2010年7月23日に学生団体を法人化する形で「株式会社トライフ」を設立した。これは、事業面におけるワンキャリアの創業に相当する。
創業者は、のちにワンキャリアを設立した宮下尚之(みやした・たかし)氏であり、トライフの設立と共に同社の代表取締役に就任した。ただし、宮下氏は2011年7月までマースジャパンに就職しており、トライフの代表取締役ではあったが、実際の業務は「大学の後輩(=大学生)」に任せきりの状態であったという。
主なトライフの事業内容は、就活イベント企画やアウトソーシングなどであり、2015年ごろまで宮下氏が経営する就活事業の中核をなす会社であった。したがって、就活領域を事業化するコンセプトは、ワンキャリアの設立時点ではなく、トライフの創業時点が起点となっている。
創業期のトライフの経営は厳しい状況にあった。2009年に発足した学生団体が、企業と法人取引をするために設立された会社であったが、2011年を通じて経営状況が悪化。宮下氏はマースジャパンを退職し、トライフの代表取締役として経営再建に専念する道を選択した。会社清算を選ばなかった理由は、取引先に迷惑をかけたくなかったためであったという。
トライフの経営再建の軸は、後述する就活メディア「Carippo!」の運営開始であった。就活メディアを自社で運営することで、高学歴な就活生(主に京都大・大阪大・神戸大の京阪神3大学)の母集団形成を行い、大学生を採用したい企業に対して「就活母集団を販売する(=会社説明会の開催)」をサービスとして提供した。
ただし、就活母集団の形を軸とした「法人への集客販売業」は、季節性(就職活動の閑散期における問題)の課題や、労働集約的である点、高学歴層へのアプローチでは市場が限定的な点などにより、トライフの経営状況はなかなか好転しなかったものと推察される。
後述する理由により、2015年に宮下氏は新会社として「ワンキャリア株式会社」を設立し、トライフの事業を継承した。その後、トライフはワンキャリアが提供するサービスの販売に従事したが、2019年に法人格消滅(清算結了)により消滅した。
このため、法人格としてのワンキャリアの会社設立は2015年であるが、事業面における実質的な創業はトライフ設立の2010年にあたる。また、トライフとワンキャリアには資本関係はなく、共に宮下氏が株式を保有する形であったと推定され、宮下氏による「就活事業のグループ企業」という側面がある。
とても良い環境で働いていたのですが、マースに在籍したのは1年3ヵ月くらい。入社翌年の2011年7月に退社したので、かなり早い転職ということになります。理由は、トライフの経営状況が悪化してきたことでした。主にイベントや新卒採用のサポート、アウトソーシングを手がけていて、顧客は数十社、大学生の利用者も数千人単位でいました。そういった関係者に迷惑はかけられないので、代表である自分が経営に専念して立て直す判断を下しました。(略)
経営に専念してからも最初の3年ほどは私を含めて二人体制でした。その当時考えていたのは、会社をつぶさないことだけでした。
2011年8月にトライフは「Carrippo!」(http://carippo.com/)のサービス提供を開始し、就活生向けWebメディア事業に参入した。
Carippo!は、就活を経て内定を獲得した学生が体験談を寄稿し、これらを後輩に相当する学生が閲覧するというサービスであった。コンテンツの中心は「内定者ブログ」であり、約100名の内定者が有名企業(外資企業・テレビ局・大手商社など)の内定体験談を寄稿するメディアを志向した。
実際の記事タイトルとしては「起業も世界一周もしてないやつは一生懸命グミでも食ってろw~僕が第一志望を短パンで受けた訳~」といった学生ノリな記事が人気を集めた。なお、この記事の執筆者はクドウナオヤ氏(2012年千葉大卒業→電通入社)であり、有名企業の内定者の寄稿が支持を集めていた(注:同氏は2023年時点でも電通に勤務)。
また、Carippo!を通じて、学生が有名大手企業の会社説明会にエントリーする導線も準備。このため、トライフは「就活生の母集団にアプローチしたい大企業」を顧客するwebメディアを運営する形となった。
