2005年にバンダイとナムコの2社が経営統合し、バンダイナムコHDを発足。合併前の業績はバンダイが売上高2699億円(営業利益243億円)、ナムコが売上高1785億円(営業利益150億円)であり、経営統合後は売上高5000億円規模の大企業として発足した。
経営統合の比率は、ナムコ1株に対して新会社株式1株、バンダイ1株に対して新会社株式1.5株であり、バンダイに対して有利な統合条件であった。
経営統合に至る背景は、国内におけるアミューズメントおよびゲームの市場が少子化によって低迷する中で、グローバル展開によって業容を拡大することを意図したためであった。
事業面においては、バンダイが「トイホビー」などの物販が中心で、ナムコは「アミューズメント」などの施設が中心であることから、バンダイの物販(IP)を用いて、ナムコのアミューズメントの販路(特に北米に強い)に乗せることで、グローバル展開が期待できた。
経営統合の発端は、2004年からバンダイとナムコでプレイステーション2向けのソフト「機動戦士ガンダム1年戦争」の共同開発であった。共同開発の過程で、ナムコがバンダイに対して、経営統合を相談するに至ったという。
バンダイとしては、ゲームソフトの開発については外注していたため、自社開発の体制が厚いナムコと組むことで、企画から開発までを一気通貫で手掛けることが可能となった。
科目 | バンダイ | ナムコ |
売上高 | 2699億円 | 1785億円 |
営業利益 | 243億円 | 150億円 |
自己資本比率 | 54.8% | 69.8% |
従業員数 | 3096名 | 3943名 |
主なIP | たまごっち・ガンダム | アイドルマスター |
主力事業 | トイホビー(物販) | アミューズメント・北米 |
減収減益に歯止めをかけるため、2010年からバンダイナムコHDは「リスタートプラン」を策定。経営方針として「IP軸戦略」を打ち出し、IP(キャラクター)を軸として、ゲーム・物販などバンダイナムコHDの持つ顧客接点を合わせて、売上高を最大化することを意図した。
IP軸戦略において、すでにバンダイナムコにおけるキャラクター別売上高でトップであった「機動戦士ガンダムシリーズ」に注力した。
2010年のリスタートプラン導入以降、私たちはIPを軸に据えた展開へと発想を転換しました。業績回復の大きな要因となった「IP軸戦略」とは、全ての商品・サービス出口を視野に入れ、最適なタイミングに、最適な地域へ、最適なターゲットに向けて商品・サービスを提供していくことで、IP価値の最大化を図るものです。例えば、「機動戦士ガンダム」というIPを活用し、さまざまな展開を行っていることが「IP軸戦略」の代表例です。「機動戦士ガンダム」では、源となる映像制作から商品展開に至るまでの全てをグループ内で完結させています。決して短期的な視点ではなく、10年、20年と長期的な視点で「機動戦士ガンダム」の人気を維持するために各SBUが連動し、相乗効果をあげる戦略を推進しています。
IP軸戦略によって、2010年度から2013年度にかけて「機動戦士ガンダムシリーズ」および「ワンピース」において売上高を拡大
スマホゲーム「ドラゴンボールZドッカンバトル」がヒット。2016年10月時点で1億ダウンロードを突破
ドラゴンボールにおけるIPの売上高を拡大。日本国内のみならず、海外においてドラゴンボールの商品を展開することで、売上高1400億円(FY2023)の大型IPに成長した
2024年3月期にバンダイナムコHDは売上高1兆502億円(営業利益906億円)を計上し、1兆円を突破。2005年の経営統合時に設定した長期目標である「売上高1兆円・営業利益1000億円」について、売上高に関しては目標に到達した。
従業員の頑張りにより、売上高は1兆502億円と4期連続で過去最高を更新し、1兆円の大台に達しました。振り返れば2005年の経営統合によるグループ発足時に掲げた長期目標が「売上高1兆円、営業利益1,000億円」でした。当時の実績値の2倍以上に当たる売上高目標を、約20年越しに達成できたことに感慨深い思いです。