川村インキ製造所を創業
明治41年(1908年)2月に川村喜十郎氏が東京市本所(現在の墨田区)において「川村インキ製造所」を創業し、印刷インキの製造販売を開始した。顔料・ワニスといった材料を仕入れ、設置した小型ロール機を使用し、印刷用のインクを製造した。1915年にはオフセットインキの製造に成功して販売を拡大した。
第一次世界大戦によってドイツから顔料の輸入が途絶したことを受けて、1915年には「無機顔料」の内製化を実施。1925年には合成化学が必要な「有機顔料」の内製化にも成功し、化学メーカーとして発展する技術的な基礎を確立した。
大日本インキ製造株式会社に商号変更
水性グラビアインキを開発(樹脂技術を蓄積)
本社を東京板橋に移転(東京工場)
東京証券取引所に株式上場
米Reichholdと合弁設立(JRC)・合成樹脂に参入
タイに現地生産法人を新設
JRCを吸収合併・商号を大日本インキ化学工業に変更
DICカラーガイドの販売開始(614色)
米Hercules社と合弁設立
エポキシ樹脂の量産開始
電卓向け液晶を開発
米K&Mを買収・米国での買収を積極化
川村茂邦氏が代表取締役社長に就任
米Polychromeを買収(印刷材料)
米Sun Chemicalからグラフィックアーツ部門を買収
資本金に匹敵する買収価格
DICは海外展開を強化するために、米サンケミカル社からグラフィックアーツ部門の買収を決断。買収価格は850億円であり、当時のDICの資本金1000億円に匹敵する巨額買収となった。1980年代において化学メーカーによる米国企業の買収が珍しく、注目を集めた。
現地生産拠点の確保によるシェア拡大
川村社長は、インクの海外展開を志向していたが、製品特性の観点から輸出ではなく現地生産が基本であるため、企業買収を選択。1970年代を通じて米国企業の小規模な買収を繰り返してM&AやPMIの知見を蓄えた上で、1986年のサンケミカル社の巨額買収に踏み切った。
サンケミカル社の買収によって、DICは印刷用インキにおける世界シェア13%(1位)を確保した。
米Reichhold Chemicalsを買収(TOB)
仏Coatesグループを買収
中国に地域統括会社を新設
米Reichhold Chemicalsを1$で売却
商号をDIC株式会社に変更
液晶カラーフィルター向けグリーン顔料を開発
Benda-Lutzグループを買収(エフェクト顔料)
英Kingfisher Coloursを買収(化粧品顔料)
太陽ホールディングスと資本業務提携
半導体向けソルダーレジストを製造する太陽HDと業務資本提携を締結。2017年にDICは太陽HDの株式19.5%を合計248億円で取得した。資本提携の背景は、太陽HDにおける資本政策の重要な変更による。
BASF社より顔料事業を買収
顔料のグローバル展開のために買収
2021年6月にDIC(猪野薫・社長)はドイツの大手化学メーカーBASF社より、同社の顔料事業(BASE Colors & Effects)を買収。取得原価は1288億円であり、DICとしては大規模な買収を決断した。
買収の狙いは、顔良におけるグローバル展開の加速にあった。DICの顔料事業はアルミ顔料が中心であり、対してBASFの顔料事業は「高級顔料・フェクト顔良」を軸としており、競合せずに事業補完が可能な点も買収に至った理由であった。
買収により、DICはグローバルに分散した生産体制(欧州13拠点・アジア5拠点・米州15拠点)を取る形となった。
事業不振により減損計上へ
2023年12月期にDICはBASFから取得したC&E事業について、減損損失197億円(のれん減損)の計上を決定。
オアシスが株式を大量保有
減損計上で最終赤字に転落
2023年12月期にDICは最終赤字388億円に転落した。顔良事業における「のれん」の減損197億円(2021年のBASF顔料事業の取得)に加え、リストラ関連損失42億円、国内外の製造設備の減損(群馬・栃木・大阪・米国・中国)約100億円を計上し、特別損失を合計405億円計上した。