横河電機の歴史

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沿革

1915年に建築家の横河民輔氏が東京・渋谷で興した電気計器研究所が起源。

1917年に電流計・電圧計・電力計を国産化し、1975年発表の総合制御システムCENTUMでプラント制御の収益源を築いた。売上の大半を制御事業が占め、中東・アフリカなど海外の石油・ガス設備へ制御システムを納める。

1920年1948年1982年/1983年1986年2016年2026年横河電機製作所1920年設立株式上場1948年上場横河電機製作所1983年北辰電機と合併Electrofact1982年買収北辰電機1983年合併横河電機1986年商号変更KBC Advanced2016年買収
横河電機
歴代社長と長期業績(敬称略)
2026年3月期
連結
売上高
6,048億円
売上高純利益率
9.6%
出所:有価証券報告書
横河時介山崎友田松井横河正三山中美川内田海堀西島奈良重野
売上高104億円売上高2,595億円売上高3,888億円売上高4,137億円売上高6,048億円純利益率6.4%純利益率0.7%純利益率5.5%純利益率7.3%純利益率9.6%1961/31966/31971/31976/31981/31986/31991/31996/32001/32006/32011/32016/32021/32026/3
  1. 横河民輔氏が東京府渋谷町に電気計器の研究所を設立[1]
  2. 電気計器を発売[1]
  3. 横河電機製作所を設立[5]
  4. 吉祥寺工場を新設(武蔵野本社)
  5. 航空計器と自動調整装置の研究・製造を開始[1]
  6. 吉祥寺工場が竣工[5]
  7. 従業員約1万名を削減
  8. 東京証券取引所に株式上場
  9. 電子管式自動平衡計器を完成[1]
  10. The Foxboro Companyと技術援助契約を締結[5]
  11. Yokokawa Electric Works, Inc.を設立[5]
売上高当期純利益率
  • 売上高
  • 当期純利益率
横河電機1962年3月期売上高81億円売上高当期純利益率15.2%
歴史詳細を読む横河電機製作所の計測器創業と戦後の業態転換

筆者所見

横河電機が戦後に工業計器で地歩を築けたのは、国産化を掲げつつ、不足する技術を外から取り入れる判断をためらわなかったからである。1917年に精密電気計器を国産化し、官庁から輸入品に劣らない評価を得た[2]。戦後は1955年に米フォックスボロ社、米ベンディックス社と相次いで技術提携を締結した[3][4]。輸入品と競って蓄えた技術が、導入した技術を自社の製品へ取り込む素地になった。外の技術で領域を広げる手法は、のちの米国企業との合弁で規模を増して用いられる。

  1. [2]横河電機100年史(横河電機, 2015)
  2. [3]横河電機 有価証券報告書 第149期(2025年3月期)【沿革】
  3. [4]企業の歴史 : 明治百年(経済春秋社編, 1968)
歴史詳細を読む →
安定成長期

1963年〜横河ヒューレットパッカード設立とCENTUMの公表

  1. 横河ヒューレットパッカードを設立[6]
  2. 工業用分析計市場に本格参入[1]
  3. 渦流量計を完成し製造・販売を開始[1]
  4. 保守サービスの子会社3社を設立[5]
  5. 販売低迷・人員削減は回避
  6. ヨーロッパ営業所Yokogawa Electric (Europe) B.V.を設立[1]
  7. Yokogawa Electric Singapore Pte. Ltd.を設立[5]
  8. 甲府工場を新設[5]
  9. 総合制御システムCENTUMを公表[5]
  10. GEと合弁で横河メディカルシステムを設立
  11. Electrofactを買収[5]
  12. 北辰電機と合併[5]
  13. 西安儀表廠との合弁で西儀横河控制系統有限公司を設立[1]
  14. 横河電機に商号変更[5]
  15. 生産拠点統合計画を完了[5]
  16. 高周波測定器分野へ本格参入[1]
  17. 三鷹工業と合併[5]
  18. Yokogawa Middle East E.C.を設立[1]
  19. 統合生産制御システム(CENTUM CS)を発表[5]
売上高当期純利益率
  • 売上高
  • 当期純利益率
横河電機1992年3月期売上高2,659億円売上高当期純利益率2.9%

筆者所見

1963年からの30年で横河電機は、計器を売る会社から、プラントの制御を引き受ける会社へ主力の事業を移した。1975年6月に総合制御システムCENTUMを公表し、1983年4月には北辰電機と合併した[5]。計器の販売が納入で完結するのに対し、制御システムは導入後の保守と更新まで取引が続く。1970年に保守サービスの子会社を設けていたことも、この転換と符合する[5]。制御の事業を厚くした蓄積が、1990年代の不況下で事業を絞り込む際の拠り所になった。

