JT の歴史

創業

1949年

創業者

※日本専売公社

創業地

東京都

直近売上高(2025/12)

34,676億円

長期業績と転換点(1996/3〜2025/12)
売上高(億円純利益率(%)
Q なぜ専売公社は競争を経験しない組織として1949年から長く温存されたのか
A 1949年6月に設立された日本専売公社は、国の専売事業の健全にして能率的な実施に当たることを目的とし、たばこ専売制度の実施主体としてたばこの安定的提供と財政収入の確保に貢献する役割を負った。専売の対象はたばこと塩で、国内の葉たばこ農家からは外国産の3倍から4倍の価格で全量を引き取る仕組みが長く続いた。買い手が競争を通じて選ぶ市場ではなく供給すれば売れる制度のもとで、価格や数量を競う経験を持たない組織が、1985年4月の株式会社化まで三十六年にわたり温存された
Q なぜ1999年にJTはRJRナビスコの米国外たばこ事業を77億9,000万ドルで買収したのか
A 1987年4月の関税撤廃で輸入たばこの価格は20円から80円下がり、外国各社は日本向けに開発した商品で本格的な攻勢をかけた。1988年の社内予測は1998年に国内需要が減少へ転じると示し、成人男性の喫煙率は1993年に59.8%となって1965年の調査開始以来はじめて60%を割った。国内で伸びしろが尽きると見た日本たばこ産業は、1999年5月に米国のRJRナビスコ社から米国外のたばこ事業を77億9,000万ドルで取得し、海外での販売本数を約200億本から約2,000億本へおよそ10倍に増やした
Q なぜ2024〜2025年にJTは米Vector Groupを買う一方で医薬事業を手放したのか
A 2024年10月に米国のVector Group Ltd.の発行済株式を約24億米ドル、日本円で約3,780億円を投じて取得する一方、2025年5月には塩野義製薬と医薬事業の承継および鳥居薬品株式の譲渡について合意した。医薬事業の連結売上は2024年12月期で944億円とグループ売上のおよそ3%にとどまり、研究開発費の負担増と薬価の引き下げが収益を圧迫していた。2025年9月に鳥居薬品の全株式を、同年12月に医薬事業を譲渡し、参入からおよそ40年で医薬から撤退して、資源を中核のたばこ事業へ寄せ直した

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1949年〜 専売公社の設立と、株式会社への改組を決めるまで

  1. 1949年 日本政府により日本専売公社を設立
  2. 1957年 ホープ(10)を発売
  3. 1977年 たばこ工場の集約再編を開始
  4. 1982年 専売公社の民営化を検討開始

国の専売事業を担う公社としての出発

日本たばこ産業の前身である日本専売公社は、国の専売事業の健全にして能率的な実施に当たる[1]ことを目的として、1949年6月1日に設立された[2]。たばこ専売制度の実施主体として、たばこの安定的提供と財政収入の確保に貢献する役割[3]を負った。専売の対象はたばこと塩の二つで、このうち塩の専売事業は1997年4月の塩専売制度の廃止まで残った[4]。公社の事業と財産は1985年4月に設立された会社へそのまま承継され[5]、専売公社としての歴史は三十六年で終わった。1970年代に入ると成年人口の伸び率が鈍化し[6]、喫煙と健康の問題への関心が高まって需要の伸びは鈍り、販売数量はほぼ横這いで推移した[7]

  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [1]設立目的 国の専売事業の健全にして能率的な実施
    • [2]1949年6月1日 日本専売公社設立
    • [3]公社の役割 たばこ専売制度の実施主体・たばこの安定的提供と財政収入の確保
    • [4]1997年4月 塩専売制度廃止に伴い塩専売事業が終了
    • [5]1985年4月 公社の一切の権利義務を承継して会社が設立
    • [6]1970年代 成年人口の伸び率の鈍化と喫煙・健康問題の高まり
    • [7]需要の伸びの鈍化と販売数量のほぼ横這い推移

公社はこの頭打ちを一時の落ち込みではなく需要の構造的変化と受け止め、傾向はさらに続く[8]と予想した。同じころ外国たばこ企業に対する実質的な市場開放が進展[9]し、国内市場では内外の製品が競い合う状況が生まれた。たばこ専売制度の枠内では対応が困難なほど諸外国からの市場開放要請は強まり、国内では公社制度に対する[10]改革を求める動きが重なった。1981年3月に臨時行政調査会が発足[11]し、1982年7月30日の第三次答申[12]で専売制度と公社制度に対する抜本的な改革が提言された。

  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [8]需要の構造的変化としての受け止め・傾向の継続予想
    • [9]外国たばこ企業に対する実質的な市場開放の進展
    • [10]たばこ専売制度の枠内では対応困難な市場開放要請の強まり・公社制度への改革動向
    • [11]1981年3月 臨時行政調査会の発足
    • [12]1982年7月30日 第三次答申で専売制度・公社制度の抜本的改革を提言
  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [1]設立目的 国の専売事業の健全にして能率的な実施
    • [2]1949年6月1日 日本専売公社設立
    • [3]公社の役割 たばこ専売制度の実施主体・たばこの安定的提供と財政収入の確保
    • [4]1997年4月 塩専売制度廃止に伴い塩専売事業が終了
    • [5]1985年4月 公社の一切の権利義務を承継して会社が設立
    • [6]1970年代 成年人口の伸び率の鈍化と喫煙・健康問題の高まり
    • [7]需要の伸びの鈍化と販売数量のほぼ横這い推移
    • [8]需要の構造的変化としての受け止め・傾向の継続予想
    • [9]外国たばこ企業に対する実質的な市場開放の進展
    • [10]たばこ専売制度の枠内では対応困難な市場開放要請の強まり・公社制度への改革動向
    • [11]1981年3月 臨時行政調査会の発足
    • [12]1982年7月30日 第三次答申で専売制度・公社制度の抜本的改革を提言

四三長計と、専売改革関連法の成立まで

たばこ業界では1960年代後半に大手企業を中心とする世界的な再編[13]が進み、専売の国に対しては市場開放を求める圧力が強まった[14]。日本専売公社の内部でもたばこ事業の将来は真剣に論じられ、1968年には「四三長計」と呼ばれる長期計画がまとめられた[15]。日本で専売制がなくなり世界的な大企業が攻めてきたら自分たちも海外に出て取り返す、という趣旨の計画[16]だった。想定した事態は遠くない国で現実になり、イタリアとフランスでは1976年に専売制が廃止され[17]て、米英のたばこ企業に一気に国内シェアを奪われた[18]。輸入たばこが取ったシェアはイタリアで32%、フランスで40%[19]にのぼった。専売制が外れた国で何が起きるかを、日本専売公社は同時代の例として見ていた[20]

  • 週刊東洋経済 2014年5月30日号「【特集 企業買収】 Part2 海外大型案件で成功するには 成功例1 日本たばこ産業 2度の大型買収で変身」
    • [13]1960年代後半 大手企業中心の世界的再編と専売国への市場開放圧力
    • [14]専売国に対する市場開放要求の強まり
    • [15]1968年 「四三長計」の策定
    • [16]四三長計の趣旨 専売制廃止と外資参入に備えて海外へ出る
    • [17]1976年 イタリア・フランスで専売制廃止
    • [18]米英のたばこ企業による国内シェアの奪取
    • [19]輸入たばこのシェア イタリア32%・フランス40%
    • [20]専売制廃止後の競争の実例を同時代に見ていたこと

政府は臨時行政調査会の答申を受けて制度全体の見直しを進め[21]、二つの法律を柱とする専売改革関連法を組み立てた。ひとつは、たばこの輸入自由化を図るためにたばこ専売法を廃止[22]し、たばこ事業に関して所要の調整を図るたばこ事業法[23]を新たに制定するものだった。もうひとつは、日本専売公社法を廃止し、公社を合理的な企業経営が最大限可能な株式会社へ改組[24]して必要最小限の公的規制を規定する、日本たばこ産業株式会社法の制定[25]だった。輸入自由化のもとで国内市場において外国たばこ企業と対等に競争していく必要[26]が、株式会社への改組を求めた理由に挙げられた。

  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [21]答申を受けた制度全体の見直しと専売改革関連法の法案化
    • [22]たばこ専売法の廃止とたばこ事業法の制定
    • [23]たばこ事業に関し所要の調整を図るたばこ事業法
    • [24]日本専売公社法の廃止と株式会社への改組
    • [25]必要最小限の公的規制を規定する日本たばこ産業株式会社法
    • [26]改組の理由 輸入自由化のもとで外国たばこ企業と対等に競争する必要

これらの法律案は第101回国会において1984年8月3日に成立[27]し、同年8月10日に公布された[28]。日本たばこ産業株式会社法は昭和59年8月10日法律第69号[29]として、公社を株式会社へ改める枠組みを定めた。たばこ専売法の廃止によって輸入は自由化され[30]、公社が国内市場で唯一の供給者であるという前提は失われた。1982年7月30日の第三次答申から法律の成立までは二年[31]、公社の設立から数えて三十五年[32]が経っていた。新しい会社に残される公的規制は必要最小限とされ、合理的な企業経営を最大限に追う余地[33]が制度として与えられた。

