プロトコーポレーションの歴史

旧商号:プロジェクトエイト
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要旨
中古車情報誌Gooからの多角化で苦戦

1977年、横山博一氏が名古屋で中古車情報誌『中古車通信』を創刊し、1979年に法人化。後のプロトコーポレーションを設立し、「Goo」ブランドを展開。提案型営業を軸にして、リクルートの「カーセンサー」に対抗し、全国展開やネット事業(Goo-net)を推進。

2000年代以降は医療人材、カー用品、不動産、チケット販売(コスミックグループ)などを買収により多角化。強みは中古車販売店への提案営業力。一方で、買収先の選定や管理体制の甘さが弱みであり、2016年にはマレーシア事業の不振によって約26億円の減損を計上し赤字に転落。

さらに2024年には累計約12億円の架空売上が発覚し、ガバナンス面の問題が浮上。2025年にはMBOを実施して上場廃止を決議し、再建と信頼回復が課題となっている。

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1977
10月

横山博一氏が「中古車通信」を創刊

転勤時の車購入で事業を着想

1970年代後半、OA機器の販売に従事していたサラリーマン・横山博一氏(当時27歳)は、転勤に伴い車の購入を検討した際、「中古車にも求人情報誌のような情報誌があれば便利ではないか」と着想。当時は求人情報誌が普及し始めていた時期であり、その仕組みを応用可能と判断し、中古車情報誌の事業化を構想した。

中古車の情報誌を名古屋で創刊

1977年、横山氏は名古屋にて中古車情報冊子『中古車通信』を個人で創刊。事業開始当初は法人化せず、自己資金35万円と借入金をもとに事業を立ち上げた。一般消費者に向けて中古車情報を提供すると同時に、販売店向けには冊子内の広告枠を販売するビジネスモデルを採用した。

1983年時点において「中古車通信」はB5版320ページの月刊雑誌として発刊。価格は1冊200円であり、発刊部数は月刊5万部。読者層は17〜25歳の若者男性が中心であり、冊子の表紙には「自動車と若い女性」の写真を採用した。配布地域は「愛知・岐阜・三重・静岡」の東海地区であった。

中古車販売店への提案営業

広告を販売する際に、中古車店に対して「広告の見せ方」のアドバイスを実施することで、信頼を獲得したという。このため、単に広告枠を売るだけではなく、中古車販売店に対する提案営業を伴うことで、継続的な広告収入の確保に至った。

創業者・横山博一氏について

1950年生まれ。1968年に自動車部品メーカー「橘製作所」に入社し、1971年には「株式会社中経」に転職。1979年に現プロトコーポレーションを設立し、同社の代表取締役社長に就任。2003年からは代表取締役会長を歴任した。横山氏は、プロトコーポレーションの経営を通じて、一代で「Goo」を中心とする中古車情報誌ビジネスを確立した。

証言
横山博一(プロトコーポレーション・創業者)

「原稿を取りにいくだけなら、アルバイトでもできる。この車の金額は相場より高いとか、こちらの車種を掲載した方がいいとか、的確なアドバイスをすることで、クライアントの言頼を得ることができる。こんなところに、仕事をする価値もある」

雑誌新聞総かたろぐ 1983年版
1979
6月

株式会社プロジェクトエイトを設立(現プロトコーポレーション)

1979年に株式会社プロジェクトエイト(現プロトコーポレーション)を設立し、中古車情報誌事業を法人化。設立4年目に相当する1983年時点の資本金は400万円、従業員数は15名であり、本社は名古屋市名東区猪高町大字藤森字香流69-1に設置。名古屋市郊外に拠点を置く中小企業であった。

1984

「中古車通信」の静岡版を創刊

中古車通信(Goo)について、従来は名古屋版のみの発刊であったが、1984年に静岡版を発刊。以後、国内の各地域で中古車通信の創刊を推進

1985
8月

「週刊オークション情報」を創刊

1991
2月

商号を「株式会社プロトコーポレーション」に変更

1992
10月

「中古車通信」から「Goo」に名称変更

1995
10月

「Goo」の首都圏版を創刊

リクルートが関西に進出

1994年にリクルートは中古車情報誌「カーセンサー」で大阪地区での発刊を開始。すでに関西地区で展開していた「Goo」と競合する形となった。

プロトコーポレーションはリクルートに対抗するため、営業の強化を実施。リクルートが販売店に1回するのであれば、プロトコーポレーションの営業担当者は3回訪問することを目指すなど、地道な営業攻勢によってカーセンサーに対抗する道を選択した。

首都圏版を発刊・リクルートに対抗

1995年10月に中古車情報誌「Goo」において、首都圏版を発刊。すでにリクルートが「カーセンサー」を発刊していた地域であったが、リクルートの関西進出の対抗策として進出を決定した。この結果、プロトコーポレーションは「Goo」について東海・静岡・関西・北関東・首都圏・九州の9エリアをカバーし、全国的な中古車情報誌となった。

証言
横山博一(プロトコーポレーション・創業者)

