明治ホールディングス の歴史

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1906年、相馬家が台湾で明治製糖を創立。明治ミルクチョコレート、ブルガリアヨーグルト、2009年の2社統合と持株会社発足までの沿革と経緯を執筆。

創業

1906年

創業者

相馬家

創業地

東京都中央区

直近売上高(2026/3)

11,737億円

長期業績と転換点(2010/3〜2026/3)
売上高(億円純利益率(%)
Q なぜ製糖会社の明治製糖は菓子と乳業まで自ら育てたのか
A 1906年に台南で明治製糖を興した相馬半治氏は、砂糖が売り先を持って初めて事業になると見て、需要先を他社に委ねなかった。1916年の東京菓子(後の明治製菓)への参画を皮切りに、砂糖を大量に消費する菓子と乳業を自ら育て、1940年の明治乳業発足で製糖・製菓・乳業の三本柱が揃った。需要側を内製化するこの垂直統合の発想が、のちのグループの組織設計を貫いている
Q なぜ1946年の焼け跡で明治製菓は菓子復興でなくペニシリン製造を選んだのか
A 1945年1月の空襲で川崎工場が全焼し、敗戦で外地資産も財閥資本も同時に失ったなか、経営陣は菓子の復興でなく抗生物質を選んだ。菓子素材を大量培養してきた発酵設備と技術が、そのまま抗生物質の生産に転用できたからである。1946年11月にペニシリン製造を開始し、競合の多くが外資製剤を仕入れて売るなか、原末から製剤までを一貫生産する製薬メーカーへ転じた。食品と医薬という二事業を一社が同じ技術基盤で抱える構造は、ここで生まれた。
Q なぜ2009年に明治製菓と明治乳業は統合し2011年に食品と医薬へ分けたのか
A 2008年9月の統合合意の直接の動機は、人口減少で菓子・乳製品の国内需要が伸びず、両社とも単独での収益改善が難しかったことにある。1906年の明治製糖を源流に60年あまり分裂していた二社は、2009年4月に持株会社・明治ホールディングスとして合流した。さらに2011年4月、食品事業を「明治」へ、医薬事業を「Meiji Seika ファルマ」へ機能分離した。異質な二事業を一社に同居させる難しさを避けつつ、明治ブランドは統一する折衷案だった

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1906年〜 同じ源流から分かれた菓子と乳業が別々に歩んだ時代

  1. 1906年 明治製糖を台湾に創立
  2. 1916年 東京菓子を設立(明治製菓の前身)
  3. 1917年 極東煉乳を設立(明治乳業の前身)
  4. 1926年 明治ミルクチョコレートを発売
  5. 1940年 明治乳業を発足
  6. 1946年 ペニシリンの製造を開始
  7. 1980年 菓子部門が初の大幅赤字を計上

製糖会社が菓子と乳業を生み、三社へ分かれるまで

1906年12月、糖業家の相馬半治氏が台湾台南に資本金500万円で明治製糖を設立[1]した。台湾の蔗糖事業を中核に成長し、昭和13〜14年には産糖高500万ピクル以上[2]を数え、終戦の時点では資本金6,100万円、蔗糖工場8、精製糖工場4、従業員5,000名[3]を擁していた。明治製糖は砂糖の消費先を自ら育てる目的で菓子・農牧場・乳製品・食品へ傍系事業を広げ[4]、1916年には菓子会社の東京菓子が設立された[5]。東京菓子は1924年に明治製菓へ改称し、相馬半治氏が会長として実権を握った[6]。同社は戦前からキャラメル・ビスケット・チョコレートを量産[7]し、菓子業界の大手となった。

  • 会社銀行八十年史(東洋経済新報社、1955年)
    • [1]1906年12月 相馬半治が台湾台南に資本金500万円で明治製糖を設立
    • [2]昭和13〜14年 明治製糖の産糖高500万ピクル以上
    • [3]終戦時の明治製糖 資本金6,100万円・蔗糖工場8・精製糖工場4・従業員5,000名
    • [4]明治製糖の傍系事業 菓子・農牧場・乳製品・食品
  • 日本会社史総覧(1995年)
    • [5]1916年 東京菓子(明治製菓の前身)創立
    • [6]1924年 明治製菓へ改称・相馬半治が会長として実権を掌握
    • [7]戦前からキャラメル・ビスケット・チョコレートを量産

1940年、明治製糖の乳業部門と極東煉乳の統合により明治乳業が発足[8]し、明治製菓の乳製品部門も同社へ移された[9]。菓子と乳業の分担がここで固まり[10]、以後およそ70年、二社は同じ明治の看板を掲げながら別々の会社として歩んだ。明治製菓は1946年にペニシリンの製造を始めて薬品事業へ入り[11]、1958年のカナマイシンなど発酵技術を生かした抗生物質[12]を主力に育てた。明治乳業は1950年に東京乳業を、1951年に朝日乳業を合併[13]し、1973年の明治ブルガリアヨーグルトなど大型新商品で乳業大手[14]となった。一方の明治製糖は敗戦で台湾などの外地資産をすべて失い[15]、1946年に川崎で製薬業と倉庫業へ転換して再起を図った[16]

  • 日本会社史総覧(1995年)
    • [8]1940年 明治乳業が極東煉乳を前身として発足
    • [9]明治製菓の乳製品部門も明治乳業へ移管
    • [10]乳製品部門の移管により菓子と乳業の役割分担が確立
    • [11]1946年 明治製菓がペニシリン製造を開始し薬品事業へ参入
    • [12]1958年 カナマイシン発売・食品製造の発酵技術が基盤
    • [13]1950年 東京乳業・1951年 朝日乳業を合併
    • [14]1973年 明治ブルガリアヨーグルト等の大型新商品で乳業大手に
  • 会社銀行八十年史(東洋経済新報社、1955年)
    • [15]終戦により明治製糖は台湾等の外地資産を全て喪失
    • [16]1946年 明治製糖は川崎で製薬業・倉庫業へ転換し再起
  • 会社銀行八十年史(東洋経済新報社、1955年)
    • [1]1906年12月 相馬半治が台湾台南に資本金500万円で明治製糖を設立
    • [2]昭和13〜14年 明治製糖の産糖高500万ピクル以上
    • [3]終戦時の明治製糖 資本金6,100万円・蔗糖工場8・精製糖工場4・従業員5,000名
    • [4]明治製糖の傍系事業 菓子・農牧場・乳製品・食品
    • [15]終戦により明治製糖は台湾等の外地資産を全て喪失
    • [16]1946年 明治製糖は川崎で製薬業・倉庫業へ転換し再起
  • 日本会社史総覧(1995年)
    • [5]1916年 東京菓子(明治製菓の前身)創立
    • [6]1924年 明治製菓へ改称・相馬半治が会長として実権を掌握
    • [7]戦前からキャラメル・ビスケット・チョコレートを量産
    • [8]1940年 明治乳業が極東煉乳を前身として発足
    • [9]明治製菓の乳製品部門も明治乳業へ移管
    • [10]乳製品部門の移管により菓子と乳業の役割分担が確立
    • [11]1946年 明治製菓がペニシリン製造を開始し薬品事業へ参入
    • [12]1958年 カナマイシン発売・食品製造の発酵技術が基盤
    • [13]1950年 東京乳業・1951年 朝日乳業を合併
    • [14]1973年 明治ブルガリアヨーグルト等の大型新商品で乳業大手に

