売上
メルカリ:売上高
■単体 | ■連結 (単位:億円)
1,874億円
売上高:2024/6
利益
メルカリ:売上高_当期純利益率
○単体 | ○連結 (単位:%)
8.6%
利益率:2024/6
免責事項
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2013
2月

株式会社コウゾウを設立(現メルカリ)

人物

メルカリ創業者・山田進太郎氏について

メルカリの創業者は山田進太郎氏である。2013年2月にメルカリを創業する前にも会社設立を経験しており、2001年に有限会社ウノウを設立した。ウノウでは2008年に会社売却を実施している。すなわち、山田進太郎氏にとってメルカリの創業は、起業家として2度目のチャレンジであった。

早稲田大学でインターネットに出会う

山田進太郎氏は1996年に東海高校(愛知県の進学校)を卒業し、早稲田大学教育学部に進学。当時はインターネットが普及したタイミングであり、山田進太郎氏もパソコンでインターネットを利用してホームページなどを作成していた。在学中は大学のポータルサイトを制作するサークルに入るなど、インターネットと関わりを持った。1999年にはインターン先の楽天(当時の従業員数は約20名)から内定を得ていた。

当初は楽天に就職予定であったが、同級生が起業支援のNPO団体「Zaiya.com」を立ち上げたことを受けて、山田氏もNPOに携わった。その傍らで、2000年ごろからフリーランスのエンジニアとして日銭を稼ぎ、2001年には有限会社ウノウを設立した。このため、インターネット業界における先端を歩んでいた。この過程で「映画生活」のサービスを開発し、ユーザー同士が投稿できるサイトとして集客に成功。ただし、この頃は1人で運営しており、スケールさせる道は選択しなかった。

ウノウでグロースを目指す

山田進太郎氏はシリコンバレーに約1年間滞在し、現地でレストランの展開を計画していた。ところが、インターネットが好きであることに改めて気づき、ネット業界で旗揚げする方向に修正した。

ウノウを本格展開するために採用活動を開始し、それまで山田氏一人が運営していた体制から、社員17名の体制に拡充した。サービス面では「フォト蔵」をリリースし、ユーザーの獲得に成功した。

そして、2010年にウノウは、アメリカのZynga社に数十億円での売却を決定した。ウノウ社の開発体制が評価され、Zynga社はソーシャルゲームへの開発投資を目論んだ。売却を受けて、山田進太郎氏はZynga社のゼネラルマネージャーに就任した。

ところが、Zynga社への売却後の経営は伸び悩み、2012年1月に山田進太郎氏は同社を退職した。

メルカリの創業

Zynga社の退職後、山田進太郎氏は半年間の世界一周旅行を行い、世界でスマートフォンが普及しつつあることに着眼した。そこで、2013年2月に六本木にて株式会社コウゾウ(現メルカリ)設立し、フリマアプリ「メルカリ」の開発を開始した。

山田進太郎氏の経歴
日時 所属 備考
1977/9 愛知県瀬戸市 生まれ
1996/3 東海高校 卒業
1996/4 早稲田大学教育学部 入学
2001/8 有限会社ウノウ 代表取締役(会社設立)
2010/9 Zynga Japan ゼネラルマネージャー
2013/2 メルカリ 代表取締役社長(会社設立)
2017/4 メルカリ 代表取締役会長兼CEO
開発

実装を開始。プロダクト開発を重視

フリマアプリの開発にあたって、エンジニアを雇って内製化を志向。アプリではiOS/Androidエンジニア、バックエンドではAPIを開発できるエンジニアをTwitterを通じて募集した。そして、2013年2月から実装をスタートした。

山田進太郎氏は、ウノウ時代にテックブログを運用していたこともあり、エンジニアの界隈では知名度がある経営者であった。このため、創業時からメルカリは採用面において優位に立った。2013年3月時点のエンジニアは、大塚慎也氏(Android)、富島寛(アプリ設計全般)などであった。その後、バックエンドに鶴岡達也氏(PHP)が参画するなど、同年7月におけるエンジニアは「10数名」の体制を構築。バックエンドで10名前後、アプリ4名(iOS2名・Android2名)で対応したと推定される。いずれも経験豊富なベテランであった。

なお、メルカリの開発は順風満帆ではなく、2013年1月に実装を開始したものの、同年3月にAndroidにおけるWebView版で開発の中止を決定。ネイティブアプリに書き換えるなど、開発現場は厳しい状況であった。

創業当時の技術スタックは、バックエンドにPHPを使用。創業時のエンジニアが親しんでいたという理由だった。2018年ごろにマイクロサービス化でGo言語に移行(PHPも一部残存)するまでは、PHPを主体としてメルカリのバックエンドのコードが書かれていった。DBにはMySQLを使用しており、PHPはApacheで動く基本的なアプリケーションの構成であった。これは技術選定において、安定稼働を重視し、枯れた技術を意図的に採用する狙いがあった。

