1981年4月
沼田昭二氏がフレッシュ石守を個人創業

沼田昭二氏(当時26歳)は兵庫県加古川市神野町にて、小規模な食品スーパーを個人創業した。店舗面積は8平方メートルだったが、経営は順調だったという

1985年11月
有限会社に組織変更(有限会社フレッシュ石守を設立)
1991年4月
株式会社に組織変更(株式会社フレッシュ石守を設立)

有限会社から株式会社に変更。ただし、フレッシュ石守は、スーパーとしてはダイエーなどの大企業に勝つことが難しく、2店舗以上の展開を控えていた

1992年1月
中国に工場新設。加工食品の製造に参入

大手スーパーとの差別化を図るために、食品加工に着目。製品と商品開発に特色を持たせるSPA(製造小売)を志向した。1992年に中国大連に「わさび・梅干し」の製造工場を新設して、米国・豪州などに輸出販売を開始。以後、加工食品の特許を申請するなど、技術開発力を蓄積していった。

証言
沼田昭二(神戸物産創業者)

当時は製造技術を持っていなかったので、日本のメーカー6社に工場を場所貸しし、当社の従業員を使ってもらいました。日本のメーカーが独力で中国に投資して事業展開するのはリスクが高い。しかし低コストで製品をつくり、世界中に輸出できますから、メーカーにとってのメリットは大きい。そこで、当社がリスクを持つことにしました。その代わりに、6社が何十年にもわたって蓄積してきた製造ノウハウや技術を学ぶことができたのです。

1997年
製造販売一体型のビジネスを構想

北米企業と取引する中で、強い企業が食品加工を内製化している点に注目した。日本国内でも加工食品と小売の製版一体モデルを構想。この計画が2000年の「業務スーパー」1号展の開店への布石となった

証言
沼田昭二(神戸物産創業者)

海外の強い企業を見ていると、ウォルマートもマクドナルドも、ケンタッキーフライドチキンも製販一体型のビジネスモデルです。一方、日本では、商品を右から仕入れて、売買差益を付加して、左に流す、というまさに“流通”業を行っています。このやり方は、企業がどんどん出店して成長モードにあるときはよいのですが、出店が止まった伸び悩みの時期にはさまざまな負の資産が一気に噴出して企業を苦境に追いやってしまうことは、これまでの歴史が証明しています。海外の企業を相手にビジネスをする中で、日本の商売の仕方に大きな違和感を持っていましたから、ビジネスの仕組みを根本的に変えなければならないと思っていたのです。

2000年3月
業務スーパー1号展を開業。FC展開を開始

業務スーパーの1号店を開業してFCによる展開を開始。EDLP(Every Day Low Price)を志向し、加工食品の大量販売に注力。このため「焼く、煮る、蒸す、炒める、揚げる」による商品ラインナップを充実させ、特に冷凍食品に注力した。

証言
沼田昭二(神戸物産創業者)

日本における小売業のビジネスモデルは、バイイングパワーで安く仕入れて安く販売して店を強くしていくというやり方です。早く参入してバイイングパワーを手に入れたものほど強いわけですから、後発組が同じことをやっていては勝ち目がありません。そこで、どうすれば継続的に成長できるビジネスモデルが構築できるかを考えた結果、製造小売業じゃなければならないという結論に至ったのです。具体的な仕組みを考え始めたのが97年ぐらいで、ビジネスモデルの構築に着手したのが99年、そして翌2000年の3月に業務スーパーの1号店をつくりました。

2001年10月
フランチャイズにG-7スーパーマートが加盟

業務スーパーの店舗展開の主力企業となったG-7スーパーマートが加盟。2023年時点で全国181店舗を展開しており、神戸物産の大口取引先に成長した

決算
神戸物産の業績
2002年10月期()
売上高
127
億円
当期純利益
1.1
億円
2002年4月
神戸物産を吸収合併。商号を神戸物産に変更
2002年6月
横浜営業所FC関東本部を新設
2004年1月
神戸物産(香港)有限公司を設立

加工食品の生産体制を強化。自社のプライベートブランドを充実させるために、食品加工メーカーの買収を本格化。売れ筋をPBにすることで、商品回転率を高めて廃棄ロスを最小化し、利益率の向上を目論む。

決算
神戸物産の業績
2004年10月期()
売上高
508
億円
当期純利益
11
億円
2005年
創業者の沼田昭二氏がガンの摘出手術を実施
2006年4月
神戸クックの事業展開を開始(中食・外食)