菓子の欠損と提携の解消、二社が別々に迎えた転機

1980年3月期、明治製菓の食料部門は経常損益で30億円の欠損[17]を計上し、薬品部門は61億円の黒字[18]でこれを補った。国内の菓子需要は7年連続で減少[19]し、原料となる砂糖・乳製品・小麦粉の国内価格は国際価格の2〜2.5倍で高止まり[20]していた。中川赴社長は菓子部門の合理化と薬品部門への集中投資という二方面作戦[21]を掲げ、退職者の不補充と薬品部門への配置転換を軸に3年間で500人の削減[22]を計画した。同年10月に発売した大型新薬ホスホマイシンは月商10億円を超え[23]、菓子の欠損を埋めた。中川赴社長は「菓子は生活必需品から嗜好品的の要素が強まってきました[24]」と語った。

  • 日経ビジネス 1980年8月25日号
    • [17]1980年3月期 明治製菓の食料部門 経常損益30億円の欠損
    • [18]1980年3月期 明治製菓の薬品部門 経常利益61億円
    • [19]菓子需要が7年連続で減少
    • [20]砂糖・乳製品・小麦粉の国内価格が国際価格の2〜2.5倍
    • [21]中川赴社長 菓子部門の合理化と薬品部門への集中投資という二方面作戦
    • [22]3年間で500人の人員削減計画・退職者不補充と薬品部門への配置転換
    • [23]1980年10月発売のホスホマイシンが月商10億円超
    • [24]中川赴社長の発言 菓子は生活必需品から嗜好品的の要素が強まった

明治乳業は1970年から20年にわたり、アイスクリーム・チーズ・マーガリンの三事業で米ボーデンと提携[25]し、ボーデンブランドの年間売上高は250億円[26]に達していた。1990年の乳製品輸入自由化を機にボーデン側が日本での事業拡大と主導権を求める[27]と、中山悠社長はこれを拒み、20年続いた提携の解消を決めた[28]。明治乳業は家庭用高級アイスクリーム市場で約60%のシェアを持つレディボーデン[29]を手放した。福田耕作専務は「開発力のない会社に未来はない[30]」と述べ、提携下で制約されていた競合品の開発を解いて自社ブランドの構築へ切り替えた[31]。高級アイスクリーム「彩」が、ボーデン離脱後の自社ブランド戦略の第一弾[32]となった。

  • 日経ビジネス 1990年11月19日号
    • [25]1970年から20年 米ボーデンとアイスクリーム・チーズ・マーガリンで提携
    • [26]ボーデンブランドの年間売上高250億円
    • [27]1990年 乳製品輸入自由化を機にボーデンが日本での事業拡大と主導権を要求
    • [28]中山悠社長 ボーデンの要求を拒否し提携解消を決断
    • [29]レディボーデンは家庭用高級アイスクリーム市場で約60%のシェア
    • [30]福田耕作専務の発言 開発力のない会社に未来はない
    • [31]提携下で制約されていた競合品開発の解禁と自社ブランド構築への転換
    • [32]ボーデン離脱後の自社ブランド第一弾 高級アイスクリーム「彩」
  • 日経ビジネス 1980年8月25日号
    • [17]1980年3月期 明治製菓の食料部門 経常損益30億円の欠損
    • [18]1980年3月期 明治製菓の薬品部門 経常利益61億円
    • [19]菓子需要が7年連続で減少
    • [20]砂糖・乳製品・小麦粉の国内価格が国際価格の2〜2.5倍
    • [21]中川赴社長 菓子部門の合理化と薬品部門への集中投資という二方面作戦
    • [22]3年間で500人の人員削減計画・退職者不補充と薬品部門への配置転換
    • [23]1980年10月発売のホスホマイシンが月商10億円超
    • [24]中川赴社長の発言 菓子は生活必需品から嗜好品的の要素が強まった
  • 日経ビジネス 1990年11月19日号
    • [25]1970年から20年 米ボーデンとアイスクリーム・チーズ・マーガリンで提携
    • [26]ボーデンブランドの年間売上高250億円
    • [27]1990年 乳製品輸入自由化を機にボーデンが日本での事業拡大と主導権を要求
    • [28]中山悠社長 ボーデンの要求を拒否し提携解消を決断
    • [29]レディボーデンは家庭用高級アイスクリーム市場で約60%のシェア
    • [30]福田耕作専務の発言 開発力のない会社に未来はない
    • [31]提携下で制約されていた競合品開発の解禁と自社ブランド構築への転換
    • [32]ボーデン離脱後の自社ブランド第一弾 高級アイスクリーム「彩」

2006年〜 原料高と成熟市場のなかで持株会社を設け、会社の区分を解くまで

明治ホールディングスの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2008年 明治製菓と明治乳業の経営統合、持株会社・明治ホールディングスの設立 70年前に分かれた兄弟会社を、なぜ一つの持株会社へ束ね直したのか——ブランド結集と事業再編をめぐる選択
  2. 2009年 明治HDを設立・東京証券取引所一部に上場
  3. 2009年 佐藤尚忠氏が社長に就任
  4. 2011年 グループ再編完了・明治製菓がMeiji Seikaファルマに商号変更

カカオ豆の高騰と成熟市場が押した統合の判断

2000年代後半の菓子業界は原料高に押され、主力のチョコレートではカカオ豆のロンドン取引所での取引価格が1トン当たり2006年末の850ポンドから2008年9月末に1550ポンドまで上がった[33]。小麦や乳由来の原料、包装資材も原油高で高止まり[34]していた。明治製菓の佐藤尚忠社長は、原材料高騰の影響が3年間で100億円に達する見通しだと懸念[35]を示し、統合の相手となる明治乳業を含めれば、この3年間で両社ともに100億円を超えるマイナスの影響が既に出ている[36]と述べた。同社はこの間、チョコレートの製造と製品構成の見直しを進めていた[37]

