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Shopifyの歴史

創業年
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株式上場
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2004年
スノーボード用品のオンラインショップSnowdevilを開設
2006年
ECサイトの作成サービス「Shopify」をリリース
2010年
課金ユーザーが10,000を突破
2010年
Bessemer Venture Partnerなどから700万ドルを資金調達
2015年
ニューヨーク証券取引所に株式上場
2017年
日本法人Shopify Japanを設立
2004年
創業経緯

スノーボード用品のオンラインショップSnowdevilを開設

Shopifyの歴史は、2004年にTobias Lütke(@tobi)が、カナダでスノーボード用品のオンラインショップ「Snowdevil」を開設したことに始まった。もともとプログラマであったTobias Lütkeは、趣味でスノーボードをしており、オンラインで販売する手軽なECサービスが存在しなかったことから、自らコードを書いてオンラインショップを立ち上げた。

Tobias Lütkeが個人でオンラインショップを構築できた大きな理由は、Ruby言語をベースとしたwebフレームワーク「Ruby on Rails」の登場であった。

従来のプログラミング言語はwebサービスの提供には適しておらず、データベースへのアクセス、ログイン・ログアウトといった基本的な機能も1から自前で実装する必要があり、プログラマにとって大きな負担となっていた。

一方で、2005年前後からOSSによって開発されたRuby言語をベースとしたwebフレームワーク「Ruby on Rails」を使用すれば、最低限のプログラミングで手軽にwebサイトを構築できた。

2006年
創業経緯

ECサイトの作成サービス「Shopify」をリリース

Tobias Lütkeがスノーボードのオンラインショップを立ち上げたところ、商売をしている人々から「似たようなECサイトを構築できないか?」という問い合わせが相次いだ。

そこで、Tobias LütkeはECサイトの受託開発という安易な道ではなく、汎用的なECサイトを作成するという選択を下した。

そして、2006年に株式会社としてShopifyを設立。Tobias Lütkeは「オンラインストアを立ち上げて稼働させるのが難しすぎたため、Shopifyを設立しました。私たちの使命は、あらゆる規模の小売業者がオンラインでビジネスを開始し、運営することを可能な限り簡単にすることです」という方向性を目指した(2010-12-13, Shopify press release)。

汎用的なECサイトを構築するという選択ができた理由は、Tobias LütkeがOSSのRuby on Railsのコア開発者としてコードを深く理解しており、汎用的なECサイトを構築するためのエンジニアリングが可能であったためである。

Tobias Lütkeは、スノーボード用品のオンラインショップを閉鎖し、汎用的なECサイトShopifyの開発を開始。2006年にwebサービスとしてのShopifyをリリースした。

なお同じ時期に、Ruby on Railsによって構築されたwebサービスには、Shopifyの他には、GitHub、Twitter、食べログが存在しており、これらのサービスの拡大とともにRailsのOSSのコミュニティーが活発化して、バージョンアップの頻度向上やライブラリーが充実する契機となった。

つまり、2006年にShopifyがRuby on Railsを採用した技術選択は、極めて的確であったといえる。

2010年
業績好調

課金ユーザーが10,000を突破

Shopifyの登場によって、個人の零細業者であっても、ECサイトを数分で構築できるようになった。

一般的なECサイトは、サイトの構築が複雑であったのに対して、Shopifyは決済まで含めたECサイトの必須機能をシンプルに構築できる点で特異な存在であり、インターネットでの販路を拡大したいユーザーから支持された。

このため、Shopifyは大規模なマーケティング投資をおこなわずに、2010年までに10,000ユーザーを獲得した。当時のShopifyのユーザーの獲得経路は、65〜70%がクチコミで、20%がホームページ作成業者からの紹介、10%がネットの有料広告を通じた集客であった。ほぼ大半がクチコミからの流入であり、顧客獲得の効率は群を抜いて効率的であったと言える。

顧客の年間売上高は1.3万ドルであり、零細企業や個人の副業によって、インターネット販売を行うユーザーが中心であった。このため、Shopifyは中小企業向けのインターネットサービス(SMB)という新しい市場を開拓したともいえる。