なお、表向きは「スマホアプリ」だが、実際のシステムは「エスクロー」を含む決済システムとの連携を前提にしたアプリケーションであり、非同期処理を含めてバックエンドにおける業務ロジックをかなり多く実装する必要があったと推定される。2013年7月のリリース時点におけるメルカリにおけるAPIは95本前後であり、PUSH通知などのバッチ処理も数多く存在していた。(出所:「PHP Conference 2014, 鶴岡氏のセッション)

このため、メルカリを模倣するためには「決済システム連携」「外部システムとの連携時の異常処理」などが必要であり、簡単なUX/UIの一方で、簡単に模倣できるアプリではなかったと思われる。すなわち、開発面における複雑性が、フリマアプリにおける初期の参入障壁であった。

Date 主なリリース
2013/1 「メルカリ」の仕様策定。エンジニアの募集開始
2013/2 実装開始。AndroidでWebViewを採用
2013/4 AndroidのWebViewで開発中止。コード廃棄
2013/7/2 Android版「メルカリ」をリリース
2013/7/23 iOS版「メルカリ」をリリース
2013/11/14 キャッシュの消去機能を追加
2014/1/19 商品のシェア機能を追加
2014/2/4 iOSでiPadに対応
2014/2/4 カテゴリーから探す機能を追加
2014/4/15 クレカ情報の消去機能を追加
2014/4/23 ブランド検索機能を追加
2014/7/31 コメント削除機能・検索サジェストを追加
2014/9/18 ブロック機能を追加
証言
山田進太郎氏(メルカリ創業者)

完全に、プロダクト重視です。例えば、Googleは世界で最初の検索エンジンだったわけではないですし、Facebookが最初のソーシャルネットワークだったわけでもありません。結局、最終的に明暗を分けるのは「プロダクトの質」だと思っています。

だからこそ、「最高のプロダクトを作るチームをいかに作るか」が重要で、それがあるからこそ、資金調達や人材採用、マーケティングといった勝負ができるわけです。やはり、GoogleもFacebookも、今うまくいっているところは、創業者が相当プロダクトにコミットしてやっているところだと思います。逆に、あまり経営っぽい、マネジメントっぽいことに行くとよくないと思っています。

調達

資金調達を実施

2013年6月にベンチャー投資を行うEastVenturesの松山太河氏は、旧知の山田進太郎氏が起業したことを知り、5000万円シード投資を行うことを即座に決定。評価額は山田氏が提示した「7億円くらい」が受け入れられた。

その後、EastVenturesはメルカリに対してオフィスを提供した。これを受けてメルカリは本社を「東京都港区六本木4-11-4六本木ビル304」に移転した。

資金調達によってプロダクト開発の人員を拡充し、15名の開発体制となった。ただし、5000万円の資金調達に対して、エンジニア15名(年間一人当たり推定1000万円のコスト)を雇い続けるには追加調達が必須であった。このため、メルカリをリリースした2ヶ月後の2013年9月には、キャッシュアウト寸前に陥る。

かろうじて、2013年8月に事業会社のユナイテッドがメルカリへの投資を決定し、資金調達に成功。メルカリの調達額は合計3億円(第三者割当増資2.2億円、新株予約権付社債0.8億円)。また種類株式(A種優先株)を発行。メルカリの事業失敗に備えて、Unitedに対して優位な条項があったと推察される。

メルカリ > 創業期の資本政策
date 調達額 評価額 割当先
2013/2/1 2000万円 2000万円 会社設立
2013/3/29 500万円 1500万円 山田進太郎氏など
2013/6/3 5000万円 6.5億円 EastVentures
2013/8/30 2.2億円 15.2億円 ユナイテッド(株)
2014/3/28 14.5億円 82.8億円 グローバルブレイン等
2014/9/10 10.0億円 212.3億円 グローバルブレイン等
2014/9/30 13.5億円 236.1億円 WiL Fund等
証言
山田進太郎氏(メルカリ創業者)

一番大きな理由は、自分のお金と会社のお金の財布が分かれることによる効果です。自己資金だと、人を雇うにも自分の財布から1人あたり1000万円出すみたいな感覚になってしまうので、やっぱり思い切った投資はすごくやりづらくなる。でも、最初の調達があったからこそ、思い切っていい人材を集めようという気になれた

2013
7月

スマホアプリ「メルカリ」をリリース

アプリを優先リリース

約半年間の開発期間を経て、2013年7月2日に、CtoC取引が行えるAndroidアプリ「メルカリ」をリリース。メルカリというサービス名はラテン語の「マーケット」に由来する。

リリース初日の売上品数は16品、流通総額は2万円だった。また、同月内にiPhone向けアプリも展開し、メルカリの事業展開を開始した。

注目すべきは、ブラウザで閲覧できる「メルカリ」よりも、スマホアプリとしての「メルカリ」を先にリリースした点である。ブラウザでのサービスが一般的だった2013年においては思い切った施策であった。これは、メルカリがスマートフォンの普及を重視ていたことに由来する。

プライシング

手数料は「リリース記念キャンペーン」として無料に設定し、売上1万円未満の振込手数料210円のみを徴収。手数料無料のフリマアプリとして思い切った価格施策を決定した。このため、メルカリは手数料(販売手数料)を有料化した2014年10月までは、売上高(手数料収入)0円の時期が続いた。