  • 週刊東洋経済 2008年10月18日号
    • [33]カカオ豆のロンドン取引所価格 2006年末 1トン850ポンド→2008年9月末 1550ポンド
    • [34]小麦・乳由来原料・包装資材も原油高で高止まり
    • [35]佐藤尚忠社長 3年間で原材料高騰の影響が100億円に達する見通しと懸念
    • [37]明治製菓のチョコレート改革(製造と製品構成の見直し)が進行
  • 週刊東洋経済 2008年9月27日号
    • [36]この3年間で両社ともに100億円を超えるマイナスの影響

国内市場の頭打ちも重く、消費者の嗜好は目新しさから安心感へ移って[38]、業界関係者は1999年のフラン以降20億円級のヒット商品が出ていない[39]と口をそろえていた。明治製菓の海外の売上高は500億円で、全体の1割に相当する水準[40]にとどまっていた。先細りの国内と成長途上の海外という落差[41]のなかで、同社は最大手として業界の危機に向き合う立場に置かれていた。佐藤尚忠社長は海外の比率を中期的に2割へ引き上げる[42]考えを示し、これまでほぼ100%自力で進めてきた海外の事業に、今後はM&Aも視野に入れる[43]と述べた。

  • 週刊東洋経済 2008年10月18日号
    • [38]消費者の嗜好が目新しさから安心感へ移行
    • [39]1999年のフラン以降20億円級のヒット商品が出ていない
    • [41]先細りの国内と成長途上の海外という落差
  • 週刊東洋経済 2008年9月27日号
    • [40]明治製菓の海外売上高500億円・全体の1割
    • [42]海外比率を中期的に2割へ引き上げる方針
    • [43]従来はほぼ100%自力・今後はM&Aも視野
  • 週刊東洋経済 2008年10月18日号
    • [33]カカオ豆のロンドン取引所価格 2006年末 1トン850ポンド→2008年9月末 1550ポンド
    • [34]小麦・乳由来原料・包装資材も原油高で高止まり
    • [35]佐藤尚忠社長 3年間で原材料高騰の影響が100億円に達する見通しと懸念
    • [37]明治製菓のチョコレート改革(製造と製品構成の見直し)が進行
    • [38]消費者の嗜好が目新しさから安心感へ移行
    • [39]1999年のフラン以降20億円級のヒット商品が出ていない
    • [41]先細りの国内と成長途上の海外という落差
  • 週刊東洋経済 2008年9月27日号
    • [36]この3年間で両社ともに100億円を超えるマイナスの影響
    • [40]明治製菓の海外売上高500億円・全体の1割
    • [42]海外比率を中期的に2割へ引き上げる方針
    • [43]従来はほぼ100%自力・今後はM&Aも視野

合併ではなく対等の共同株式移転を選ぶ

2008年9月、明治製菓と明治乳業は株主総会の承認を前提として共同株式移転により共同持株会社を設立することで合意に達し、両社の取締役会で統合契約書を締結[44]した。統合の比率は明治製菓1.0に対し明治乳業1.7[45]と定められた。売上高の合計は1兆円規模に達し、国内の食品で上位に立つ企業[46]が生まれる計画だった。佐藤尚忠社長は「今年3月から両社で統合を検討し、『あうん』の呼吸で決まった[47]」と語り、明治ブランドという共通の武器を持っている点[48]を統合の意義に挙げた。両社の株式を新たに設ける持株会社へ移すという段取り[49]が、ここで定まった。

  • 明治ホールディングス 有価証券報告書【沿革】
    • [44]2008年9月 共同株式移転による共同持株会社設立で合意・統合契約書を締結
    • [49]共同株式移転による共同持株会社の設立という枠組み
  • 週刊東洋経済 2008年9月27日号
    • [45]統合比率 明治製菓1.0対明治乳業1.7
    • [46]統合後の売上高は1兆円規模・国内食品で上位の企業
    • [47]佐藤尚忠社長の発言 3月から検討し「あうん」の呼吸で決まった
    • [48]統合の意義 明治ブランドという共通の武器

佐藤尚忠社長は統合の主眼をコスト削減に置かず、包材のまとめ買いによるコストダウンも目指すがそれが最も重要ではなく[50]、むしろ売り上げを伸ばす成長路線で原材料高騰の問題を解決したい[51]と述べた。医薬の事業については、感染症・中枢神経・後発医薬品の3本柱を備えたスペシャルティファーマ[52]を作りたいという構想を示した。歴史的背景から情緒的に決めたと言われればそれまでだと認めつつ、2社でまとまって勝負してみよう[53]と考えたとも語っている。合併ではなく持株会社をまず設け、事業の組み替えは統合準備委員会で詰める段取り[54]が取られた。

  • 週刊東洋経済 2008年9月27日号
    • [50]コストダウンは目指すが最重要ではないとの考え
    • [51]佐藤尚忠社長 売上を伸ばす成長路線で原材料高騰を解決したい
    • [52]医薬は感染症・中枢神経・後発医薬品の3本柱のスペシャルティファーマを志向
    • [53]佐藤尚忠社長 情緒的に決めたと言われればそれまでだが2社で勝負すると発言
    • [54]具体策は統合準備委員会で詰める段取り
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書【沿革】
    • [44]2008年9月 共同株式移転による共同持株会社設立で合意・統合契約書を締結
    • [49]共同株式移転による共同持株会社の設立という枠組み
  • 週刊東洋経済 2008年9月27日号
    • [45]統合比率 明治製菓1.0対明治乳業1.7
    • [46]統合後の売上高は1兆円規模・国内食品で上位の企業
    • [47]佐藤尚忠社長の発言 3月から検討し「あうん」の呼吸で決まった
    • [48]統合の意義 明治ブランドという共通の武器
    • [50]コストダウンは目指すが最重要ではないとの考え
    • [51]佐藤尚忠社長 売上を伸ばす成長路線で原材料高騰を解決したい
    • [52]医薬は感染症・中枢神経・後発医薬品の3本柱のスペシャルティファーマを志向
    • [53]佐藤尚忠社長 情緒的に決めたと言われればそれまでだが2社で勝負すると発言
    • [54]具体策は統合準備委員会で詰める段取り

