2024/3 売上高9,007億円YoY+10.3%
2024/3 営業利益330億円YoY▲23.4%
2024/3 従業員23,389
創業19091949年上場)
創業地東京都
創業者井上貞治郎

井上貞治郎が国産初の段ボールを製造し「段ボール」の名称を生んだ創業者である。五社合併による聯合紙器の設立を経て日本の段ボール産業の基礎を築き、淀川工場の建設と地方工場展開で一貫生産体制を確立した。大坪清社長のもとでセッツの合併や朋和産業の子会社化、トライウォール買収など業界再編と多角化を推進し、段ボール業界を百年以上にわたり牽引している。

売上高分解(原価・販管・営利)億円
営業利益販管費売上原価
売上高利益率(粗利・営利など)%
営業利益率粗利率経常利益率純利益率
自己資本比率・現預金残高
自己資本比率現預金残高

歴史概略

第1期: 段ボールの誕生と産業基盤の形成(1909〜1962)

無一文からの創業と段ボールの命名

一九一〇年四月、大陸放浪から帰国した井上貞治郎は上野公園で起業を決意した。偶然目にしたドイツ製電球梱包材に商機を見出し、ボール紙にシワをつけた梱包材を「段ボール」と命名して国産化に踏み切った。同年八月に三盛社を設立して製造を開始したが、創業直後から赤字が続き共同設立者は次々と離脱した。最後に残った井上は島田洋紙店からの借入でドイツ製の製造機械を輸入し量産体制を構築した。

段ボール事業が軌道に乗る契機は第一次世界大戦の好景気であった。東京電気がウラジオストック経由で電球輸出を本格化し、梱包材として段ボールを大量に必要とした。この受注により段ボールは輸出産業を支える必需品としての地位を確立し、井上の事業は安定的な成長軌道に乗った。

きんとま一本杉(井上貞治郎著)

五社合併と一貫生産体制の構築

一九二〇年五月に井上は五社合併により聯合紙器株式会社を設立し、段ボール業界の統合を主導した。一九二三年には競合の日本製紙を吸収合併して千船工場を取得し、一九三〇年には大阪に淀川工場を新設して原紙から段ボール製品までの一貫生産体制を確立した。一九三六年には東京電気との資本提携を結び、一九三七年に東京工場、一九四八年に名古屋工場を新設して全国展開を進めた。

一九四九年に大阪証券取引所に上場し、公開企業としての歩みを始めた。一九六一年に利根川製紙工場を新設し、一九六二年からは古紙回収で全国をカバーするために地方工場の新設を積極化した。段ボール原紙から加工品まで自社で完結する垂直統合モデルがレンゴーの競争力の源泉となった。

有価証券報告書 沿革

第2期: 創業者の逝去と経営近代化(1963〜1999)

労働争議の鎮静化と組織改革

一九六三年十一月に創業者の井上貞治郎が逝去し、カリスマ経営者の不在は労働争議の激化をもたらした。一九六八年に山野社長は「三カ年計画」を策定し、職工・工員制度の廃止や完全月給制の導入など組織改革を実施して経営の正常化を図った。一九七二年には商号を「レンゴー株式会社」に変更し、戦前からの社名を刷新した。

一九七五年にはオイルショックの影響で段ボール原紙に供給過剰が発生し、レンゴーは不況カルテルに参加した上で不況対策第八項目を発表した。半期赤字にも転落したが、同年に新京都工場を新設するなど投資を継続した。一九八五年に千葉工場、一九九三年に三田工場を新設し、生産拠点の近代化を進めた。

有価証券報告書 沿革

セッツ合併と軟包装への進出

一九九〇年にマレーシア合弁事業への資本参加で海外進出を本格化し、同年に軟包装営業部を新設して事業領域の拡大に着手した。一九九八年には朋和産業を子会社化して軟包装事業に本格参入し、一九九九年にはセッツ(旧摂津板紙)を合併した。セッツの合併は住友商事との関係を深める契機となり、二〇〇〇年には住友商事出身の大坪清氏が社長に就任した。

大坪社長は住友商事の調整力を背景に業界再編を推進する路線を敷いた。福井化学工業の合併や新潟段ボール・旭川レンゴーの合併など、国内子会社の統合を進めて規模の拡大を図った。段ボールを中核としつつ軟包装にも展開する総合パッケージング企業への転換が進められた。

有価証券報告書 沿革

第3期: 業界再編とグローバル展開(2000〜現在)

日本製紙との提携と独立路線への回帰

二〇〇六年十一月、レンゴーは日本製紙・住友商事と三社で戦略提携を締結した。王子製紙による北越製紙へのTOBが引き起こした業界再編の圧力が背景にあり、株式持ち合いによる防衛的連携と経営統合の模索が同時に進められた。しかし二〇〇八年のリーマンショックで両社とも業績対応に追われ、二〇〇九年に提携を解消した。レンゴーは単独路線を選択し、独自の成長戦略へ舵を切った。

