1970〜2023
オービック | 売上高
■単体 | ■連結 (単位:億円)
1001億円
2023.3 | 売上高
売上高_当期純利益率
○単体 | ○連結 (単位:%)
501億円
2023.3 | 当期純利益

オービック | キャッシュフロー

※数値は投資CFの値 | 単位:億円
CF 2004/3 2005/3 2006/3 2007/3 2008/3 2009/3 2010/3 2011/3 2012/3 2013/3 2014/3 2015/3 2016/3 2017/3 2018/3 2019/3 2020/3 2021/3 2022/3 2023/3
営業CF 99 65 92 90 97 117 93 118 122 174 156 209 166 213 261 298 319 416 389 529
投資CF 12 -58 -126 -134 -85 -54 39 -45 -40 -3 -11 15 43 23 -63 -82 -92 -54 -440 12
財務CF -58 -8 -15 -15 -30 -35 -33 -66 -32 -122 -44 -53 -101 -80 -84 -111 -131 -151 -229 -206
出所:有価証券報告書
1968年〜

会計向けの計算機の貸出で起業

会計機の営業マンだった野田順弘氏がオービックを創業。祖業は中小企業向けの「会計機械の貸し出し」であり、創業時点で会計のシステム化と縁があった。一貫して会計業務の効率化を重視する思想を持っており、コンピュータの性能向上に合わせて「コンピュータ販売」「業務ソフトウェアの構築」といった事業に展開し、時流をとらえた。

この結果、会社設立から約10年で年商約80億円・社員数約300名の規模まで事業成長した。

ただし、組織面では紆余曲折を経ている。創業当時のオービックは中小企業であり経営は安定せず、社員に裏切られる形で独立されるといった辛酸をなめた。この失敗から、オービックは「新卒採用のみ」にこだわる独特の組織運営に舵を切り、現在に至るまで中途採用を行わない独特の組織風土を保っている。

1968〜1979
オービック | 売上高
■単体 | ■連結 (単位:億円)
60億円
1979.8 | 売上高
売上高_当期純利益率
○単体 | ○連結 (単位:%)
n/a億円
1979.8 | 当期純利益
1968年
株式会社大阪ビジネスを設立
1968年
オリックスと提携。リース方式を導入
1973年
新卒採用に特化
1979年
ソフトウェア開発を重視
1980年〜

中小企業向けソフトウェアの展開

消費者金融向けの業務システムなど、ニッチな業界に特化したソフトウェアを提供することで、大手企業と差別化。さらに全国に営業所を設置することで、中小・中堅企業向けにアプローチする体制を整えた。この結果、大手企業のシステム構築が得意な大手SIerとの差別化を達成した。

一方、この代償として、市場規模が小さいことや、業界の景気トレンドに左右されることから、オービックの売上高は100億〜200億円台で推移。1990年代までのオービックは「急成長ベンチャー」ではなく、「ニッチな市場でシェアを確保して安定成長する中堅企業」であった。

1980〜1996
オービック | 売上高
■単体 | ■連結 (単位:億円)
219億円
1996.3 | 売上高
売上高_当期純利益率
○単体 | ○連結 (単位:%)
4億円
1996.3 | 当期純利益
1980年
特定業界向けのシステム開発に注力
1982年
オービックシステムエンジニアリングを設立
1985年
消費者金融業界向けが不振
1988年
地方営業所を拡充
1997年〜

ERPに本格投資

ERPとしてOBIC7のサービス提供を開始。中堅企業向けの顧客を開拓することで、それまでの「ニッチな業界」の景気感に左右されないビジネスに転換した。OBIC7は「すでにあるソフトウェア資産」を活用できることから、販売拡大とともに収益性を改善し、オービックが高収益を実現する原動力となった。

中堅企業向けのOBIC7で勢いづいたことで、2003年にオービックは大企業向けERPへの参入を表明。ワークスアプリケーションやSAPなどの成長企業との競争に直面したことから、カスタマイズを容認する方針で経営した。しかし、オービックは中途採用を行わないため、カスタマイズのための人員の投入が容易にできずに現場が疲弊。

この結果、中堅企業向けで底堅く高収益を確保する一方、大企業向けERPでは苦戦を余儀なくされ、全社売上高の成長は限定的となった。

1997〜2005
オービック | 売上高
■単体 | ■連結 (単位:億円)
449億円
2005.3 | 売上高
売上高_当期純利益率
○単体 | ○連結 (単位:%)
83億円
2005.3 | 当期純利益
1997年
「OBIC7シリーズ」を提供開始
1998年
東京証券取引所第2部に株式上場
2001年
東京証券取引所第1部に指定
2003年
野田順弘が会長就任。後任に相浦明氏が社長就任。
2003年
大企業向けシステム開発に参入
2004年
子会社オービックビジネスコンサルタントが株式上場
2006年〜

中堅企業向けに回帰

ERPにおいて大企業向けから撤退して、中小・中堅企業向けに特化する道を選択。収益性をキープした一方で、リーマンショックなどの不況でIT投資が冷え込んだこともあり、売上は低迷した。

このため、一時的な受注高に左右される新規構築(SI)だけではなく、継続的な収益源としてシステム・サポート(運用・保守・監視)を確保できるかが経営課題となった。

2006〜2012
オービック | 売上高
■単体 | ■連結 (単位:億円)
484億円
2012.3 | 売上高
売上高_当期純利益率
○単体 | ○連結 (単位:%)
103億円
2012.3 | 当期純利益
2006年
大企業向けシステム開発から撤退
2006年
野田順弘が社長復帰
2010年
減収決算
2013年〜

システム・サポート事業を拡大

中堅企業におけるIT化のニーズと、クラウド化の進展を捉えて、主にサポート事業を拡大。システムの新規構築の受注件数に左右されない収益構造を確立し、営業利益率50%を確保。日本を代表するIT企業に変貌した。

ただし、オービックが革新的なソフトウェアを開発したというよりも、既存のオービックの顧客がソフトウェアを慣習的に使い続けた結果、IT化の範囲拡大に合わせてオービックが販売を拡大した側面がある。

すなわち、オービックは、あくまでも顧客が「スイッチングコスト」を背負う構造を「OBIC7」の時代から時間をかけて作り出した点に凄み(=高収益の理由)がある。

なお、オービックは儲かりすぎるが故に資産効率が低い点(保有する現金用途における迷走)や、高齢な創業者(野田順弘氏・オービック会長)からの事業承継など、好調なビジネスの裏で深刻な経営課題を抱えている。

2013〜2024
オービック | 売上高
■単体 | ■連結 (単位:億円)
売上高_当期純利益率
○単体 | ○連結 (単位:%)
2013年
橘昇一氏が社長就任。野田順弘氏は会長就任
2013年
オービッククラウドの提供開始
2015年
マイナンバーの無償対応を発表
2019年
時価総額1兆円を突破
2020年
オービック御堂筋ビルを竣工
2022年
投資有価証券の取得
2023年
売上高_当期純利益率50%を突破
2023年
創業者の取締役選任で反対比率17%