NISSHAの歴史

旧商号:日本写真印刷
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要旨
京都の美術印刷会社からグローバルなメディカル事業への転換を推進

NISSHA(旧:日本写真印刷)は、1946年に京都で美術印刷業として発足し、戦後の出版需要や大手取引先との連携を通じて成長。1961年に上場し、1967年には印刷技術を応用した木目転写箔を開発。1985年にはタッチセンサー技術に進出し、出版印刷にとらわれない事業展開を志向し、異色の印刷会社として注目された。

創業家出身の鈴木順也氏が2007年に社長就任後、スマホ向けデバイスやメディカル分野に注力し、老舗印刷企業から先端技術企業へと業態転換を図った。2017年に社名をNISSHAに変更し、以後も大型M&Aによる無形資産の拡大、非中核事業の整理(八千代工場の閉鎖等)、希望退職の実施などを通じた構造改革を継続。2024年には第8次中計を発表し、医療機器関連の買収も継続するなど、業態転換を継続中。

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1946
12月

日本写真印刷株式会社を設立

企業合同により会社設立

日本写真印刷は、京都における美術出版向けの印刷会社が統合したことが誕生の契機であった。戦時下の1942年に京都写真製版工業組合によって、日本写真印刷(有)が設立。終戦後の1946年に同社と似玉堂が事業を統合することにより、日本写真印刷が株式会社として設立された。

設立にあたっては、日本写真印刷が発足する際に統合した1社を経営していた鈴木直枝氏が主導したことから、日本写真印刷は実質的に鈴木家による同族経営を志向した。なお、1961年に日本写真印刷は株式上場を実施したが、2025年現在に至るまで鈴木家の出身者が社長を歴任しており、同族経営を継続している。

美術出版向けの中小企業として経営

1946年の日本写真印刷の発足時点では、引き続き主に美術出版向けの印刷に従事。京都における「西陣織」「寺社仏閣」の美術印刷を手がける中小企業であった。

大手との取引により業容を拡大

転機は大手顧客との取引開始であった。1950年に毎日新聞との取引開始によって、大手出版社との美術図書の受注に繋がった。主な出版印刷の実績としては、1949年東京日日新聞「NEW JAPAN」、1962年毎日新聞社「国宝」、1966年小学館「原色日本の美術」などであった。

1952年に松下電器との取引を開始。取引の詳細は不明だが、同社の販売店向けの出版物、同社が展開する書籍事業(PHP研究所)における印刷業務を請け負ったと推定される。

この結果、高度経済成長期を通じて、日本写真印刷は美術出版向けの印刷や、特定顧客向けの印刷によって業容を拡大。特に、美術出版においては、高品質な印刷メーカーとして競合の大手印刷メーカーとの差別化を志向した。

証券 21(5)(242), 1969/5
1948
10月

東京出張所を開設

1949
9月

大阪出張所を開設

1961
10月

大阪証券取引所市場第二部に株式上場

1961年に日本写真印刷は大阪証券取引所に株式を上場。その後、1969年に東証第二部にも上場。東証直前の1968年12月時点における筆頭株主は鈴木正三氏(創業家)であり、12.17%の株式を保有した。

1961年
10月
大阪証券取引所市場第二部に株式上場
1969年
4月
東京証券取引所市場第2部に株式上場
1979年
9月
東京証券取引所市場第1部に株式上場
日本写真工場の株主構成(1968年12月時点)
株主名称 株式数 保有比率
鈴木 正三 1,339,020株 12.17%
日本勧業銀行 1,039,500株 9.46%
日本電池(株) 630,000株 5.73%
明治生命保険(相) 525,000株 4.77%
日興証券 511,925株 4.65%
鈴木産業(株) 420,000株 3.81%
(株)島津製作所 252,000株 2.29%
大日本インキ化学工業(株) 246,750株 2.24%
日本食糧倉庫(株) 243,750株 2.22%
松下不動産(株) 236,250株 2.15%
証券 21(5)(242), 1969/5
1963
5月

