料動画配信サービス「GYAO!」を提供終了[5]
- LINE証券の主要サービスを野村證券に事業移管[5]
- 5社再編でLINEヤフー発足[5]
- 「ヤフオク!」等を「Yahoo!オークション」等に名称変更[5]
- 有料会員制サービス「LYPプレミアム」を開始[5]
- delyが東京証券取引所グロース市場に上場[5]
- LINE Bank Taiwanを子会社化[27]
- Zフィナンシャルを吸収合併[27]
- PayPayがT&Dフィナンシャル生命を子会社化[27]
筆者所見
LINEヤフーの発足は統合の完成のはずが、直後の情報漏えいにより、NAVERとの切り離しを迫られる出発点になった。2023年11月公表の不正アクセスは、NAVER Cloudと共通の認証基盤で管理する旧LINEの社内システムを経由していた[24]。効率を支えた技術の共有が、安全管理の弱点にもなった。総務省の2度の行政指導を受け、NAVERとの委託関係の終了と認証基盤の分離を決めた[25][26]。ID連携の効果は、分離の完了を待つ分だけ後ろへずれた。
- [24]LINEヤフー お知らせ 2023年11月27日「不正アクセスによる、情報漏えいに関するお知らせとお詫び」
- [25]LINEヤフー お知らせ 2024年4月16日「当社に対する総務省からの行政指導について」
- [26]LINEヤフー 第29回定時株主総会 CEO説明資料(2024年6月)