1994年に大阪へ(「カーセンサー」を発刊する競合の)リクルートが進出してきまして。こちらは年商30億円で、向こうは3000億円。それで「かかってこんかいカーセンサー」ってスローガンを掲げた。会社対会社っていうけど、最前線で戦うのは人、営業マンですよ。現場の士気をどれだけ高めるか。(略)現場は常に、相手より何をしたら上回るかを考える。知恵は次から次へ出てくるわけですよ。相手が1回営業に行けば、こちらは3回行く。5回行けば、10回行きゃいいんでしょう。

東海総研マネジメント, 1996/7
1996
10月

中古車情報検索サイト「Goonet」を開始

1996
4月

中古車データ検索システム「DataLine」を提供開始

1997
12月

名古屋市中区で本社ビルを取得

1999
4月

不動産事業を開始

2001
9月

ジャスダックに株式上場

2007
4月

子会社プロトデータセンターを設立

2009
10月

Medical CUBICを買収

医療・介護における人材紹介サービスに参入するため、Medical CUBIC社を買収

2010
3月

利益率を改善

ネット経由(Goo-netなど)での販売増加により売上原価が改善。2010年3月期には上場以来、過去最高となり「売上高_当期純利益率13.6%」を達成。

なお、2011年時点におけるGoo-net(PC経由)は、月間13億PV・月間アクセス数1,217万を達成した。

プロトコーポレーション:決算資料説明会, 2011/3
2010
4月

バイクブロスを買収

2011
9月

MTM社を買収(マレーシア)

東南アジアで中古車の情報流通事業に参入するため、マレーシアの現地会社MTM社を29億円で買収。ただし、業績不振により、2016年に減損18億円を計上した。

2013
4月

オートウェイを買収

モビリティー事業(自動車用品の販売・主にタイヤ、ホイール)を強化するため、2013年4月にオートウェイを約44億円で買収。オートウェイは自動車部品の輸入販売を手がける企業であり、プロトコーポレーションとしては「中古車情報の提供」に加えて「自動車向けパーツ販売」の小売業に参入した。

2013年
4月
オートウェイを買収
2015年
4月
タイヤワールド館ベストを買収
2016
3月

減損計上・最終赤字に転落

2016年3月期に25.9億円の減損損失を計上し、3.9億円の最終赤字に転落。台湾およびマレーシア現地法人(2011年買収)の経営不振が主な要因。

2019
4月

プロトベンチャーズを設立

2019年
4月
プロトベンチャーズを設立
2021年
4月
プロトベンチャーズ2号投資事業有限責任組合を設立
2019
3月

東証第1部に市場変更

2021
6月

プロトメディカルケアを売却

2022
4月

コスミックグループを買収

買収により金券販売サイトを取得

2022年4月にコスミックグループ2社を合計15.7億円で買収。同社は商品券及びギフトカードの販売専門ショップを経営しており、プロトコーポレーションにおける新事業推進のための買収を決定した。

アドベンチャー社によるコスミックグループの売却

なお、コスミックグループの株主は、航空券チケットの販売を手がけるアドベンチャー社(2014年に東証マザーズ上場)であり、プロトコーポレーションはアドベンチャー社から株式を取得した。

アドベンチャー社は2018年にコスミックグループの株式を7億円で取得しており、同社の株式売却によって、2022年6月期に関係会社株式売却益8.1億円の計上に至った。

コスミックグループについて

1985年に神奈川県において初となるチケット販売事業を開始。いわゆる金券ショップの事業を開始し、翌1986年にコスミック流通産業株式会社を設立して法人化。2000年代を通じて東京都内の都心部(品川駅・新宿駅・池袋駅周辺)に進出して、チケット販売の実店舗網を拡充した。

2022年の時点でコスミックグループ2社は「コスミック流通産業株式会社」および「コスミックGCシステム」から構成され、いずれも金券類の販売サイトを運営。コスミックGCにおいては金券販売の実店舗も運営していた。

2022
7月

沖縄バスケットボールを買収

2022年7月に沖縄バスケットボール株式会社(プロチームである琉球ゴールデンキングスを運営)を15.1億円で買収。プロトコーポレーションとしては、沖縄地区における知名度向上(プロモーション)を意図したと推定されるが、広告効果の可否は不明。

2024
4月

観光経済新聞社を買収

2024
6月

カナメキャピタルが株式を大量保有

2024年6月3日までに投資ファンドの「カナメキャピタル」がプロトコーポレーションの株式を合計5.21%取得。同年6月10日に大量保有報告書を提出した。

2024
12月

架空売上の計上を公表

2014年から2024年にかけて架空取引による売上計上が存在したことを公表。累積の架空売上計上額は約12億円

時事通信ニュース:プロトコーポレーション、架空売上高19.5億円, 2024-12-11
2025
4月

MBOが成立・上場廃止を決議

2025年
2月
MBOの実施を公表
2025年
2月
大株主(カナメキャピタル)が差し止め仮処分を申し立て
2025年
4月
MBOが成立・上場廃止を決議
2025 (c) Yutaka Sugiura
売上
プロトコーポレーション:売上高
■単体 | ■連結 (単位:億円)
1,155億円
売上高:2024/3
利益
プロトコーポレーション:売上高_当期純利益率
○単体 | ○連結 (単位:%)
4.6%
利益率:2024/3
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