2024/2 売上高3,441億円YoY+8.1%
2024/2 営業利益400億円YoY+12.4%
2024/2 従業員6,261
創業1985
創業地東京都
創業者三木正浩

1985年、三木正浩が29歳で設立した輸入卸売会社を起源とし、ホーキンスの独占販売権取得と韓国での生産体制構築によりSPA型の靴卸売業を確立した。1990年に小売業ABCマートを開始し、1999年以降はショッピングセンターへの積極出店で全国チェーン化を加速。創業者退任後も漸進型経営のもとで国内1000店舗を突破し、韓国・台湾を含むアジア展開を推進する靴専門チェーン最大手に成長した。

売上高分解(原価・販管・営利)億円
営業利益販管費売上原価
売上高利益率(粗利・営利など)%
営業利益率粗利率経常利益率純利益率
自己資本比率・現預金残高
自己資本比率現預金残高
歴代社長
FY05
FY06
FY07
FY08
FY09
FY10
FY11
FY12
FY13
FY14
FY15
FY16
FY17
FY18
FY19
FY20
FY21
FY22
FY23
FY24
金城正宏
代表取締役社長
野口実
代表取締役社長
歴代社長
FY05
FY06
FY07
FY08
FY09
FY10
FY11
FY12
FY13
FY14
FY15
FY16
FY17
FY18
FY19
FY20
FY21
FY22
FY23
FY24
金城正宏
代表取締役社長
野口実
代表取締役社長

歴史概略

卸売業からSPAの確立

創業と独占販売権の蓄積

1985年6月、三木正浩は株式会社国際貿易商事を設立し、欧米カジュアルウェアの輸入販売を開始した。翌年にはロンドンで流行していた革靴ブランド「ホーキンス」の国内独占販売権を取得した。当時のロンドンでホーキンスを履く若者に着目した三木は、直接メーカーに出向いて交渉するという即断即決の手法で、日本で無名のブランドの販売権を確保した。

コスビーやバンズなど複数の欧米ブランドの独占販売権も蓄積し、競合他社が同じ商品を扱えない排他的な地位を構築した。この「販売権を自社で握る卸売業者」という立場が、のちに小売業ABCマートを開始した際の商品力の基盤となった。

戦略経営者 2000年7月号 2000/7

韓国生産によるSPA化と高収益体制

1990年から三木は韓国での生産委託体制を構築し、カジュアルシューズのSPAを志向した。独占販売権に加えて生産ライセンスも取得し、ブランド力・生産力・価格競争力を自社で統合する体制を完成させた。1993年にはホーキンスの販売価格を30%値下げしつつ利益率24%を維持するという、高利益率と低価格の両立を実現した。

1995年には年間利益37億円を背景に木村拓哉起用のTVCMに40億円を投下し、FY1996に売上高268億円を達成した。しかし大量露出はホーキンスの需要を短期間で消化し尽くし、ブーム一巡後の売上低迷を招いた。単一ブランド依存の卸売モデルの限界が顕在化し、小売業ABCマートへの業態転換を加速させる契機となった。

戦略経営者 2000年7月号 2000/7

SC積極出店と全国チェーン化

ショッピングセンターへの方針転換

1999年7月、ABCマートはSC向けに積極出店する方針を決定した。大店法改正でSC新設が実質自由化された時期と重なり、イオンモールを筆頭とするSC建設ラッシュに乗る形で全国展開を加速した。それまで都心部25店舗にとどまっていた店舗網は急速に拡大し、2000年代を通じて年間数十店舗ペースで出店が続いた。

SCテナントとしての出店は路面店に比べ初期投資が抑えられ、SCの集客力を活用できるモデルであった。商品開発では売場起点の企画を重視し、正社員による接客で差別化を図った。SPAの商品力とSC市場の拡大が噛み合い、営業利益率は10%を超える水準を維持した。

有価証券報告書決算説明資料

銀座自社ビル取得と都心攻勢

2003年、ABCマートは銀座6丁目に自社ビルを取得して旗艦店を開業した。SC依存ではなく都心一等地での直営展開も並行して推進し、ブランドイメージの向上と高単価商品の販売拠点を確保した。2002年にITCがABCマートを吸収合併して商号を変更し、卸売業から小売業への業態転換が法人格の面でも完了した。

2007年に創業者の三木正浩がABCマートの全役職から退いた。後任の野口実は1991年入社の叩き上げで、「小さな改善をたくさんやる人のほうが伸びる」と語る漸進型の経営路線を採った。三木が構築したSPAとSC出店のビジネスモデルは後継者のもとで自走を続け、業績は着実に拡大した。

有価証券報告書

1000店舗突破とアジア展開(2014〜現在)

国内1000店舗とGRANDSTAGE業態の展開

2019年、ABCマートは国内店舗数1000店を突破した。20年間で店舗数を40倍に拡大した成長は、同社の経営力とSC市場の構造的拡大が同期した結果であった。旗艦店業態GRANDSTAGEの展開により、従来のカジュアルシューズに加えスポーツ・アウトドアの領域にも品揃えを広げた。