器から事業へ、会社の呼称を解いた再編

2009年4月、共同株式移転により明治ホールディングスが設立され、普通株式が東京証券取引所市場第一部に上場[55]した。発足後初の通期となる2010年3月期の連結売上高は1兆1,066億円、営業利益は288億円[56]で、営業利益率は2.6%にとどまった。連結の従業員は14,168人[57]を数えた。翌2011年3月期も売上高1兆1,110億円、営業利益289億円と横ばい[58]で推移した。持株会社の下に明治製菓と明治乳業がそのまま並ぶ形[59]だったため、時価総額は2,297億円[60]にとどまり、株式市場からはシナジーがほとんど見えず意義がないと冷ややかに見られていた[61]

  • 明治ホールディングス 有価証券報告書【沿革】
    • [55]2009年4月 当社設立・普通株式を東京証券取引所市場第一部に上場
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書(連結経営指標等)
    • [56]2010年3月期 連結売上高1兆1,066億円・営業利益288億円
    • [57]2010年3月期 連結従業員14,168人
    • [58]2011年3月期 連結売上高1兆1,110億円・営業利益289億円
    • [59]統合当初は持株会社の下に明治製菓と明治乳業がぶら下がる形
    • [60]統合当初の時価総額2,297億円
    • [61]外部評価 シナジーがほとんど見えず意義がないとの冷ややかな見方

2010年9月、明治ホールディングスは持株会社の下の明治製菓と明治乳業を食品と医薬品の2事業へ組み替えると発表[62]した。2011年2月には両社の資産管理に係る事業の一部を持株会社が承継する吸収分割契約[63]を結び、明治製菓のフード&ヘルスケア事業を明治乳業へ承継させる契約[64]も締結した。2011年4月、明治製菓はMeiji Seika ファルマへ、明治乳業は株式会社明治へ商号を変更[65]し、菓子と乳業という会社の呼称は消えた[66]。同じ2011年3月には明治乳業(蘇州)有限公司を、同年11月にはMeiji America Inc.を設立[67]した。

    • [62]2010年9月 持株会社傘下の明治製菓・明治乳業を食品と医薬品の2事業へ組み替えると発表
    • [66]「明治製菓」「明治乳業」という会社の呼称が消滅
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書【沿革】
    • [63]2011年2月 資産管理に係る事業の一部を当社が承継する吸収分割契約を締結
    • [64]明治製菓のフード&ヘルスケア事業を明治乳業へ承継する吸収分割契約
    • [65]2011年4月 明治製菓がMeiji Seika ファルマへ・明治乳業が株式会社明治へ商号変更
    • [67]2011年3月 明治乳業(蘇州)有限公司設立・2011年11月 Meiji America Inc.設立
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書【沿革】
    • [55]2009年4月 当社設立・普通株式を東京証券取引所市場第一部に上場
    • [63]2011年2月 資産管理に係る事業の一部を当社が承継する吸収分割契約を締結
    • [64]明治製菓のフード&ヘルスケア事業を明治乳業へ承継する吸収分割契約
    • [65]2011年4月 明治製菓がMeiji Seika ファルマへ・明治乳業が株式会社明治へ商号変更
    • [67]2011年3月 明治乳業(蘇州)有限公司設立・2011年11月 Meiji America Inc.設立
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書(連結経営指標等)
    • [56]2010年3月期 連結売上高1兆1,066億円・営業利益288億円
    • [57]2010年3月期 連結従業員14,168人
    • [58]2011年3月期 連結売上高1兆1,110億円・営業利益289億円
    • [59]統合当初は持株会社の下に明治製菓と明治乳業がぶら下がる形
    • [60]統合当初の時価総額2,297億円
    • [61]外部評価 シナジーがほとんど見えず意義がないとの冷ややかな見方
    • [62]2010年9月 持株会社傘下の明治製菓・明治乳業を食品と医薬品の2事業へ組み替えると発表
    • [66]「明治製菓」「明治乳業」という会社の呼称が消滅

2011年〜 食品事業が牽引した収益改善と、医薬品への追加投資

明治ホールディングスの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2011年 グループ再編完了・明治製菓がMeiji Seikaファルマに商号変更
  2. 2014年 松尾正彦氏が社長に就任
  3. 2015年 Medreich Limitedを子会社化
  4. 2018年 川村和夫氏が社長に就任
  5. 2018年 KMバイオロジクスを子会社化

利益優先への転換と収益率の底上げ

会社の区分を解いて事業を組み替えたのち、明治ホールディングスの連結営業利益は2012年3月期の202億円を底に、2016年3月期には778億円、2018年3月期には947億円[68]まで増えた。営業利益率も統合直後の2%台から2017年度には7.6%へ上がっている[69]。採算のよい製品群に力を入れてきたことで利益率は向上したと川村和夫社長は説明[70]した。同じ期間に食品セグメントの営業利益は2011年3月期の223億円から2018年3月期の842億円へ[71]、医薬品セグメントの営業利益は75億円から110億円へ増えた[72]

  • 明治ホールディングス 有価証券報告書(連結経営指標等)
    • [68]連結営業利益 2012年3月期202億円・2016年3月期778億円・2018年3月期947億円
  • 週刊東洋経済 2018年10月6日号
    • [69]営業利益率 統合直後の2%台→2017年度7.6%
    • [70]川村和夫社長 採算のよい製品群に注力して利益率が向上したとの説明
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書(連結セグメント情報)
    • [71]食品セグメント営業利益 2011年3月期223億円→2018年3月期842億円
    • [72]医薬品セグメント営業利益 2011年3月期75億円→2018年3月期110億円

収益の改善は資本効率にも表れ、自己資本利益率は2012年3月期の2.3%から2016年3月期には15.3%へ上がり[73]、純利益も同じ期間に68億円から625億円へ増えた[74]。時価総額は統合当初の2,297億円から2015年2月に1兆円を超え、2016年10月には最高額の1兆6001億円[75]を記録した。株式の流動性を高めるため、2015年10月には普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施[76]した。2018年3月期の連結売上高は1兆2,408億円[77]で、統合初年度の2010年3月期から1,342億円増えている。2020年3月期には売上高1兆2,527億円、営業利益1,027億円[78]と、統合後の最高値に達した。

