2007
6月

三三株式会社(Snasan)を設立

人物
Sansan創業者・寺田親弘氏について
三井物産に勤務していた寺田親弘氏が起業家への転身を決め、2007年に三三株式会社を設立した。寺田氏の親が会社経営をしており、寺田市も三井...
財務
インキュベイトファンドからシード調達
創業直後に、インキュベイトファンドの赤浦徹氏がSansanに対してシード投資を実施。寺田氏はVCからの調達を考えていなかったが、イベント...
報酬
創業期は報酬0を許容
Sansanの創業期において、CEO(寺田氏)とCOO(富岡氏)の役員報酬は0円。社員3名は月給15万円を設定した。...
開発
名刺管理サービス「Sansan」を提供
アナログが主流だった名刺交換の慣行に対して、デジタルによる名刺管理を行い、名刺情報を営業活動や人脈共有として活用できるサービスを構想した...
価格
SaaSによる提供
ビジネスSNSとして発展させることを目指し「初期費用0円+月額10万円(最小構成)〜」による値付けを行なった。2007年の時点でSans...
営業
法人顧客を開拓
創業から3年間は、寺田CEOが法人顧客獲得のために営業活動に奔走。1日8件のアポイントメントを取ることを目標に据えた。...
評価
「Tech Venture 2009」で準グランプリを受賞
サービスの提供開始から約1年が経過した2008年10月には、導入数100社を突破してユーザーを獲得した。 2009年3月には国内で開催さ...
結果
売上目標未達・資金ショート
Sansanの月額利用のコストが高かったこともあり、当初予定していた3年後売上高30億円は未達。実際にSansanが売上高30億円を突破...
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2007年
6月
三三株式会社を設立
2007年
9月
名刺管理サービス「Sansan」を提供開始
2007年
9月
3年後売上目標30億円を公表
2008年
10月
導入数が100社を突破
2009年
3月
Tech Venture 2009で準グランプリ
2010年
5月
売上目標未達(30億円未満・債務超過)
2009年5月
債務超過。第三者割当で倒産回避へ

リーマンショックによる不況で法人顧客の開拓で苦戦。Sansanは資金ショートし、給料の支払いが危ぶまれる状況に陥った(債務超過状態に陥ったと推定される)。会社側は資金繰りが苦しくなった時点で、その事実を株主に開示しなかった疑いがある。

法人存続のために、株主の赤浦氏が第三者割当先を開拓。2009年にサイバーエージェントやGMOなどから5000万円の調達を実施して、財務状況を改善した。

2009年
6月
第三者割当増資
調達額 0.5 億円
証言
赤浦氏(投資家)

でも実はですね、Sansanは1度、お金がショートしているんです。ショートしそうだったときに言ってくれないからショートした。

2009年
名寄せに対応

Sansanは徐々に普及したが、データベース設計において名刺の名寄せが考慮されておらず「一人の人物に対して、複数の名刺データが存在するが、紐付けがなされていない」状況となり、テーブル設計の欠陥が露呈した。

そこで、従来は名刺の読み取りの度にUserデータを生成していた方針を転換し「人物を主体としたデータベース設計」に移行する。この結果、競合製品との差別化(競合は名寄せに問題があるテーブル設計を採用)を果たし、Sansanが名刺管理市場でシェアを獲得する原動力となった。

証言
藤倉成太氏(Sansan・CTO)

この後Sansanによく似たサービスが市場に出てきたが、データ管理の中心にあったのは名刺で、人物ではなかった。結果的に、この判断が競合製品との差別化につながった

2012年
名刺アプリ「Eight」の提供開始

Sansanは企業向けのプロダクトであったが、ビジネスパーソンが個人で名刺を管理できる「Eight」の提供を開始。なお、プロダクト技術には、当時、webフレームワークの主流になりつつあったRuby on Railsが採用された。

2013年
11月
Eightの名刺登録数1000万枚を突破
2014年
1月
Eightのマネタイズを模索(広告モデル)
証言
寺田親弘氏(Sansan創業者)

マネタイズの観点では、ビジネスパーソン向けのSNS「LinkedIn」をよく研究しています。協業できる部分があれば一緒にやりたいですね。2〜3年後には上場も視野に入れています。米Facebookや米Twitterは、一つのサービスで世界に出て成功しています。もちろん、我々も名刺管理一本で世界に出ていきます。

2014/1/9 日経コンピュータ「寺田親弘氏・IT・人力の名刺管理で世界へ」
2013年
入力業務のオペレーション改善チームを発足

名刺入力は、海外やクラウドソーシングを活用していたが、入力コスト低減のためにオペレーションの改善チームを発足

証言
寺田親弘氏(Sansan創業者)

それから僕らの場合は、いわゆるテクノロジーだけじゃなくて名刺を手で入力をするというのがあって、これ、ものすごく大変なんですよ。もう本当に大変。4年ぐらい前までは、「ヤバい、大洪水だ」ということがあると、夜中にみんなで手作業で入力するぐらいの感じでした。名刺の入ってくる流量に対して処理できないとか、コスト爆発みたいなこととか、そういうものに対処していくのは大変でした。今でいうチャーンレートもね、「名刺をスキャンしたらデータ化してPCと携帯で見れるんですよ、便利でしょ」と言って導入してもらっても、「そんなデータ、これじゃ誰も使わんでしょ」とか言われたりね。

