CF | 2020/9 | 2021/9 | 2022/9 | 2023/9 |
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営業CF | 0.15 | 6.78 | 20.78 | 39.59 |
投資CF | -0.34 | -0.57 | -0.79 | -4 |
財務CF | 4.43 | 0 | 8.04 | -1.1 |
エンジニア出身の佐上峻作氏が、M&Aにおける成約スピードの向上に着眼して、2018年にM&A総合研究所を設立した。
社内のオペレーションフローや、機械学習ベースの案件マッチングを自社で実装することで、成約スピードを早める確率を向上するとともに、社員が案件に集中できる組織体制を構築。コンサルタントの積極採用によるスピーディーな業容拡大に成功し、2022年に株式上場を果たした。
創業者がエンジニアであることや、以前はメディア運営の起業家としてメディア媒体のM&Aに関わったことから、M&Aに関する知見が豊富であり、自動化のためのオペレーション構築に知見があった点が特筆される。
起業家である佐上峻作氏(当時27歳前後)はM&A領域に参入するために「株式会社M&A総合研究所」を渋谷にて設立した。
佐上氏は共同創業したAlpaca社(20ー30代の女性向けのメディア「Pinky」を運営)を、2017年3月に上場企業のベクトルに6.7億円で売却。佐上氏は、売却後にベクトルの社員としてメディア事業に従事し、複数のメディア媒体についてM&Aを検討する中で、案件の検討から成約に至るまでの時間が長すぎる点に疑問を抱いた。
そこで、制約までの時間が最短にできるM&A仲介会社を目指し、M&A総研の起業に至った。
M&A関連のメディアを運営する企業を買収。集客媒体を確保
M&A仲介業への参入にあたり、日本M&Aセンター出身の矢吹氏が「営業統括」として入社。競合から有識者をスカウトすることで、事業の立ち上げを図った。
M&A仲介における営業組織の立ち上げの功績により、矢吹氏は2020年4月にM&A総研の取締役COOに就任している。
マッチング事業に本格参入し、M&A仲介をスタート。下記の3点を顧客に訴求した。
①完全成功報酬制(着手金等無し)
②ビッグデータとAI技術を組み合わせた、最適なマッチング
③経験豊富なアドバイザーによるサポート
これらの価値の実現のために、機械学習による案件のマッチングシステムを実装し、加えて社内オペレーションのフローを極力自動化することにより、低コストな運営体制を構築。
独自のオペレーションフローを構築するため、営業管理ツールとしてはSalesForceなどのパッケージではなく、カスタマイズが容易な内製化を志向。バックエンドのフレームワークにRuby non Railsを採用し、スピーディーな社内向け管理画面の開発を遂行した。CTOの氏名は非開示だが、N氏と推定される。
自社で開発したAIによるマッチングで、人間では考えることが難しい提案ができることと、成約までの時間が短いことが強みだ。一般的にM&Aの平均成約期間は10カ月から1年と言われている。当社の平均成約期間は7・7カ月(2019年実績)で、業界の平均と比べて3カ月以上短い。事業の譲渡先を探している経営者の中には、従業員の雇用を維持するために、とにかく一日でも早く買い手を見付けたいという人が少なくない。1年もかかっていては会社の経営は立ち行かなくなる。当社は最短3カ月で成約まで至ったケースもある。レアケースだが買い手とのマッチングまでの時間が1時間26分という記録もある。スピードが全てとは言わないが、売り手の要望に応えられることは確かだ。
ストックオプションの発行を開始。株式上場までに4回にわたり新株予約権を発行し、第4回目のSOに関してはコタエル信託による「新株予約権信託」を発行した。
機械学習による案件マッチングの精度向上のため、PKSHAと業務提携を締結。同時に、PKSHAが運営するファンド「PKSHA SPARXアルゴリズム1号」から出資を受けた。
株式の流動性向上のため、佐上氏が株式の放出(売却)を決定。9.50%の株式をブロックトレードによる売却を実施し、売却後は53.49%の株式を保有。引き続き佐上氏は過半数を確保する形をとった。