  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [27]1984年8月3日 第101回国会で専売改革関連法が成立
    • [28]1984年8月10日 公布
    • [29]日本たばこ産業株式会社法 昭和59年8月10日法律第69号
    • [30]たばこ専売法の廃止によるたばこの輸入自由化
    • [31]1982年7月30日の第三次答申から1984年8月3日の法成立まで約2年
    • [32]1949年6月1日の公社設立から1984年の法成立まで三十五年
    • [33]必要最小限の公的規制と合理的な企業経営
  • 週刊東洋経済 2014年5月30日号「【特集 企業買収】 Part2 海外大型案件で成功するには 成功例1 日本たばこ産業 2度の大型買収で変身」
    • [13]1960年代後半 大手企業中心の世界的再編と専売国への市場開放圧力
    • [14]専売国に対する市場開放要求の強まり
    • [15]1968年 「四三長計」の策定
    • [16]四三長計の趣旨 専売制廃止と外資参入に備えて海外へ出る
    • [17]1976年 イタリア・フランスで専売制廃止
    • [18]米英のたばこ企業による国内シェアの奪取
    • [19]輸入たばこのシェア イタリア32%・フランス40%
    • [20]専売制廃止後の競争の実例を同時代に見ていたこと
  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [21]答申を受けた制度全体の見直しと専売改革関連法の法案化
    • [22]たばこ専売法の廃止とたばこ事業法の制定
    • [23]たばこ事業に関し所要の調整を図るたばこ事業法
    • [24]日本専売公社法の廃止と株式会社への改組
    • [25]必要最小限の公的規制を規定する日本たばこ産業株式会社法
    • [26]改組の理由 輸入自由化のもとで外国たばこ企業と対等に競争する必要
    • [27]1984年8月3日 第101回国会で専売改革関連法が成立
    • [28]1984年8月10日 公布
    • [29]日本たばこ産業株式会社法 昭和59年8月10日法律第69号
    • [30]たばこ専売法の廃止によるたばこの輸入自由化
    • [31]1982年7月30日の第三次答申から1984年8月3日の法成立まで約2年
    • [32]1949年6月1日の公社設立から1984年の法成立まで三十五年
    • [33]必要最小限の公的規制と合理的な企業経営

1985年〜 民営化による発足と、外国たばこの攻勢に晒された国内市場

JTの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 1985年 日本専売公社を株式会社化し日本たばこ産業として発足 全株を政府に残したまま、なぜ「段階的な民営化」という設計が選ばれたのか
  2. 1986年 福岡・鳥栖両工場を閉鎖し北九州工場を新設
  3. 1988年 JTのブランドを採用
  4. 1994年 東京証券取引所に株式上場
  5. 1997年 塩専売事業が終了
  6. 1998年 鳥居薬品を公開買付で過半数取得

公社財産の全額出資による株式会社の発足

日本たばこ産業株式会社は、日本たばこ産業株式会社法に基づき1985年4月1日に公社財産の全額出資により設立された[34]。設立に際して公社の一切の権利義務を承継し[35]、出資された財産の価格は8,364億円と評価されて200万株が割り当てられた[36]。この株式は同法附則第10条により政府へ無償譲渡され[37]、大蔵大臣が発行済株式の100%を保有[38]する会社として出発した。同じ1985年4月には新規事業を積極的に広げるため事業開発本部が設置され[39]、1990年7月までの間に各事業の推進体制を強めるため同本部を改組して医薬や食品などの事業部が置かれた[40]

  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [34]1985年4月1日 公社財産の全額出資により日本たばこ産業株式会社を設立
    • [35]設立に際して公社の一切の権利義務を承継
    • [39]1985年4月 新規事業の積極的展開のため事業開発本部を設置
    • [40]1990年7月までに事業開発本部を改組し医薬・食品等の事業部を設置
  • 証券 1994年46巻12号「新規上場会社紹介 日本たばこ産業株式会社」
    • [36]出資財産の価格 8,364億円・割当株式 200万株
    • [37]日本たばこ産業株式会社法附則第10条により株式を政府へ無償譲渡
    • [38]大蔵大臣が発行済株式の100%を保有

たばこ製造設備の絞り込みは民営化の直後から始まり、1986年3月にはたばこ製造の近代化と効率化のため福岡・鳥栖の両工場を廃止して北九州工場を設けた[41]。工場の統廃合はその後も続き、1996年6月までの間にたばこ製造体制の合理化として9つのたばこ工場を廃止[42]した。1988年10月にはコミュニケーション・ネーム「JT」を導入[43]し、専売公社から続く社名とは別の呼称を対外的に用い始めた。1991年7月には新本社ビルの建設のため本社を東京都港区虎ノ門から品川区東品川へ移し[44]、竣工後の1995年5月に虎ノ門へ戻った[45]

  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [41]1986年3月 福岡・鳥栖両工場を廃止し北九州工場を設置
    • [42]1996年6月までにたばこ製造体制の合理化として9たばこ工場を廃止
    • [43]1988年10月 コミュニケーション・ネーム「JT」を導入
    • [44]1991年7月 新本社ビル建設のため本社を虎ノ門から東品川へ移転
    • [45]1995年5月 本社を東品川から虎ノ門へ移転
  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [34]1985年4月1日 公社財産の全額出資により日本たばこ産業株式会社を設立
    • [35]設立に際して公社の一切の権利義務を承継
    • [39]1985年4月 新規事業の積極的展開のため事業開発本部を設置
    • [40]1990年7月までに事業開発本部を改組し医薬・食品等の事業部を設置
    • [41]1986年3月 福岡・鳥栖両工場を廃止し北九州工場を設置
    • [42]1996年6月までにたばこ製造体制の合理化として9たばこ工場を廃止
    • [43]1988年10月 コミュニケーション・ネーム「JT」を導入
    • [44]1991年7月 新本社ビル建設のため本社を虎ノ門から東品川へ移転
    • [45]1995年5月 本社を東品川から虎ノ門へ移転
  • 証券 1994年46巻12号「新規上場会社紹介 日本たばこ産業株式会社」
    • [36]出資財産の価格 8,364億円・割当株式 200万株
    • [37]日本たばこ産業株式会社法附則第10条により株式を政府へ無償譲渡
    • [38]大蔵大臣が発行済株式の100%を保有

関税撤廃で縮まった内外たばこの価格差

1987年4月に輸入たばこの関税が撤廃される[46]と、外国製品の価格は20円から80円下がった[47]。ブリティッシュ・アメリカン・タバコの「ラーク」は30円の値下げで250円となり、当時220円だった[48]「マイルドセブン」との価格差は一気に縮まった。長岡實社長は民営化への移行時に「5年後には輸入たばこのシェアは5%位までにはなるだろう」[49]と見通していたが、外国たばこはその予想をはるかに超える速さで日本たばこ産業の独壇場を脅かした[50]。各社は日本向けに商品を開発したうえで本格的な攻勢をかけた[51]

  • 週刊東洋経済 2014年5月30日号「【特集 企業買収】 Part2 海外大型案件で成功するには 成功例1 日本たばこ産業 2度の大型買収で変身」
    • [46]1987年4月 輸入たばこの関税撤廃
    • [47]関税撤廃による外国製品の値下げ幅 20〜80円
    • [48]ラーク 30円値下げで250円・マイルドセブン 当時220円
  • 日本経済新聞(1987年6月22日)「外国たばこ侵攻」
    • [49]長岡實社長 民営化移行時の見通し 5年後の輸入たばこシェア5%程度
    • [50]予想を超える速さでの外国たばこの攻勢
    • [51]外国各社の日本向け商品開発と本格攻勢

1986年に製造現場から本社へ移った新貝康司氏は、自社の製品がフィリップ・モリスやブリティッシュ・アメリカン・タバコの製品に技術面で及ばない部分を調べ[52]、どの研究開発に力を入れるべきかを記した「中期技術開発計画」[53]をまとめた。1988年に社内で国内たばこ需要の将来を予測したところ、1998年には国内需要が減少へ転じる[54]という結果が出た。同じ1988年にはギリシャのたばこ会社を買収する計画が動いたが成立せず[55]、いったん浮上した米RJRナビスコの米国外たばこ事業の買収話も経営陣が見送った[56]。輸出が主体だった当時の海外での販売本数は100億本にとどまっていた[57]。1992年には英マンチェスター・タバコ・カンパニーを買収[58]し、海外のたばこ会社を経営する経験を社内に積んだ。このとき現地へ送り込まれた社員のうち7人は、後のRJRインターナショナル買収の直後に真っ先に現地へ赴いた[59]

