| 期 | 区分 | 売上高 | 利益※ | 利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 2013/6 | 単体 売上高 / 経常利益 | 0億円 | 0億円 | - |
| 2014/6 | 単体 売上高 / 経常利益 | 0億円 | -13億円 | - |
| 2015/6 | 単体 売上高 / 経常利益 | 42億円 | -10億円 | -26.0% |
| 2016/6 | 連結 売上高 / 経常利益 | 122億円 | 0億円 | -0.8% |
| 2017/6 | 連結 売上高 / 経常利益 | 220億円 | -27億円 | -12.3% |
| 2018/6 | 連結 売上高 / 経常利益 | 357億円 | -47億円 | -13.2% |
| 2019/6 | 連結 売上高 / 経常利益 | 516億円 | -121億円 | -23.5% |
| 2020/6 | 連結 売上高 / 経常利益 | 762億円 | -193億円 | -25.4% |
| 2021/6 | 連結 売上高 / 経常利益 | 1,061億円 | 49億円 | 4.6% |
| 2022/6 | 連結 売上高 / 経常利益 | 1,470億円 | -38億円 | -2.6% |
| 2023/6 | 連結 売上高 / 営業利益 | 1,720億円 | 174億円 | 10.1% |
| 2024/6 | 連結 売上高 / 営業利益 | 1,874億円 | 163億円 | 8.6% |
2000年代後半、日本のCtoC取引はPC前提のオークション型が中心であり、出品や取引の手間が高い構造にあった。一方、スマートフォンの普及が進み、個人が日常的にアプリを通じて写真撮影や決済に触れる環境が整いつつあった。山田進太郎氏は、過去にWebサービスの立ち上げと売却を経験しており、個人が直感的に使えるUIを備えたサービスこそが次の成長余地になると認識していた。
当時の国内市場では、スマートフォンに最適化されたCtoCプラットフォームは存在しておらず、個人間取引の潜在需要は顕在化していなかった。従来の延長線上での改善ではなく、取引体験そのものを再設計する必要があるという問題意識が、事業構想の出発点となっていた。
こうした背景の下、2013年2月に株式会社コウゾウを設立し、スマートフォンに完全特化したフリマアプリの開発に着手した。出品から購入、決済までをアプリ内で完結させる設計とし、従来のオークション型とは異なる「即時性」と「簡便性」を重視した点が特徴であった。
また、創業初期から少人数の開発体制でプロダクト検証を進め、ユーザーの行動データを基に仕様を高速に修正する方針を採用した。大規模な事前計画よりも、実装と改善を繰り返すことで市場適合を図る判断が取られていた。
スマートフォン前提のUIと取引設計は、従来CtoCに参加していなかった層の参入を促し、個人間取引の裾野を広げる効果をもたらした。特に写真投稿と価格設定の容易さは、出品行動の心理的ハードルを大きく引き下げた。
この創業期の判断により、メルカリは単なる既存市場の代替ではなく、新たな取引習慣を生み出す基盤を構築した。その後の急速なユーザー拡大と資本調達は、この初期設計が市場構造に適合していたことを示す結果となった。
| 日時 | 所属 | 備考 |
| 1977/9 | 愛知県瀬戸市 | 生まれ |
| 1996/3 | 東海高校 | 卒業 |
| 1996/4 | 早稲田大学教育学部 | 入学 |
| 2001/8 | 有限会社ウノウ | 代表取締役(会社設立) |
| 2010/9 | Zynga Japan | ゼネラルマネージャー |
| 2013/2 | メルカリ | 代表取締役社長(会社設立) |
| 2017/4 | メルカリ | 代表取締役会長兼CEO |
| Date | 主なリリース |
| 2013/1 | 「メルカリ」の仕様策定。エンジニアの募集開始 |
| 2013/2 | 実装開始。AndroidでWebViewを採用 |
| 2013/4 | AndroidのWebViewで開発中止。コード廃棄 |