二〇一〇年には子会社ハマダ印刷機械の解散で二十九億円の損失を計上したが、川崎工場跡地の売却益六十五億円で相殺し、工場跡地の有効活用による財務マネジメントの巧みさを示した。二〇一一年には段ボール原紙を十パーセント値上げし、リーマンショック後の景気回復局面で収益の改善を進めた。

有価証券報告書 沿革

独禁法違反とトライウォール買収

二〇一二年六月、公正取引委員会はレンゴーを含む段ボール業界各社に対して独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査を実施した。段ボール製品および原紙の価格について不当な調整が認定され、レンゴーは課徴金五十九億円の支払いを命じられた。差別化が困難なコモディティ産業における協調行動の構造的リスクが顕在化した事例であった。

二〇一六年にはトライウォールを買収し、重包装分野でのグローバル展開を実現した。段ボール・軟包装に加えて重包装という第三の柱を獲得したことで、レンゴーは総合パッケージング企業としての事業基盤を拡充した。百年以上にわたり段ボール業界を牽引してきたレンゴーは、包装材全般に事業領域を広げつつ国際展開を進めている。

有価証券報告書 沿革公正取引委員会 排除措置命令

沿革

沿革一覧
4founding
井上貞治郎氏が起業を決意
無一文の放浪者が「段ボール」を命名するまでの必然と偶然
4founding
三成社を創業・国産初の段ボール製造
模倣から始まる国産化と「命名」による市場カテゴリーの創出
4alliance
日本製紙・住友商事・レンゴーの3社で戦略提携を締結(のちに解消)
「防衛的提携」が内包していた経営統合への距離感
3

取締役人事

大坪清
川本洋祐
FY05
FY06
FY07
FY08
FY09
FY10
FY11
FY12
FY13
FY14
FY15
FY16
FY17
FY18
FY19
FY20
FY21
FY22
FY23
FY24
大坪清
社長
社長
社長
社長
社長
社長
社長
社長
取締役
取締役
取締役
取締役
取締役
取締役
取締役
川本洋祐
社長
社長
社長
社長
社長
社長常務以上取締役監査・社外社長交代
FY24川本洋祐
社長 川本洋祐

重要な意思決定

19094
井上貞治郎氏が起業を決意

井上貞治郎氏の起業は、綿密な市場分析に基づくものではなく、10代から20代にかけて職を転々とし、大陸放浪で蓄財にも家族にも恵まれなかった人物が「自分で稼ぐしかない」という切迫感から生まれた。事業の選択も「パン屋か紙屋か」という二択から始まり、偶然目にしたドイツ製の梱包材に商機を見出すという経緯であった。だが、この偶発性の連鎖こそが、井上貞治郎氏を日本初の段ボール製造者へと導いた。失うものがない状態が大胆な意思決定を可能にし、逆境への耐性が創業初期の赤字を乗り越える原動力となった点は、創業者の資質を考えるうえで示唆に富む。

19094
三成社を創業・国産初の段ボール製造

段ボールはドイツ製品の模倣から始まったが、「段ボール」という日本語の命名によって国内市場に固有のカテゴリーが生まれた。技術的な差別化ではなく、命名と国産化による価格競争力が事業の基盤となった点は、後発メーカーの参入戦略として構造的に興味深い。加えて、第一次世界大戦期に東京電気の電球輸出が急増し、梱包材需要が拡大するという外部環境の変化が事業を軌道に乗せた。国産化の判断と好機の到来が重なった構図は、創業期における計画と偶発の関係を示している。

200611
日本製紙・住友商事・レンゴーの3社で戦略提携を締結(のちに解消)

2006年の3社提携は、王子製紙による北越製紙へのTOBという外圧を契機に成立した。株式持ち合いと経営統合の模索を同時に打ち出したが、防衛目的の提携と前向きな統合では意思決定の温度差が生じやすい。外圧が去れば統合の推進力も失われるという構図はM&Aにおいて典型的であり、リーマンショックという外部環境の変化がその構造的弱さを顕在化させた。結果としてレンゴーは単独路線を選択し、のちのトライウォール買収に代表される独自の海外展開戦略へと舵を切ることになる。