  • 週刊東洋経済 2014年5月30日号「【特集 企業買収】 Part2 海外大型案件で成功するには 成功例1 日本たばこ産業 2度の大型買収で変身」
    • [52]新貝康司 1986年に本社へ異動し「中期技術開発計画」を作成
    • [53]中期技術開発計画 注力すべき研究開発を記した計画
    • [54]1988年 社内シミュレーションで1998年に国内需要が減少へ転じる予測
    • [55]1988年 ギリシャのたばこ会社買収プロジェクトが不成立
    • [56]1988年 米RJRナビスコの米国外たばこ事業の買収話を経営陣が見送り
    • [57]1999年以前の海外販売本数 100億本(輸出主体)
    • [58]1992年 英マンチェスター・タバコ・カンパニーを買収
    • [59]マンチェスター・タバコへ送った社員のうち7人がRJRI買収直後に現地赴任

国内市場の縮小は喫煙率にも表れ、成人男性の喫煙率は2年連続で減って1993年に59.8%となり、1965年の調査開始以来はじめて60%を割った[60]。成年男性の喫煙率は1985年の62.5%から2005年には45.8%まで下がった[61]。日本たばこ産業は1985年の民営化以降も葉たばこ原料の購入価格をめぐって農林族議員などの政治的な圧力にさらされ[62]、その一方でたばこ生産の独占など規制にも守られてきた[63]

  • 日本経済新聞(1993年11月25日)「男性、喫煙率初の60%割れ」
    • [60]1993年 成人男性の喫煙率59.8%・1965年の調査開始以来はじめて60%割れ
  • 週刊東洋経済 2005年12月31日号「業績絶好調の中、降って湧いたたばこ増税 JT増税で最高益に冷や水」
    • [61]成年男性の喫煙率 1985年62.5%→2005年45.8%
  • 日経産業新聞(1999年3月11日)「JT、ナビスコ事業78億ドル買収・歴史的な賭け、漂う暗雲」
    • [62]民営化以降の葉たばこ購入価格をめぐる政治的圧力と生産独占による保護
    • [63]たばこ生産の独占など規制による保護
  • 週刊東洋経済 2014年5月30日号「【特集 企業買収】 Part2 海外大型案件で成功するには 成功例1 日本たばこ産業 2度の大型買収で変身」
    • [46]1987年4月 輸入たばこの関税撤廃
    • [47]関税撤廃による外国製品の値下げ幅 20〜80円
    • [48]ラーク 30円値下げで250円・マイルドセブン 当時220円
    • [52]新貝康司 1986年に本社へ異動し「中期技術開発計画」を作成
    • [53]中期技術開発計画 注力すべき研究開発を記した計画
    • [54]1988年 社内シミュレーションで1998年に国内需要が減少へ転じる予測
    • [55]1988年 ギリシャのたばこ会社買収プロジェクトが不成立
    • [56]1988年 米RJRナビスコの米国外たばこ事業の買収話を経営陣が見送り
    • [57]1999年以前の海外販売本数 100億本(輸出主体)
    • [58]1992年 英マンチェスター・タバコ・カンパニーを買収
    • [59]マンチェスター・タバコへ送った社員のうち7人がRJRI買収直後に現地赴任
  • 日本経済新聞(1987年6月22日)「外国たばこ侵攻」
    • [49]長岡實社長 民営化移行時の見通し 5年後の輸入たばこシェア5%程度
    • [50]予想を超える速さでの外国たばこの攻勢
    • [51]外国各社の日本向け商品開発と本格攻勢
  • 日本経済新聞(1993年11月25日)「男性、喫煙率初の60%割れ」
    • [60]1993年 成人男性の喫煙率59.8%・1965年の調査開始以来はじめて60%割れ
  • 週刊東洋経済 2005年12月31日号「業績絶好調の中、降って湧いたたばこ増税 JT増税で最高益に冷や水」
    • [61]成年男性の喫煙率 1985年62.5%→2005年45.8%
  • 日経産業新聞(1999年3月11日)「JT、ナビスコ事業78億ドル買収・歴史的な賭け、漂う暗雲」
    • [62]民営化以降の葉たばこ購入価格をめぐる政治的圧力と生産独占による保護
    • [63]たばこ生産の独占など規制による保護

株式上場と、たばこ以外の柱を探す試み

1994年10月、政府保有株式の第一次売出しとして394,276株が放出され[64]、東京・大阪・名古屋の各証券取引所市場第一部へ株式が上場された[65]。上場日は10月27日[66]で、同年11月には京都・広島・福岡・新潟・札幌の各証券取引所にも上場[67]した。上場時の社長は水野勝氏[68]で、従業員は23,669人、たばこ工場は26か所、原料工場等が7か所[69]という規模だった。1株当たり年5,000円を安定配当とし[70]、たばこ事業の効率化と多角化の状況を考えながら適切な利益還元を行う方針が示された。1996年6月には第二次売出しとして272,390株[71]が放出された。

  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [64]1994年10月 政府保有株式の第一次売出し394,276株
    • [65]1994年10月 東京・大阪・名古屋の各証券取引所市場第一部へ上場
    • [67]1994年11月 京都・広島・福岡・新潟・札幌の各証券取引所へ上場
    • [71]1996年6月 政府保有株式の第二次売出し272,390株
  • 証券 1994年46巻12号「新規上場会社紹介 日本たばこ産業株式会社」
    • [66]上場年月日 1994年10月27日
    • [68]上場時の代表者 取締役社長 水野勝
    • [69]1994年3月31日時点 従業員23,669人・たばこ工場26か所・原料工場等7か所
    • [70]株主還元方針 1株当たり年5,000円の安定配当

たばこ以外の柱づくりは民営化の直後から始まり、1985年4月に置かれた事業開発本部は1990年7月までに改組されて医薬と食品の事業部が生まれた[72]。1993年9月には医薬事業の研究開発体制を充実強化するため医薬総合研究所が設けられ[73]、研究開発費は医薬の準大手並みの年200億円[74]に達した。抗エイズ薬など国際的な新薬を開発した一方で国内の販売体制は未整備[75]で、1998年12月に鳥居薬品の発行済株式の過半数を公開買付により取得[76]して販売力を取り込んだ。鳥居薬品はかつて米メルクに、さらにアサヒビールに買収された経緯[77]を持ち、企業の売買には慣れていた。

  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [72]1985年4月設置の事業開発本部を1990年7月までに改組し医薬・食品の事業部を設置
    • [73]1993年9月 医薬事業研究開発体制の充実・強化のため医薬総合研究所を設置
    • [76]1998年12月 鳥居薬品の発行済株式の過半数を公開買付により取得
  • 週刊東洋経済 1998年12月5日号「[特集]食う会社・食われる会社 医薬品 無風続きの業界にJTが一石」
    • [74]医薬の研究開発費 準大手並みの年200億円
    • [75]抗エイズ薬など国際的新薬の開発と国内販売体制の未整備
    • [77]鳥居薬品の被買収歴 米メルク・アサヒビール

1997年4月には塩専売制度の廃止に伴って塩の専売事業が終了し、たばこ共済年金が厚生年金に統合[78]された。飲料では1998年4月にユニマットコーポレーションと清涼飲料事業での業務提携に関する契約を結び[79]、その後に同社の発行済株式の過半数を取得した。参入から5年を経た1998年時点の医薬事業は営業赤字が50億円規模で、鳥居薬品の買収により連結売上550億円規模[80]と黒字化の前倒しを狙った。医薬の再編では、販売力を欲しがる日本たばこ産業と、目先の業績は堅調でも将来の新薬に乏しい鳥居薬品[81]の思惑が結び付いた。

  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [78]1997年4月 塩専売制度廃止に伴う塩専売事業の終了とたばこ共済年金の厚生年金統合
    • [79]1998年4月 ユニマットコーポレーションと清涼飲料事業で業務提携契約・のち過半数取得
  • 週刊東洋経済 1998年11月14日号「[フラッシュ]JT鳥居薬品買収で医薬本格化」
    • [80]1998年時点の医薬事業 営業赤字50億円規模・鳥居薬品買収で連結売上550億円規模を想定
  • 週刊東洋経済 1998年12月5日号「[特集]食う会社・食われる会社 医薬品 無風続きの業界にJTが一石」
    • [81]販売力を求めるJTと将来の新薬に乏しい鳥居薬品の思惑の一致
  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [64]1994年10月 政府保有株式の第一次売出し394,276株
    • [65]1994年10月 東京・大阪・名古屋の各証券取引所市場第一部へ上場
    • [67]1994年11月 京都・広島・福岡・新潟・札幌の各証券取引所へ上場
    • [71]1996年6月 政府保有株式の第二次売出し272,390株
    • [72]1985年4月設置の事業開発本部を1990年7月までに改組し医薬・食品の事業部を設置
    • [73]1993年9月 医薬事業研究開発体制の充実・強化のため医薬総合研究所を設置
    • [76]1998年12月 鳥居薬品の発行済株式の過半数を公開買付により取得
    • [78]1997年4月 塩専売制度廃止に伴う塩専売事業の終了とたばこ共済年金の厚生年金統合
    • [79]1998年4月 ユニマットコーポレーションと清涼飲料事業で業務提携契約・のち過半数取得
  • 証券 1994年46巻12号「新規上場会社紹介 日本たばこ産業株式会社」
    • [66]上場年月日 1994年10月27日
    • [68]上場時の代表者 取締役社長 水野勝
    • [69]1994年3月31日時点 従業員23,669人・たばこ工場26か所・原料工場等7か所
    • [70]株主還元方針 1株当たり年5,000円の安定配当
  • 週刊東洋経済 1998年12月5日号「[特集]食う会社・食われる会社 医薬品 無風続きの業界にJTが一石」
    • [74]医薬の研究開発費 準大手並みの年200億円
    • [75]抗エイズ薬など国際的新薬の開発と国内販売体制の未整備
    • [77]鳥居薬品の被買収歴 米メルク・アサヒビール
    • [81]販売力を求めるJTと将来の新薬に乏しい鳥居薬品の思惑の一致
  • 週刊東洋経済 1998年11月14日号「[フラッシュ]JT鳥居薬品買収で医薬本格化」
    • [80]1998年時点の医薬事業 営業赤字50億円規模・鳥居薬品買収で連結売上550億円規模を想定

