横山博一氏が「中古車通信」を創刊
転勤時の車購入で事業を着想
1970年代後半、OA機器の販売に従事していたサラリーマン・横山博一氏(当時27歳)は、転勤に伴い車の購入を検討した際、「中古車にも求人情報誌のような情報誌があれば便利ではないか」と着想。当時は求人情報誌が普及し始めていた時期であり、その仕組みを応用可能と判断し、中古車情報誌の事業化を構想した。
中古車の情報誌を名古屋で創刊
1977年、横山氏は名古屋にて中古車情報冊子『中古車通信』を個人で創刊。事業開始当初は法人化せず、自己資金35万円と借入金をもとに事業を立ち上げた。一般消費者に向けて中古車情報を提供すると同時に、販売店向けには冊子内の広告枠を販売するビジネスモデルを採用した。
1983年時点において「中古車通信」はB5版320ページの月刊雑誌として発刊。価格は1冊200円であり、発刊部数は月刊5万部。読者層は17〜25歳の若者男性が中心であり、冊子の表紙には「自動車と若い女性」の写真を採用した。配布地域は「愛知・岐阜・三重・静岡」の東海地区であった。
中古車販売店への提案営業
広告を販売する際に、中古車店に対して「広告の見せ方」のアドバイスを実施することで、信頼を獲得したという。このため、単に広告枠を売るだけではなく、中古車販売店に対する提案営業を伴うことで、継続的な広告収入の確保に至った。
創業者・横山博一氏について
1950年生まれ。1968年に自動車部品メーカー「橘製作所」に入社し、1971年には「株式会社中経」に転職。1979年に現プロトコーポレーションを設立し、同社の代表取締役社長に就任。2003年からは代表取締役会長を歴任した。横山氏は、プロトコーポレーションの経営を通じて、一代で「Goo」を中心とする中古車情報誌ビジネスを確立した。
「原稿を取りにいくだけなら、アルバイトでもできる。この車の金額は相場より高いとか、こちらの車種を掲載した方がいいとか、的確なアドバイスをすることで、クライアントの言頼を得ることができる。こんなところに、仕事をする価値もある」
株式会社プロジェクトエイトを設立(現プロトコーポレーション)
1979年に株式会社プロジェクトエイト(現プロトコーポレーション)を設立し、中古車情報誌事業を法人化。設立4年目に相当する1983年時点の資本金は400万円、従業員数は15名であり、本社は名古屋市名東区猪高町大字藤森字香流69-1に設置。名古屋市郊外に拠点を置く中小企業であった。
「中古車通信」の静岡版を創刊
中古車通信(Goo)について、従来は名古屋版のみの発刊であったが、1984年に静岡版を発刊。以後、国内の各地域で中古車通信の創刊を推進
「週刊オークション情報」を創刊
商号を「株式会社プロトコーポレーション」に変更
「中古車通信」から「Goo」に名称変更
「Goo」の首都圏版を創刊
リクルートが関西に進出
1994年にリクルートは中古車情報誌「カーセンサー」で大阪地区での発刊を開始。すでに関西地区で展開していた「Goo」と競合する形となった。
プロトコーポレーションはリクルートに対抗するため、営業の強化を実施。リクルートが販売店に1回するのであれば、プロトコーポレーションの営業担当者は3回訪問することを目指すなど、地道な営業攻勢によってカーセンサーに対抗する道を選択した。
首都圏版を発刊・リクルートに対抗
1995年10月に中古車情報誌「Goo」において、首都圏版を発刊。すでにリクルートが「カーセンサー」を発刊していた地域であったが、リクルートの関西進出の対抗策として進出を決定した。この結果、プロトコーポレーションは「Goo」について東海・静岡・関西・北関東・首都圏・九州の9エリアをカバーし、全国的な中古車情報誌となった。