いろいろな会社に行って「名刺を出してください」って言って、机の引き出し開けて勝手にスキャンするとかね。毎日10時間スキャンするとかしていましたからね、僕ら。とにかくどうやって使ってもらうかを含めて、毎日まいにち全部に必死でした。

2013年
第三者割当増資による調達実施

優先株式の発行による第三者割での資金調達を志向。上場までにB種〜E種までの株式を発行

2013年
第三者割当増資(B種類優先株)
調達額 5 億円
2016年
1月
第三者割当増資(C種類優先株)
調達額 19.8 億円
2017年
7月
第三者割当増資(D種類優先株)
調達額 22.2 億円
2017年
7月
第三者割当増資(E種類優先株)
調達額 30 億円
2013年
テレビCMの放送開始。広告宣伝に積極投資

Sansanの認知度を拡大するために、テレビCMの放送を開始。当時はBtoB商材のテレビCMは珍しかったため、この分野の先駆者であるOBC(会計ソフト)を参考に投資を決定した。資金調達額の大半を広告宣伝費として投下

2017年
5月
年間広告宣伝費15.7億円
売上対比 32.5 %
2018年
5月
年間広告宣伝費44.7億円
売上対比 61.1 %
証言
寺田親弘氏(Sansan創業者)

OBCに行って聞いたら、使っている金額がヒト桁億円だったんですよね。「その金額に対してあれだけインパクトがあるのか」と思って、やりようがあるんだろうなと思いました。クリエイティブがキーだろうな、とかいろいろ考えたりね。当時はSaaSのマトリクスなんて概念がなかったんですね。それこそ「売り上げいくらです」って言ったら、SIの売り上げと比較されちゃうぐらいの時代ですから。そこの違いも誰も分かっていないっていう時代でした。でも、こっちは自分たちである程度わかっていて、手元のチャーンレートと単価、それに対する粗利、それからライフタイムバリューを考えたら、このぐらい取れるんだな、そうしたらCMに5億円を使ったとしても、200件の新規顧客が取れれば元が取れるじゃんって。どう考えても200件取れるよねと。

2014年
本社を東京都港区(表参道)に移転
2019年6月
東証マザーズに株式上場
2019年
6月
公募増資により調達
21 億円
2019年
6月
第三者割当増資により調達
47 億円
2021年
1月
東京証券取引所に株式上場
2020年8月
ログミー株式会社を子会社化

スピーチやIR(決算説明会)を書き起こしてwebに公開するサービスを展開するログミーの買収を決定。同社の株式70.1%を取得しており、取得原価は非開示。

ログミー社の官報によれば、2020年7月時点で総資産9900万円に対して、年間当期純損失1423万円、自己資本比率15%(純資産1293万円)であり、赤字が続けば翌2021年までに財債務超過に陥る状況であったと推定される。

なお、買収前後でSansanの無形資産に有意な変動はないため、経営不振のログミーを救済する意図(0円買収の可能性もある)であったと思われる。また、買収によるログミー社から引き継がれた債務の処理状況は不明である。

決算
Sansanの業績
2021年5月期(連結)
売上高
161
億円
当期純利益
1.8
億円
2021
3月

Fringe81と業務資本提携を公表(親子上場リスク)

広告事業の失敗で財務危機に陥っていた上場企業Fringe81(2020/12時点の自己資本比率0.9%)の救済を決定。同社の第三者割当増資による引受を決定し、19億円を投じてFringe81の株式を取得した。なお、投資額が大きいことから、Sansanは日本政策投資銀行(DBJ)と共同で第三者割当増資の引き受けを行うスキームを構築した。

Sansanとしては、Fringe81が注力する非広告事業(unipos)をグループ会社で展開する新規事業として取り込みたい意図があった。

業務資本提携の契約では、Fringe81がUnipos事業を軌道に乗せた時点で、SansanがA種優先株式の取得請求権を行使し、Fringe81を子会社化する条項が付与されており、子会社化後もFringe81を上場維持する記載がされている。つまり、SansanとしてはUniposの事業が軌道に乗った時点で、同社を買収し、親子上場というガバナンス上の欠陥を抱えることを許容している。

2020年
12月
Fringe81の株式取得(第三者割当増資)
株式取得額 1.9 億円
2021年
3月
DBJとの共同投資に方針変更
株式取得予定額 19 億円
決算
Sansanの業績
2021年5月期(連結)
売上高
161
億円
当期純利益
1.8
億円
2023年7月
信託型SO付与者に代替給与を支給。経常赤字に転落

信託型SOの納税問題をめぐって、Sansanに在籍中の社員に限り追加納税分の負担をSansanが請け負う方針を決定。4.9億円の支出を計上して、2023年5月期に3.7億円の経常赤字に転落した。

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