1999年〜 二度の大型買収で世界三位へ、国内は縮小という二正面

RJRナビスコ買収という「歴史的な賭け」

1999年、かつて買収を見送ったRJRインターナショナルが十年の時を経て再びオークションに掛けられ[82]、世界中のたばこメーカーが名乗りを上げた[83]。当時のRJRインターナショナルはレバレッジド・バイアウトの後遺症で借金漬けとなり[84]、「ウィンストン」「キャメル」といった強いブランド[85]を持ちながらマーケティングへの投資がおろそかになっていた。買収交渉は1999年3月8日のニューヨーク時間の夕刻に始まり[86]、朝までに契約書を詰めて署名し、ニューヨーク市場が開くまでに世界同時に発表[87]するという一夜限りの期限が付いていた。実務の責任者は経営企画部長として直接交渉に当たった木村宏[88]で、買収後は海外部門の統括会社の副社長としてスイスのジュネーブへ移り住んだ[89]

  • 週刊東洋経済 2014年5月30日号「【特集 企業買収】 Part2 海外大型案件で成功するには 成功例1 日本たばこ産業 2度の大型買収で変身」
    • [82]1999年 RJRインターナショナルが10年を経て再びオークションに
    • [83]世界中のたばこメーカーが買収に名乗り
    • [84]RJRIの状況 LBOの後遺症による借金漬けとマーケティング投資の停滞
    • [85]RJRIの保有ブランド ウィンストン・キャメル
  • 週刊東洋経済 2006年7月1日号「直撃インタビュー JT・木村宏新社長 スケールが足りない もっとシェアを取る」
    • [86]1999年3月8日ニューヨーク時間夕刻に買収交渉を開始・期限は一夜
    • [87]交渉の条件 朝までに契約書を詰めて署名しNY市場が開くまでに世界同時発表
    • [88]木村宏 経営企画部長として交渉の実務責任者・買収後はJTI副社長としてジュネーブ勤務
    • [89]買収後の木村宏氏 海外統括会社副社長としてジュネーブへ

1999年5月、日本たばこ産業は米国のRJRナビスコ社から米国外のたばこ事業を取得した[90]。取得額は77億9,000万ドル[91]で、78億ドルという規模は日本企業による海外買収として当時の過去最大額[92]にあたった。買収で「ウィンストン」「キャメル」「セーラム」などのブランド[93]を得て、海外での販売本数は約200億本から約2,000億本へおよそ10倍に増えた[94]。商標権を償却する際に1,200億円程度の税務上の利益を得られることも、9,400億円という価格[95]を高くないと判断した根拠のひとつだった。

  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [90]1999年5月 米国RJRナビスコ社から米国外のたばこ事業を取得
  • 週刊東洋経済 2014年5月30日号「【特集 企業買収】 Part2 海外大型案件で成功するには 成功例1 日本たばこ産業 2度の大型買収で変身」
    • [91]取得額 77億9,000万ドル
    • [95]商標権償却による税務メリット 1,200億円程度・買収額9,400億円
  • 日本経済新聞 朝刊(1999年3月10日)「JT、78億ドルで買収・日本企業で過去最大額・国際再編生き残り」
    • [92]78億ドルの買収は日本企業の海外買収として当時の過去最大額
    • [93]取得ブランド ウィンストン・キャメル・セーラム
    • [94]海外販売本数 約200億本から約2,000億本へ約10倍

買収は「歴史的な賭け」と受け止められ[96]、公社体質を引きずったままのグローバル競争が、バブル期の日本企業による海外買収を10年遅れで繰り返しかねない[97]と懸念された。日本たばこ産業の側は、先進国の需要は頭打ちでも所得水準が上がる途上国では需要が伸びる[98]として、たばこ事業を中核とする限り国際化は避けて通れない[99]という論理を示した。買収した事業はスイスのジュネーブに本社を置くJTインターナショナルとして束ね直され[100]、海外戦略の拠点は東京ではなくジュネーブに置かれた[101]。日本人だけで多様な市場に対応できるはずがないという割り切り[102]が、早い段階からあった。買収後の統合計画をまとめるのに8か月を要した[103]ことは、のちに大きな反省として振り返られた。

  • 日経産業新聞(1999年3月11日)「JT、ナビスコ事業78億ドル買収・歴史的な賭け、漂う暗雲」
    • [96]買収への評価 「歴史的な賭け」・公社体質のままの競争への懸念
    • [97]バブル期の日本企業の海外買収を10年遅れで繰り返す懸念
  • 日経ビジネス 1999年4月19日号「JTたばこ「世界寡占」に参戦」
    • [98]JTの論理 途上国の需要増と、たばこを中核とする限り国際化は不可避
    • [99]たばこ事業を中核とする限り国際化は避けられないという主張
  • 週刊東洋経済 2014年5月30日号「【特集 企業買収】 Part2 海外大型案件で成功するには 成功例1 日本たばこ産業 2度の大型買収で変身」
    • [100]買収事業をジュネーブ本社のJTインターナショナルへ統合
    • [101]海外戦略の拠点を東京でなくジュネーブに置いた判断
    • [102]日本人だけで多様な市場に対応できないという早期からの割り切り
    • [103]買収後の統合計画作成に8か月を要したことへの反省
  • 週刊東洋経済 2014年5月30日号「【特集 企業買収】 Part2 海外大型案件で成功するには 成功例1 日本たばこ産業 2度の大型買収で変身」
    • [82]1999年 RJRインターナショナルが10年を経て再びオークションに
    • [83]世界中のたばこメーカーが買収に名乗り
    • [84]RJRIの状況 LBOの後遺症による借金漬けとマーケティング投資の停滞
    • [85]RJRIの保有ブランド ウィンストン・キャメル
    • [91]取得額 77億9,000万ドル
    • [95]商標権償却による税務メリット 1,200億円程度・買収額9,400億円
    • [100]買収事業をジュネーブ本社のJTインターナショナルへ統合
    • [101]海外戦略の拠点を東京でなくジュネーブに置いた判断
    • [102]日本人だけで多様な市場に対応できないという早期からの割り切り
    • [103]買収後の統合計画作成に8か月を要したことへの反省
  • 週刊東洋経済 2006年7月1日号「直撃インタビュー JT・木村宏新社長 スケールが足りない もっとシェアを取る」
    • [86]1999年3月8日ニューヨーク時間夕刻に買収交渉を開始・期限は一夜
    • [87]交渉の条件 朝までに契約書を詰めて署名しNY市場が開くまでに世界同時発表
    • [88]木村宏 経営企画部長として交渉の実務責任者・買収後はJTI副社長としてジュネーブ勤務
    • [89]買収後の木村宏氏 海外統括会社副社長としてジュネーブへ
  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [90]1999年5月 米国RJRナビスコ社から米国外のたばこ事業を取得
  • 日本経済新聞 朝刊(1999年3月10日)「JT、78億ドルで買収・日本企業で過去最大額・国際再編生き残り」
    • [92]78億ドルの買収は日本企業の海外買収として当時の過去最大額
    • [93]取得ブランド ウィンストン・キャメル・セーラム
    • [94]海外販売本数 約200億本から約2,000億本へ約10倍
  • 日経産業新聞(1999年3月11日)「JT、ナビスコ事業78億ドル買収・歴史的な賭け、漂う暗雲」
    • [96]買収への評価 「歴史的な賭け」・公社体質のままの競争への懸念
    • [97]バブル期の日本企業の海外買収を10年遅れで繰り返す懸念
  • 日経ビジネス 1999年4月19日号「JTたばこ「世界寡占」に参戦」
    • [98]JTの論理 途上国の需要増と、たばこを中核とする限り国際化は不可避
    • [99]たばこ事業を中核とする限り国際化は避けられないという主張