| 2013/7/2 | Android版「メルカリ」をリリース |
| 2013/7/23 | iOS版「メルカリ」をリリース |
| 2013/11/14 | キャッシュの消去機能を追加 |
| 2014/1/19 | 商品のシェア機能を追加 |
| 2014/2/4 | iOSでiPadに対応 |
| 2014/2/4 | カテゴリーから探す機能を追加 |
| 2014/4/15 | クレカ情報の消去機能を追加 |
| 2014/4/23 | ブランド検索機能を追加 |
| 2014/7/31 | コメント削除機能・検索サジェストを追加 |
| 2014/9/18 | ブロック機能を追加 |
| date | 調達額 | 評価額 | 割当先 |
| 2013/2/1 | 2000万円 | 2000万円 | 会社設立 |
| 2013/3/29 | 500万円 | 1500万円 | 山田進太郎氏など |
| 2013/6/3 | 5000万円 | 6.5億円 | EastVentures |
| 2013/8/30 | 2.2億円 | 15.2億円 | ユナイテッド(株) |
| 2014/3/28 | 14.5億円 | 82.8億円 | グローバルブレイン等 |
| 2014/9/10 | 10.0億円 | 212.3億円 | グローバルブレイン等 |
| 2014/9/30 | 13.5億円 | 236.1億円 | WiL Fund等 |
帰国後、立ち上げたのが現在のメルカリです。不要になったものを捨てるのではなく誰かに譲り、それをまた大事に使うことで無駄をなくしていくということが世界的な潮流になっています。日本でもフリーマーケットのようなイベントは昔から人気があります。それをスマホ一つで、安全で手軽に売りたいものを出品したり欲しいものを探したりして個人間で売買できる仕組みを作ろうと考えたのです。
完全に、プロダクト重視です。例えば、Googleは世界で最初の検索エンジンだったわけではないですし、Facebookが最初のソーシャルネットワークだったわけでもありません。結局、最終的に明暗を分けるのは「プロダクトの質」だと思っています。
だからこそ、「最高のプロダクトを作るチームをいかに作るか」が重要で、それがあるからこそ、資金調達や人材採用、マーケティングといった勝負ができるわけです。やはり、GoogleもFacebookも、今うまくいっているところは、創業者が相当プロダクトにコミットしてやっているところだと思います。逆に、あまり経営っぽい、マネジメントっぽいことに行くとよくないと思っています。
一番大きな理由は、自分のお金と会社のお金の財布が分かれることによる効果です。自己資金だと、人を雇うにも自分の財布から1人あたり1000万円出すみたいな感覚になってしまうので、やっぱり思い切った投資はすごくやりづらくなる。でも、最初の調達があったからこそ、思い切っていい人材を集めようという気になれた
2013年7月のアプリリリースは、既存CtoCの改善ではなく、スマホ前提で取引体験を再定義する選択だった。摩擦を徹底的に削った設計が潜在需要を顕在化させ、フリマアプリ市場そのものを成立させた点に、この意思決定の本質がある。
2010年代初頭、日本の個人間取引はPC前提のオークション型が主流で、出品準備や価格設定、取引完了までの手続きが煩雑だった。取引は一部の慣れた利用者に限られ、日常的な不用品売買が広く浸透しているとは言い難い状況にあった。一方でスマートフォンの普及が進み、写真撮影・投稿・決済を日常的に行う行動様式が定着し始めていた。
こうした環境下で、個人が持つ不用品を「すぐ出して、すぐ売れる」体験に再設計できれば、潜在需要は大きいという見立てがあった。既存サービスの延長ではなく、スマホ前提で取引摩擦を徹底的に取り除くことが、新しい市場を開く条件だという認識が、プロダクト構想の背景にあった。
2013年7月、スマートフォンアプリ「メルカリ」をリリースした。出品は写真撮影から価格入力までを数分で完結させ、購入から決済、配送手続きまでをアプリ内で一気通貫に設計した。オークション方式ではなく即決価格を基本とし、取引のスピードと分かりやすさを優先した点が特徴である。