配送設定

メルカリのリリース時点で、山田進太郎氏はフリマアプリにおける相手とのやり取りにおける煩雑さの解消に重点をおいた。そこで、配送料金の負担について「購入者・出品者」のいずれかを事前に選択するようにし、購入後のトラブルの未然防止を図った。なお、エスクローとして配送に関連するやりとりが「匿名化・自動化」されたのは、2015年のヤマト運輸との提携後であり、2013年時点のメルカリでは住所情報を「出品者・購入者」の両方が知れるという問題が存在していた。

決済方法

メルカリはリリース時点で「クレジットカード」「コンビニ払い」「銀行振り込み」の3種類の決済に対応した。決済代行企業は不明である。

なお、出品者に対する入金は「購入者の評価後」とすることで、詐欺防止を目論んだ。

2014
10月

販売手数料を有料化。売上計上を開始

ユーザーの拡大を受けてメルカリの出品者に対する手数料の徴収を開始。取引完了時点の出品者に対して売上高の10%を手数料として徴収。2014/10/1 9:00以降に出品された商品が対象で、メルカリは収益化のフェーズへ。ユーザーには9/26メールで通知しており猶予期間はわずか4日。プレスリリースは見当たらず。実質的な値上げで、プレスによる発表を回避したと推察される

2014
5月

14.5億円を調達・テレビCMの放映

人事

小泉氏(元ミクシィCFO)が入社

2013年12月に小泉文明氏がメルカリに入社。小泉氏は新卒入社した大和証券を経て、2006年に株式会社MIXI(ミクシィ)に入社。同社のCFOといて株式上場に導いた実績があり、ベンチャー企業の財務責任者としての専門家であった。

小泉氏がメルカリに入社した理由は、メルカリ創業者の山田進太郎氏と古くからの知り合いであったことや、メルカリというCtoCのビジネスがSNSの発展によって広がると判断したからであった。

なお、小泉氏の入社にあたっては、山田進太郎氏が直々にスカウトする形をとっている。2013年11月に山田氏はFacebookを通じて、小泉氏を食事に誘い、その場でメルカリへの入社を提案した。

小泉氏は2013年12月の入社後、2014年3月にメルカリの取締役「Corporate Division長」に就任。広報・PR(マーケティング)・CSを中心にメルカリのプロダクト開発以外の仕事に従事した。

小泉氏はメルカリ入社後、MIXIと同様に株式上場に導いており、メルカリの成長を支えた。この功績により、2017年4月にメルカリ社長(山田氏が会長)、2019年9月にメルカリ会長(山田氏が社長)に就任するなど、2023年の現在に至るまで要職を歴任している。このため、小泉氏はメルカリにおいて山田氏に次ぐポジションを一貫してキープする人物である。

証言
小泉文明氏(メルカリ・会長)

当時のメルカリは良いプロダクトはあるけれど、広報・PRができていない状態だったんです。Winnerになるためには、後輪をどう回していくかがすごく重要になるな、と。もちろん、PRにも力を入れるのですが、認知度を一気に高めてアプリのインストール数を増やし、GMV(流通取引総額)を上げていくには、ペイドメディアを活用した広告にも力を入れていかないといけない。そのためには当然、一定の資金も必要になります。メルカリに入社後、まずは資金調達の交渉とテレビCMの制作を同時並行で進めていきつつ、「テレビCMを放送したら現状のカスタマーサポート(CS)では対応しきれなくなる」と思っていたので、CS仙台オフィスの立ち上げもやっていきました。

調達

グローバルブレインなどから14.5億円を資金調達

2014年3月28日にメルカリ(当時の社員数約10名)は14.5億円の資金調達を実施した。調達に伴うメルカリの推定評価額は82.8億円である。

当時のメルカリは販売手数料を徴収しておらず、売上高は0円であったため、PSRおよびPERの算出は不能であり、プロダクトのポテンシャル(月間流通総額)が資金調達の根拠になったと推定される。資金調達時点でメルカリのDL数は150万件(月間流通総額は数億円)を突破していた。

投資に応じたのは、グローバルブレイン、グロービス、伊藤忠、GMOベンチャーズなどであり、VCが中心であった。資金調達に合わせて、グロービスの高宮氏がメルカリの社外取締役に就任した。

なお、メルカリは資金調達にあたって、前回の調達と同様に種類株式の発行(B種優先株)による第三者割当を選択した。種類株の発行を選択した理由は、資金調達の金額が当時としては大きく、投資家が損失を被らないように、種類株式の保有者に対して優位な条項を設けたものと思われる。

資金用途は広告宣伝費4.5億円(テレビCM3億円・オンライン1.5億円)と、カスタマーサービスセンターでの人員採用、アメリカ展開における準備などであり、プロダクトのスケールのための投資を意図した。

証言
小泉文明氏(メルカリ・会長)

入社から3カ月間はこれらの事柄に全力で取り組み、やりきったという感じです。結果的に2014年3月末に14.5億円の資金調達を実行し、ゴールデンウィーク明けにはテレビCMを開始し、そこから一気にサービスを伸ばしていくことができました。