リアルな対面のセミナー(グループディスカッション対策)も開催しており、対象の大学は「大阪大学」「神戸大学」「京都大学」であった。このため、特定の大学に限定することで、有名企業に就職したい(かつ東京への交通費を捻出しにくい)関西の学生の母集団を形成し、良質な母集団を望む企業に提供していたと思われる。
Carippo!では認知度拡大のために2011年から「リク美女カレンダー」のコンテンツをスタート。日刊SPA!などの(そちら系な)週刊誌が取り上げたことで認知を獲得した。なお、2011年当時はWeb界隈において「美人時計」などのメディアが流行しており、先行事例から着想を得たものと推察される。
この結果、Carippo!は「リク美女カレンダー」を軸に就活生を集客し、その母集団を有名企業に販売(集客支援)するビジネスを軌道に乗せることを試みたと思われる。
なお、メディア運営(キャッチーな記事・コンテンツ)によって大学生を集客し、就活生の母集団を形成するアプローチは、2015年に設立されたワンキャリアにも受け継がれた。
トライフは、コミュニティ型の就活メディア「Carippo!(キャリッポ)」と人と人がリアルに出逢うキャリアイベントを関西・関東で展開しています。常に顔が見える関係性を大切にし、学生一人ひとり”らしさ”を尊重しながら企業様の “らしさ”をブランドとして、ちゃんと伝えていくことで、互いのビジョンを共有した上での、かけがえのない出逢いを創っていきます。今年からは、経営陣を新たに迎え新卒採用領域にとどまることなく、コミュニティを基盤とした様々な事業やサービスを展開していきます。ビジネスを通じて、少しでも未来を照らすことができるよう精進しますので、今後ともご支援ご指導を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
宮下氏によれば、株式会社トライフの経営は2名によって運営されたと公言しているが、2012年6月時点の経営体制は4名で構成されていた。主力である2名に関しては、CEOとして宮下氏が経営に従事し、AccountManagerとしてO氏が事業に従事した。なお、宮下氏およびO氏はともに、大学生時代に「KOBE SALON COLLECTION」というイベントの運営に携わっていたという共通点がある。
2012年6月時点において、他の経営陣2名(CXO)に関しては、M氏(CMO)と高木新平氏(CCO = Chief Creative Officer)である。フルタイムによる就業形態であるかは不明であり兼業CXOの可能性もあるが、当時の公式ページには両名の役職が記載されており、トライフの経営陣としてCXOの職責を担ったと推定される。
2014年までにM氏(リクルートに転職)、高木新平氏(ニューピースを起業)、O氏(現・上場企業に転職)の3名がトライフの役職を退任した。このうち、高木氏は2012年後半に離脱したと推定され、M氏は2013年前半、O氏は2014年にそれぞれ離脱したと思われる。最終的に、2014年の時点でトライフは宮下氏のみがCEOとして残される形となり、CXOにおける大量離脱が発生したことを示唆する。なお、高木新平氏はワンキャリアの社外取締役を歴任しており、ワンキャリアとの関係性を保っている。
2012年から2014年にかけて、トライフでCXOの大量離職が発生した理由は不明である。ただし、この時期に宮下CEOは「ワンキャリア」のサービス展開を本格化させており、就活生の口コミの展開を決定していた。このため、経営方針の転換が、影響した可能性も考えられる。
2015年に新会社ワンキャリアを設立し、トライフで行っていた事業を譲渡。その後、トライフは営業会社として存続するが、2019年に清算の結了により法人消滅した。消滅時点の本社所在地は、東京都渋谷区道玄坂2丁目10番7号新大宗ビル1号館10階であり、ワンキャリアと同じ所在地に存在した。
2013年に宮下尚之氏は、株式会社トライフを通じて、新卒採用におけるメディア「ONE CAREER」の運営を開始した。