全社の業績指標

売上高(長期)売上高(2025/3)9,007億円
純利益(長期)当期純利益(2025/3)330億円
売上高分解(原価・販管・営利)億円
営業利益販管費売上原価
売上高利益率(粗利・営利など)%
営業利益率粗利率経常利益率純利益率
特別利益・特別損失億円
特別利益特別損失
キャッシュフロー億円
営業CF投資CF財務CF
自己資本比率・現預金残高
自己資本比率現預金残高
業績データ一覧
全社業績
FY01FY02FY03FY04FY05FY06FY07FY08FY09FY10FY11FY12FY13FY14FY15FY16FY17FY18FY19FY20FY21FY22FY23FY24
2002/32003/32004/32005/32006/32007/32008/32009/32010/32011/32012/32013/32014/32015/32016/32017/32018/32019/32020/32021/32022/32023/32024/32025/3
JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結
売上高億円---3,9124,0224,1304,3534,4674,5744,7494,9265,0265,2315,2275,3255,4556,0576,5316,8386,8077,4698,4619,0089,933
売上原価億円---3,2133,3123,4203,6913,7683,6573,8304,0644,1424,4054,4624,4524,4695,0605,4195,5135,4746,1127,0427,2548,115
売上総利益億円---6987107096626989169198628858267648739869971,1121,3251,3331,3571,4191,7541,818
販売費および一般管理費億円---4864935195345465795956116466847097167498268599129331,0241,1601,2651,444
営業利益億円---21321719112815233732425123914256157236171253412399333260489374
営業外収益億円---38444244404145525763625456104626372717169100
営業外費用億円---424248576264575654514645404341433938447882
経常利益億円---20821918511513031431224624215471166252232275432432366287480392
特別利益億円---80762115741914124723125136123332212907857115
特別損失億円---935842346237146145387976140223127433242573479
当期純利益億円---10913094577817010371130375798139166172278286282204330290
粗利率%---17.917.717.215.215.620.019.317.517.615.814.616.418.116.517.019.419.618.216.819.518.3
営業利益率%---5.45.44.62.93.47.46.85.14.82.71.13.04.32.83.96.05.94.53.15.43.8
経常利益率%---5.35.44.52.62.96.96.65.04.82.91.43.14.63.84.26.36.34.93.45.33.9
純利益率%---2.83.22.31.31.83.72.21.52.60.71.11.82.52.72.64.14.23.82.43.72.9
総資産額億円---4,2474,4744,7194,6894,5734,9814,9915,4915,7266,2916,5576,4477,0487,5067,6948,2018,7009,34310,53111,72512,431
自己資本億円---1,1321,3461,4561,4221,3621,5941,5941,6431,8071,9642,1642,1602,3422,5502,6392,7833,1333,4193,7284,2534,640
自己資本比率%---26.630.130.930.329.832.031.929.931.631.233.033.533.234.034.333.936.036.635.436.337.3
営業CF億円273322261300313244273293457420336490392194506420312509611660579461896770
投資CF億円-299-246-117-137-195-361-404-186-230-264-550-450-566-296-335-369-287-387-783-460-547-606-760-973
財務CF億円-7-81-154-170-130113125-78-182-96188-2416362-17021-32-94243-7319200173-145

セグメント別の業績指標

セグメント別売上高億円
セグメント別利益億円
セグメント別利益率%
セグメント別ROIC%
業績データ一覧
セグメント業績
FY04FY05FY06FY07FY08FY09FY10FY11FY12FY13FY14FY15FY16FY17FY18FY19FY20FY21FY22FY23FY24
セグメント別売上高
板紙・紙加工関連事業億円3,2143,310----3,6153,6273,6533,7263,5883,6733,8213,9714,3194,4974,3274,4884,8395,1095,147
軟包装関連事業億円396427----5405335626076166396576837317598339401,1551,2131,816
その他の事業億円302285-------------------
全社(セグメントなし)億円--4,1304,3534,4674,574---------------
重包装関連事業億円------240239242321406408398393409427433424451443450
海外関連事業億円------1462202322452802632686727338058781,2651,6631,8922,131
セグメント別利益
板紙・紙加工関連事業億円187184----288222217124328413372156302284227143350234
軟包装関連事業億円1620----15242192142493719354021304851
その他の事業億円812-------------------
全社(セグメントなし)億円--191128152337---------------
重包装関連事業億円------13128961726181616211611917
海外関連事業億円------5-8-13-7-7482334343349606849
セグメント別利益率
板紙・紙加工関連事業%5.85.6----8.06.15.93.30.92.33.51.83.66.76.65.03.06.84.6
軟包装関連事業%4.14.7----2.84.53.81.63.46.77.45.52.64.64.82.22.63.92.8
その他の事業%2.84.1-------------------
全社(セグメントなし)%--4.62.93.47.4---------------
重包装関連事業%------5.34.83.52.81.54.36.64.64.03.74.83.82.52.03.7
海外関連事業%------3.5-3.8-5.8-2.7-2.31.33.13.44.64.23.83.93.63.62.3
セグメント別ROIC
板紙・紙加工関連事業%5.14.8----6.94.94.62.40.61.72.41.32.74.84.43.41.94.33.0
軟包装関連事業%4.45.5----4.15.94.92.14.78.39.36.33.15.65.12.22.84.33.0
その他の事業%2.23.1-------------------
全社(セグメントなし)%---------------------
重包装関連事業%------5.34.83.42.41.54.46.44.13.73.54.53.32.31.73.1
海外関連事業%------1.5-2.1-2.7-1.1-0.90.50.71.82.82.01.92.42.22.21.4

出所