1994年に大阪へ(「カーセンサー」を発刊する競合の)リクルートが進出してきまして。こちらは年商30億円で、向こうは3000億円。それで「かかってこんかいカーセンサー」ってスローガンを掲げた。会社対会社っていうけど、最前線で戦うのは人、営業マンですよ。現場の士気をどれだけ高めるか。(略)現場は常に、相手より何をしたら上回るかを考える。知恵は次から次へ出てくるわけですよ。相手が1回営業に行けば、こちらは3回行く。5回行けば、10回行きゃいいんでしょう。
中古車情報検索サイト「Goonet」を開始
中古車データ検索システム「DataLine」を提供開始
名古屋市中区で本社ビルを取得
不動産事業を開始
ジャスダックに株式上場
子会社プロトデータセンターを設立
Medical CUBICを買収
医療・介護における人材紹介サービスに参入するため、Medical CUBIC社を買収
利益率を改善
ネット経由(Goo-netなど)での販売増加により売上原価が改善。2010年3月期には上場以来、過去最高となり「売上高_当期純利益率13.6%」を達成。
なお、2011年時点におけるGoo-net(PC経由)は、月間13億PV・月間アクセス数1,217万を達成した。
バイクブロスを買収
MTM社を買収(マレーシア)
東南アジアで中古車の情報流通事業に参入するため、マレーシアの現地会社MTM社を29億円で買収。ただし、業績不振により、2016年に減損18億円を計上した。
オートウェイを買収
モビリティー事業(自動車用品の販売・主にタイヤ、ホイール)を強化するため、2013年4月にオートウェイを約44億円で買収。オートウェイは自動車部品の輸入販売を手がける企業であり、プロトコーポレーションとしては「中古車情報の提供」に加えて「自動車向けパーツ販売」の小売業に参入した。
減損計上・最終赤字に転落
2016年3月期に25.9億円の減損損失を計上し、3.9億円の最終赤字に転落。台湾およびマレーシア現地法人(2011年買収)の経営不振が主な要因。
プロトベンチャーズを設立
東証第1部に市場変更
プロトメディカルケアを売却
コスミックグループを買収
買収により金券販売サイトを取得
2022年4月にコスミックグループ2社を合計15.7億円で買収。同社は商品券及びギフトカードの販売専門ショップを経営しており、プロトコーポレーションにおける新事業推進のための買収を決定した。
アドベンチャー社によるコスミックグループの売却
なお、コスミックグループの株主は、航空券チケットの販売を手がけるアドベンチャー社(2014年に東証マザーズ上場)であり、プロトコーポレーションはアドベンチャー社から株式を取得した。
アドベンチャー社は2018年にコスミックグループの株式を7億円で取得しており、同社の株式売却によって、2022年6月期に関係会社株式売却益8.1億円の計上に至った。
コスミックグループについて
1985年に神奈川県において初となるチケット販売事業を開始。いわゆる金券ショップの事業を開始し、翌1986年にコスミック流通産業株式会社を設立して法人化。2000年代を通じて東京都内の都心部(品川駅・新宿駅・池袋駅周辺)に進出して、チケット販売の実店舗網を拡充した。
2022年の時点でコスミックグループ2社は「コスミック流通産業株式会社」および「コスミックGCシステム」から構成され、いずれも金券類の販売サイトを運営。コスミックGCにおいては金券販売の実店舗も運営していた。
沖縄バスケットボールを買収
2022年7月に沖縄バスケットボール株式会社(プロチームである琉球ゴールデンキングスを運営)を15.1億円で買収。プロトコーポレーションとしては、沖縄地区における知名度向上(プロモーション)を意図したと推定されるが、広告効果の可否は不明。
観光経済新聞社を買収
カナメキャピタルが株式を大量保有
2024年6月3日までに投資ファンドの「カナメキャピタル」がプロトコーポレーションの株式を合計5.21%取得。同年6月10日に大量保有報告書を提出した。
架空売上の計上を公表
2014年から2024年にかけて架空取引による売上計上が存在したことを公表。累積の架空売上計上額は約12億円