日本M&Aセンターの直近の動向と展望

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日本M&Aセンターの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。

セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。

直近の動向と展望

仲介業者700社時代の差別化課題

外部環境は2024年以降、同社にとって激変した。2025年時点でM&A支援機関は約3000社、仲介専門会社は約700社が中小企業庁に登録されているとされる。その多くは会計事務所や地方銀行のネットワークを持たないブティック型の小規模業者で、顧客へのダイレクトメールやテレアポで案件を獲得する営業手法が業界全体に定着した。竹内社長は「経営者は日々届く多くのダイレクトメールに対して疲弊しており、反応率は低下している」(日本M&Aセンター 統合報告書 2025)と指摘した。業界全体の品質低下にも懸念を示している。市場の拡大と引き換えに、同社が30年かけて啓蒙し育てた市場で、業界全体の営業品質と評判が損なわれた。

2025年3月期、日本M&Aセンターは減収決算を発表した。先行指標の受託件数が伸びていても、個別案件の成約が遅延すれば売上は減るという仲介ビジネスモデル特有の構造が、業界関係者に可視化された。30年かけて同社が築いたネットワークは、市場を啓蒙し拡大させた結果として生まれた新規参入者の存在と、不正会計という内部要因の双方から同時に侵食を受けた。市場のパイオニアが直面する古典的な成熟期の課題が集中して表面化し、品質改善の効果が業績数字に反映されるまでの時間差が、株主への説明においても重い論点となった。創業以来初の本格的な減収を記録した。

参考文献
  • 有価証券報告書
  • 日本M&Aセンター 統合報告書 2025

創業ネットワークを次世代がどう継ぐか

同社が掲げているのは、会計事務所と地方銀行を軸としたネットワーク型モデルの再定義という方向性にある。ブティック型業者との差別化要因は、本来であれば情報の質と案件マッチングの精度、そして成約後のフォロー体制にこそある。ダイレクトメール型の短期営業では提供できない付加価値をどこまで可視化できるかが焦点となる。品質管理の強化で案件の質そのものは高まっているが、それが財務数字として顧客や株主に伝わるまでには相応の時間を要する見通しにある。業界リーダーとして市場を育てた同社が、成熟期の市場で独自の存在感をどう打ち出すかが次の数年の焦点となる。

創業者の分林保弘が築いた全国の会計事務所人脈、そして全国金融M&A研究会を通じた地方銀行との関係性は、30年を経たいまも同社の最大の経営資産として残る。業界全体の構造が変わるなかで、この資産を次世代の経営陣がどう継承し、どう戦略的に活用するかが焦点となる。サーチファンド型の事業承継、東南アジアでのクロスボーダー案件、品質を軸とした国内仲介の再構築の三つの方向性が、信頼回復後の成長戦略の柱として並走する。市場を自ら創り出した会社が、いまその市場の成熟という現実に真っ向から向き合う段階に入った。創業ネットワークの再活性化と新規領域の開拓を、どの順番でどの時間軸で進めるかが今後の焦点となる。

参考文献
  • 有価証券報告書
  • 日本M&Aセンター 統合報告書 2025

参考文献・出所

有価証券報告書
日本M&Aセンター 統合報告書 2025
日本経済新聞 2022/3
リーダーズオンライン
DIMENSION NOTE
AFFLUENT 2026/04/08
日本M&Aセンター 統合報告書