1965年 シンクタンクとシステム会社の合流と二枚看板の形成
- 1965年野村電子計算センター設立
- 1966年野村総合研究所設立
- 1966年野村コンピュータシステム、「証券共同システム」を稼働。
- 1967年旧野村総合研究所、ニューヨーク事務所(現Nomura Research Institute America, Inc.)を開設し、本格的な海外調査を開始。
- 1968年野村コンピュータシステム、野村證券㈱の「第一次オンラインシステム」を稼働。
- 1974年野村コンピュータシステム、「STAR(証券業向け共同利用型システム)」を稼働。
- 1978年旧野村総合研究所、経営コンサルティングサービスを開始。
野村総合研究所の業績推移:単体
出所:有価証券報告書・会社四季報等
「報告書を書く会社」と「計算機を動かす会社」
1965年、野村證券は調査部門を分離して野村総合研究所を設立した。日本初の本格的な民間シンクタンクで、産業調査と経済予測を法人向けに提供する報告書ビジネスとして出発した。設立の狙いは2つある。1つは野村證券が顧客に提供する投資情報の母体を、証券会社本体ではなく別法人として持たせること。もう1つは証券会社の枠を超えて産業界に知識サービスを売る新事業を立ち上げることだった。両者を同じ組織に同居させた構成が、後年に自社の強みを「リサーチ+IT」と説明する下地となる。当時の国内に欧米型の民間シンクタンクはまだ根付いておらず、証券会社が自らリサーチ専業の別会社を立ち上げる試み自体、業界の側から見ても先例の乏しい動きだった。 [1]
- 野村総合研究所 有価証券報告書【沿革】
- [1]1965年4月に野村證券が調査部門を分離して旧野村総合研究所を設立した
同じ時期に、証券業務の電算化を担う野村電子計算センター、のちの野村コンピュータシステムも設立されている。前者は紙の知識を売り、後者は計算機の時間を売る。両社の顧客は野村證券グループを中心とする金融機関で重なっていたが、扱う商品もカルチャーも別物だった。研究員が多数を占める組織と、オペレータやプログラマが多数を占める組織とでは、評価制度も人材供給源も別系統であり、顧客と営業ルートを共有していても社内運営はほぼ独立して動いていた。当時の日本のIT業界はメーカー系SIerと銀行・証券の電算子会社が主流で、シンクタンクとシステム会社を同じグループに並べて持つ例は珍しく、後の合併を可能にする土台がここで偶然形作られていた。 [2]
- 野村総合研究所40年史(野村総合研究所)/有価証券報告書
- [2]証券業務の電算化を担う野村電子計算センター(のちの野村コンピュータシステム)が設立された
- 野村総合研究所 有価証券報告書【沿革】
- [1]1965年4月に野村證券が調査部門を分離して旧野村総合研究所を設立した
- 野村総合研究所40年史(野村総合研究所)/有価証券報告書
- [2]証券業務の電算化を担う野村電子計算センター(のちの野村コンピュータシステム)が設立された
1988年の合流が生んだ二枚看板
1988年1月、旧NRIと野村コンピュータシステムが合併し、現在の野村総合研究所が発足した。背景にあったのは、金融機関のシステム投資が拡大し、業務を深く理解した上で要件を定義できる存在が求められ始めた事情である。シンクタンク部隊が調査で見つけた業務課題を、システム部隊がそのまま受託して形にする。リサーチとSIを社内で連結する組織形態が、ここで成立した。報告書を売るだけでも計算機時間を売るだけでも届かない領域を、1社で一貫して引き受ける輪郭がはっきりした時期である。金融機関の側から見ても、業務要件の整理から稼働後の運用までを同じ相手にまとめて任せられる取引先は、当時の国内市場では限られていた。 [3]
- 野村総合研究所40年史(野村総合研究所)/有価証券報告書
- [3]1988年1月に旧NRIと野村コンピュータシステムが合併し現在の野村総合研究所が発足した
合併直後は研究員とエンジニアという異質な人材を1つの会社に束ねるまでに時間がかかったが、証券・銀行向けの共同利用型システム、すなわち複数の金融機関が同一基盤を共同で使う仕組みを起点に、コンサルとITサービスを並走させる輪郭が固まった。野村證券グループの社内システムを請け負うインハウスSIerと、外部金融機関向けの共同利用型サービスを提供する独立ベンダーという2つの顔を同時に育てたのも合併直後の時期である。グループ内案件で磨かれた業務ノウハウが外部顧客向けサービスの土台になり、外部案件で得た運用規模がグループ内のコスト低減に戻ってくる。両者を別部隊に切り分けず同じ会社で回したことで、内外の案件が相互補完的に回る構造が定着した。後年の収益柱となる金融IT運用ビジネスの原型は、合併の数年で固まった。
- 野村総合研究所40年史(野村総合研究所)/有価証券報告書
- [3]1988年1月に旧NRIと野村コンピュータシステムが合併し現在の野村総合研究所が発足した