国内八工場の閉鎖と4,000人の希望退職

海外へ出た直後から国内では逆向きの作業が始まり、喫煙人口は1998年に頂点を越えて、たばこの販売本数は3年連続で前年を下回った[104]。日本たばこ産業は初めて国内需要の減少見通しを公表した[105]。国内たばこ事業は連結営業利益の8割を占めており[106]、その縮小は会社全体の収益に直結した。2002年7月4日には、3年内に国内たばこ工場8か所の閉鎖と営業7拠点の統廃合を発表[107]した。閉鎖の対象は生産拠点の3分の1にあたるが生産量では全体の13%[108]にすぎず、筧正三副社長は生産性の低い工場を閉じるためと説明[109]した。

  • 週刊東洋経済 2002年7月20日号「リストラ一気の8工場閉鎖でも JT改革にまだ残る課題」
    • [104]喫煙人口は1998年にピークアウト・販売本数は3年連続マイナス
    • [105]国内需要の減少見通しを初めて公表
    • [106]国内たばこ事業が連結営業利益の8割を占有
    • [107]2002年7月4日 3年内に国内たばこ工場8カ所閉鎖と営業7拠点統廃合を発表
    • [108]閉鎖対象は生産拠点の3分の1・生産量では全体の13%
    • [109]筧正三副社長 生産性の低い工場の閉鎖という説明

2003年8月6日には4,000人の希望退職の募集と工場の追加閉鎖を発表[110]した。単独社員1万7,500人の約2割を2005年度末までに削減し、31支店の2割を統合[111]する内容で、国内市場の縮小幅を年率3%減と見積もった[112]計画だった。決断を下したのは、日本たばこ産業として初の生え抜き社長である本田勝彦氏[113]だった。工場の閉鎖は2003年3月の仙台・名古屋・橋本[114]、2004年3月の広島・府中・松山・那覇[115]と続き、2005年3月には上田・函館・高崎・高松・徳島・臼杵・鹿児島・都城の8工場[116]が閉じられた。

  • 週刊東洋経済 2003年8月23日号「JTの大規模リストラ 生え抜き社長の土壇場 4000人削減の“切実度”」
    • [110]2003年8月6日 4,000人の希望退職募集と工場追加閉鎖を発表
    • [111]単独社員1万7,500人の約2割を2005年度末までに削減・31支店の2割を統合
    • [112]国内市場の縮小幅の見積り 年率3%減
    • [113]本田勝彦 日本たばこ産業として初の生え抜き社長
  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [114]2003年3月 仙台・名古屋・橋本工場を閉鎖
    • [115]2004年3月 広島・府中・松山・那覇工場を閉鎖
    • [116]2005年3月 上田・函館・高崎・高松・徳島・臼杵・鹿児島・都城の8工場を閉鎖

2005年4月にはマールボロ製品を日本国内で製造・販売し商標を独占的に使用するライセンス契約が終了[117]した。マールボロは国内販売本数の11%を占め、営業利益では500億円分[118]にあたる稼ぎ頭のひとつだった。リストラの特別損失を計上した2004年3月期の連結最終損益は76億円の赤字[119]となったが、2006年3月期には営業利益3,069億円、当期純利益2,015億円[120]へ回復した。株価は2005年12月9日に一時186万円と上場以来の高値[121]をつけた。専売公社時代に98%だった国内シェアは、2006年に65%台[122]まで下がる見通しとなった。

  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [117]2005年4月 マールボロの国内製造・販売・商標独占使用ライセンス契約が終了
  • 週刊東洋経済 2003年8月23日号「JTの大規模リストラ 生え抜き社長の土壇場 4000人削減の“切実度”」
    • [118]マールボロは国内販売本数の11%・営業利益500億円分
  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2004年3月期・連結)
    • [119]2004年3月期 リストラ特損計上により連結最終損益76億円の赤字
  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2006年3月期・連結)
    • [120]2006年3月期 連結営業利益3,069億円・当期純利益2,015億円
  • 週刊東洋経済 2005年12月31日号「業績絶好調の中、降って湧いたたばこ増税 JT増税で最高益に冷や水」
    • [121]2005年12月9日 株価が一時186万円と上場以来の高値
  • 週刊東洋経済 2006年1月28日号「大リストラで「公社意識」は変わったか “独占”でもシェア低下 JT、遅れた社内改革」
    • [122]国内シェア 専売公社時代98%→2006年に65%台の見通し
  • 週刊東洋経済 2002年7月20日号「リストラ一気の8工場閉鎖でも JT改革にまだ残る課題」
    • [104]喫煙人口は1998年にピークアウト・販売本数は3年連続マイナス
    • [105]国内需要の減少見通しを初めて公表
    • [106]国内たばこ事業が連結営業利益の8割を占有
    • [107]2002年7月4日 3年内に国内たばこ工場8カ所閉鎖と営業7拠点統廃合を発表
    • [108]閉鎖対象は生産拠点の3分の1・生産量では全体の13%
    • [109]筧正三副社長 生産性の低い工場の閉鎖という説明
  • 週刊東洋経済 2003年8月23日号「JTの大規模リストラ 生え抜き社長の土壇場 4000人削減の“切実度”」
    • [110]2003年8月6日 4,000人の希望退職募集と工場追加閉鎖を発表
    • [111]単独社員1万7,500人の約2割を2005年度末までに削減・31支店の2割を統合
    • [112]国内市場の縮小幅の見積り 年率3%減
    • [113]本田勝彦 日本たばこ産業として初の生え抜き社長
    • [118]マールボロは国内販売本数の11%・営業利益500億円分
  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [114]2003年3月 仙台・名古屋・橋本工場を閉鎖
    • [115]2004年3月 広島・府中・松山・那覇工場を閉鎖
    • [116]2005年3月 上田・函館・高崎・高松・徳島・臼杵・鹿児島・都城の8工場を閉鎖
    • [117]2005年4月 マールボロの国内製造・販売・商標独占使用ライセンス契約が終了
  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2004年3月期・連結)
    • [119]2004年3月期 リストラ特損計上により連結最終損益76億円の赤字
  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2006年3月期・連結)
    • [120]2006年3月期 連結営業利益3,069億円・当期純利益2,015億円
  • 週刊東洋経済 2005年12月31日号「業績絶好調の中、降って湧いたたばこ増税 JT増税で最高益に冷や水」
    • [121]2005年12月9日 株価が一時186万円と上場以来の高値
  • 週刊東洋経済 2006年1月28日号「大リストラで「公社意識」は変わったか “独占”でもシェア低下 JT、遅れた社内改革」
    • [122]国内シェア 専売公社時代98%→2006年に65%台の見通し

英ギャラハー買収とジュネーブの海外拠点

2006年6月、生え抜きとして2人目の社長に木村宏氏が就いた[123]。木村氏は1976年に京都大学法学部を出て日本専売公社に入り、1999年5月からJTインターナショナルの副社長[124]を務めた人物だった。2005年度には海外たばこの販売本数が国内を上回り[125]、海外事業が成長の中心になった。「無謀な1兆円投資」と揶揄されたRJRナビスコ買収は、2006年3月期の海外たばこ事業の営業利益が前期比42%増の660億円を見込む[126]ところまで育ち、ロシア一国で利益100億円を稼ぐ水準に達した[127]。ウクライナや台湾、利幅の大きい欧州も好調[128]だった。

  • 週刊東洋経済 2006年7月1日号「直撃インタビュー JT・木村宏新社長 スケールが足りない もっとシェアを取る」
    • [123]2006年6月 木村宏が生え抜き2人目の社長に就任
    • [124]木村宏 1976年京都大学法学部卒・日本専売公社入社・1999年5月JTI副社長
    • [125]2005年度 海外たばこの販売本数が国内を上回る
  • 週刊東洋経済 2006年1月28日号「大リストラで「公社意識」は変わったか “独占”でもシェア低下 JT、遅れた社内改革」
    • [126]2006年3月期 海外たばこ事業の営業利益が前期比42%増の660億円見込み・ロシア単独で100億円
    • [127]ロシアを筆頭にウクライナ・台湾・欧州が好調
    • [128]好調地域 ウクライナ・台湾・利幅の大きい欧州

RJRナビスコ買収では統合計画の作成に手間取った反省から、次の買収では三年ほど前に検討を始めた[129]。英ギャラハーを含む複数の候補について、買収した場合に各地域でどのような統合が必要かを事前に洗い出した[130]。イタリアであれば北部に拠点を持つ自社と南部に強いギャラハーをどう組み合わせ[131]、どこに新しい事務所を置き、営業員が何人要るかまで数えた。買収対象をギャラハーに定めたのは2006年7月ごろ[132]で、地理的な拡大ができること、自社にないたばこのブレンド技術、即戦力となる人材の三つ[133]が決め手だった。統合計画は100日で作ると決め[134]、契約の完了までにやれることは先に済ませた。