一方でSCテナントとしての成長はSC市場の動向に自社の成長が規定される構造でもある。SC新設ペースの鈍化やEC化の進展は既存モデルの前提を問い直す要因であり、1000店舗体制の維持と成長がSC市場の持続的な拡大という外部条件を前提としている点は構造的な課題として残る。

有価証券報告書決算説明資料

韓国・台湾を中心としたアジア展開

海外ではまず韓国に進出し、国内と同様のSPA型ビジネスモデルをアジア市場に展開した。韓国では300店舗を超える規模に成長し、台湾・タイなどにも店舗網を広げた。海外事業は国内で確立したSPAの商品力と店舗運営ノウハウを移植する形で展開されており、現地市場の嗜好に合わせた商品企画も並行して進められた。

創業者が68%の株式を保有しながら経営に関与しない構造は、平時には経営の安定性をもたらしている。しかし既存のビジネスモデルが有効でなくなった局面で「小さな改善」の延長線上で対応できるかどうか、変革が必要な時に意思決定の主体が不在となるリスクを内包する構造でもある。

有価証券報告書決算説明資料

沿革

沿革一覧
4
株式会社国際貿易商事を設立
独占販売権の蓄積がSPA型小売への業態転換を準備した創業期
4
ホーキンスの国内独占販売権を取得
日本で無名のブランドを現地交渉で独占した先取り型の仕入れ戦略
4
靴のグローバルSPAを志向・韓国での生産を開始
韓国での生産委託が「高利益率×低価格」を両立させたSPA設計
4
ABCマート1号店を開業・小売業に参入
アメ横・渋谷への同一地区複数出店が生んだ都心ドミナント戦略
4
ホーキンスのTVCMを放映・木村拓哉を起用
広告宣伝費40億円がブーム加速と需要枯渇を同時に招いた逆説
4
ABCマートの積極出店を開始・SCに照準
大店法改正をSCテナント出店に転化した全国チェーン化の起点
6

重要な意思決定

19856
株式会社国際貿易商事を設立

三木正浩氏が29歳で設立した国際貿易商事は卸売業として出発し、ホーキンス・コスビー・バンズなど欧米ブランドの国内独占販売権を蓄積した。この「販売権を自社で握る卸売業者」という立場は、1990年に小売業ABCマートを子会社として設立した際、他の小売店と競合しながらも商品供給を独占できる優位性を与えた。卸売業時代に築いたブランド資産と韓国での生産体制が、のちのSPA型小売チェーンへの転換を構造的に可能にした原点である。

1986
ホーキンスの国内独占販売権を取得

ホーキンスはロンドンの若者に流行していたが日本では完全に無名であり、だからこそ独占販売権が未取得の状態にあった。三木氏は現地店舗で商品を見て直接メーカーに交渉するという即断即決の手法で、競合が存在しない段階で日本市場の独占権を確保した。この「海外で流行中だが日本未上陸のブランドを先取りする」仕入れモデルは、コスビーやバンズにも適用され、ITCの商品力の源泉となった。

19902
靴のグローバルSPAを志向・韓国での生産を開始

ITCはホーキンスの生産をイタリアや韓国に委託するSPAを構築し、30%の値下げを実施しながら利益率24%を維持した。カジュアルシューズでグローバルにSPAを構築した最先発企業として、品質と価格を同時に満たせる国内唯一のポジションを確立。独占販売権と生産ライセンスの両方を握ることで、ブランド力・生産力・価格競争力の三要素を自社で統合する体制を完成させた。

19902
ABCマート1号店を開業・小売業に参入

ABCマート1号店は上野アメ横に開業し、アメ横4店舗で18億円・渋谷3店舗で14億円と、同一地区に複数店舗を出す異例のドミナント戦略を採用した。2000年時点で直営25店にとどまる慎重な出店ペースにもかかわらず営業利益率7.2%を確保できた背景には、独占販売権を持つブランドによる商品力と、都心部の若者集客地区への集中出店がある。このモデルが1999年以降のSC積極出店の基盤となった。

199511
ホーキンスのTVCMを放映・木村拓哉を起用

申告所得37億円の高収益を背景に木村拓哉を起用したTVCMに40億円を投下し、FY1996に売上高268億円を達成した。しかしテレビの大量露出はホーキンスの需要を短期間で消化し尽くし、ブーム一巡後の売上低迷を招いた。欧州への展開も失敗し清算に至ったこの経験は、単一ブランド依存の卸売業モデルの限界を顕在化させ、三木氏が小売業ABCマートへの業態転換を決断する伏線となった。

19997
ABCマートの積極出店を開始・SCに照準

大店法改正によるSC市場の拡大を、テナント出店による全国展開に転化したのが1999年の方針転換であった。25店舗の都心路面店から出発し、ららぽーと・南町田GMなど全国SCへの積極出店で店舗数を急増させた。路面店時代に培ったSPAの商品力と売場起点の商品企画、正社員中心の店舗運営が、SCテナントとしての差別化要因となり、のちの国内1000店舗体制の礎を築いた。

