AGCの直近の動向と展望
AGCの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。
セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。
直近の動向と展望
ライフサイエンス事業の減損と事業ポートフォリオの再点検
二〇二四年十二月期、同社はバイオ医薬品CDMO事業に係るのれん・有形固定資産の減損一千二百四十八億円に加えてロシア事業譲渡損三百六十五億円を計上し、親会社所有者帰属の当期純利益は九百四十億円の赤字という大きな打撃を受けることとなった。FY2024 2Qには通期営業利益見通しを一千五百億円から一千三百億円へと下方修正し、続くFY2025 2Qでも二〇二五年通期を一千五百億円から一千二百億円へと再度下方修正している。二〇一六年から買収で積み上げてきたバイオCDMOの三極体制が、事業構造そのものの見直しを迫る局面に至った格好であり、ウクライナ侵攻後の地政学リスクを受けてロシアの建築用・自動車用ガラス事業も同年に譲渡して同国から撤退している。
会社側はFY2024決算の発表時に、二〇二六年の営業利益目標を従来の二千億円から一千八百億円へと引き下げ、ROEの低位での推移とPBRが一倍を下回っている状態を最大の経営課題として明示する方針に転じた。資産規模の大きい低収益事業がROCEを引き下げているという自己評価のもとで、ディスプレイ事業の生産能力の二割削減を二〇二四年末までに完了させる方針を示し、株主還元についても連結配当性向四十パーセント目安からDOE三パーセント程度目安へと変更するなど、構造改革と資本政策の刷新を同時に加速する局面を迎えている。素材事業の長期的な強みを守りつつ、ポートフォリオの再点検を徹底する方針を打ち出した重要な節目となった動きである。
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コロラド撤退とシングルユース集中、化学品再編で組み立て直す成長の柱
FY2025 2Qでは米国コロラド拠点(ボルダーおよびロングモント)からの撤退と事業譲渡の検討を正式に決定し、バイオ医薬品CDMO事業においては大型のステンレス培養槽から撤退することでシングルユースバッグ技術への集中方針を明確に打ち出すこととなった。二〇一六年買収のCMC Biologicsを起点とする設備の一部を畳み、自社の強みの定義そのものを絞り直すという極めて踏み込んだ経営判断の表れである。続くFY2025 3Qでは化学品セグメントを二〇二六年から「インテグレイテッドケミカルズ」と「エッセンシャル東南アジア」の二SBU体制に再編する方針を発表し、日本のケミカルチェーンの全体最適化と東南アジア事業の独立運営という両面に踏み込んでいく姿勢を明確にしていった。
FY2025通期は売上二兆五百八十八億円・営業利益一千二百七十五億円・当期純利益六百九十二億円で着地し、ROEは四・七パーセントへと改善する格好となった。二〇二六年の見通しは売上二兆二千億円・営業利益一千五百億円・当期純利益七百七十億円・ROE五・二パーセントで、ライフサイエンスの赤字幅縮小(マイナス二百二十三億円からマイナス五十億円の見込み)を業績回復の柱に据えている。二〇二五年で大規模な能力拡大投資を一段落させ、二〇二六年の設備投資を二千五百十三億円から一千九百億円へと圧縮する方針も同時に示した格好である。素材を軸に事業の組み合わせを繰り返し作り替えてきた同社の構図は、ここでも形を変えながら続いている。
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