リリース当初から、プロダクト改善を高速に回すためのデータ計測と仮説検証を重視し、UIや文言、導線の細部まで頻繁に更新した。完成度の高さよりも、実際の利用行動から学習することを優先する判断が、開発と運営の基本方針として置かれていた。
スマホ完結の取引体験は、従来CtoC取引に参加していなかった層の参入を促し、出品と購入の回転を大きく高めた。写真投稿を起点とする直感的な操作は、取引行動の心理的ハードルを下げ、日常的な売買を可能にした。
このリリースを契機に、フリマアプリという新しいカテゴリが日本市場で成立し、メルカリはその代表的存在として急速に存在感を高めていった。2013年7月のアプリ公開は、単一プロダクトの投入にとどまらず、個人間取引の主流を作り替える起点となった。
ユーザーの拡大を受けてメルカリの出品者に対する手数料の徴収を開始。取引完了時点の出品者に対して売上高の10%を手数料として徴収。2014/10/1 9:00以降に出品された商品が対象で、メルカリは収益化のフェーズへ。ユーザーには9/26メールで通知しており猶予期間はわずか4日。プレスリリースは見当たらず。実質的な値上げで、プレスによる発表を回避したと推察される
2013年のサービス開始以降、メルカリはスマートフォンに最適化された個人間取引サービスとして一定のユーザー拡大を実現していた。しかし、成長は主に口コミやネット広告に依存しており、一般層への認知は限定的であった。フリマアプリという概念自体がまだ広く理解されておらず、潜在需要を顕在化させるには、より強力な認知獲得手段が必要となっていた。
また、取引量の増加に伴い、サーバー負荷や不正対応、カスタマーサポート体制の整備といった運営面の課題も顕在化していた。プロダクトの改善と同時に、事業基盤を安定させるための投資余力を確保することが、次の成長段階に進むための前提条件となっていた。
2014年5月、メルカリは14.5億円の資金調達を実施し、その資金を原資としてテレビCMの放映に踏み切った。これは、スタートアップとしては異例の判断であり、オンライン完結型のサービスがマスメディアを活用すること自体に賛否があった。
それでもメルカリは、フリマアプリを一部のITリテラシー層に留めず、一般生活者にまで浸透させるには、短期間で大規模な認知を獲得する必要があると判断した。テレビCMは即時の費用対効果を求める施策ではなく、市場そのものを創出するための先行投資として位置付けられていた。
テレビCMの放映により、メルカリの認知度は急速に高まり、これまでサービスに触れていなかった層の新規登録が増加した。フリマアプリという概念が広く共有され、個人間取引が日常的な行動として受け入れられる下地が形成された。
この施策は、短期的には広告費の増大というコストを伴ったが、結果としてユーザー基盤と取引量の拡大をもたらし、その後の大型資金調達や市場支配につながる成長軌道を描く起点となった。14.5億円の調達とテレビCM投下は、メルカリがニッチサービスからマス向けプラットフォームへ転換するための決定的な一歩であった。
| Date | Type | Action |
| 2014/3 | CS | CS50名の採用決定 |
| 2014/3 | 開発(バッチ処理) | 不適切商品の自動抽出 |
| 2014/3 | 開発(社内管理画面) | 禁止用語のアラート |
| 2014/5 | CS | 仙台CS拠点を稼働 |
| 2014/7 | 開発(社内管理画面) | 出品停止機能を追加 |
| 2014/11 | 開発(社内管理画面) | 模造品の削除強化 |
| 2015/2 | 開発(アプリバックエンド) | 再登録防止システム |
| 期間 | 内容 | 還元 |
| 2014/5/10-25 | CM放映記念 | 総額300万円分出品キャンペーン |
| 2014/6/6-12 | 300万DL突破記念 | 最大10万円分のポイントがあたる |
| 2014/7/2-9 | ありがとう1周年記念 | 総額300万円分出品キャンペーン |