投資

カスタマーサポートセンターを仙台市に新設

CSを重視

2014年4月にメルカリは仙台市青葉区にて「カスタマーサポートセンター」を新設することを決定した。2014年12月末までに50名の採用を予定し、将来的に100名規模での運営を視野に入れた。発表時点でメルカリのDL数は150万件であり、急成長の最中にあった。

カスタマーサポートセンターに投資した理由は、テレビCMの放映を前に、顧客からの問い合わせに備えるためであった。メルカリはテレビCMの放映にあたって第三者機関の審査に通過することに苦戦しており、カスタマーサポートセンターの体制があることがCM放映において必須であったことも理由であった。

なお、CSチームは「お問い合わせ対応」と「規約違反対応(商品削除など)」のチームに分かれており、前者は50名体制で対応。後者は20名+業務委託によって対応する形であり、CSチーム内における役割を明確化した。なお、お問い合わせ対応では「当日18時までの問い合わせは、当日中に連絡する」「不具合の場合も48時間以内に返信する」ことが掲げられた。したがって、CSとエンジニアチームの連携がスピーディーに行われていたと推察される。

また、出品時の異常検知のための開発にも積極投資をしており、2014年には監視機能が実装されている。この点で、カスタマーサポートを自動化するための開発投資も相応に実施されていたと推察される。

仙台拠点について

仙台にサポートセンターを新設した理由は、表向きには「東京から90分圏内(新幹線利用)」であり、様々な企業のサポートセンターが集積しており採用面でメリットがあっためであった。ただし、真意は、カスタマーサポートにおける人件費の節約(東京と比べて地方の賃金が安い)のためと推定される。

なお、仙台拠点の新設当時における雇用契約は不明であるが、2018年の時点で、仙台拠点の人員の大半が正規雇用者であった。ところが、2019年以降は正規雇用者の減少と、臨時雇用者の増加が進むなど、コスト削減が本格化した。その後、2023年3月にメルカリは「仙台オフィスの閉鎖」を検討していることがメディアにリークされて議論が紛糾するなど、カスタマーサポートをめぐる位置づけは、時期によって変化している。

カスタマーサポートの施策(推定)
Date Type Action
2014/3 CS CS50名の採用決定
2014/3 開発(バッチ処理) 不適切商品の自動抽出
2014/3 開発(社内管理画面) 禁止用語のアラート
2014/5 CS 仙台CS拠点を稼働
2014/7 開発(社内管理画面) 出品停止機能を追加
2014/11 開発(社内管理画面) 模造品の削除強化
2015/2 開発(アプリバックエンド) 再登録防止システム
出所:メルカリ:カスタマーサポートの取り組みを中心に | 2015/3/20
投資

テレビCMの放映を開始。キャンペーンを併用

2014年5月からメルカリは初のテレビCMの放映を開始した。クリエイティブは「2人の再会」篇と「お土産だった」篇の2つであり、起用した俳優はテラスハウス出演者だった「菅谷哲也・筧美和子」の2名。

また、テレビCMの展開に合わせて、総額300万円があたる(出品者向けの還元措置)のキャンペーンを展開した。購入者ではなく出品者向けのキャンペーンを展開した理由は、メルカリのKPIに「出品者数」を設定したためである。フリマアプリは出品数が多いほど優位性が機能することに由来する。

テレビCMの放映の効果は発揮され、放映日には「AppStoreアプリランキング」で4位を確保。放映月の2014年5月15日〜6月14日の1ヶ月間でアプリDL数が100万件を記録した。

ただし、テレビCMの放映が終了した月にはDL数が低下に転じるなど、効果は一時的であった。そこで、メルカリは2014年秋にもテレビCMを放映し、DL数を増大させた。このため、テレビCMの放映によって「新規ユーザーの獲得」を実現し、継続的なキャンペーンで「リピーターを確保する」施策をとったと思われる。

なお、継続的なキャンペーンとしてはDL数の節目に実施された。この結果、DL数はテレビCM放映時における閑散をのぞき、認知度の拡大とともに徐々に増加した。

期間 内容 還元
2014/5/10-25 CM放映記念 総額300万円分出品キャンペーン
2014/6/6-12 300万DL突破記念 最大10万円分のポイントがあたる
2014/7/2-9 ありがとう1周年記念 総額300万円分出品キャンペーン
2014/9/25-30 500万DL突破記念 毎日総額100万が5000人にあたる
2014/10/11-23 CM放映記念 総額1000万円分出品キャンペーン
2014/11/14-26 CM放映記念 出品キャンペーン・10000円分をゲッツ
2014/12/3-12/7 700万DL突破記念 3万円分のポイントがあたる
出所:メルカリ公式(@meracri_jp)のTweetより
2014
Mercari, Inc.を設立(米国)
2015
3月