  • 週刊東洋経済 2014年5月30日号「【特集 企業買収】 Part2 海外大型案件で成功するには 成功例1 日本たばこ産業 2度の大型買収で変身」
    • [129]RJRI買収の反省から次の買収は3年ほど前に検討を開始
    • [130]英ギャラハーを含む複数候補について地域ごとの統合内容を事前に検討
    • [131]イタリアでは北部のJTと南部に強いギャラハーの拠点・営業員数まで検討
    • [132]2006年7月ごろ 買収対象をギャラハーに決定
    • [133]決め手 地理的拡大・ブレンド技術・即戦力人材
    • [134]統合計画を100日で作ると決定

2007年4月、英国のGallaher Group Plcの発行済株式を取得した[135]。買収額は純有利子負債を含めて約97.5億ポンド[136]、日本円で約2兆2,500億円にのぼり、国内企業による海外買収として当時の過去最高額[137]を更新した。ギャラハーを連結した2008年3月期の連結売上高は6兆4,097億円、営業利益は4,306億円[138]となり、前期の売上高4兆7,693億円、営業利益3,320億円[139]から伸びた。海外たばこの売上が国内を逆転したのは2009年[140]で、国内で工場を閉じながら海外で規模を買う二正面の経営が定着[141]した。

  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [135]2007年4月 英Gallaher Group Plcの発行済株式を取得
    • [136]買収額 純有利子負債込み約97.5億ポンド(約2兆2,530億円)
    • [137]買収額 約2兆2,500億円・国内で過去最高額
  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2008年3月期・連結)
    • [138]2008年3月期 連結売上高6兆4,097億円・営業利益4,306億円
  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2007年3月期・連結)
    • [139]2007年3月期 連結売上高4兆7,693億円・営業利益3,320億円
  • 週刊東洋経済 2014年3月7日号「工場は日本で成立するのか 民営化で残ったのは、50工場中の5工場 国内大リストラのJT」
    • [140]2009年 海外たばこ売上が国内を逆転
    • [141]国内工場閉鎖と海外買収を並行させる二正面の経営
  • 週刊東洋経済 2006年7月1日号「直撃インタビュー JT・木村宏新社長 スケールが足りない もっとシェアを取る」
    • [123]2006年6月 木村宏が生え抜き2人目の社長に就任
    • [124]木村宏 1976年京都大学法学部卒・日本専売公社入社・1999年5月JTI副社長
    • [125]2005年度 海外たばこの販売本数が国内を上回る
  • 週刊東洋経済 2006年1月28日号「大リストラで「公社意識」は変わったか “独占”でもシェア低下 JT、遅れた社内改革」
    • [126]2006年3月期 海外たばこ事業の営業利益が前期比42%増の660億円見込み・ロシア単独で100億円
    • [127]ロシアを筆頭にウクライナ・台湾・欧州が好調
    • [128]好調地域 ウクライナ・台湾・利幅の大きい欧州
  • 週刊東洋経済 2014年5月30日号「【特集 企業買収】 Part2 海外大型案件で成功するには 成功例1 日本たばこ産業 2度の大型買収で変身」
    • [129]RJRI買収の反省から次の買収は3年ほど前に検討を開始
    • [130]英ギャラハーを含む複数候補について地域ごとの統合内容を事前に検討
    • [131]イタリアでは北部のJTと南部に強いギャラハーの拠点・営業員数まで検討
    • [132]2006年7月ごろ 買収対象をギャラハーに決定
    • [133]決め手 地理的拡大・ブレンド技術・即戦力人材
    • [134]統合計画を100日で作ると決定
  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [135]2007年4月 英Gallaher Group Plcの発行済株式を取得
    • [136]買収額 純有利子負債込み約97.5億ポンド(約2兆2,530億円)
    • [137]買収額 約2兆2,500億円・国内で過去最高額
  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2008年3月期・連結)
    • [138]2008年3月期 連結売上高6兆4,097億円・営業利益4,306億円
  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2007年3月期・連結)
    • [139]2007年3月期 連結売上高4兆7,693億円・営業利益3,320億円
  • 週刊東洋経済 2014年3月7日号「工場は日本で成立するのか 民営化で残ったのは、50工場中の5工場 国内大リストラのJT」
    • [140]2009年 海外たばこ売上が国内を逆転
    • [141]国内工場閉鎖と海外買収を並行させる二正面の経営

2008年〜 政府保有株の放出、加熱式への後発参入と医薬からの撤退

JTの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2008年 ト吉をTOBにより買収
  2. 2013年 「マイルドセブン」を「メビウス」に刷新
  3. 2015年 米「ナチュラル・アメリカン・スピリット」米国外事業の約6000億円買収 「買収王」三たびの大型M&A——縮小市場でなぜ6000億円を投じたか
  4. 2015年 飲料事業から撤退(飲料事業部の廃止)
  5. 2018年 加熱式たばこへの後発参入と、プルームによる巻き返し アイコスに三年出遅れた最大手は、紙巻きたばこの成功体験をどう捨てようとしたのか
  6. 2024年 Vector Group Ltd.を取得
  7. 2025年 参入40年の医薬事業からの撤退——鳥居薬品を塩野義へ託しての選択と集中 黒字が定着した多角化の一角を、寺畠正道社長はなぜ手放したか——加熱式と海外たばこへの資源集中

政府保有株の放出と国内生産の絞り込み

2008年1月には加ト吉の株式を公開買付により取得[142]し、加工食品の足場を広げた。国内たばこの生産拠点はその後も縮み、2009年3月に金沢[143]、2010年3月に盛岡と米子[144]、2011年3月に小田原[145]、2012年3月に防府の各工場が閉じられた[146]。2013年10月30日には郡山・浜松・平塚・岡山印刷の国内4工場の閉鎖と、本体社員の2割弱にあたる1,600人の希望退職[147]を発表した。2013年度は営業利益が過去最高を更新する見込みでありながらの決定で、宮崎秀樹副社長は企業に体力のあるうちに踏み切ると説明[148]した。民営化時の1985年に50あった国内工場は、2016年3月末には5工場まで減った[149]

  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [142]2008年1月 加ト吉株式を公開買付により取得
    • [143]2009年3月 金沢工場を閉鎖
    • [144]2010年3月 盛岡・米子工場を閉鎖
    • [145]2011年3月 小田原工場を閉鎖
    • [146]2012年3月 防府工場を閉鎖
    • [147]2013年10月30日 郡山・浜松・平塚・岡山印刷の4工場閉鎖と1,600人の希望退職を発表
  • 週刊東洋経済 2014年3月7日号「工場は日本で成立するのか 民営化で残ったのは、50工場中の5工場 国内大リストラのJT」
    • [148]宮崎秀樹副社長 過去最高益見込みの年に企業体力のあるうちに実施と説明
    • [149]国内工場 1985年の50から2016年3月末の5へ

旧専売公社の時代には雇用の確保を目的として国策で全国に工場を抱えていた[150]が、小規模で老朽な設備は効率が悪く、民営化と1994年の上場によって利潤の最大化を求められた[151]。日本のたばこ総需要は1996年度の3,483億本を頂点に減り続け、2012年度には1,951億本[152]と最盛期の6割弱まで落ちた。国内で工場を閉じる一方で2007年のギャラハー買収などによって海外を伸ばし、2009年には海外たばこの売上が国内を上回った[153]。2013年2月には日本国内で「マイルドセブン」のブランドを「メビウス」へ刷新[154]した。

  • 週刊東洋経済 2014年3月7日号「工場は日本で成立するのか 民営化で残ったのは、50工場中の5工場 国内大リストラのJT」
    • [150]旧専売公社時代は雇用確保を目的に国策で全国に工場を保有
    • [151]小規模・老朽で効率が悪く、民営化と1994年上場で利潤最大化を要求された
    • [152]たばこ総需要 1996年度3,483億本→2012年度1,951億本(最盛期の6割弱)
    • [153]2009年 海外たばこ売上が国内を逆転
  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [154]2013年2月 マイルドセブンをメビウスへ刷新

2011年、政府と民主党は東日本大震災の復興財源の一部となる2兆円分として、日本たばこ産業株の完全売却を決めた[155]。設立以来の念願であり、志水雅一副社長は基本的な方向として希望と同じだと歓迎の意を示した[156]。日本たばこ産業株式会社法のもとでは増資に政府の認可が必要で、認可の後も政府の出資比率が3分の1を下回れず、たばこの価格も認可制[157]だった。葉たばこ農家は外国産の3倍から4倍の価格で全量を引き取ってもらっている[158]現状が崩れれば価格破壊につながると懸念を示し、小売店の組合も定価制などの保護策にメスが入ればきついと反発[159]した。その裏で日本たばこ産業は2011年8月に7年ぶりの廃作を葉たばこ農家に募り、10アール当たりの協力金を前回の20万円から28万円へ増やした[160]。2013年3月には政府保有株式の第四次売出しとして253,261,800株[161]が放出された。