日写不動産株式会社設立

1967
12月

八千代工場の新設決定

関東における印刷拠点を拡充するため、千葉県八千代市に1.8万平方メートルの土地を取得。八千代工場の新設を決定した(2019年に閉鎖売却)

1967

木目転写箔を開発。テレビキャビネットを販売

松下電器と印刷物で取引関係にあった経緯から、1967年にテレビ向けキャビネット(木目調の化粧シート)を開発。商業出版にとどまらない事業展開を開始した。

1985

抵抗膜方式透明タッチセンサーを開発

1987
4月

名古屋営業所開設

1993
1月

米国にNissha USA, Inc.を設立

1995
3月

マレーシアにSouthern Nissha Sdn. Bhd.を設立

1996
11月

韓国にNissha Korea Inc.設立

1999
12月

ナイテック工業株式会社設立

2001
12月

中国・台湾に投資

2005
4月

ドイツにNissha Europe GmbHを設立

2006
12月

ナイテック工業株式会社甲賀工場竣工

2007
4月

Southern Nissha Sdn. Bhd.工場竣工

2007
12月

Nissha USA, Inc.がEimo Technologies, Inc.(米国)を買収

2007

創業家出身の鈴木順也氏が社長に就任。2013年以降はスマホ向けフィルム(タッチセンサー)への積極投資、2015年以降は買収を通じたグローバル化及び、新規事業(メディカル)展開を重視。不採算に陥った祖業である印刷事業の縮小も並行することで、業態転換を推進した。

2008
9月

ナイテック工業株式会社甲賀第二工場竣工

2008
10月

日写不動産株式会社が日写興業株式会社を吸収合併

2012
5月

中国に日写(深圳)商貿有限公司設立

2012

スマホ向けフィルムタッチセンサーを開発

2013
4月

スマホ向けタッチセンターに投資

日本写真印刷は、増大するスマホ需要を見越して「スマホ向けタッチフィルムセンサー」への生産投資を決定。姫路工場および加賀工場における設備投資を決定し、2014年度において両2工場で合計274億円の設備投資を決定した。日本写真印刷としては大型の設備投資であり、スマホ向けタッチセンサー(デバイス事業)に注力する意思決定となった。

スマホ向けたッチフィルムセンサーへの投資状況
工場名 方式 2013年05月時点実績 2013年10月時点計画 設備投資額(累積)
姫路工場 静電容量 24,000千台 24,000千台 17,427百万円
加賀工場 静電容量 - 24,000千台 10,000百万円
合計 - 24,000千台 48,000千台 27,427百万円
出所:決算説明会資料
2015
4月

日本写真印刷コミュニケーションズ株式会社設立

2015
4月

第5次中期経営計画を策定・買収を積極化

2015年4月から日本写真工業は「第5次中期経営計画」を開始。第5次中計画では「事業ポートフォリオの組み替えを徹底」することを明言し、不採算事業からの撤退と、企業買収を積極推進することによりメディカルなどの新事業に注力する方針を固めた。

定量目標としては、最終年度の2018年3月期時点において「新製品・新事業の売上高比率35%」を盛り込むことで、業態転換を一つの目標指標に据えた。

M&Aによる無形固定資産の増加

2015年以降、日本写真工業は大型M&Aを積極化。2015年8月には欧州のSARL社(ベルギーに拠点を置く蒸着紙メーカー・食品パッケージ向けに販売)を150億円で、2016年にはGraphic Controls社(米国の医療機器メーカー)を141で買収するなど、買収により新領域における海外展開を推進した。