ワンキャリアが「就活のクチコミサイト」としての特色が明確になったのは、2014年ごろからと思われる。2014年の時点で宮下氏は、食べログのように、就職活動でもクチコミが重視される時代が到来することを予見した。
しかし、就活のクチコミは「企業に対するクチコミ」を意味しており、企業からのクレームも予想されたことから、ワンキャリアの構想に反対する意見もあったという。この中で、宮下氏は就職活動にも「透明性」が求められる時代が到来することを考え「クチコミ」という軸をブラさなかった。
2015年に宮下尚之氏は、株式会社ワンキャリアを設立し、株式会社トライフで行っていた「ONE CAREER」のサービスを譲受。キャリアデータを軸に、web事業に集中投資する方針を決めた。
データを軸にしたビジネスの着想について、宮下氏の大学時代の知り合いである佐藤裕介氏(hey代表取締役)の後押しもあったという。佐藤氏は、のちにワンキャリアの株式を7000万円で一部取得し、大株主となった。
組織面では採用を積極化し、2016年3月末時点で従業員数は8名となった。また、2014年から2015年にかけて、長澤有鉱氏(ワンキャリア・取締役副社長)、北野唯我氏(ワンキャリア・取締役)といった人物がワンキャリアに参画している。一方でトライフ時代のCXOはワンキャリアに参画せず、結果として経営層を刷新する形をとった。
2015年時点でスマホが大学生の間で普及しつつあり、宮下氏はスマホ対応の重要性を認識していた。このため、ワンキャリアの展開にあたって、スマホにおける機能開発・UX/UIを重視したと推察される。
2013年ごろから宮下氏は、グッドパッチの創業者である土屋氏と面識があったこともあり、UX/UIではグッドパッチがワンキャリアのサービス開発に寄与した。
当時のワンキャリアのシステム開発は、受託会社の活用ないし業務委託が主軸であり、デザインについても外部企業を活用する道を選択した。
また、SNSでシェアされることを前提としたメディア運営による認知度の向上を図ったと推察される。当時の就職活動メディアにおいて、SNSでのシェアを前提としたサービスは少なく、同業他社と比べてワンキャリアが台頭する一つの要因になった。
ワンキャリアは設立2年目の2017年3月期決算で、売上高2.9億円に対して、経常利益1.2億円を計上し、非上場企業ながらも好決算となった。
背景には、ワンキャリアがwebメディアとして、SNSを通じて学生の集客を順調に行なったことがある。2016年を通じてワンキャリアはメディア記事の量産を重視し、外部からの寄稿者を中心に認知を拡大した。影響力のあった記事としては、下記が挙げられる。
『【企業別合コン男子マップつき】一般職女子ってどんな生活してるの?「年収は総合職より上」「合コンは週1回」赤裸々な実態』
『「ゴールドマン・サックスを選ぶ理由が、僕には見当たらなかった」トップの就活生が今、外銀・外コンを蹴り商社へ行く3つの理由』
この時期は、オウンドメディアが流行していた(=GoogleでのSEO対策が容易であった)ことも追い風となり、結果として学生における、ワンキャリアというサービスの認知度が高まったと思われる。
なお、ビジネス面におけるワンキャリアの顧客は、新卒採用を積極的に行う日本の大企業であり、提供されるサービスは「ワンキャリアへの広告出稿など」と推察される。
ワンキャリアという媒体の中で、顧客企業が「会社情報」や「求人情報」を掲載する対価として、ワンキャリアは売上を計上する。2020年の時点でワンキャリアは日本たばこ(JT)は売掛金残高1143万円があることを公表しており、大企業に対する「直接取引」による売り上げが、ビジネスの支柱と言える。
2018年に田中晋太郎氏がエンジニアの正社員として入社し、ワンキャリアはプロダクト開発の内製化を開始した。それまでのワンキャリアでは、ディレクション業務のみ自社で担っており、開発を外部企業(ソニックガーデン)や業務委託のフリーランスに任せていたため、開発に関するドメイン知識が社内に蓄積されないという問題を抱えていた。
2019年を通じてSESによるエンジニアの確保を目論んだものの、定着率が悪く、結果としてドメイン知識の定着という目的を果たせなかった。2019年にはデザイナー3名が退職するなど、プロダクト開発の体制が危ぶまれた。