  • 週刊東洋経済 2011年10月15日号「NEWS TOP 4 02 経営 念願の完全民営化へ JT、最後の詰め必死」
    • [155]2011年 政府・民主党が震災復興財源2兆円分としてJT株の完全売却を決定
    • [156]志水雅一副社長 完全売却は設立以来の念願で希望と同じ方向との歓迎
    • [157]JT法の制約 増資の政府認可・政府出資比率3分の1以上・たばこ価格の認可制
    • [158]葉たばこ農家の懸念 外国産の3〜4倍価格での全量引取が崩れれば価格破壊
    • [159]小売店組合の反発 定価制など保護策の見直しへの警戒
    • [160]2011年8月 7年ぶりの廃作募集・協力金を10アール当たり20万円から28万円へ増額
  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [161]2013年3月 政府保有株式の第四次売出し253,261,800株
  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [142]2008年1月 加ト吉株式を公開買付により取得
    • [143]2009年3月 金沢工場を閉鎖
    • [144]2010年3月 盛岡・米子工場を閉鎖
    • [145]2011年3月 小田原工場を閉鎖
    • [146]2012年3月 防府工場を閉鎖
    • [154]2013年2月 マイルドセブンをメビウスへ刷新
    • [161]2013年3月 政府保有株式の第四次売出し253,261,800株
    • [147]2013年10月30日 郡山・浜松・平塚・岡山印刷の4工場閉鎖と1,600人の希望退職を発表
  • 週刊東洋経済 2014年3月7日号「工場は日本で成立するのか 民営化で残ったのは、50工場中の5工場 国内大リストラのJT」
    • [148]宮崎秀樹副社長 過去最高益見込みの年に企業体力のあるうちに実施と説明
    • [149]国内工場 1985年の50から2016年3月末の5へ
    • [150]旧専売公社時代は雇用確保を目的に国策で全国に工場を保有
    • [151]小規模・老朽で効率が悪く、民営化と1994年上場で利潤最大化を要求された
    • [152]たばこ総需要 1996年度3,483億本→2012年度1,951億本(最盛期の6割弱)
    • [153]2009年 海外たばこ売上が国内を逆転
  • 週刊東洋経済 2011年10月15日号「NEWS TOP 4 02 経営 念願の完全民営化へ JT、最後の詰め必死」
    • [155]2011年 政府・民主党が震災復興財源2兆円分としてJT株の完全売却を決定
    • [156]志水雅一副社長 完全売却は設立以来の念願で希望と同じ方向との歓迎
    • [157]JT法の制約 増資の政府認可・政府出資比率3分の1以上・たばこ価格の認可制
    • [158]葉たばこ農家の懸念 外国産の3〜4倍価格での全量引取が崩れれば価格破壊
    • [159]小売店組合の反発 定価制など保護策の見直しへの警戒
    • [160]2011年8月 7年ぶりの廃作募集・協力金を10アール当たり20万円から28万円へ増額

飲料と医薬からの撤退、たばこへの集中

2014年11月、安倍晋三首相は日本たばこ産業の完全民営化について検討に値すると述べ[162]小泉光臣社長はいつ完全民営化されてもそれにふさわしい財務体質と事業展開能力を持っている[163]と応じた。飲料事業からの撤退は翌2015年に決まり、7月にはジャパンビバレッジホールディングスとジェイティエースターなどの保有株式と、「Roots」「桃の天然水」の飲料ブランドを譲渡[164]した。自動販売機の事業はサントリー食品インターナショナルへ売られた[165]。2015年9月には飲料製品の製造販売事業から退き、同年12月に飲料事業部を廃止[166]した。二度の大型買収により、グループの営業利益の66%を海外事業が占める[167]ところまで来ていた。

  • 週刊東洋経済 2015年1月30日号「この人に聞く JT社長 小泉光臣 完全民営化されても何の心配もない」
    • [162]2014年11月 安倍晋三首相が完全民営化を検討に値すると発言
    • [163]小泉光臣社長 いつ完全民営化されてもふさわしい財務体質と事業展開能力を持つとの回答
  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [164]2015年7月 ジャパンビバレッジHD・ジェイティエースター株式とRoots・桃の天然水を譲渡
    • [166]2015年9月 飲料製品の製造販売事業から撤退・2015年12月 飲料事業部を廃止
  • 週刊東洋経済 2015年10月2日号「核心リポート04 JT、三たび大型買収 巨額さに疑問の声も」
    • [165]自販機事業をサントリー食品インターナショナルへ売却
  • 週刊東洋経済 2015年10月30日号「【巻頭特集 JT「買収王」の手の内】 6000億円でアメスピ買収 JT買収王の手の内」
    • [167]二度の大型買収でグループ営業利益の66%を海外事業が占有

2015年9月29日、米レイノルズ・アメリカンから「ナチュラル・アメリカン・スピリット」の米国外事業を約6,000億円で取得することに合意[168]した。国内たばこ市場は1996年の3,483億本を頂点に縮み、2014年には1,793億本[169]と半分になっていた。取得したのは商標権と米国外の販売会社9社で、買収は2016年1月に完了[170]した。対象事業の2014年度は売上高176億円、税引前利益21億円[171]で、税務上の利益を差し引いた実質的な買収費用約4,700億円は売上高の約26年分[172]にあたった。発表の翌日、株価は一時、前日比10%安の3,556円[173]まで下がった。

1箱480円のアメリカン・スピリットは主力の「メビウス」の430円より高く[174]、手薄だった高価格帯の強化につながると小泉光臣社長は説明した。新貝康司副社長は、年率35%で売り上げが伸びる会社を買ったのであり、これまでの利益指標では必ずしも妥当に測れない[175]と述べた。自社生産へ切り替える能力があるとし、利益率も上がって買収の価値も実現できる[176]ためそうしたいとも語っていた。2017年にはアメリカン・スピリットを国内製造へ切り替え、輸送費を削った[177]。2024年10月には米国のVector Group Ltd.の発行済株式を取得[178]し、約24億米ドル、日本円で約3,780億円[179]を投じた。

  • 週刊東洋経済 2015年1月30日号「この人に聞く JT社長 小泉光臣 完全民営化されても何の心配もない」
    • [162]2014年11月 安倍晋三首相が完全民営化を検討に値すると発言
    • [163]小泉光臣社長 いつ完全民営化されてもふさわしい財務体質と事業展開能力を持つとの回答
  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [164]2015年7月 ジャパンビバレッジHD・ジェイティエースター株式とRoots・桃の天然水を譲渡
    • [166]2015年9月 飲料製品の製造販売事業から撤退・2015年12月 飲料事業部を廃止
    • [178]2024年10月 米Vector Group Ltd.の発行済株式を取得
  • 週刊東洋経済 2015年10月2日号「核心リポート04 JT、三たび大型買収 巨額さに疑問の声も」
    • [165]自販機事業をサントリー食品インターナショナルへ売却
    • [169]国内たばこ市場 1996年3,483億本→2014年1,793億本へ半減
    • [171]対象事業の2014年度 売上高176億円・税引前利益21億円
    • [172]実質的な買収費用 約4,700億円(売上高の約26年分)
    • [173]発表翌日 株価が一時前日比10%安の3,556円
    • [174]小泉光臣社長 アメスピ1箱480円・メビウス430円で高価格帯を強化
  • 週刊東洋経済 2015年10月30日号「【巻頭特集 JT「買収王」の手の内】 6000億円でアメスピ買収 JT買収王の手の内」
    • [167]二度の大型買収でグループ営業利益の66%を海外事業が占有
    • [168]2015年9月 レイノルズ・アメリカンの米国外事業9法人を約6,000億円で取得することに合意
    • [170]2016年1月 Natural American Spirit米国外たばこ事業の取得を完了
  • 週刊東洋経済 2015年10月30日号「【巻頭特集 JT「買収王」の手の内】 INTERVIEW 日本たばこ産業 副社長 新貝康司 JTにしかわからないM&Aの勝算がある」
    • [175]新貝康司副社長 年率35%で伸びる会社であり従来の利益指標では測れないとの説明
    • [176]新貝康司副社長 自社生産への切替能力と利益率向上の見通し
    • [177]2017年 アメスピを国内製造へ切り替え輸送費を削減
    • [179]ベクター買収額 約24億米ドル・約3,780億円

加熱式たばこへの後発参入と巻き返し

加熱式たばこの市場をつくったのはフィリップ・モリス・インターナショナルで、2014年に名古屋でアイコスを試験販売し、2016年4月から全国へ売り場を広げた[180]。端末の販売台数は300万台を超え、2017年4月には数量ベースで国内たばこ市場の10%[181]を占めた。日本たばこ産業がプルーム・テックを都内で売り始めたのは2017年6月29日で、銀座と新宿の専門店[182]から始め、7月の販路は街のたばこ販売店100店に限られた[183]。カプセル形状のカートリッジは製造工程が複雑で十分な生産体制を組めず、アイコスに1年以上の後れ[184]を取った。国内の紙巻きたばこの販売数量は1996年度の3,483億本から2016年度には1,680億本へ半減[185]していた。