この結果、2015年度から2017年度にかけて、日本写真工業の「無形固定資産(IFRSにおける無形資産・のれん)」は増加した。

2014年
4月
株式会社エフエイトフォトスタジオを買収
2014年
6月
エフアイエス株式会社を買収)
2015年
1月
Polymer Tech Mexico, S.A. de C.V.(メキシコ)を買収
2015年
4月
サイミックス株式会社を買収
2015年
8月
Luxembourg Holdings SARLを買収
取得原価 150 億円
2015年
12月
Málaga Produtos Metalizados Ltda.を買収
取得原価 16 億円
2016年
9月
Graphic Controls Holdings, Inc.およびそのグループ会社を買収
取得原価 141 億円
2016年
10月
Schuster Kunststofftechnik GmbH等を買収
取得原価 21 億円
2017年
10月
Integral Process SAS等を子会社化
2015
8月

Luxembourg Holdings SARLを買収

2016
9月

Graphic Controls Holdings, Inc.およびそのグループ会社を買収

2017
10月

日本写真印刷株式会社からNISSHA株式会社に商号変更

2018
4月

第6次中期経営計画を策定

2018年
5月
Heart Sync, Inc.を買収
2018年
6月
Sequel Special Products, LLC等を事業買収
2018
9月

共同印刷株式会社に事業を一部譲渡

日本写真印刷コミュニケーションズ株式会社が東京地区の商圏と事業基盤を共同印刷株式会社に譲渡

2019
11月

メディカル事業を買収で強化

2019年以降、NISSHAは新規事業としては、買収を通じたメディカル事業に注力。欧州におけるカテーテルの製造受託、国内における医薬品DDS(ゾンネボード製薬の買収)など、地域および事業内容を問わずメディカル領域の事業を取得した。

2019年
11月
Advant Medical Limitedを買収(カテーテル)
2019年
11月
ゾンネボード製薬株式会社を買収(現:NISSHAゾンネボード製薬株式会社)
取得対価 25 億円
2020年
4月
Sparsha Pharma USA, Inc.の株式を追加取得し、持分法適用関連会社化
2020年
11月
Nissha Medical Technologiesがノーウォーク工場を資産買収
2023年
7月
ゾンネボード製薬八王子オフィス開設
2024年
9月
ゾンネボード製薬株式会社がNISSHAゾンネボード製薬株式会社へ商号変更
2025年
1月
滋賀県製薬株式会社を買収
2019
12月

八千代工場を閉鎖売却

印刷事業の再現を上kて、2019年1月にそれまで印刷工業として稼働していた八千代工場(千葉県)を閉鎖。同年9月に八千代工場跡地を売却し、固定資産売却益として49億円を計上。

2019
12月

スマホ向けフィルムが販売不振・希望退職者を募集

減損による赤字転落

2019年12月期に産業資材セグメントで52億円、デバイスセグメントで106億円の減損損失を計上。産業資材では「AR Metallizing」における16億円の減損損失。デバイス事業では生産設備における70億円の減損が主要因であった。この結果、2019年12月期にNISSHAは最終赤字に転落した。

スマホ向けデバイス事業が不振

減損の主要因が、デバイス事業におけるスマホ向け部品の販売不振であった。スマホ向けの「タッチセンサー」の輸出が低迷したことで、売上高が前年比で18%減少する事態に直面。この結果、生産設備における稼働率が低下し、設備減損に至った。

250名の希望退職者を募集

2020年2月にNISSHAは希望退職者の募集を発表。国内の従業員を中心に約250名の退職者を募集した。

2020
1月

Eurofoil Paper Coating GmbHを買収

2021
4月

第7次中期経営計画を策定

2024
3月

Isometric Intermediate LLCを買収

医療機器メーカーのIsometric社を104億円で買収。同社は精密加工技術を活かした医療機器の製造に強み

2024
4月

第8次中期経営計画を策定

2024
10月

Cathtek, LLCを買収

2025 (c) Yutaka Sugiura
売上
NISSHA:売上高
■単体 | ■連結 (単位:億円)
1,955億円
売上高:2024/12
利益
NISSHA:売上高_当期純利益率
○単体 | ○連結 (単位:%)
-2%
利益率:2024/12
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