本社を六本木ヒルズに移転

著名ビルに入居して人員採用を強化

2015
ヤマト運輸と提携
2015
Mercari Europoe Ltd.を設立(英国)
2015
9月

完全子会社ソウゾウを設立

CtoCのメルカリ以外の新規事業を本格化。特にシェアサイクルの「メルチャリ」に投資するも撤退へ

2017年
11月
メルカリNOWのサービス開始
2018年
2月
メルチャリのサービス開始
2018年
4月
teachaのサービス開始
2018年
8月
メルカリNOWのサービス終了
2018年
8月
teachaのサービス終了
2019年
6月
メルチャリを事業譲渡
2019年
6月
完全子会社ソウゾウを清算
2016
3月

83.5億円を資金調達

背景

国内GMV100億円を突破

2016年にメルカリは国内における月間GMV100億円を突破し、創業3年目にして順調な成長を続けていた。競合のヤフーが展開する「ヤフオク」は月間GMVが約660億円であり、メルカリがヤフーを猛追していた。

そこで、メルカリは順調な国内のメルカリ事業に加えて、国内では新規事業、海外ではメリカリのグローバル展開にそれぞれ本格投資を行うため、資金調達を決定した。

調達

評価額1226億円で資金調達

2016年3月にメルカリは第三者割当増資を実施し、三井物産などの投資家から83.5億円を資金調達した。調達時におけるメルカリの評価額は推定1226億円であり、非上場企業ながらも時価総額1000億円を超える「ユニコーン」になったことで注目が集まった。

また、2016年8月にメルカリは三井住友銀行などからの借入により55億円を調達。推定だが、銀行からの借入調達によって、金融領域の新規事業に参入する上で、その裏付けとなる財務基盤を整える狙いがあったと思われる。

2016年を通じてメルカリは、増資と借入を合わせて合計138億円の調達を実施し、投資のための財務基盤を整えた。この調達により、メルカリは「ベンチャー企業」から、ヤフーや楽天から競合として注視される大手企業となったと推定される。

販促

年間100億円を超える広告宣伝投資

2016年以降もメルカリは一貫して広告宣伝費への積極投資を持続した。2016年6月期は年間68億円、2017年6月期には年間141億円を広告宣伝費として計上しており、マーケティングを重視するコスト構造を継続した。この結果、売上高に占める広告宣伝費の比率は50%を超えた。

広告宣伝費の内訳は、2016年6月期を例にとると、ポイントによる費用が17億円、その他(広告出稿が中心推定)が51億円であった。すなわち、メルカリの利用時に付与するポイントでリピーターを確保しつつ、新規顧客はテレビCMなどのマーケティングを通じて認知を獲得する予算配分と推定される。テレビCMでは、2016年から2017年にかけてクリエイティブを頻繁に変更(月に1回、新しいストーリーを放映)しており、広告宣伝費の相当額を投資したものと思われる。

海外の広告宣伝費について、広告宣伝費に占める「日本・海外」の割合は非開示であり、連結に含まれるため内訳は不明である。ただし、メルカリが進出した「アメリカおよびイギリス」においては、この時期は手数料0円で運営しており、損失額に「広告宣伝費・決済手数料・その他費用」が含まれることから、損失額の大半が広告宣伝費という推定も可能である。

メルカリ > 売上高・広告宣伝費
FY 売上高(a) 広告宣伝費(b) (b)/(a)
FY2015 42億円 41億円 97.6%
FY2016 122億円 68億円 55.7%
FY2017 220億円 141億円 64.0%
2016
三井住友銀行などから55億円を借入調達
2017
年間141億円を広告宣伝費投資
2017
メルペイを設立。決済の内製化に注力
2018
6月

東証マザーズに株式上場

上場初日の終値ベースで時価総額7100億円を突破。ベンチャー企業の大型上場として注目を浴びたが、半年後に株価1/3へ

2017年
7月
東証に対して上場申請(年内上場が目標)
2017年
12月
資金決済法に抵触の疑い(年内上場が頓挫)
2018年
6月
東証マザーズに株式上場
2018年
6月
上場初日の評価額7172億円
2018年
12月
赤字拡大で株価が1/3に暴落
2018
11月

マイケル社を買収

自動車関連SNSサービス「CARTUNE」を展開するマイケル社(FY2019の営業赤字2億円)を12億円で買収。しかし、2020年6月時にのれん減損を計上した上で、イード社への事業売却を決定

2018
7月

マイクロサービス化の開始を公表(re-architectureプロジェクトの推進)

マイクロサービスアーキテクチャの導入背景

メルカリは世界展開にあたって、コードを疎結合にするためにNetflixの事例を参考に、マイクロサービスアーキテクチャの採用を決定し、モノシリックなアーキテクチャからの脱却を目指した。

同時にサーバーサイドの言語をPHPから、静的型付けのGo言語に移行(Goの採用はメルペイが先行)し、サーバーはSakuraからGCPに乗り換え、Routingと認証ではAPIGatewayを新たに導入することで、当時としては先端と言われる技術スタックに切り替える方針を発表した。このため、メルカリは先端技術を採用したweb企業として、一時的な注目を集めるに至った。

マイクロサービスへの移行

着手の手順としては、まず最初にメルカリUSにおけるマイクロサービス化を実施し、つづいて国内のメルカリについては検索機能などの一部をマイクロサービスに切り出し、徐々にアーキテクチャを移行させていった。ただし、2022年の現時点でもメルカリではモノシリックなアーキテクチャでphpのコードが稼働しており、完全なリプレイスを達成したわけではない。