ビジネスモデルという点では、早くから手数料(月額使用料+売上高に応じた手数料)による収入を確立した。2010年時点で月額使用料は24ドル〜700ドルの選択方式で、加えて売上高に対して0.5〜2.0%の取引手数料を徴収していた。2010年時点で、1ユーザーからの平均的な月額収益は45ドルであり、2009年から2010年にかけて増加傾向にあった。これは、ユーザーのインターネットの販売高が増加したことによる。

この結果、Shopifyは優れた財務体質を確立した。

2010年の時点で無借金経営で、100万ドルの調達実績に対して130万ドルの現金を保有するなど、経営基盤が安定したベンチャー企業であった。なお、カナダはシリコンバレーに対して、エンジニアの調達単価が30〜40%ほど安い点も、財務体質の強化に寄与する形となった。

2010年
資金調達

Bessemer Venture Partnerなどから700万ドルを資金調達

Shopifyは急速に成長しつつあったが、2010年の時点では従業員24名のカナダのオタワに拠点を置くローカルなベンチャー企業に過ぎなかった。Shopifyの顧客数は1万ユーザーいたものの、その大半が小規模な小売事業者であり、EC業界においてはニッチな存在とみなされていた。

当時、数多くのベンチャーキャピタルはShopifyに注目したものの、Tobias LütkeらShopifyの経営陣は投資を簡単に受け入れなかった。

その理由は、ほとんどのベンチャーキャピタルの多くが「カナダからシリコンバレーに本社を移転した場合に限り投資を実行する」という条件をつけたためであった。Shopifyにとって、カナダは創業者の生活拠点であり、シリコンバレーへの移転は相応の負担が必要であった。

ネット企業が集積するシリコンバレーではなく、カナダに拠点を置いた状態を容認したうえで、投資の話を持ちかけたのが、米国のベンチャーキャピタルBessemer Venture Partnersであった。2010年にBessemerはShopifyへの500万ドルの投資を決めた。

Bessemerとしては、創業者であるTobias Lütkeの思慮深い人柄に加え、零細企業向けというSMBの市場を開拓した点を高く評価した。加えて、カナダに拠点を置くという観点では「エンジニアの調達価格が安い」ということから評価した。

なお、Bessemerは投資金額の用途について(1)マーケティングの実施、(2)海外展開と現地のローカリゼーション、(3)新機能の開発=Shopify App Storeのアプリケーション数の増加という3点を提示した。Shopifyがマーケティングの強化によってユーザー数を獲得するとともに、グローバル展開をするための機能開発に投資をするように提案した。

この申し出に対して、Shopifyは投資の受け入れを決断した。この資金調達が、2010年以降のShopifyのグローバル展開を加速させる資金的な基盤となるとともに、2021年の現在に至るまでShopifyがカナダに本社を置き続ける遠因となった。

なお、BessemerがShopifyに対して、シリコンバレーへの移転を必須条件にしなかった理由は、筆者の邪推であるが、その出自が理由と思われる。

Bessermeはかつて米国で最大規模を誇った鉄鋼会社のカーネギー鉄鋼会社の系譜に連なる老舗のベンチャーキャピタルであり、シリコンバレーに対する対抗意識があったのではないかと推察している。あくまでも、筆者の仮説ではある。

2015年
資金調達

ニューヨーク証券取引所に株式上場

2010年代前半を通じて、Shopifyは順調に業容を拡大し、2015年時点でショップ数16万ユーザー、流通総額38億円、50%がモバイル経由(スマホ)でのアクセスという数値を記録した。Shopifyはスマホの普及にも対応することでユーザーの獲得に成功したと言えた。

そして、2015年にニューヨーク証券取引所にてIPOを実施して1億ドルを調達し、新機能の開発とグローバル展開のための資金として確保した。

2017年
資金調達

日本法人Shopify Japanを設立

Shopifyは2017年から日本進出を本格化させるためにShopify Japanを設立した。この頃から日本国内でもShopifyが認知されるようになった。

2021年時点の日本において、Shopifyは「アマゾンキラー」「ノーコード」といった文脈で捉えられることが多いが、これらの分析は表層的な特徴を捉えたものに過ぎず、Shopify強みはあまり知られていないように感じる。

個人的にShopifyの強みは、下記3つのハードな課題を、創業期から磨き続けてきたことにあると見ている。

1、VISAなどのグローバルな決済会社との信頼構築

2、FacebookやTikTokなどのグローバルなSNSとの連携

3、ShopifyアプリのAPI化(=アプリケーション開発速度の向上)

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