  1. [5]有価証券報告書(2025年6月19日)
転換期

1993年〜美川英二の「解雇なきリストラ」と国内15工場の閉鎖

  1. 解雇によらない構造改革[7]
  2. 小峰工場を新設[5]
  3. 共焦点レーザ顕微鏡スキャナを発売しバイオテクノロジー分野に参入[1]
  4. 横河エムアンドシーを設立[5]
  5. 米HPとの合弁解消
  6. 新長期経営構想を発表[8]
  7. 国内生産子会社5社を統合[5]
  8. 安藤電気の株式33%を取得[5]
  9. 国内グループ15工場を閉鎖
  10. 中国地域統括会社「横河電機(蘇州)有限公司」の本社・工場が竣工、生産開始[5]
  11. 海外市場を統括するYokogawa Electric Internationalを設立[5]
  12. 統括会社の横河電機(中国)商貿有限公司を設立[5]
  13. ライフサイエンス事業部の拠点として金沢事業所を開設[5]
  14. バイオテストシステムを開発し創薬支援システム市場に本格参入[1]
  15. 中国3社の業務を統合し横河電機(中国)有限公司を設立[5]
売上高当期純利益率
  • 売上高
  • 売上原価
  • 販管費
  • 営業利益
  • 当期純利益率
横河電機2008年3月期売上高4,374億円売上高当期純利益率2.7%

筆者所見

美川英二氏の改革の要点は、雇用の継続を前提に、原価と事業を組み替えた点にある。1993年に社長に就任した美川英二氏は、「解雇なきリストラ」をみずから指揮した[7]。解雇によらない構造改革は出向と分社化で人を減らさずに原価を下げた。米HPとの合弁解消で得た資金を制御システムへ振り向けたのも、収益を立て直す財源づくりだった。国内の雇用を守った分、成長は海外に求めるほかなく、2003年10月に蘇州の中国地域統括会社が生産を始めた[5]。

  1. [7]日経ビジネス「編集長インタビュー 美川英二 横河電機社長」(1998年5月11日)
  2. [5]有価証券報告書(2025年6月19日)
転換期

2009年〜計測器事業の分離とKBC Advanced買収

  1. 最終赤字に転落
  2. 計測器事業を子会社の横河計測に移管[5]
  3. 横河ソリューションサービスを発足[5]
  4. 希望退職者を募集
  5. 創立100周年[5]
  6. YOKOKAWAコーポレートガバナンス・ガイドラインを制定[5]
  7. KBC Advancedを買収[5]
  8. 中期経営計画「Transformation 2020」を発表[9]
  9. 中期経営計画AG2023を策定[5]
  10. 中期経営計画GS2028を策定[5]
  11. 指名委員会等設置会社に移行[5]
  12. 指名委員会等設置会社への移行
  13. 重野邦正氏が社長に就任[10]
売上高営業利益率
  • 売上高
  • 売上原価
  • 販管費
  • 営業利益
  • 営業利益率
横河電機2026年3月期売上高6,048億円売上高営業利益率13.7%

筆者所見

2009年以降の横河電機は、創業以来の計測器を本体から切り離し、制御の事業へ経営資源を集中させた。2010年4月に計測器事業を子会社の横河計測へ移管し、2016年4月にはKBC Advancedを買収した[5]。祖業を子会社へ移した判断は、創業の経緯より制御の顧客への価値を優先した選択である。資本の配分を変えた会社は、経営を監督する仕組みにも手を入れた。2024年の指名委員会等設置会社への移行は、事業の再編に続いて統治を改めた一手だった[5]。

  1. [5]有価証券報告書(2025年6月19日)
出典・参考10件
出典・参考
  • [1]横河電機 公式サイト「沿革」(2026年10月)
  • [2]横河電機100年史(横河電機, 2015)
  • [3]横河電機 有価証券報告書 第149期(2025年3月期)【沿革】
  • [4]企業の歴史 : 明治百年(経済春秋社編, 1968)
  • [5]有価証券報告書(2025年6月19日)
  • [6]日経ビジネス「HPとの合弁解消に横河流の計算」(1999年7月19日)
  • [7]日経ビジネス「編集長インタビュー 美川英二 横河電機社長」(1998年5月11日)
  • [8]会社IR「第2のマイルストーン発表会」(2006年5月9日)
  • [9]有価証券報告書 第143期(2019年6月25日)
  • [10]臨時報告書

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