  • 週刊東洋経済 2017年7月8日号「ニュース最前線01 新型たばこで3社激突 アイコス独走は続くか」
    • [180]PMIが2014年に名古屋でアイコスをテスト販売・2016年4月に全国展開
    • [181]アイコス端末の販売台数300万超・2017年4月に国内たばこ市場の10%
    • [182]2017年6月29日 プルーム・テックを都内(銀座・新宿の専門店)で発売
    • [183]2017年7月の販路は街のたばこ販売店100店に限定
    • [184]カプセル形状ゆえの製造工程の複雑さと生産体制の不足でアイコスに1年以上の後れ
  • 週刊東洋経済 2017年12月2日号「ニュース深掘り たばこメーカーの苦悩 JT、加熱式たばこに潜む不安」
    • [185]国内紙巻き販売数量 1996年度3,483億本→2016年度1,680億本

2018年に社長へ就いた寺畠正道氏は、加熱式などのリスク低減製品を最も伸びる分野と定め[186]、いま最も必要なのはリスク低減製品だと繰り返し述べた[187]。2018年6月にはプルーム・テックの全国発売を始め[188]、同年10月には加熱式と紙巻きの営業を統合して1,700名以上[189]が加熱式の営業に携わる体制へ組み替えた。2019年1月にはプルーム・テック・プラスとプルーム・エスを投入し、岩井睦雄副社長[190]がシェアの奪取を宣言した。加熱式は税制上の分類ゆえに紙巻きより税負担が軽く[191]、割高な原価を差し引いても残る利益は紙巻きより多かった。2022年1月には国内たばこ事業と海外たばこ事業の2事業体制を一本化[192]し、たばこ事業の本社機能をジュネーブ拠点へ統合した。

    • [186]寺畠正道社長 RRPを最も伸びる分野と定めた
    • [187]最も必要なのはRRPという寺畠正道社長の発言
  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [188]2018年6月 RRP製品Ploom Techを全国発売
    • [192]2022年1月 国内・海外の2事業体制を一本化しジュネーブ拠点へ統合
  • 週刊東洋経済 2019年3月23日号「加熱式たばこの大激戦 JTの反撃宣言で始まった」
    • [189]2018年10月 加熱式と紙巻きの営業を統合し1,700名以上を加熱式営業へ
    • [190]2019年1月 プルーム・テック・プラスとプルーム・エスを投入・岩井睦雄副社長がシェア奪取を宣言
    • [191]加熱式は税制上の分類で紙巻きより税負担が軽く残る利益が多い

2025年5月7日、日本たばこ産業は塩野義製薬と医薬事業の承継および鳥居薬品株式の譲渡について合意[193]し、1株6,350円の公開買付を含めて総額はおよそ1,600億円規模[194]となった。2024年12月期の医薬事業の連結売上は944億円でグループ売上のおよそ3%[195]にとどまり、研究開発費の負担増と薬価の引き下げが収益を圧迫[196]していた。2025年9月に鳥居薬品の全株式を、同年12月に医薬事業を譲渡[197]し、参入からおよそ40年で医薬から撤退した[198]。加熱式では2025年発売のプルーム・オーラが契機となり、国内シェアは15.7%へ上がって下半期に2位へ浮上[199]した。プルームは4年で業界シェアを10ポイント以上高めた[200]一方、アイコスは70%近くを保った[201]。2026年2月には紙巻きの収益を原資として3年間でリスク低減製品へ8,000億円を投じる計画[202]を示し、筒井岳彦社長はイノベーションを高めればシェアは十分に巻き返せる[203]と述べた。

  • 週刊東洋経済 2017年7月8日号「ニュース最前線01 新型たばこで3社激突 アイコス独走は続くか」
    • [180]PMIが2014年に名古屋でアイコスをテスト販売・2016年4月に全国展開
    • [181]アイコス端末の販売台数300万超・2017年4月に国内たばこ市場の10%
    • [182]2017年6月29日 プルーム・テックを都内(銀座・新宿の専門店)で発売
    • [183]2017年7月の販路は街のたばこ販売店100店に限定
    • [184]カプセル形状ゆえの製造工程の複雑さと生産体制の不足でアイコスに1年以上の後れ
  • 週刊東洋経済 2017年12月2日号「ニュース深掘り たばこメーカーの苦悩 JT、加熱式たばこに潜む不安」
    • [185]国内紙巻き販売数量 1996年度3,483億本→2016年度1,680億本
    • [186]寺畠正道社長 RRPを最も伸びる分野と定めた
    • [187]最も必要なのはRRPという寺畠正道社長の発言
  • 日本たばこ産業 有価証券報告書(2025年12月期)【沿革】
    • [188]2018年6月 RRP製品Ploom Techを全国発売
    • [192]2022年1月 国内・海外の2事業体制を一本化しジュネーブ拠点へ統合
    • [193]2025年5月 塩野義製薬と医薬事業の承継および鳥居薬品株式の譲渡で合意
    • [197]2025年9月 鳥居薬品の全株式を譲渡・2025年12月 医薬事業を譲渡
  • 週刊東洋経済 2019年3月23日号「加熱式たばこの大激戦 JTの反撃宣言で始まった」
    • [189]2018年10月 加熱式と紙巻きの営業を統合し1,700名以上を加熱式営業へ
    • [190]2019年1月 プルーム・テック・プラスとプルーム・エスを投入・岩井睦雄副社長がシェア奪取を宣言
    • [191]加熱式は税制上の分類で紙巻きより税負担が軽く残る利益が多い
    • [194]TOB価格1株6,350円・買収総額およそ1,600億円規模
    • [195]2024年12月期 医薬事業の連結売上944億円・グループ売上の約3%
    • [196]研究開発費の負担増と薬価引き下げによる収益の圧迫
    • [198]参入からおよそ40年での医薬撤退
  • 週刊東洋経済 2026年4月4日号「JTの逆襲シナリオ 最年少社長が挑む紙巻き依存脱却策」
    • [199]2025年 国内加熱式シェア15.7%・下半期に2位へ浮上
    • [202]2026年2月 3年間でRRPへ8,000億円を投じる計画を発表
    • [200]プルームは4年で業界シェアを10ポイント以上引き上げ
  • 週刊東洋経済 2026年4月4日号「JT社長 筒井岳彦 シェアは十分に巻き返せる カギを握るのはイノベーションだ」
    • [201]2025年 アイコスは国内加熱式シェア70%近くを維持
    • [203]筒井岳彦社長 イノベーションを高めればシェアは十分に巻き返せるとの発言

JTの沿革1949〜2025年における主な出来事を抜粋

年月社長・CEO出来事重要度
日本政府により日本専売公社を設立
ホープ(10)を発売
たばこ工場の集約再編を開始
専売公社の民営化を検討開始★★
日本専売公社を株式会社化し日本たばこ産業として発足全株を政府に残したまま、なぜ「段階的な民営化」という設計が選ばれたのか 詳細を読む★★★
福岡・鳥栖両工場を閉鎖し北九州工場を新設
JTのブランドを採用
東京証券取引所に株式上場
塩専売事業が終了
鳥居薬品を公開買付で過半数取得★★
RJRナビスコの米国外たばこ事業を77億9,000万ドルで買収専売の遺産に安住するか、巨額買収で海外へ出るか——縮む国内をかかえた民営たばこ事業者の選択 詳細を読む★★★
旭化成の食品事業を買収
好業績下で断行した国内たばこ事業の構造改革——工場の大量閉鎖と4,000人削減縮む国内市場を前に、本田勝彦社長はなぜ稼げるうちに工場と人員を削ったのか 詳細を読む★★★
国内8工場を閉鎖(上田・函館・高崎・高松・徳島・臼杵・鹿児島・都城)
マールボロ国内ライセンス契約終了
英ギャラハーを約2兆2,500億円で買収し欧州とロシアの柱を得るRJRナビスコで世界3位へ跳んだJTが、上位2社との差をどう詰めたか——二度目の巨額買収 詳細を読む★★★
ト吉をTOBにより買収
木村宏「マイルドセブン」を「メビウス」に刷新
木村宏1600名を人員削減。不採算工場の閉鎖を継続
木村宏米「ナチュラル・アメリカン・スピリット」米国外事業の約6000億円買収「買収王」三たびの大型M&A——縮小市場でなぜ6000億円を投じたか 詳細を読む★★★
木村宏飲料事業から撤退(飲料事業部の廃止)★★
寺畠正道加熱式たばこへの後発参入と、プルームによる巻き返しアイコスに三年出遅れた最大手は、紙巻きたばこの成功体験をどう捨てようとしたのか 詳細を読む★★★
寺畠正道本社を移転
寺畠正道たばこ事業の本社機能をジュネーブに統合
寺畠正道Vector Group Ltd.を取得★★
寺畠正道参入40年の医薬事業からの撤退——鳥居薬品を塩野義へ託しての選択と集中黒字が定着した多角化の一角を、寺畠正道社長はなぜ手放したか——加熱式と海外たばこへの資源集中 詳細を読む★★★
出典・参考

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