そこで、正社員によってプロダクト開発を進める体制に転換。2020年4月には新卒エンジニア(宮川氏)の採用に成功し、2020年8月にはリファラル採用でエンジニアリングマネージャー(岩本氏)の採用した。正社員によるエンジニア組織を作れるまでに人員が拡大し、自社開発での比重を高めていったと推察される。
2018年に高木新平氏がワンキャリアの社外取締役に就任した。高木新平氏は起業家であり、ワンキャリアの宮下氏とは旧知であったという。
ただし、高木新平氏とワンキャリアは、独立性基準を満たす一方で、完全に独立した関係とは言い切れない側面もある。
その理由は第1に「2020年の時点で自身が経営する会社とワンキャリアの2社は取引関係にあった」こと、第2に「ワンキャリアの前身であるトライフにおいて、2011年前後に高木新平氏が同社の広報・CCOを担当していた」ことが挙げられる。
取引関係については、2023年12月時点でワンキャリアとニューピースの2社で取引が存在しており、いずれも売上高の5%未満であることから独立性を維持していると主張している。
ただし、2020年12月時点で有価証券報告書に記載された取引額は、3054万円(受注額および発注額を含む)であり、当時のワンキャリアの経常利益は6848万円であった。
加えて、2023年度においても2890万円の取引(ワンキャリアからニューピースへの発注)が存在しており、ワンキャリアの年間純利益6.9億円に対して、4.3%に相当する。取引の詳細は非開示だが、ワンキャリアにおける動画制作支援(「いきなり最終面接」のコンテンツ制作関連)などと推定される。このため、利益ベースではそれなりのインパクトを生む取引を継続している点に、注意が必要である。
高木新平氏の経歴面について、トライフとの関係性の説明が不十分な点に課題がある。
ワンキャリアにおける有価証券報告書には記載がないが、2011年のダイヤモンド誌において高木新平氏は「トライフ広報」を名乗っており、これが正しければワンキャリアの前身企業に勤務していた可能性がある。また、2012年時点のトライフの公式Webページには「高木新平氏が2011年にトライフへ参画した」という旨の記述がある。よって、独立性基準の観点においては別会社であるため社外取締役の要件を満たす可能性はあるが、事業面では連続(ワンキャリアはトライフから事業を継承)しており社外取締役として適任なのかは議論の余地があるだろう。
参考までに、2012年6月時点のトライフのメンバー紹介には、高木新平氏について、下記の記載が存在していた。以下、当時のトライフ公式ページ(2012年時6月5日時点)からの引用である。
「CCO(Chief Creative Officer) 高木 新平」「早稲田大学社会科学部卒業後、株式会社博報堂入社。WEB領域を中心としながら、広告企画の全体を設計するインタラクティブプランナーとして活躍。twitterやfacebookなどのソーシャルサービスを活用しながら大手電機メーカーのブランディングや飲料メーカーのプロモーションを行う。その後、独立。企業や学校法人、商品などのブランディングに携わり、主にコピーライティング、デザインディレクションを担当。また、プロジェクト単位でのウェブサービスを企画・開発にも従事。11年9月より、株式会社トライフに“飛び道具”として参画。企業のブランドコンサル、サービスなどのクリエイティブ全般、新規事業開発、組織のVISIONINGなどを担当。」
2023年12月の時点でワンキャリアの筆頭株主は宮下氏であり、同氏が株式61%を保有している。このため、過半数を保持している宮下氏が決定権を持っており、高木新平氏の社外取締役の就任について「賛成」の姿勢を示していることから、宮下氏はこれらの課題を許容しているものと推定される。
なお、2024年6月のワンキャリアの株主総会における取締役の選任議案では、高木新平氏は96.52%の賛成比率を確保して再任となった。ただし、96%という数値はワンキャリアの取締役の中で最低の数値(前年度比約▲2%)であり、一部の(鋭い)少数株主は疑念を呈していると思われる。
