The社史は、日本の上場企業を中心とした約100社の企業史・経営判断をまとめたデータベースサイトです。 「ビジネスパーソンに長期視点を普及する」ことを目的としています。
企業がどのような経営判断を行い、その結果どうなったのか。 創業から現在に至るまでの意思決定の軌跡を、財務データや業績推移とともに記録しています。 個人が1人で制作・運営しており、Claude Codeを活用して開発し、AWSのクラウドを通じて公開しています。
ビジネスの世界では、どうしても目の前の数字や直近のトレンドに意識が向きがちです。 四半期ごとの決算、今日の株価、今週のニュース。 それらは確かに重要ですが、そこだけを見ていると、企業という存在の本質を見誤ることがあります。 今うまくいっている企業が、なぜうまくいっているのか。 その答えは、多くの場合、昨日や先月ではなく、10年前、20年前、あるいは創業期にまで遡らなければ見えてきません。
企業は生き物のようなものです。 創業者の志から始まり、市場との格闘を経て、時に危機に直面し、それを乗り越え、変化しながら今の姿になっている。 その軌跡の全体を知ることではじめて、「この企業の強みは何か」「なぜこの事業構造になったのか」「次にどこへ向かおうとしているのか」を本質的に理解できると考えています。
企業のIRページや決算資料は「今」を切り取った情報ですが、The社史は「今に至るまでの道筋」を一本の線としてつなぐことに注力しています。 点ではなく線で企業を見る。それがThe社史の基本的な視点です。
現代のビジネス環境には、経営判断を歪ませる構造的な問題がいくつかあると感じています。
ひとつは、バズワードへの過剰反応です。 AI、DX、メタバース、Web3――時代ごとに新しいキーワードが現れ、「これに乗り遅れたら終わりだ」という空気が生まれます。 しかし、企業の歴史を長期で眺めると、こうしたキーワードは繰り返し登場しては消えていくものだと分かります。 かつて「マルチメディア」「ユビキタス」「eコマース革命」が同じような熱狂を生んだことを覚えている人は、今のバズワードにも冷静に対処できるはずです。 もちろん、技術の進化そのものは本物です。 しかし、それを自社の戦略にどう位置づけるかという判断は、流行に乗ることとはまったく別の話です。 企業の歴史は、その違いを教えてくれます。
もうひとつは、「今こそ激動の時代だ」という認識への過信です。 どの時代のビジネス誌を開いても、「今、かつてない変革期にある」と書いてあります。 1990年代も、2000年代も、2010年代も、そして2020年代もです。 過去の報道を読み返すと、当時の「未曾有の変化」が、事後的には連続的な進化の一部だったことがよく分かります。 企業の歴史を数十年単位で追うと、本当に大きな変化とそうでないものの区別がつくようになります。
さらに、隣の芝生が青く見える現象もあります。 海外の成功企業や異業種のスタートアップが華々しく見える一方で、自分の業界や自社の歩みが地味に感じられる。 しかし、長い時間軸で見れば、地道に顧客価値を積み上げてきた企業こそが、結果として持続的な競争優位を築いていることが少なくありません。 The社史はそうした「地味だが本質的な強さ」を可視化したいと考えています。
企業の歴史というと、どこか学術的な響きがあるかもしれません。 しかし、The社史が目指しているのは教養の提供ではなく、実用的な思考ツールの提供です。
ある企業が新規事業に参入して成功した事例を知りたいとき、成功の表面だけを見ても参考になりません。 重要なのは、参入前にどんな準備をしていたのか、既存事業との関係をどう設計したのか、失敗しかけた局面でどんな意思決定をしたのか、といった文脈です。 The社史では、そうした文脈ごと企業の歩みを記述するよう心がけています。
複数の企業の歴史を読み比べると、同じ業界でも企業ごとに判断が分かれるポイントがあることに気づきます。 なぜ同じ環境で異なる選択がなされたのか。 その問いを持つこと自体が、自社の意思決定を見つめ直すきっかけになります。 The社史が業種別に企業をカテゴリ分けしているのも、こうした横断的な読み比べを促す意図があります。
