東ソーの直近の動向と展望
東ソーの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。
セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。
直近の動向と展望
2025〜2027年中計: 「チェーン事業/先端事業」への区分け再編
2025年4月、桒田守社長のもとで新中期経営計画(2025〜2027年度)が始動した。最大の変更点は、従来の「コモディティ/スペシャリティ」という製品属性ベースの区分けを廃し、「チェーン事業」「先端事業」の2区分に組み替えたことである。桒田は就任後のインタビューで、機能性化学品への事業シフトを加速して利益率の改善を図る方針を表明し、この区分け再編はその方針を制度に落とし込んだ。チェーン事業はオレフィン・ポリマー・化学品・ウレタン・セメントを束ねたプロダクトチェーンで、底堅い国内需要と高効率なオペレーションで安定収益を狙う設計とした。先端事業はバイオサイエンス・高機能材料・水処理エンジニアリングを軸として、医薬・半導体市場のニッチ領域で高収益を取りにいくポートフォリオを組み、装置型と機能型の二面駆動を明確にする狙いがある。
2027年度の業績目標は、売上高1兆1830億円、営業利益1400億円、ROE10%以上という水準に置いた。設備投資は3ヵ年累計で2200〜2500億円と前中計の3000億円水準から減額され、能力の純増強よりもチェーン事業の収益力底上げと既存設備の更新へ重点を置く配分となった。株主還元は総還元性向50%を基本とし、3ヵ年で500億円の自社株取得を計画する。長期ビジョンVision2030では営業利益1700億円とGHG排出量の2018年度比30%削減という、利益拡大と脱炭素を同時に達成する目標を掲げ、ビニル・イソシアネート・チェーンを含む既存装置事業をどう低炭素化するのかが、向こう数年の経営課題の焦点として残る。装置の更新とエネルギー転換のタイミングをどう合わせ込むかが、中計初年度以降の実行上の肝となる。
- 決算説明会 FY2025-2Q
- 決算説明会 FY2025-3Q
- 業績予想修正 FY2025通期
中計初年度から早くも下方修正、海外市況と減損の二重逆風
その新中計の初年度であるFY2025は、上期からいきなり逆風に晒された。上期の実績は売上高4991億円(前年同期比△5.4%)、営業利益447億円(△5.6%)と微減幅で済んだものの、米国子会社トーソー・SMD, Inc.の固定資産に係る減損損失191億円を中間期に一括計上した結果、親会社株主帰属の中間純利益は74億円と前年同期比△70.4%の水準にまで沈んだ。2025年11月には通期業績予想を下方修正し、純利益見通しを620億円から380億円へ引き下げた。中計初年度から目標との大きな乖離を抱え、装置産業に共通する市況リスクが、新しい事業区分を導入したばかりの東ソーにも突き付けられた形である。事業区分の衣替えと市況直撃が同時に来るタイミングは、経営の舵取りに対する初期試練となった。
下方修正の主因は、為替円安が表面上は増収要因として働いたものの、需要低調によるクロル・アルカリ・石油化学製品の販売数量減少、海外市況の想定からの下振れ、ナフサ価格上昇による交易条件の悪化という三重苦が、同時に東ソーにのしかかったことにある。FY2025 1Q-3Q累計ではクロル・アルカリ事業の営業利益が1億円とほぼゼロにまで沈み、代わってエンジニアリング事業の278億円が東ソー全社の利益を支える構図が、前年度より一段と鮮明に浮かび上がった。1988年のトーソー・SMD設立から37年、半導体材料事業は191億円の減損計上として、長い時間を経て再び経営課題に浮上した。
- 決算説明会 FY2025-2Q
- 決算説明会 FY2025-3Q
- 業績予想修正 FY2025通期