| 2014/9/25-30 | 500万DL突破記念 | 毎日総額100万が5000人にあたる |
| 2014/10/11-23 | CM放映記念 | 総額1000万円分出品キャンペーン |
| 2014/11/14-26 | CM放映記念 | 出品キャンペーン・10000円分をゲッツ |
| 2014/12/3-12/7 | 700万DL突破記念 | 3万円分のポイントがあたる |
当時のメルカリは良いプロダクトはあるけれど、広報・PRができていない状態だったんです。Winnerになるためには、後輪をどう回していくかがすごく重要になるな、と。もちろん、PRにも力を入れるのですが、認知度を一気に高めてアプリのインストール数を増やし、GMV(流通取引総額)を上げていくには、ペイドメディアを活用した広告にも力を入れていかないといけない。そのためには当然、一定の資金も必要になります。メルカリに入社後、まずは資金調達の交渉とテレビCMの制作を同時並行で進めていきつつ、「テレビCMを放送したら現状のカスタマーサポート(CS)では対応しきれなくなる」と思っていたので、CS仙台オフィスの立ち上げもやっていきました。
入社から3カ月間はこれらの事柄に全力で取り組み、やりきったという感じです。結果的に2014年3月末に14.5億円の資金調達を実行し、ゴールデンウィーク明けにはテレビCMを開始し、そこから一気にサービスを伸ばしていくことができました。
著名ビルに入居して人員採用を強化
CtoCのメルカリ以外の新規事業を本格化。特にシェアサイクルの「メルチャリ」に投資するも撤退へ
2015年から2016年にかけて、メルカリは国内CtoC市場において急速に取引量を拡大させていた。スマートフォン前提のUIと即時性の高い取引体験が一般層に浸透し、フリマアプリというカテゴリ自体が新たな市場として成立し始めていた。一方で、サービスの急拡大に伴い、広告投資、サーバー増強、不正対策、カスタマーサポートといった運営コストも同時に増加していた。
また、メルカリの成長を受けて、既存のEC事業者や新興スタートアップによる参入が想定され、市場競争が本格化する前段階に差しかかっていた。取引量とユーザー数で先行優位を確立できるかどうかが、中長期の競争力を左右する局面であり、短期的な利益確保よりも、スケール拡大を優先すべきフェーズに入っていた。
こうした状況を踏まえ、2016年3月、メルカリは三井物産などを引受先として83.5億円の資金調達を実施した。評価額は約1200億円に達し、国内スタートアップとしては異例の規模であった。この資金は、広告宣伝費の増額、開発体制の拡充、取引安全性を高めるためのシステム投資などに重点的に充てられる計画とされた。
この判断は、黒字化を急ぐよりも、取引量とユーザー基盤を最大化することを優先する明確な意思表示であった。競合が本格的に資本投下を始める前に、圧倒的な規模と認知を確立することで、市場構造そのものを固定化する狙いがあったと言える。
調達資金を背景にした広告投資はユーザー獲得を一段と加速させ、メルカリは国内CtoC市場において事実上のトップポジションを確立した。取引量の拡大はネットワーク効果を強化し、後発サービスとの差は急速に広がっていった。
一方で、この局面で形成された広告依存型の成長モデルと固定費構造は、その後の成長鈍化局面において調整余地を狭める要因ともなった。83.5億円の資金調達は、市場支配力を確立するための決定打であったと同時に、高成長を前提とした経営構造を固定化した転換点として位置付けられる。
| FY | 売上高(a) | 広告宣伝費(b) | (b)/(a) |
| FY2015 | 42億円 | 41億円 | 97.6% |
| FY2016 | 122億円 | 68億円 | 55.7% |
| FY2017 | 220億円 | 141億円 | 64.0% |
上場初日の終値ベースで時価総額7100億円を突破。ベンチャー企業の大型上場として注目を浴びたが、半年後に株価1/3へ