  • 明治ホールディングス 有価証券報告書(連結経営指標等)
    • [73]自己資本利益率 2012年3月期2.3%→2016年3月期15.3%
    • [74]純利益 2012年3月期68億円→2016年3月期625億円
    • [77]2018年3月期 連結売上高1兆2,408億円
    • [78]2020年3月期 連結売上高1兆2,527億円・営業利益1,027億円
    • [75]時価総額 統合当初2,297億円→2015年2月に1兆円超→2016年10月に1兆6001億円
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書【沿革】
    • [76]2015年10月 普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書(連結経営指標等)
    • [68]連結営業利益 2012年3月期202億円・2016年3月期778億円・2018年3月期947億円
    • [73]自己資本利益率 2012年3月期2.3%→2016年3月期15.3%
    • [74]純利益 2012年3月期68億円→2016年3月期625億円
    • [77]2018年3月期 連結売上高1兆2,408億円
    • [78]2020年3月期 連結売上高1兆2,527億円・営業利益1,027億円
  • 週刊東洋経済 2018年10月6日号
    • [69]営業利益率 統合直後の2%台→2017年度7.6%
    • [70]川村和夫社長 採算のよい製品群に注力して利益率が向上したとの説明
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書(連結セグメント情報)
    • [71]食品セグメント営業利益 2011年3月期223億円→2018年3月期842億円
    • [72]医薬品セグメント営業利益 2011年3月期75億円→2018年3月期110億円
    • [75]時価総額 統合当初2,297億円→2015年2月に1兆円超→2016年10月に1兆6001億円
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書【沿革】
    • [76]2015年10月 普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施

牛乳事業の立て直しと海外への傾斜

2009年の経営統合以来の選択と集中のなかで、いちばん大きな問題は牛乳の事業だった[79]。売上高は1,000億円を超えていたが、原料となる生乳の価格の上昇で数十億円の赤字[80]が続き、事業を縮小すれば日本の酪農業への影響も大きいため、赤字でも続けざるをえなかった[81]。牛乳は加工度が低く差別化が難しいため、明治は主力の「おいしい牛乳」の容量を減らしてキャップ付きの容器を導入し、生乳からの原料開発も含めて改良[82]することで、少し高めの価格でも消費者に受け入れられるようにした。工場の再編も並行して進め[83]川村和夫社長は改革は3合目までしか進んでいないが黒字化への道筋は見えている[84]と述べた。

  • 週刊東洋経済 2018年10月6日号
    • [79]経営統合以来の選択と集中で最大の課題が牛乳事業
    • [80]牛乳事業の売上高1,000億円超・生乳価格上昇で数十億円の赤字が継続
    • [81]事業縮小は日本の酪農業への影響が大きく赤字でも継続
    • [82]「おいしい牛乳」の容量削減とキャップ付き容器の導入・生乳からの原料開発
    • [83]工場再編の並行実施
    • [84]川村和夫社長 改革は3合目・黒字化への道筋は見えているとの発言

川村和夫社長は自社を典型的な内需型の企業と呼び[85]、2018年5月に発表した中期経営計画で海外の強化を掲げた[86]。重点を置いたのは中国で、1990年代前半に菓子やアイスクリームなどで進出してから黒字化までに20年以上を要していた[87]。2018年4月には東京都八王子市にイノベーションセンターを稼働させ、菓子と乳業の部門を横断して基礎研究に集中できるように[88]した。乳価はこの10年で2割ほど上昇しており、就業者の高齢化による離農[89]で生乳の生産量は落ち続けていた。川村和夫社長は、消費者の健康志向が高まっていても健康だけを訴求して成長できる保証はない[90]とし、研究所で生まれた技術を生かした革新的な製品が出てくることに期待[91]を寄せた。

  • 週刊東洋経済 2018年10月6日号
    • [85]川村和夫社長 自社を典型的な内需型企業と規定
    • [86]2018年5月 中期経営計画で海外強化を提示
    • [87]中国は1990年代前半の進出から黒字化まで20年以上
    • [88]2018年4月 東京都八王子市にイノベーションセンターを稼働・菓子乳業横断の基礎研究
    • [89]乳価は10年で2割ほど上昇・離農により生乳生産量が減少
    • [90]川村和夫社長 健康だけを訴求しても成長できる保証はないとの発言
    • [91]イノベーションセンターの技術を生かした革新的な製品への期待
  • 週刊東洋経済 2018年10月6日号
    • [79]経営統合以来の選択と集中で最大の課題が牛乳事業
    • [80]牛乳事業の売上高1,000億円超・生乳価格上昇で数十億円の赤字が継続
    • [81]事業縮小は日本の酪農業への影響が大きく赤字でも継続
    • [82]「おいしい牛乳」の容量削減とキャップ付き容器の導入・生乳からの原料開発
    • [83]工場再編の並行実施
    • [84]川村和夫社長 改革は3合目・黒字化への道筋は見えているとの発言
    • [85]川村和夫社長 自社を典型的な内需型企業と規定
    • [86]2018年5月 中期経営計画で海外強化を提示
    • [87]中国は1990年代前半の進出から黒字化まで20年以上
    • [88]2018年4月 東京都八王子市にイノベーションセンターを稼働・菓子乳業横断の基礎研究
    • [89]乳価は10年で2割ほど上昇・離農により生乳生産量が減少
    • [90]川村和夫社長 健康だけを訴求しても成長できる保証はないとの発言
    • [91]イノベーションセンターの技術を生かした革新的な製品への期待

医薬品セグメントを広げた二つの買収

医薬品では買収による事業の拡張が続き、2015年2月、明治ホールディングスはインドのMedreich Limitedの株式を取得して子会社とした[92]。後発医薬品の受託製造と受託開発を担う同社は国際的な需要の増加を受けて拡大[93]し、スペインの子会社とともに海外の医薬品事業を支えた[94]。医薬品セグメントの売上高は2011年3月期の1,230億円から2016年3月期には1,630億円へ[95]、営業利益は75億円から101億円へ増えた[96]。もっとも、同じ2016年3月期の食品セグメントの営業利益683億円と比べれば、医薬品の利益はその7分の1[97]にすぎなかった。統合前から続く抗生物質を軸とした事業の幅を、どう広げるかが課題[98]として残った。

  • 明治ホールディングス 有価証券報告書【沿革】
    • [92]2015年2月 Medreich Limitedの株式を取得し子会社化
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2023年度第1四半期)
    • [93]Medreichは後発医薬品のCMO/CDMO・国際需要増で拡大
    • [94]スペイン子会社とともに海外医薬品事業が好調
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書(連結セグメント情報)
    • [95]医薬品セグメント売上高 2011年3月期1,230億円→2016年3月期1,630億円
    • [96]医薬品セグメント営業利益 2011年3月期75億円→2016年3月期101億円
    • [97]2016年3月期 食品セグメント営業利益683億円・医薬品はその7分の1
  • 週刊東洋経済 2018年10月6日号
    • [98]抗生物質を軸とした医薬品事業の領域の狭さ