アーキテクチャの刷新の背景には、メルカリの開発体制の大型化に伴う、エンジニア組織の再編を行うという狙いがあった。数百人のエンジニアが「メルカリ」という1つのプロダクトないし、派生するプロダクトに関わることが予想される中で、コードの複雑化は不可避になりつつあった。

そこで、エンジニア採用におけるアトラクト、グローバル展開を見据えた疎結合なアーキテクチャを実現するための手段として、マイクロサービスを導入したと推察される。ただし高負荷な既存サービスを稼働させつつの移行であり、数年がかかりのPJとなった。

マイクロサービスの帰結

メルカリのマクロサービス化によって、国内のwebエンジニアの間ではマイクロサービス化が議題に挙げられることが多くなり、2010年代後半のweb企業における技術選定に大きな影響を与えた。

ただし、多くの国内IT企業においては、グローバル展開を志向していないことや、単一サービスの提供が基本であること、ビジネスを前提とした領域区分の難しさに直面することが多く、結果としてマイクロサービスの導入による「サイロ化」が課題として露呈するようになった。このため、2022年頃にはマイクロサービスにおける設計ブームは一巡し、モノリスによる原点回帰なアーキテクチャを採用する企業も増加する形となった。

証言
若狭建氏(メルカリ執行役員・メリカリジャパンCTO)

メルカリには「変更が容易なソフトウエアを作る」という大きなチャレンジがありました。そこで2018年の8月にマイクロサービスに舵を切ったんですよ。それで、「じゃあマイクロサービスを実現するための組織とは」という話をして、各モジュールが自律的に機能するのと同様に、組織もそれと同じ構造にしようとしていたんです。「逆コンウェイの法則(※)」というやつですね。(略)

でも、これは上手くいったかどうかは抜きにして、個人的にはかなり野心的な挑戦だったなと思います。やっぱりソフトウエアとエンジニア(人)は違うんですよ。同じように扱うのは難しい。前職のGoogleを振り返ってみると、誰もマイクロサービスとか言ってなかったんですよ。(略)

そう。でも、思い起こせばエンジニア一人一人はかなりマクロなサービスを触ってたんです。つまり「組織の話と作っているものの話って、そこまでリンクしてないんじゃない?」と思ったりするわけです。で、モノリスからマイクロサービスに切り出そうとしたときに、どう切ればいいかなんて誰も分からないじゃないですか。この切り方で良いのかなんて分かんないけど、とりあえず切る。マイクロサービスと組織は相似形でやりたいから組織も同じように切る。でも、後で「この切り方は間違いだったね」なんて話もあるわけです。すると、ソフトウエアは100歩譲って直せばいいですけど、組織は簡単には直せないじゃないですか。「チームAの一部をチームBに合流させよう」と言ったって、そこにはいろいろな調整が発生して、数週間、ときには数カ月を要することもあります。

2018年
5月
Web re-architectureプロジェクトを開始
2019年
6月
マイクロサービスのリリース開始(Web)
2022年
6月
Webにおけるマイクロサービス化が一巡
2019
7月

鹿島アントラーズの株式取得

メルカリの認知向上のため、サッカークラブの運営に参入。株式61.6%を約15億円で取得すると発表。取得先は大株主の日本製鉄(新日本製鐵)から

2019
10月

フリマアプリの競争激化

2019年10月にヤフーが「PayPayフリマ」のサービス提供を開始してメルカリに宣戦布告。PayPayフリマは2022年10月までの3年間でダウンロード数1500万件を突破し、スマホのフリマアプリをめぐる競争が激化へ

2020
メルペイがOrigamiを買収
2020
7月

BASEの株式6%を約70億円で売却

保有していたBASE社の株式を完全売却。売却先はメルリリンチ証券で市場外取引による。FY2021にメルカリは投資有価証券売却益(特別利益)として70億円を計上

2021
5月

情報漏洩・不正決済が継続的に発生

2017年の個人情報流出(CDN設定起因)

開発基盤におけるCDN(Fastlyと推定)切り替え作業中に「Cache-Control: private」の削除漏れで、異なるアクセスに対して個人情報が全世界に配置されるCDNにキャッシュされる問題が発生。影響範囲はwebブラウザ版のメルカリで、「マイページをクリックしたら他人のアカウントのページが表示された」という問い合わせにより発覚。459名の「名前・住所・メールアドレス・電話番号」等が流出した疑い。クレジットカード情報は下4桁の番号流出あり。なお、推察だが、恒久的な対応策は、個人情報ページにおけるCDNの利用停止と思われる

2021年の個人情報流出(CI/CDツール起因)

2021年に開発のCI環境におけるテストコードのカバレッジを計測する外部ツール「Codecov」の脆弱性が発覚。CIを通じてGitHubの認証トークンが露呈し、プログラムにハードコードされた一部の個人情報が流出した。本来はCodecovの脆弱性問題だが、今回の場合、メルカリはDBに保持すべき個人情報を、プログラムにハードコードし、GitHubのcommitログとして残してしまった点が大きな問題であった。