ただし、そうした「就活ノウハウ」の伝授が「Carippo!」の目的ではないという。「近年の厳しい就活の状況の中では、内定を取ることが就活の目的となってしまい、本来の命題である『仕事を通じて自分は何がやりたいのか、どういう人間になりたいのか』という点が、ないがしろにされがちです。就活はあくまでキャリアの一歩目。その後にどのようなストーリー展開をイメージするかが、大切なんです」(株式会社トライフ 広報 高木新平氏)
ワンキャリアは、資金調達を銀行からの借入によって実施しており、東証マザーズに株式を上場するまで、投資家に対する第三者割当増資を行うことはなかった。
ワンキャリアにおける資本移動は、創業者である宮下氏が、ワンキャリアの株式を一部売却することで行われた。2019年を通じて宮下氏は保有するワンキャリアの株式約14%を、個人投資家(アイフルの資産管理会社)や、事業会社系の投資ファンド(UB Ventures)などに売却を実施。評価額20億円で、宮下氏は約2.8億円の税引前利益を確定したものと推察される。
資本異動によって、株主数を増やしつつも、創業者の株式の希薄化を避けた。この資本政策によって、株式上場時点で宮下氏の保有株式の比率が過半数を超えるなど、議決権の過半数を放出しない道を選択した。
2017年3月期のワンキャリアの自己資本比率は58%であったが、2017年12月期(決算期変更)に自己資本比率が6.97%に低下した。2019年12月期には自己資本比率が5.66%になるなど、BSにおける負債の部の比率が高まった。
背景には、ワンキャリアにおいて、資金調達を金融機関からの借入によって行うことで、創業者の株式希薄化を避けたことがあげられる。
宮下氏はワンキャリアにおける銀行の借入金に対して、債務を個人保証することによって金融機関からの借入を実現した。2019年におけるワンキャリアの銀行からの借入金額は約5億円である。
ワンキャリアの有価証券報告書(1の部)によれば、ワンキャリアの銀行からの借入金について、宮下氏が個人で保証していたことが記載されている。2019年度には4.0億円、2020年度には5.3億円を、それぞれ宮下氏が個人保証しており、ワンキャリアが株式を上場する2021年まで個人保証を行う契約が続いた。
新規事業のために子会社を設立。2019年12月解散。2020年5月清算結了
2021年にワンキャリアは東証マザーズへの株式上場を果たし、有償一般募集とオーバーアロットメントによって、合計約14億円の資金調達を実施した。
資金の主な用途は、中途採用向けの新規サービス「ONE CAREER PLUS」の展開であり、新卒領域を超えたHRという大きな市場で勝負する方針を決めた。
調達した現金は、ワンキャリアの資本金・資本準備金に充当され、ワンキャリアの自己資本比率は2021年12月期末時点で67%となり、自己資本比率を大きく改善した。同時に、宮下氏の金融機関への借入に対する個人補償の契約も解消された。
なお、株式上場後の2021年12月期末時点で、宮下氏が株式の過半数(63.1%)を保有しており、ワンキャリアの株式の流動性は低い状態といえる。このため、機関投資家による株式保有や、適切な株価形成という面で課題を残している。
なぜトライフを清算して、ワンキャリアを新会社として設立したのか?同一法人ではダメだったのか?といった疑問は残ったままであり、その理由は不明である。
唯一わかっていることは、事業展開の狙いだけである。トライフでは「就職」という事業領域を選定したものの、イベント集客を軸とした事業ではスケールができずに苦戦。そこで、ワンキャリアの設立で「就活」という軸はブラさない一方で、事業展開の切り口「就活生の口コミの集積による母集団形成」に変えて事業を発展させた。
ただし、事業展開の戦略変更は、必ずしも法人格の清算は必要とされない。一般論として、旧会社を清算して新会社を発足するというのは「有利子負債の清算」や「資本政策の整理(=創業者持分の意図せざる希薄化)」といった隠された狙いがあることが多いが、果たして真相は?