2018年7月、明治ホールディングスはKMバイオロジクスの株式を取得して子会社とした[99]。同社は化学及血清療法研究所のワクチン事業を承継した会社[100]にあたる。化血研は過去に国の承認とは異なる方法での血液製剤の製造が問題となっていた[101]が、ワクチンの製造能力や周辺の技術には優れたものがあり、抗生物質に限られていた明治の事業領域は予防の領域まで広がった[102]。医薬品セグメントの売上高は買収を経て2020年3月期に2,017億円[103]へ達している。2019年には食と医のシナジーを担う価値共創センターを持株会社に設け[104]、抗老化・免疫増強・マイクロバイオームを主要なテーマ[105]に掲げた。

  • 明治ホールディングス 有価証券報告書【沿革】
    • [99]2018年7月 KMバイオロジクスの株式を取得し子会社化
  • 週刊東洋経済 2018年10月6日号
    • [100]KMバイオロジクスは化学及血清療法研究所のワクチン事業を承継した会社
    • [101]化血研は国の承認と異なる方法での血液製剤製造が過去に問題化
    • [102]抗生物質に限られていた事業領域が予防領域へ拡大
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書(連結セグメント情報)
    • [103]医薬品セグメント売上高 2020年3月期2,017億円
  • 明治ホールディングス 統合報告書2023
    • [104]2019年 価値共創センターを持株会社に設置
    • [105]価値共創センターの主要テーマ 抗老化・免疫増強・マイクロバイオーム
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書【沿革】
    • [92]2015年2月 Medreich Limitedの株式を取得し子会社化
    • [99]2018年7月 KMバイオロジクスの株式を取得し子会社化
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2023年度第1四半期)
    • [93]Medreichは後発医薬品のCMO/CDMO・国際需要増で拡大
    • [94]スペイン子会社とともに海外医薬品事業が好調
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書(連結セグメント情報)
    • [95]医薬品セグメント売上高 2011年3月期1,230億円→2016年3月期1,630億円
    • [96]医薬品セグメント営業利益 2011年3月期75億円→2016年3月期101億円
    • [97]2016年3月期 食品セグメント営業利益683億円・医薬品はその7分の1
    • [103]医薬品セグメント売上高 2020年3月期2,017億円
  • 週刊東洋経済 2018年10月6日号
    • [98]抗生物質を軸とした医薬品事業の領域の狭さ
    • [100]KMバイオロジクスは化学及血清療法研究所のワクチン事業を承継した会社
    • [101]化血研は国の承認と異なる方法での血液製剤製造が過去に問題化
    • [102]抗生物質に限られていた事業領域が予防領域へ拡大
  • 明治ホールディングス 統合報告書2023
    • [104]2019年 価値共創センターを持株会社に設置
    • [105]価値共創センターの主要テーマ 抗老化・免疫増強・マイクロバイオーム

2020年〜 原材料高とワクチンの誤算、体質改革への着手

明治ホールディングスの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2022年 原材料高・エネルギー高が本格的に業績を圧迫
  2. 2024年 2024〜2026年度中期経営計画(26中期経営計画)を策定
  3. 2024年 コスタイベ(レプリコンワクチン)の風評被害が顕在化
  4. 2025年 松田克也氏が社長に就任

原材料高が値上げと数量減を招いた数年

2021年の食品業界は原材料高の波を受け、明治ホールディングスは油脂の高騰でマーガリンを値上げしたが、カカオ豆や砂糖など主原材料の高騰はさほどではない[106]として、川村和夫社長は現時点で追加の値上げの必要はない[107]と述べた。食品業界は長年デフレに苦しめられ、原材料費を卸値に転嫁しても店頭価格が崩れて収益性が悪化する状態[108]が続いており、値上げされた価格がどの程度定着するかが問われた。調達の面では、支援する農家からのカカオ豆の調達比率を約40%から2026年までに100%へ引き上げる目標[109]を立て、自社拠点で使う電力の再生可能エネルギー比率も2030年までに50%以上とする目標[110]へ高めた。同年度から始まる2023中期経営計画では、ROEとESGの同時追求を明治ROESGという統合目標として掲げ[111]、3年間で300億円のESG投資枠を設けた[112]

  • 週刊東洋経済 2021年12月25日号
    • [106]油脂の高騰でマーガリンを値上げ・カカオ豆や砂糖の高騰はさほどではない
    • [107]川村和夫社長 現時点で追加値上げの必要はないとの見方
    • [108]転嫁しても店頭価格が崩れ収益性が悪化するデフレ構造
    • [109]支援農家からのカカオ豆調達比率 約40%→2026年までに100%
    • [110]自社拠点の電力の再生可能エネルギー比率 2030年までに50%以上
  • 明治ホールディングス 2023中期経営計画
    • [111]2023中期経営計画で明治ROESGを統合目標に設定
    • [112]3年間で300億円のESG投資枠

2022年度の原材料コストは前年度から295億円増え[113]、上期までに価格の改定で198億円を回収したものの約100億円が未吸収[114]で残った。チーズや乳脂の関係では2回目の値上げを実施[115]し、菓子については円高の進行を見ながら3回目の値上げを検討[116]していた。2023年3月期の連結売上高は1兆621億円と前期を上回った一方、営業利益は754億円と前期から18.7%減[117]った。ブルガリアヨーグルトでは、競合が売価を上げないなかで先行して値上げを浸透させようとした結果、数量が約9割まで落ち込んだ[118]。R-1とLG21を含むプロバイオティクス全体も低迷[119]した。

  • 明治ホールディングス 決算説明会(2022年度第2四半期)
    • [113]2022年度の原材料コストアップ295億円
    • [114]上期までに価格改定で198億円を回収・約100億円が未吸収
    • [115]チーズ・乳脂関係で2回目の値上げを実施
    • [116]菓子は円高進行を見ながら3回目の値上げを検討
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書(連結経営指標等)
    • [117]2023年3月期 連結売上高1兆621億円・営業利益754億円(前期比18.7%減)
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2022年度本決算)
    • [118]ブルガリアヨーグルトの値上げ浸透に失敗し数量が約9割へ低下
    • [119]R-1・LG21を含むプロバイオティクス全体の低迷
  • 週刊東洋経済 2021年12月25日号
    • [106]油脂の高騰でマーガリンを値上げ・カカオ豆や砂糖の高騰はさほどではない
    • [107]川村和夫社長 現時点で追加値上げの必要はないとの見方
    • [108]転嫁しても店頭価格が崩れ収益性が悪化するデフレ構造
    • [109]支援農家からのカカオ豆調達比率 約40%→2026年までに100%
    • [110]自社拠点の電力の再生可能エネルギー比率 2030年までに50%以上
  • 明治ホールディングス 2023中期経営計画
    • [111]2023中期経営計画で明治ROESGを統合目標に設定
    • [112]3年間で300億円のESG投資枠
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2022年度第2四半期)
    • [113]2022年度の原材料コストアップ295億円
    • [114]上期までに価格改定で198億円を回収・約100億円が未吸収
    • [115]チーズ・乳脂関係で2回目の値上げを実施
    • [116]菓子は円高進行を見ながら3回目の値上げを検討
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書(連結経営指標等)
    • [117]2023年3月期 連結売上高1兆621億円・営業利益754億円(前期比18.7%減)
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2022年度本決算)
    • [118]ブルガリアヨーグルトの値上げ浸透に失敗し数量が約9割へ低下
    • [119]R-1・LG21を含むプロバイオティクス全体の低迷