不正アクセスの実際の手口はシンプルである。悪意のある第三者がCodecov経由で、GitHubの認証を取得し(以下略)。GitHubにpushされたコードのうち、個人情報がハードコードされた(DBに格納されずにプログラムに記載された)情報について、情報流出が発生したと推察される。また、メルカリの運用中のコードの閲覧も可能な状況だったと推定される。攻撃実施期間は、2021年1月〜4月にかけて。

主な流出情報は、2013年8月5日〜2014年1月20日に実行された個人の銀行口座情報(1.7万件)や、メルカリ及び子会社の社員の氏名・電話番号など。

恒久的な対処策は、Codecovの利用停止(カバレッジツールなので停止しても支障はきたさない)およびGitHubにおける個人情報を含むcommitの削除(GitHubに連絡の上実施)と推定される

2022年の不正決済

フィッシング詐欺やクレカの不正利用(番号盗用)が横行し、メルカリは半年間(2022年1月-6月)で32億円の補償を発表。クレカで3Dセキュアの導入などで対処へ。

2017年
6月
個人情報の流出を公表
流出件数 459
2021年
5月
個人情報の流出を公表
流出件数 1.7 万名
2022年
8月
不正決済による補償(損失)
6ヶ月間の補償額 32 億円
2021
6月

Mercari, Inc.で巨額減損を計上

米国事業の苦戦

2015年のUSにおけるサービス開始以降、一貫してメルカリは北米展開で苦戦を強いられている。2020年のコロナウイルスの蔓延とともに、一時的に流通総額が上昇したものの、その後は低迷が続いており打開策を見出せない状況にある。

この結果、2021年6月期のメルカリ本社(単体決算)において、100%子会社の米国事業について経営不振により78億円の減損損失を計上した。FY2018の関係会社株式(Merucari, Inc.など)103億円の減損損失の計上に続き、巨額減損を計上する形となった。ただし、連単で相殺されるため、連結における減損損失の計上は無い。

機関投資家による公開質問・メルカリ株式売却

メルカリの大株主であるLuxor Capital Group LP(Douglas Friedman・Partner)は、山田進太郎氏とオンラインで対談。その後、Luxor Capital Groupはメルカリの株式の大量売却を開始し、2021年6月時点の保有比率7.53%→2022年8月時点の同3.17%へと大幅に減少。実質的にメルカリを投資対象として見限った可能性が高い。

証言
D.Friedman氏と山田進太郎氏の質疑応答

D.Friedman氏:メルカリの株価がアンダーパフォームしている要因として、投資家の期待がグロースよりも利益の創出にシフトしてきていると思う。今後、メルカリはどのようにして利益を創出していく計画か?

山田進太郎氏の答:我々も投資規律をアップデートしており、業績予想から計算すれば分かる通り、4Q は損益が大きく改善する見込みを立てている。マーケティングだけでなく、コスト全般を見直し、筋肉質な体制を目指している。投資についても半年ほど前まで行っていたような全方位に積極的な投資モードから、特に新規事業については慎重に見極めながら投資をするように変更している。グループ全体としての黒字化を目指すという話ではないが、世の中的な流れを受けて、我々も投資の考え方をアップデートしたということ。一方、周りの状況も刻々と変化しているので、その中でチャンスがあれば投資をしていくことも検討する。

2018年
6月
Mercari, Inc.で減損を計上
減損損失 103 億円
2021年
6月
Mercari, Inc.で減損を計上
減損損失 78 億円
2021
3月

完全子会社ソウゾウを設立(2代目)

背景

コロナによる事業者向けECニーズの顕在化

2020年のコロナウイルスの蔓延によって、小規模事業者のECニーズが顕在化する形となった。そこで、メルカリは「小規模事業者」向けの新しいサービスの開発を決議する。提案を主導したのは、石川佑樹氏(のちのソウゾウCEO)と推定される。

証言
石川佑樹氏(ソウゾウ・CEO)

きっかけの1つはコロナ禍です。決済サービス「メルペイ」の加盟店など、様々な事業者の声に耳を傾けていくと、「オフラインでの営業が厳しくなってしまった」と。そこから、「メルカリというプラットフォームを活用して、何とか解決できないか」という意見を多くいただいていたんです。

設立

2代目ソウゾウを設立

2021年3月にメルカリは完全子会社としてソウゾウ(2代目)を設立した。設立の目的は国内向けの新規事業の開発であり、BtoCのサービスとして「メルカリShops」の新規開発をスタートした。

従来のメルカリはCtoCであったが、メルカリShopsではBtoCのビジネスであった。したがって、メルカリShopsは「加盟店」として店舗を確保する必要があり、従来のメルカリでは不要であった「加盟店審査」を行う点でも、新しいビジネスであった。また「メルカリ」という集客力のあるプラットフォーム上に出店できることから、集客力の弱い加盟店に利用されることを目論んだと思われる。