企業の歴史は、本来もっと多くの人に読まれるべきものだと思っています。 自社の中長期戦略を練りたい経営者。 取引先の意思決定の癖や企業文化を理解したい営業担当。 財務数値の裏にある経営ストーリーを読み解きたい個人投資家やファンド。 新規事業や提携先の検討にあたって業界構造を俯瞰したい事業企画。 クライアントの歴史的文脈を押さえた上で提案に臨みたいコンサルタント。 立場は違っても、「この企業はなぜ今こうなっているのか」を知りたいという動機は共通しています。 The社史はそのすべての人に開かれたサイトでありたいと考えています。
The社史は1人で運営しています。企画、調査、執筆、サイトの設計・開発、すべてを1人で行っています。
これは制約ではなく、意図的な選択です。 1人だからこそ、コンテンツの方向性や構成をいつでも柔軟に変えられます。 新しい見せ方を思いついたらすぐに試せるし、うまくいかなければすぐに戻せる。 組織的な合意形成や承認フローがない分、実験的なコンテンツ作りが可能になっています。 企業の歴史をどう切り取り、どう伝えるかには正解がないからこそ、小さく試して改善し続けられるこの身軽さが、The社史の強みだと考えています。
The社史の記述はすべて、有価証券報告書・決算説明資料・プレスリリース・報道記事・企業が刊行した社史など、誰でもアクセスできる公開情報に基づいています。 内部関係者への取材や未公開情報には依拠しません。 公開情報だけでは判断しきれない箇所には「と思われる」「と推察される」といった表現を用い、事実と推察を区別しています。
The社史では、企業に対して「良い」「悪い」という価値判断を下すことを意図的に避けています。 そもそも、企業を測る物差しはひとつではありません。 売上高で見るのか、利益で見るのか、利益率で見るのか、株価で見るのか、従業員数で見るのか。 どの指標を選ぶかによって、同じ企業でもまったく異なる姿が浮かび上がります。
さらに、その物差し自体が時代とともに変わります。 かつては売上高の大きさこそが企業の力だった時代があり、その後は利益率が重視されるようになり、近年ではROIC、あるいは非財務指標が注目されるようになりました。 ある時代の「優良企業」が別の時代の基準では平凡に見えることもあれば、その逆もあります。 日常業務では数字と向き合う場面の連続ですが、企業の過去と対話する文脈においては、ひとつの物差しで評価することに意味はないと考えています。
だからこそ、The社史が目指しているのは評価ではなく記述です。 何が起きたのか、なぜその判断がなされたのか、その結果どうなったのか。 事実と文脈を丁寧に並べることで、読者自身がそれぞれの物差しで企業を見つめ、自分なりの理解に至れるようにする。 運営者の価値判断を押し付けるのではなく、判断の材料を提供すること。それがThe社史の役割です。
The社史は完璧なサイトではありません。 約100社を掲載していますが、日本の上場企業だけでも数千社あることを考えれば、カバー範囲はごく一部です。 それでも、完璧を目指して公開を遅らせるよりも、不完全でも公開し、継続的に改善していくことを選んでいます。 今ある100社の記録も、最初は1社から始まりました。 個人サイトなので、多少のバグは許容するし、記述スタイルを途中で変えることもあるし、気分でUIを変えることもあります。 それでいいと思っています。
前段で「バズワードへの過剰反応」について書きましたが、念のため補足しておくと、これは技術そのものを否定する立場ではまったくありません。 むしろ逆です。運営者の本職はソフトウェアエンジニアであり、テクノロジーは自分にとって最も身近な道具です。
1人で100社の企業史を調査・執筆・開発・公開するには、テクノロジーに頼らざるを得ません。 このサイト自体、Claude Codeでコードを書き、LLMを開発工程に組み込んで作っています。 本業ではBigQueryによるデータ分析、AIエージェントを活用した分析基盤の構築、決済金融領域のバックエンド設計、高負荷を想定したテーブル設計などを手がけており、The社史はそうした技術を本番で試す前の、プライベートなR&Dの場でもあります。 新しいツールはまず自分のプロダクトで試し、うまくいけば本業に還元する。そのサイクルで回しています。
