ローソンなど4社の共同出資でイーコンテクストを設立
2000年5月に大手企業3社とベンチャー企業1社による4社で、決済代行企業となる株式会社イーコンテクストが設立
ローソン・デジタルガレージ・TIS・三菱商事の4社で共同設立
2000年5月に大手企業3社とベンチャー企業1社による4社で、収納代行企業となる株式会社イーコンテクストが設立された。出資比率は、ローソン46%・デジタルガレージ34%・TIS10%・三菱商事10%であり、ローソンが自社におけるコンビニ決済に顧客を誘導したいという意図で、合弁会社を主導する形となった。
ただし、ローソンには決済システムを構築する技術開発力がないため、ベンチャー企業であったデジタルガレージとの共同設立を選択した。インターネット領域の技術に強く、eコマースの普及を見据えた決済システムの構築を目論んだ。なお、レガシーなシステム構築ではTIS(JCBのクレジットカードシステムの構築実績あり)が参画し、決済インフラを支える体制を整えた。
三菱商事が参画した理由は、ローソンの大株主であったことが理由である。
代引きの代替としてコンビニ払いを提唱
2000年はインターネットバブルによってeコマースが急速に普及しつつあったが、決済においてボトルネックが存在していた。クレジットカード決済において、インターネットでクレジットカード番号を入力することに抵抗感があるユーザーが多く、決済手段として主流だったのは「宅配便による代金引き換え」であった。
しかし、代引きでは「在宅する必要がある」ことから、ユーザーの利便性を損なう決済手段であった。そこで、ローソンはインターネットによる決済をコンビニで行えるように、イーコンテクストと共に決済システムを構築した。
まず、加盟店サイドにおいてはECサイトを募集し、各ECサイトのカート画面でコンビニ決済の選択を可能な状態にする。その後、決済を行った顧客は、ECサイトで発行された受付番号を元に、ローソンの専用端末「Loppi」で申込券を発行し、レジで支払うものであった。
クレジットカードのような利便性には乏しいものの、代引きと比べれば「自由な時間にコンビニで支払うことができる」点がメリットであった。
ローソンでしか使えない問題
2000年代前半に、イーコンテクストは思うように売上を伸ばすことができなかった。その理由は、インターネットバブル崩壊によってEC市場に対する期待感の剥落もあるが、最大の理由は「ローソンでしか支払えない」点にあった。
ECサイトの顧客にとってみれば、コンビニ払いができることは魅力的であるが、ローソンでしか払えないとなると事情は別であった。セブンイレブンやファミリーマートが近くにあっても支払いできないことは、近隣にローソンがないユーザーにとっては、ユーザー体験を損ねるものであった。
この問題が解決されるのは、2003年にデジタルガレージがイーコンテクストの株式を買収して、ローソンの持分を希薄化させてからであった。このため、2003年までのイーコンテクストは「ローソン専用のEC決済手段」であり、受難の時期を歩んだ。
累積赤字解消のために減資へ
会社設立から2年目の2003年1月に、イーコンテクストは累積赤字を解消するために減資を決定。創業当時の業績は不明だが、赤字によって資本金を食いつぶしたものと推察される。