全社の業績指標

売上高(長期)売上高(2025/2)3,441億円
純利益(長期)当期純利益(2025/2)400億円
売上高分解(原価・販管・営利)億円
営業利益販管費売上原価
売上高利益率(粗利・営利など)%
営業利益率粗利率経常利益率純利益率
特別利益・特別損失億円
特別利益特別損失
キャッシュフロー億円
営業CF投資CF財務CF
自己資本比率・現預金残高
自己資本比率現預金残高
業績データ一覧
全社業績
FY00FY01FY02FY03FY04FY05FY06FY07FY08FY09FY10FY11FY12FY13FY14FY15FY16FY17FY18FY19FY20FY21FY22FY23FY24
2001/32002/22003/22004/22005/22006/22007/22008/22009/22010/22011/22012/22013/22014/22015/22016/22017/22018/22019/22020/22021/22022/22023/22024/22025/2
JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結JGAAP・連結
売上高億円----5426617788879731,1351,2741,4081,5941,8802,1362,3822,3902,5432,6672,7242,2032,4392,9013,4423,722
売上原価億円----2452913483944274905315976818439851,1121,1011,1861,2621,2911,1001,1911,4051,6861,844
売上総利益億円----2973714304935476457438119131,0371,1511,2701,2891,3571,4051,4331,1031,2491,4961,7561,878
販売費及び一般管理費億円----1932262663113454034745396096967548558709239669999079741,0731,1991,253
営業利益億円----104145163183202242269272304341397415419434439434195274423557626
営業外収益億円--------81881710121311131619172415172830
営業外費用億円--------1441066554357777769
経常利益億円----109156177188196256267284307348404422429445451443213283434578646
特別利益億円--------2446000015811010115858
特別損失億円--------34614616427781010223915108
当期純利益億円----45106100106111145184157173200244261284297303297192174303400454
粗利率%----54.856.055.355.656.256.858.357.657.355.253.953.353.953.352.752.650.151.251.651.050.5
営業利益率%----19.121.921.020.620.821.321.119.319.118.118.617.417.517.116.515.98.911.314.616.216.8
経常利益率%----20.123.722.721.220.122.521.020.219.318.518.917.717.917.516.916.39.711.614.916.817.4
純利益率%----8.216.112.911.911.412.814.411.110.910.611.411.011.911.711.410.98.77.110.411.612.2
総資産額億円----5666917397228119941,1111,2021,7421,9692,3372,3862,5392,7972,9693,1113,1783,1773,5593,8734,187
自己資本億円----4125073684535336538049191,0951,3151,5512,0312,1952,4172,5842,7072,7762,8333,0913,3943,673
自己資本比率%----72.873.349.862.765.765.772.476.562.966.866.485.186.486.487.087.087.389.286.987.687.7
営業CF億円336568986412925106151132125190154230297226328277349345235252109512561
投資CF億円-5113-45-54-49-322-51-64-12281-105-172-76-96-37-41-99-98-90-113-75-90-114-151
財務CF億円39-16-21-18-134-10-25-140-4519-65-50282-59-37-136-120-87-117-157-150-139-94-186-171

セグメント別の業績指標

セグメント別売上高億円
セグメント別利益億円
セグメント別利益率%
セグメント別ROIC%
業績データ一覧
セグメント業績
FY04FY05FY06FY07FY08FY09FY10FY11FY12FY13FY14FY15FY16FY17FY18FY19FY20FY21FY22FY23FY24
セグメント別売上高
全社(セグメントなし)億円542661-------------------
日本億円--804,176903,6731,030,2701,0301,219--------------
その他の地域億円--82,74469,737104,801----------------
アジア億円-----105189--------------
国内億円-------1,3181,4521,5951,7411,7941,8681,9181,9371,5121,6911,6911,9712,3692,580
海外億円-------2764295416405966757497876907497499301,0731,142
セグメント別利益
全社(セグメントなし)億円104145-------------------
日本億円--176,416188,913225,264225246--------------
その他の地域億円--9,12913,53817,027----------------
アジア億円-----1726--------------
国内億円-------288314361372378393389386171253253350457531
海外億円-------1628354340405047232121729995
セグメント別利益率
全社(セグメントなし)%19.121.9-------------------
日本%--21.920.921.921.920.2--------------
その他の地域%--11.019.416.2----------------
アジア%-----16.213.8--------------
国内%-------21.821.622.721.321.121.020.319.911.315.015.017.819.320.6
海外%-------5.86.56.56.86.76.06.66.03.42.82.87.89.28.3
セグメント別ROIC
全社(セグメントなし)%---------------------
日本%-----25.624.2--------------
その他の地域%---------------------
アジア%-----11.914.0--------------
国内%-------21.221.020.720.619.418.216.815.86.810.310.313.115.917.3
海外%-------4.15.85.97.46.76.37.67.03.52.92.97.99.98.3

出所