2026中期経営計画とコスタイベの誤算

2024年5月、川村和夫社長は2024年度から2026年度までの中期経営計画を発表[120]した。食品の営業利益900億円、医薬品400億円を目標[121]に置き、医薬品ではレプリコンワクチンのコスタイベを次世代ワクチンのプラットフォームとして育成し、受託製造のMedreichを拡大[122]する方針を示した。コスタイベはKMバイオロジクスの取得から6年をかけ、Arcturus社と共同で開発した自己増幅型のmRNAワクチン[123]にあたる。2024年3月期の連結売上高は1兆1,054億円、営業利益は843億円[124]だった。

  • 明治ホールディングス 決算説明会(2023年度本決算)
    • [120]2024年5月 2024〜2026年度の中期経営計画を発表
    • [121]26中計目標 食品営業利益900億円・医薬品400億円
    • [122]コスタイベを次世代ワクチンプラットフォームとして育成・Medreichの拡大
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2024年度第2四半期)
    • [123]コスタイベはKMバイオ買収から6年・Arcturus社との共同開発の自己増幅型mRNAワクチン
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書(連結経営指標等)
    • [124]2024年3月期 連結売上高1兆1,054億円・営業利益843億円

コスタイベの接種の回数は当初の計画から外れた[125]。2024年秋、レプリコンワクチンに対する風評が広がり[126]、当初3,200万回としていた業界全体の接種環境は1,000万回程度に落ち込む見通し[127]へ修正された。小林大吉郎COOは、想定外の逆風でどのくらい下振れるかは具体的に言及できない[128]と述べた。2024年度には棚卸評価損の計上が避けられなくなり[129]、2025年度に入っても接種は当初の10分の1にあたる300万ドーズ程度の見通し[130]にとどまった。明治は、抗菌薬やレズロック、クイントバックといったコスタイベ以外の製品で医薬品の営業利益400億円という目標に近づける方針[131]を維持した。

  • 明治ホールディングス 決算説明会(2024年度第2四半期)
    • [125]コスタイベの接種回数が当初計画から下振れ
    • [126]2024年秋 レプリコンワクチンへの風評被害が拡大
    • [127]接種環境 当初3,200万回計画→業界全体で1,000万回程度へ修正
    • [128]小林大吉郎COO 想定外の逆風で下振れ幅は具体的に言及できないとの発言
    • [131]抗菌薬・レズロック・クイントバック等コスタイベ以外の製品で400億円目標へ接近する方針
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2024年度第3四半期)
    • [129]2024年度にコスタイベの棚卸評価損を計上
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2025年度第2四半期)
    • [130]2025年度のコスタイベ接種見通し 当初の10分の1の300万ドーズ程度
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2023年度本決算)
    • [120]2024年5月 2024〜2026年度の中期経営計画を発表
    • [121]26中計目標 食品営業利益900億円・医薬品400億円
    • [122]コスタイベを次世代ワクチンプラットフォームとして育成・Medreichの拡大
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2024年度第2四半期)
    • [123]コスタイベはKMバイオ買収から6年・Arcturus社との共同開発の自己増幅型mRNAワクチン
    • [125]コスタイベの接種回数が当初計画から下振れ
    • [126]2024年秋 レプリコンワクチンへの風評被害が拡大
    • [127]接種環境 当初3,200万回計画→業界全体で1,000万回程度へ修正
    • [128]小林大吉郎COO 想定外の逆風で下振れ幅は具体的に言及できないとの発言
    • [131]抗菌薬・レズロック・クイントバック等コスタイベ以外の製品で400億円目標へ接近する方針
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書(連結経営指標等)
    • [124]2024年3月期 連結売上高1兆1,054億円・営業利益843億円
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2024年度第3四半期)
    • [129]2024年度にコスタイベの棚卸評価損を計上
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2025年度第2四半期)
    • [130]2025年度のコスタイベ接種見通し 当初の10分の1の300万ドーズ程度

社長交代とROICによる体質の改革

2025年6月、川村和夫社長から松田克也社長へ交代[132]した。松田克也社長はROEが伸びていないことが大きな課題である[133]とし、ROICなど投資効率について考え、芳しくない場合に機動的な判断を実施することができなかった点を深く反省している[134]と語った。2025年3月期の連結売上高は1兆1,540億円、営業利益は847億円[135]で、コスタイベの棚卸評価損が医薬品を圧迫して純利益は508億円[136]にとどまった。松田克也社長はROICによる管理と資産の圧縮を、食と医のシナジーや新領域の開拓と同時に進める方針[137]を示した。

  • 明治ホールディングス 決算説明会(2024年度本決算)
    • [132]2025年6月 川村和夫社長から松田克也社長へ交代
    • [133]松田克也社長 ROEが伸びていないことが大きな課題との認識
    • [134]松田克也社長 投資効率が芳しくない場合に機動的な判断ができなかったと反省
    • [136]コスタイベの棚卸評価損が医薬品を圧迫し純利益508億円
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書(連結経営指標等)
    • [135]2025年3月期 連結売上高1兆1,540億円・営業利益847億円・純利益508億円
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2025年度第2四半期)
    • [137]ROICによる管理と資産圧縮を成長投資と同時に進める方針

2025年11月、明治は四国明治の生産終了を発表し、食品の生産体制の集約を本格化[138]させた。早期退職とキャリア転換を支援するネクストキャリア特別支援を導入して11億円の特別損失を計上[139]し、あわせてジョブ型の人事制度の導入も表明[140]した。中国の事業ではリバイバルプランとして不採算の取引先の見直しと価格の是正を進め、2026年度の損益均衡を目標[141]に置いた。食品セグメントは中国事業を含む減損損失を2024年3月期に155億円、2026年3月期に225億円計上[142]している。松田克也社長は、生産ラインの統廃合と除却を加速する方針[143]もあわせて示した。