2010年代後半、メルカリは国内CtoC市場で圧倒的な取引量とユーザー基盤を確立していた。一方で、その成長はサービス開始当初に構築したシステムアーキテクチャに大きな負荷を与えていた。単一のコードベースと密結合した構成は、機能追加や改修のたびに全体への影響を考慮する必要があり、開発速度と安定性の両立が難しくなっていた。
また、取引量の増加に伴い、障害発生時の影響範囲が拡大し、サービス全体を止めかねないリスクが高まっていた。事業としては国内外での拡張や新規サービス展開を視野に入れていたが、既存のアーキテクチャのままでは、将来の成長を支える基盤として限界があるという認識が、社内で共有されつつあった。
こうした課題を受けて、2018年7月、メルカリはシステムのマイクロサービス化に着手することを公表した。機能単位でサービスを分割し、開発・デプロイ・運用を独立させることで、開発効率と耐障害性を高めることを目的とした判断であった。
この取り組みは、短期的な開発速度の低下や移行コストを伴うことが前提であり、即時の事業成果を狙った施策ではなかった。それでも、将来の事業拡張と組織拡大を見据え、技術的負債を放置せずに構造的な刷新に踏み切るという、長期視点に立った意思決定がなされた。
マイクロサービス化の開始により、メルカリはシステムを段階的に分割し、チーム単位での開発と運用を可能にする体制へと移行していった。これにより、特定機能の改修や新機能追加が全体に与える影響を抑えつつ、開発サイクルを回すことが可能となった。
短期的には移行負荷や運用の複雑化といった課題も顕在化したが、結果としてこの判断は、サービスの安定性と拡張性を確保する基盤を整えることにつながった。2018年のマイクロサービス化は、メルカリが一過性の成長企業から、長期運営を前提としたプラットフォーム企業へ移行するための重要な転換点となった。
メルカリには「変更が容易なソフトウエアを作る」という大きなチャレンジがありました。そこで2018年の8月にマイクロサービスに舵を切ったんですよ。それで、「じゃあマイクロサービスを実現するための組織とは」という話をして、各モジュールが自律的に機能するのと同様に、組織もそれと同じ構造にしようとしていたんです。「逆コンウェイの法則(※)」というやつですね。(略)
でも、これは上手くいったかどうかは抜きにして、個人的にはかなり野心的な挑戦だったなと思います。やっぱりソフトウエアとエンジニア(人)は違うんですよ。同じように扱うのは難しい。前職のGoogleを振り返ってみると、誰もマイクロサービスとか言ってなかったんですよ。(略)
そう。でも、思い起こせばエンジニア一人一人はかなりマクロなサービスを触ってたんです。つまり「組織の話と作っているものの話って、そこまでリンクしてないんじゃない?」と思ったりするわけです。で、モノリスからマイクロサービスに切り出そうとしたときに、どう切ればいいかなんて誰も分からないじゃないですか。この切り方で良いのかなんて分かんないけど、とりあえず切る。マイクロサービスと組織は相似形でやりたいから組織も同じように切る。でも、後で「この切り方は間違いだったね」なんて話もあるわけです。すると、ソフトウエアは100歩譲って直せばいいですけど、組織は簡単には直せないじゃないですか。「チームAの一部をチームBに合流させよう」と言ったって、そこにはいろいろな調整が発生して、数週間、ときには数カ月を要することもあります。
自動車関連SNSサービス「CARTUNE」を展開するマイケル社(FY2019の営業赤字2億円)を12億円で買収。しかし、2020年6月時にのれん減損を計上した上で、イード社への事業売却を決定
メルカリの認知向上のため、サッカークラブの運営に参入。株式61.6%を約15億円で取得すると発表。取得先は大株主の日本製鉄(新日本製鐵)から
2019年10月にヤフーが「PayPayフリマ」のサービス提供を開始してメルカリに宣戦布告。PayPayフリマは2022年10月までの3年間でダウンロード数1500万件を突破し、スマホのフリマアプリをめぐる競争が激化へ
保有していたBASE社の株式を完全売却。売却先はメリルリンチ証券で市場外取引による。FY2021にメルカリは投資有価証券売却益(特別利益)として70億円を計上
