1959年1月
神戸市中央区に株式会社ワールドを設立

畑崎廣敏氏(当時22歳)と木口衛氏の2名は、勤務先の光商会(セーターの卸売業)を退職。セーターの卸を行うワールドを神戸市内に設立した。当時のニット製品の卸売業は独立が当たり前の業界であり、起業は珍しい選択ではなかった。仕入れ面ではメーカー開拓、販売面では小売店舗の開発をそれぞれ地道に行い、全国を飛び回ったという。

1962年
小売店対して買取制を導入。企画に注力

従来のセータ卸の商習慣では「小売店は在庫リスクを負わずに、売れた時に問屋に支払う」のが一般的だったが、ワールドは「小売店が返品する商習慣」に疑問を抱いた。そこで、小売店に対して「買取制」を導入。ワールドは売れる商品の企画に注力することで、企画開発力のある異色の問屋として、徐々に業容を拡大した。買取制の売上は、開始から2年後の1965年頃から軌道に乗ったという。

1975年
小売参入で頓挫

1975年に小売店リザの展開を開始したが、販売店からの猛反発により本格投資は見送りへ

決算
ワールドの業績
1976年7月期(単体)
売上高
422
億円
税込利益
63
億円
1976年7月
販売店の拡大により業績好調。売上高422億円・利益率10%超

1976年7月期にワールド(当時非上場)は、売上高422億円・税引前利益63億円を達成。高収益と急成長を両立するアパレル企業として注目を浴びた。利益を重視する経営方針は、畑崎氏の「利益なき成長はリスク」という考えに基づく。

証言
畑崎廣敏(ワールド・共同創業者)

会社にしても、売上にしても、うちは大きくしたという気持ちで全然やってきてないんですよ。売り上げが、300億円から500億円になったとしますね。これは、大変、危険が増すわけです。もし、利益を伴わなかったら大変なことになる。よく、あなたのところは大きくなったわりに利益率が落ちませんね、なんて行ってもらうが、そこが私にはわからない。利益が伴わずに大きくなったら最悪ですよ。何か問題があったら、危険も大きいわけです。利益率を落としてまでも売ってはいけないと思っています。

1977/2/14日経ビジネス
決算
ワールドの業績
1976年7月期(単体)
売上高
422
億円
税込利益
63
億円
1978年1月
製縫に進出
1981年4月
百貨店向け小売に参入
1982年4月
売上高1000億円を突破
1984年3月
神戸市中央区ポートアイランドに本社竣工

神戸市が開発した人工島「ポートアイランド」に本社を新設。この頃の社員向けの福利厚生は、月3000円で社内食堂の食べ放題、スポーツ施設の利用自由など。関西圏においてワールドは「女子大生の間で就職先としての人気ナンバーワン」(1984/4/16日経ビジネス)の会社となった。

決算
ワールドの業績
1984年7月期(単体)
売上高
1206
億円
経常利益
227
億円
1984年7月
二大ブランドが減収。急成長に終止符

ワールドの売上を牽引してきた「コルディア」「ルイシャンタン」の2つのブランドが減収。急成長に終止符を打った

決算
ワールドの業績
1984年7月期(単体)
売上高
1206
億円
経常利益
227
億円
1987年3月
上海世界時装有限公司を合弁設立。SPA構築を開始
1992年
経営戦略「スパークス構想」を発表

減収減益に歯止めをかけるために、畑崎社長は経営方針「スパークス構想」を公表。製造・小売・販売を全てワールドが関与することで、顧客ニーズにあった商品の投入を目論んだ。この具現化策として「25歳以下の女性」「販路は百貨店・ショッピングセンター」をターゲットに据え、新しい独自ブランドによるSPAに基づく小売業への参入準備を進めた。

1993年11月
大阪証券取引所第2部に株式上場
1993年
新業態事業部を設置。OZOCなどをSPAで展開

20代向けレディースファッションブランドとして展開。当初は売り上げが低迷するも、積極的なTVCM、有名デザイナーの起用などにより1996年頃から成長軌道に

1995年3月
ゴルフ場開発中止。最終赤字71億円に転落

1959年の会社設立以来、初となる最終赤字に転落。

決算
ワールドの業績
1995年3月期(連結)
売上高
1764
億円
当期純利益
47
億円
1996年
OZOCが年間販売高100億円突破
1998年11月
東京証券取引所第2部に株式上場
1998年6月
寺井秀蔵氏が代表取締役社長に就任

寺井氏は畑崎氏の義弟であり親族で社長交代を行った。

決算
ワールドの業績
1999年3月期(連結)
売上高
2061
億円
当期純利益
31
億円
2005年11月
MBOにより上場廃止

ワールドはMBOを決定。株式の買い取り価格2300億円のうち、80%は銀行借入(会社負担)による捻出としたため、財務体質の悪化を伴った上場廃止となった。

決算
ワールドの業績
2006年3月期(連結)
売上高
2899
億円
当期純利益
158
億円
2011年3月
最終赤字に転落
2013年3月
2期連続の最終赤字に転落
2015年4月
上山健二氏が代表取締役社長に就任
2018年1月
東京証券取引所第1部に株式上場

財務体質改善のための再上場

決算
ワールドの業績
2018年3月期(連結)
売上収益
2458
億円
当期利益
67
億円
2021年3月
最終赤字に転落
2021年3月
2022年1月
ナルミヤを33億円でTOBにより買収。

ナルミヤが強みを持つショッピングセンター向けの子供服を拡充

決算
ワールドの業績
2022年3月期(連結)
売上収益
1713
億円
当期利益
2.3
億円
2022年3月
借入金800億円をリファイナンス
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