サービスの開発のために、ソウゾウのCEOにはエンジニア出身の石川佑樹氏(Yuki Ishikawa氏)が就任した。

開発

メルカリShopsの新規開発を開始

ソウゾウの設立と同時に、メルカリShopsの新規開発を開始した。開発面で特筆すべきは、メルカリのAPIを叩きつつも、メルカリShopsは「メルカリの外部サービス」として位置付けた点にある。すなわち、加盟店が新規作成された場合に、その管理はShopsで行う一方で、必要に応じてメルカリ側のAPIを実行するアーキテクチャであった。(出所:メルカリengineering 2022/2/10)

また、開発にあたってドメインを分割。プロダクトに係る「Product Team」と、技術的な意思決定にかかる「Enabling Team」に分割した上で、Product Team内部で「Matching Domain(検索改善と推定)」「Seller Domain(加盟店周りの実装と推定)」「Buyer Domain(決済時の加盟店連携周りの実装と推定)」に分割し、それぞれにPM・engineer・designer・QAを配置する組織を構成した。Enabling Teamはインフラ基盤の整備に従事したと思われる。

メルカリShopsの新規実装における、開発体制(推定)は表の通り。

メルカリShopsの推定開発体制(2021年頃)
name role memo
石川佑樹氏 ソウゾウCEO 2023/5にCEOを退任
名村卓 ソウゾウCTO 2022/6にメルカリを退職
@camy Technical Product Manager
@unryu-in Product Manager 2022/7メルカリ執行役員に就任
@keigow Software Engineer
@dragon3 Software Engineer Infra
@napoli Software Engineer
@hiroppy Software Engineer Frontend
@motokiee Software Engineer Backend&Frontend
@wakanapo ML Engineer ML
出所:mercan:「新会社ソウゾウ立ち上げ期、いま率直にどうですか?」をメンバーに聞いてみた! | 2021/4/28
開始

メルカリShopsをリリース。手数料を10%に設定

2021年7月にメルカリは「メルカリShops」を限定公開した。そして2021年10月に「メルカリShops」を公式リリースするとともに、一般公開した。

集客のために、加盟店向けの販売手数料を3ヶ月無料にするキャンペーンを実施し、店舗獲得を目論んだ。なお、メルカリShopsの手数料は、店舗開設・月額利用料は無料にする一方、販売実績の金額に対して10%に設定された。同業他社の楽天などが7%未満の手数料であるのに対して、メルカリShopsの手数料は「割高」に設定されたことを意味する。

リリース当初からメルカリShopsは加盟店を獲得。2022年4月時点でメリカリShopsへの出店数は20万店を突破したと発表された。だが、2023年6月に至るまで「20万店突破」の数値を公表しており、30万店には至っていないと推定される。よって、メルカリShopsの潜在的なニーズは、サービス開始から1年でとり尽くしてしまった可能性がある。

結果

20万店で頭打ちか?減損28億円を計上して従業員を100名削減

2023年6月期において、メルカリは有価証券報告書において子会社ソウゾウの従業員数を開示。前年との比較で正社員100名が減少しており、ソウゾウに従事する人員を大幅に削減したことが明らかになった。理由は非開示だが、加盟店数の伸びが想定よりも下回ったためと思われる。

2022年6月期にはソウゾウにて減損損失28億円を計上した。内訳は非開示だが、人件費と広告宣伝費による損失が大きかったと推定される。赤字計上によりソウゾウの純資産の部が毀損した結果、親会社のメルカリが資産ベースでソウゾウの再評価を行い、減損計上に至ったと思われる。

人員の削減の内訳は非開示であるため、詳細は不明である。推定されるのは、ソウゾウにおける「メルカリShops」の新規開発が一巡したことによる人員削減ないし、「メルカリShops」への新規機能の拡充やサポートを不要と判断した可能性もある。削減された人員は、メルカリ本社などに転籍したと推定される。

人事

石川佑樹CEOの退任。藤樹CEOの就任で営業強化へ

2023年5月にソウゾウのCEOとして藤樹賢司氏が就任した。藤樹氏はEC営業の経験が豊富であり(ソウゾウでは営業本部長を歴任)、メルカリShopsの店舗獲得を重要KPIに据えた可能性がある。すなわち、メルカリShopsにおいて加盟店獲得が思うように進んでいないため、営業経験者をトップに据えたと推定される。

CEOの交代を受けて、前CEOの石川氏はソウゾウのCEOを退任した。石川氏はエンジニア出身であり、2021年のソウゾウ設立時からCEOを歴任していた。すなわち、メルカリShopsの新規開発が終了したことを受けて、退任したと思われる。

その後、石川氏はメルカリの執行役員に就任し、メルカリ本社における「生成AI/LLM専任チーム」の組織形成に携わっている。よって、石川氏はメルカリShopsの開発における貢献が評価され、メルカリ本社の執行役員に抜擢されたと推察される。

2023
6月

未収入金が増加

メルペイを通じた「定額払い」「メルカード」の提供により、後払いの増加によって未収入金がYoYで353億円増加。この結果、営業キャッシュフローはマイナスとなり悪化した。

また、FY2023期末時点の貸倒引当金は54億円であり、あと払いによる潜在的な財務リスクが発生

2025 (c) Yutaka Sugiura