国内CtoC市場においてメルカリは高い認知と取引量を確立していたが、取引単価や手数料率の構造上、売上成長には限界が見え始めていた。また、フリマ市場を巡る競争が激化する中で、既存モデルの延長のみでは中長期の成長を説明しにくい局面に入っていた。
2020年以降のコロナ禍は、小規模事業者にとってオンライン販売の必要性を顕在化させた一方、メルカリにとってはCtoCの枠を超えた新たな取引主体を取り込む契機ともなった。個人だけでなく事業者を取り込むことで、取引総額の拡張を図る余地が生じていた。
こうした環境を受け、2021年3月に完全子会社ソウゾウ(2代目)を設立し、BtoCサービスである「メルカリShops」の開発を開始した。既存のCtoC基盤とは異なり、加盟店審査や商品管理といった新たな運営要素を取り込む設計となった。
あえて別会社とすることで、既存事業の文化やKPIから切り離し、新規事業としての意思決定速度を確保する狙いがあった。プラットフォームの集客力を活用しつつ、取引主体の拡張による成長を目指す判断であった。
メルカリShopsは出店数を拡大し、一定の需要を可視化することには成功した。しかし、加盟店管理やサポートに伴うコストは想定以上に重く、取引拡大が即座に収益改善には結びつかなかった。
結果として28億円の減損を計上し、人員削減を含む事業調整を余儀なくされた。この取り組みは、CtoC基盤の延長でBtoCを成立させる難易度と、事業拡張に伴う固定費リスクを明確に示す結果となった。
| name | role | memo |
| 石川佑樹氏 | ソウゾウCEO | 2023/5にCEOを退任 |
| 名村卓 | ソウゾウCTO | 2022/6にメルカリを退職 |
| @camy | Technical Product Manager | |
| @unryu-in | Product Manager | 2022/7メルカリ執行役員に就任 |
| @keigow | Software Engineer | |
| @dragon3 | Software Engineer | Infra |
| @napoli | Software Engineer | |
| @hiroppy | Software Engineer | Frontend |
| @motokiee | Software Engineer | Backend&Frontend |
| @wakanapo | ML Engineer | ML |
きっかけの1つはコロナ禍です。決済サービス「メルペイ」の加盟店など、様々な事業者の声に耳を傾けていくと、「オフラインでの営業が厳しくなってしまった」と。そこから、「メルカリというプラットフォームを活用して、何とか解決できないか」という意見を多くいただいていたんです。
情報漏洩や不正決済の継続発生は、急成長するプラットフォームが必然的に直面する統制課題を顕在化させた。メルカリにとってこの時期は、利便性優先の運営から、信頼と安全性を前提とした運営へ軸足を移す必要性を突き付けられた局面だった。
2020年前後、メルカリは国内最大級のCtoCプラットフォームとして取引量と利用者数を拡大させていた。決済、配送、本人確認など多様な機能が統合され、プラットフォームとしての利便性は高まっていた一方、システムの複雑化と外部連携の増加により、セキュリティ上の攻撃面も拡大していた。
特に、不正ログインやアカウント乗っ取り、決済情報の悪用といったリスクは、利用者数の増加に比例して顕在化しやすい構造を持っていた。マイクロサービス化を進める過程で、システム構成や運用フローが過渡期にあったこともあり、技術面・運用面の双方でリスク管理の難易度が高まっていた。
2021年5月、情報漏洩や不正決済が継続的に発生している状況を受け、メルカリは個別事案への対応にとどまらず、セキュリティ対策とリスク管理体制の強化を進める判断を下した。影響範囲の特定や利用者への告知、補償対応を行うと同時に、システム監視や不正検知の仕組みを見直す方針が示された。
