CF | 2007/3 | 2008/3 | 2009/3 | 2010/3 | 2011/3 | 2012/3 | 2013/3 | 2014/3 | 2015/3 | 2016/3 | 2017/3 | 2018/3 | 2019/3 | 2020/3 | 2021/3 | 2022/3 | 2023/3 |
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営業CF | 6 | 15 | 12 | 24 | 39 | 52 | 56 | 101 | 104 | 120 | 182 | 198 | 148 | 247 | 447 | 398 | 366 |
投資CF | -1 | -2 | -3 | -1 | -5 | -12 | -12 | -25 | -5 | -21 | -27 | -82 | -61 | -59 | -46 | -12 | -105 |
財務CF | 8 | 14 | -2 | -3 | -4 | -1 | -6 | -21 | -31 | -232 | -49 | -92 | -120 | -67 | -121 | -348 | -177 |
ZOZOは1998年に有限会社スタートトゥデイとして設立された。
創業者は前澤友作氏であり、バンド活動と並行して事業経営に携わった。創業の経緯は、前澤氏が聴いていた輸入CD・レコードで好みの作品がなかったことから、輸入業を自ら立ち上げたことによる。創業当時の顧客接点はカタログ通販(紙媒体)であった。
1つ目の転機は2000年にカタログ通販から撤退して、EC(ネット通販)に転換したことであった。当時はネットバブルによってインターネットが普及しつつあり、この時流に乗ってECサイトに鞍替えを決定。「STMonline」を開設した。
2つ目の転機は同じく2000年にファッションECサイトを立ち上げたことにあった。輸入CD・レコードの顧客層は若者であり、同様に若者向けのファッションECサイト「EPROZE」を立ち上げることで集客効率を向上させることを目論んだ。
なお、2000年時点では「ZOZOTOWN」のサービス提供は行っておらず、2004年に同サイトを開設するまでは「STMonline」と「EPROZE」の2つのECサイトが主力事業であった。
創業時の問題は、在庫リスクを抱えるが故の自己資本比率の低さにあった。「STMonline」と「EPROZE」の2つのECサイトの運営にアタて、仕入れによるリスク(負債)が多く、2000年台前半における自己資本比率は9%〜12%という低い水準で推移した。
よって、創業期のスタートトゥデイは「仕入れの失敗すれば倒産する」状況にあり、リスクと隣り合わせのEC企業であった。
バンドマンであった前澤友作氏は、趣味でやっていた輸入CDの販売を本格化させるために、東京都江戸川区に有限会社として「スタートトゥデイ(出資金300万円)」を設立した。有限会社の設立以前にも、前澤氏は自宅(千葉県鎌ヶ谷)を拠点にして、カタログ通販事業を営んでおり、有限会社化はビジネスに本腰を入れる意味合いもあったと推察される。
創業当時は、前澤友作氏のバンド関係の友人の合計3名とともに、CD・レコードの輸入とカタログ販売に従事。ビジネスの規模は「月商は500万円」ほどであったという。
2004年に「ZOZOTOWN」のサービス提供を開始し、主にセレクトショップ向けの受託販売を開始した。従来のECサイトが「自社買取型」の販売で在庫リスクをスタートトゥデイが背負ったのに対し、ZOZOTOWNは「委託販売」を中心として在庫リスクを背負わないECという点に特色があった。だが、当時の業界では「ECで服は売れない」と言われており、出店企業(セレクトショップ・アパレル企業)の誘致に苦戦した。
ZOZOTOWNのサービス展開において決定打となったのが、2004年にユナイテッドアローズと取引を開始したことであった。セレクトショップの大手(上場企業)と取引することで信頼を獲得し、競合のセレクトショップからの出店も獲得。この結果、2005年までにUNITED ARROWS、SHIPS、BEAMSといった著名セレクトショップを確保することに成功した。