業務スーパーで使用する食材を、中食・外食に販売するために神戸クックの事業展開を開始

決算
神戸物産の業績
2006年10月期()
売上高
900
億円
当期純利益
11
億円
2006年6月
大阪証券取引所第2部に株式上場
2007年10月
関西物流センターを新設(神戸市灘区)

加工食品の輸入に適した神戸に物流センターを設置

決算
神戸物産の業績
2007年10月期()
売上高
951
億円
当期純利益
9.7
億円
2008年3月
国内の食品加工メーカーの買収を積極化

中国の冷凍餃子への薬物混入事件を受けて、国内での加工食品の製造体制を拡充する方針に転換。手始めに2008年に国内2社「有限会社ウエボス」と「株式会社ターメルトフーズ(山口県防府市・売上高4.9億円・営業赤字0.2億円)」を買収した。いずれも経営不振に陥った国内の加工食品メーカーであった。

決算
神戸物産の業績
2008年10月期()
売上高
1071
億円
当期純利益
4.4
億円
2012年12月
ほくと食品株式会社を買収

2010年に民事再生法の適用申請をした水産加工メーカー(宮城県・石巻市)を900万円で買収。債務超過を解消するために、取得のための支出は2600万円

決算
神戸物産の業績
2013年10月期()
売上高
1794
億円
当期純利益
29
億円
2012年3月
沼田博和氏(創業者の長男)が代表取締役社長に就任
2013年5月
クックイノベンチャーを43億円で買収(外食事業)

債務超過に陥っていたクックイノベンチャー(売上高169億円)の連結化を決定。飲食店事業など(平禄寿司・各種居酒屋・英会話スクールNOVAの店舗)を展開していたが、外食事業に特化して再建を目指す。買収価格は500万円だが、取得のための支出(救済のための貸付金など)は43億円

決算
神戸物産の業績
2013年10月期()
売上高
1794
億円
当期純利益
29
億円
2013年7月
東京証券取引所第1部に株式上場
2015年10月
多角化事業への投資で財務状況が悪化(自己資本比率11.0%)

多角化投資(太陽光発電・外食)と食品加工工場への設備投資により現金が減少。FY2015の設備投資は、業務スーパー31億円、神戸クック44億円、エコ再生エネルギー24億円。FY2015時点で有利子負債は821億円・自己資本比率11%となり、財務リスクが高まった

決算
神戸物産の業績
2015年10月期()
売上高
2285
億円
当期純利益
42
億円
2018年5月
馳走菜のFC展開を開始(中食事業)
2018年8月
北海道白糠でバイオマス発電所を稼働

発電事業に本格参入し、数十億円規模の投資を継続。ただし業務スーパーとの関連は見出しにくく、減損リスクあり

決算
神戸物産の業績
2018年10月期()
売上高
2671
億円
当期純利益
103
億円
2018年12月
プレミアムカルビ1号店を新設(外食事業)
2019年3月
子会社の食品加工工場への投資を継続

秦食品株式会社(滋賀県竜王市)及び株式会社麦パン工房(岐阜県岐阜市)の2社において、食品加工の設備投資を実施。2020年までに合計59億円の投資計画

決算
神戸物産の業績
2019年10月期()
売上高
2996
億円
当期純利益
120
億円
2019年7月
PB展開するタピオカブームにより最高益

2015年から神戸物産ではタピオカをPBとして展開。2019年のタピオカブームに合わせて販売を拡大し、全社売上高を5%底上げしたという

決算
神戸物産の業績
2019年10月期()
売上高
2996
億円
当期純利益
120
億円
2020年12月
外食事業の子会社クックイノベンチャーを売却

2013年に取得したが経営陣によるMBOが決定され、神戸物産は売却に対応。譲渡価格は非公開。譲渡直前の業績は「売上高8060万円・経常利益2750万」であり、収益性に問題はなかった。

決算
神戸物産の業績
2021年10月期()
売上高
3620
億円
当期純利益
195
億円
2022年10月
時価総額1兆円を突破。平均給与487万円で低迷

安定成長が評価されて時価総額1兆円を突破。ただし、売上高_当期純利益率は5.1%(FY2012)であるのに対して、従業員の平均給与が487万円と低く、従業員の待遇に疑義がある

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