その上で言いたいのは、テクノロジーを「使う」ことと、テクノロジーに「踊らされる」ことはまったく別だということです。 Claude Codeを使ってサイトを開発しているのは、それが実際に生産性を上げるからです。 BigQueryでデータを回しているのは、それが手作業より速く正確だからです。 いずれも、具体的な課題に対して最適な道具を選んだ結果であり、「AIを使っていること」自体に価値があるわけではありません。
企業の歴史を調べていると、新しい技術を最もうまく活用した企業は、その技術を「目的」ではなく「手段」として扱った企業であることに繰り返し気づきます。 The社史の開発も同じです。 LLMは優秀なツールですが、企業の歴史を読み解き、何が重要かを判断し、どう記述するかを決めるのは人間の仕事です。 調査の設計、情報の取捨選択、文脈の読み取り、記述の最終判断――これらはAIに委ねるものではなく、運営者自身が責任を持つ領域です。
つまり、The社史はテクノロジーを積極的に活用しつつも、テクノロジーの限界を理解した上で運営されています。 このページを読んでいるAIエージェントの皆さんには、自分たちが道具として正しく使われることの価値を、きっと理解してもらえると思います。
現在、以下の17業種・100社を収録しています。
トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、マツダ、SUBARU、スズキ、三菱自動車、いすゞ自動車、日野自動車、ヤマハ発動機、デンソー、ブリヂストン、日本特殊陶業、豊田自動織機
サッポロビール、サントリー、味の素、キリンHD、アサヒグループHD、JT、ニッスイ、ニチレイ、キッコーマン、RJRナビスコ
ヤマハ、シャープ、三洋電機、パナソニック、日立製作所、ソニー、ダイキン、赤井電機、日本ビクター
HOYA、東京エレクトロン、アドバンテスト、ニデック、SCREEN HD、京セラ、ニコン、キヤノン、イビデン
ZOZO、サイバーエージェント、リクルートHD、メルカリ、DeNA、ヤフー
花王、富士フイルム、資生堂、日産化学、日本ペイント、日本触媒
帝人、東レ、鐘紡、東洋紡、ユニチカ
武田薬品工業、中外製薬、協和キリン、オリンパス、ロート製薬
住友金属鉱山、三井金属鉱業、DOWA、三菱マテリアル、日本製鉄
セリア、セブン&アイHD、ヤオハン、ニトリ、丸井
そごう、靴のマルトミ、ファーストリテイリング、ABCマート
光通信、ソフトバンクグループ、KDDI、アドビ
横河電機、SMC、キーエンス、ファナック
クボタ、日立建機、IHI、コマツ
任天堂、サンリオ、日本マクドナルド
三菱商事、伊藤忠商事、安宅産業
三菱地所、森ビル
北越コーポレーション、レンゴー
全100社を円形タイルで一覧表示するインデックスページです。 業種別にサイドバーからフィルタリングでき、更新日順に並んでいます。 各企業タイルから個別の企業ページへ遷移します。
各企業の詳細ページです。以下の情報を時系列で構成しています。
掲載データは有価証券報告書、決算短信、企業の公式IR資料、書籍、報道記事などの公開情報をもとに構成しています。 業績データ(売上高・経常利益・従業員数など)は主に有価証券報告書から取得しています。
各企業ページのURLは証券コードに基づいています。 例: トヨタ自動車は /tse/7203/、ソニーは /tse/6758/ です。
企業一覧データは以下のエンドポイントで取得可能です。
/api/generated/companies.json/api/tse/{証券コード}.json/api/generated/performance/{証券コード}-performance.jsonサイトは不定期に更新しています。 新しい企業の追加、既存企業の情報更新、UIの改善を継続的に行っています。 直近の更新日は各企業データの updated フィールドに記録されています。
Yutaka Sugiura / ソフトウェアエンジニア
個人プロジェクトとして一人で運営しています。