委託元を確保すると同時に、ZOZOTOWNでは「物流」に積極投資を行った。EC運営・在庫・サイズ・商品撮影・梱包・発送といった業務を一括で請け負う代わりに、出店企業に対してテイクレート18〜30%という高い水準を提示した。物流への投資の第一弾として、2006年に千葉県習志野市に「ZOZOBASE」を賃貸方式により新設し、物流センターを中心に業務フローを洗練させた。取引先の拡大とともに固定費が下がることから、スケールメリットも効くビジネスであった。
これらの物流投資が必要なことが、ファッションEC業界における参入障壁として機能し、有象無象のECの中でもZOZOTOWNが急成長を遂げる要因になった。物流オペレーションにおいてもファッションに特化することで業務効率化を図り、何でも屋に相当するモール系EC(Amazon・楽天・ヤフー)との棲み分けが形成された。
この結果、ZOZOTOWNはアパレルECとして独走。自社買取型の取引を順次縮小し、委託販売取引を延ばすことで、2007年に東証マザーズへの株式上場を果たした。
ファッション分野の取り扱い品目を拡大するために、従来のwebのサイトを大幅なリニューアルを決定。2004年12月にセレクトショップを集積したECサイト「ZOZOTOWN」のサービスを開始し、自社で展開した17のセレクトショップのブランドを廃止した。
2007年から2013年にかけて、ZOZOTOWNの売上成長が頭打ちとなった。これは、PCからスマホへの過渡期であったことや、リーマンショックにより資金環境が悪化して物流投資を取りやめたことが要因であった。ZOZOTOWNの取扱高は物流センターのキャパシティーに左右されるため、物流センターの新設が経営課題となった。
そこで、2013年にZOZOBASEを新設して、取扱高を増やすとともに、即日配送(+500円)のサービス提供を開始。注文から発送までのリードタイムを改善することで、ZOZOTOWNは再び増収基調に乗った。2018年度まではスマホの普及とともに取扱高を増大させ、物流センターの増設・新設(いずれも賃貸方式)により需要増大に対応した。
後払い決済を導入。商品購入後の支払い期限が2ヶ月後に設定することが可能で、コンビニでの支払いに対応した決済方法。購入の機会損失を防止する目論みがあった。債権の回収業務はGMOペイメントサービスが請け負った。利用拡大のために、2017年3月からTV CMによるキャンペーンを展開。
物流拠点の拡張を発表。プロロジスパークつくば1から全フロアを賃貸。つくばにおける年間賃借料は12.3億円(FY2019)
商号をスタートトゥデイからZOZOに変更し、ブランド名と社名を一致させた。
2018年時点において、ZOZOのシステムは完全な内製化ではなく、外部の複数のベンダーに受託しており、AWSアカウントのコスト増加といったボトルネックになっていた。
また、データ分析基盤が整備されておらず解析が難しいといったことが問題視された。
そこで、2020年にZOZOはエンジニアの組織改革を実施。中途採用を積極化することでエンジニアリングの内製化の体制を整えつつベンダーを整理。また分析基盤にはBigQueryを導入するなど、技術的な負債を解消することを目論んだ。
ZOZOとしては初となる中計を策定
ZOZOは売上高を順調に伸ばしたものの、ZOZOSUITと海外事業からの撤退を決めた、2019年3月期で上場来初となる減益決算(経常利益257億円・前年同327億円)を計上した。
ヤフージャパンとLINEを主体とするZホールディングがZOZOの買収を決断。なお、2010年からZOZOはヤフーショッピングの連携でヤフージャパンと業務提携しており取引関係にあった。
ZOZOの創業者である前澤友作氏は社長兼CEOを退任して経営の一線から退き、後任には澤田宏太郎が社長兼CEOに就任した。
FY2020の売上高1747億円(YoY+17.4%)、営業利益441億円(YoY+58.3%)を計上。ペイペイモールでのGMVの伸びが寄与しており、ZHDとの競合効果が現れた
ZHDによる子会社化によってZOZOは株式の流動比率35%を下回る見込みとなった。このため、上場維持のため2021年5月にZOZOは自己株式の取得計画を発表し、最大320億円の取得を公表した。この結果、FY2021において319億円の自己株式の取得を実施し、株式の流動性を確保した。
物流拠点の拡張を発表。プロロジスからの賃貸へ