これは、成長を優先してきた運営方針の下で後回しになりがちだった統制領域に、経営として本格的に資源を配分する意思決定であった。利便性と安全性のトレードオフを再調整し、信頼を維持することを優先課題として位置付けた点に特徴がある。
継続的な不正事案への対応を通じて、メルカリはセキュリティ投資と運用コストの増加を受け入れることになった。短期的には利益率を押し下げる要因となったが、プラットフォームとしての信頼性を維持するためには不可避の選択であった。
この局面は、メルカリが成長スピードを最優先する段階から、安定運営とリスク管理を重視するフェーズへ移行したことを示している。2021年の一連の不正問題は、プラットフォーム企業としての責任と統制の重要性を再認識させる転換点となった。
Mercari, Inc.での巨額減損は、米国市場での成長を前提とした投資シナリオが現実と乖離していたことを示している。拡大路線を維持するのではなく、会計上の整理を通じて前提条件を引き直した点に、この局面での意思決定の本質がある。
2010年代後半、メルカリは国内CtoC市場での優位を背景に、成長余地を海外、とりわけ米国市場に求めていた。米国ではスマートフォン利用が早期に普及しており、個人間取引の市場規模も大きいことから、日本で確立したモデルを横展開できる可能性があると判断されていた。一方で、米国市場では既存ECプラットフォームや中古取引文化がすでに根付いており、単純なUI改善や利便性訴求だけで差別化することは難しい環境にあった。
また、米国事業はユーザー獲得を最優先とし、広告投資や人員拡充を継続してきたため、取引量の拡大に比して収益化が遅れる構造となっていた。国内での黒字基盤を前提に投資を継続していたが、為替や競争環境の変化により、想定していた成長曲線との乖離が徐々に顕在化していた。
2021年6月、メルカリは米国子会社Mercari, Inc.において巨額の減損を計上する決断を下した。これは、将来キャッシュフローの見通しを保守的に再評価し、これまでの成長前提を修正する判断であった。短期的な業績悪化を受け入れてでも、事業価値の評価を現実に即した水準へ引き下げる必要があると認識された。
この減損は、海外展開そのものを否定するものではなく、投資規模と回収期間の前提を改めることを意味していた。拡大一辺倒ではなく、選択と集中を伴う運営へ移行するための会計上の整理として位置付けられた判断である。
巨額減損の計上により、メルカリの連結業績には一時的に大きな影響が生じた。これまで成長期待を織り込んでいた海外事業が、短期的には利益貢献しないことが明確となり、投資家や市場からは戦略の妥当性が改めて問われる局面となった。
一方で、この減損は海外事業の現状を直視し、今後の戦略を再設計するための前提条件を整えたとも言える。結果として、メルカリは海外展開を長期的視点で捉え直し、投資効率と事業優先順位を再検討する段階へと移行した。2021年6月の減損は、グローバル成長戦略における現実認識を伴う転換点となった。
D.Friedman氏:メルカリの株価がアンダーパフォームしている要因として、投資家の期待がグロースよりも利益の創出にシフトしてきていると思う。今後、メルカリはどのようにして利益を創出していく計画か?
山田進太郎氏の答:我々も投資規律をアップデートしており、業績予想から計算すれば分かる通り、4Q は損益が大きく改善する見込みを立てている。マーケティングだけでなく、コスト全般を見直し、筋肉質な体制を目指している。投資についても半年ほど前まで行っていたような全方位に積極的な投資モードから、特に新規事業については慎重に見極めながら投資をするように変更している。グループ全体としての黒字化を目指すという話ではないが、世の中的な流れを受けて、我々も投資の考え方をアップデートしたということ。一方、周りの状況も刻々と変化しているので、その中でチャンスがあれば投資をしていくことも検討する。
メルペイを通じた「定額払い」「メルカード」の提供により、後払いの増加によって未収入金がYoYで353億円増加。この結果、営業キャッシュフローはマイナスとなり悪化した。
また、FY2023期末時点の貸倒引当金は54億円であり、あと払いによる潜在的な財務リスクが発生