  • 明治ホールディングス 決算説明会(2025年度第2四半期)
    • [138]2025年11月 四国明治の生産終了を発表・食品生産体制の集約
    • [139]ネクストキャリア特別支援の導入と11億円の特別損失計上
    • [140]ジョブ型人事制度の導入を表明
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2025年度第1四半期)
    • [141]中国事業のリバイバルプラン 不採算取引先の見直しと価格是正・2026年度の損益均衡
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書(連結セグメント情報)
    • [142]食品セグメント減損損失 2024年3月期155億円・2026年3月期225億円
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2024年度本決算)
    • [143]松田克也社長 生産ラインの統廃合・除却を加速する方針

後発医薬品では業界の再編が課題として残り、Meiji Seika ファルマは8社が参画する企業連合で旗振り役[144]を務め、まず22成分56品目を対象に品目の統合を進めた[145]。1社が1つの製品を集中的に作れるようにすることで、少量多品目生産に伴う生産性と品質の問題を解こう[146]とした。小林大吉郎会長は、約190社が各地域で工場を持ち似たような薬を作る非効率を挙げ、安定供給できない企業に再編以外の選択肢はない[147]と述べた。2026年3月期の連結営業利益は933億円、医薬品セグメントの営業利益は305億円[148]だった。

  • 週刊東洋経済 2026年2月21日号
    • [144]Meiji Seika ファルマが8社の企業連合で旗振り役
    • [145]まず22成分56品目を対象に品目統合を推進
    • [146]1社1製品の集中生産により少量多品目生産の生産性・品質問題を解消する狙い
    • [147]小林大吉郎会長 約190社が各地域で工場を持つ非効率と再編以外の選択肢がないとの発言
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書(連結セグメント情報)
    • [148]2026年3月期 連結営業利益933億円・医薬品セグメント営業利益305億円
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2024年度本決算)
    • [132]2025年6月 川村和夫社長から松田克也社長へ交代
    • [133]松田克也社長 ROEが伸びていないことが大きな課題との認識
    • [134]松田克也社長 投資効率が芳しくない場合に機動的な判断ができなかったと反省
    • [136]コスタイベの棚卸評価損が医薬品を圧迫し純利益508億円
    • [143]松田克也社長 生産ラインの統廃合・除却を加速する方針
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書(連結経営指標等)
    • [135]2025年3月期 連結売上高1兆1,540億円・営業利益847億円・純利益508億円
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2025年度第2四半期)
    • [137]ROICによる管理と資産圧縮を成長投資と同時に進める方針
    • [138]2025年11月 四国明治の生産終了を発表・食品生産体制の集約
    • [139]ネクストキャリア特別支援の導入と11億円の特別損失計上
    • [140]ジョブ型人事制度の導入を表明
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2025年度第1四半期)
    • [141]中国事業のリバイバルプラン 不採算取引先の見直しと価格是正・2026年度の損益均衡
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書(連結セグメント情報)
    • [142]食品セグメント減損損失 2024年3月期155億円・2026年3月期225億円
    • [148]2026年3月期 連結営業利益933億円・医薬品セグメント営業利益305億円
  • 週刊東洋経済 2026年2月21日号
    • [144]Meiji Seika ファルマが8社の企業連合で旗振り役
    • [145]まず22成分56品目を対象に品目統合を推進
    • [146]1社1製品の集中生産により少量多品目生産の生産性・品質問題を解消する狙い
    • [147]小林大吉郎会長 約190社が各地域で工場を持つ非効率と再編以外の選択肢がないとの発言

明治ホールディングスの沿革1906〜2025年における主な出来事を抜粋

年月社長・CEO出来事重要度
明治製糖を台湾に創立
東京菓子を設立(明治製菓の前身)
極東煉乳を設立(明治乳業の前身)
明治製菓に商号変更
川崎工場を新設(明治製菓初の近代的菓子工場)
明治ミルクチョコレートを発売★★
明治乳業を発足★★
川崎工場が空襲で全焼・海外資産を喪失
ペニシリンの製造を開始★★
ストレプトマイシンの製造を開始
カナマイシンを発売
足柄工場(薬品原末)を開設
スナック菓子「カール」を発売
ボーデンとのアイスクリーム提携を開始
明治ブルガリアヨーグルトを発売
きのこの山を発売
菓子部門が初の大幅赤字を計上★★
大型新薬ホスホマイシンを発売
明治乳業がヘルスサイエンス研究所(MIH)を開設
果汁グミを発売
ボーデンとの20年間の提携を解消
明治製菓と明治乳業の経営統合、持株会社・明治ホールディングスの設立70年前に分かれた兄弟会社を、なぜ一つの持株会社へ束ね直したのか——ブランド結集と事業再編をめぐる選択 詳細を読む★★★
佐藤尚忠明治HDを設立・東京証券取引所一部に上場
佐藤尚忠佐藤尚忠氏が社長に就任
佐藤尚忠グループ再編完了・明治製菓がMeiji Seikaファルマに商号変更★★
松尾正彦松尾正彦氏が社長に就任
松尾正彦Medreich Limitedを子会社化
川村和夫川村和夫氏が社長に就任
川村和夫KMバイオロジクスを子会社化★★
川村和夫原材料高・エネルギー高が本格的に業績を圧迫
川村和夫2024〜2026年度中期経営計画(26中期経営計画)を策定
川村和夫コスタイベ(レプリコンワクチン)の風評被害が顕在化★★
松田克也松田克也氏が社長に就任
出典・参考
  • 会社銀行八十年史(東洋経済新報社、1955年)
  • 日本会社史総覧(1995年)
  • 日経ビジネス 1980年8月25日号
  • 日経ビジネス 1990年11月19日号
  • 週刊東洋経済 2008年10月18日号
  • 週刊東洋経済 2008年9月27日号
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書【沿革】
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書(連結経営指標等)
  • 日経ビジネス電子版(2017年9月28日)
  • 日本経済新聞(2010年9月14日)
  • 週刊東洋経済 2018年10月6日号
  • 明治ホールディングス 有価証券報告書(連結セグメント情報)
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2023年度第1四半期)
  • 明治ホールディングス 統合報告書2023
  • 週刊東洋経済 2021年12月25日号
  • 明治ホールディングス 2023中期経営計画
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2022年度第2四半期)
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2022年度本決算)
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2023年度本決算)
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2024年度第2四半期)
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2024年度第3四半期)
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2025年度第2四半期)
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2024年度本決算)
  • 明治ホールディングス 決算説明会(2025年度第1四半期)
  • 週刊東洋経済 2026年2月21日号

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